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祖母と子どもたち

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 緊張していた場の空気が、一気に和らぐ。
 アメリアは『冨岡と子を成す』などと言われ、赤面し狼狽えた。

「あ、あの、私は、その」

 その隣でダルクは自分の名前が挙がったことで、頭を抱えそうになっている。冨岡たちの中で最もベルソード家の大きさを理解しているのは彼だ。その分、驚きも大きいだろう。

「ノノノカ様、一体何をおっしゃって・・・・・・」

 それぞれの反応を見たノノノカは、ふざけているわけでもなく、安心したように微笑んだ。

「ふっ、どうやら落ち着いたようじゃの。暗い顔をし、精神を張り詰めさせるのは良くない。陰鬱とした空気は、陰鬱とした結果を招くことになるぞ。こうして人間らしい顔をしておくべきじゃ。特に幼い子どもの前ではな。安心せい、全て冗談じゃ」

 どうやらノノノカは、この場の空気を変えるために、あえて突飛な話をしたらしい。
 確かに彼女のおかげで、暗い雰囲気は吹き飛んだ。若干一名、ダルクだけはどうしても緊張が解けない様子だったが、それくらいは仕方ない。
 冨岡はそんな祖母の気遣いに感謝をしつつ、話を進める。

「ありがとうございます、ノノノカさん。それで、俺がいない間に話はどこまで」
「まだワシもここへ来たばかりでな。顔合わせが済んだところじゃ。そっちの幼い娘がフィーネ、男児がリオ。名前を聞いたくらいでの、ヒロヤとの関係性も今話しただけじゃ」
「じゃあ、帰ってくるタイミングが良かったんですね。って、あれ? 俺が帰ってきた時『遅かった』って言いませんでした?」
「ワシはお前に会えると思ってここに来たんじゃぞ。それなのに、ここにはおらんかった。いいか、ヒロヤ。時間とは常に相対的なものなのじゃ。どれくらい待たせたから遅いなどという決まりはない」

 ノノノカの持論が展開され、面々がポカンとする中、これまで黙っていたリオが口を開く。

「そうか、寂しかったってこと?」

 それに対してノノノカは、ベルソード家で見せた強さや厳しさなど、どこかに置いてきたような優しい笑みを浮かべた。

「リオは賢い子じゃの。その通りじゃ。相手に会いたいと思う気持ちが、時間を緩やかに感じさせてしまう。気持ちが強いほど遅いと感じるのじゃ」
「フィーネもわかるよ! おやつの時間、まだかなーって思うほど、まだだもん」
「はっはっは、フィーネも賢いぞ。うむ、良い子たちじゃな。あとで焼き菓子をやろう。さて、それぞれの疑問はもっともじゃが、今は話を進めたい。気になることはワシにでも、ヒロヤにでも個人的に問うがいい。良いかの?」

 子どもたちを誉めたところで、ノノノカが話の舵を切る。
 もちろん、全員が事態の重大さを理解しているため、誰も異存はない。

「よし、良いようじゃな。ワシが元々得ていた情報を、まずは共有しよう」
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