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本編
第8話_Like or Love?-4
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「沖本…!」
諒は思わず声高になる彼を横から制し、正気に戻った啓介は瞬時に硬直した。
「…!! すっ、すみません、俺っ……」
「いいって、気にしねぇからそれくらい」
立ち上がったまま口を手で押さえて青ざめる啓介だったが、見上げる影斗は特に顔色を変えずに手を振ってみせていた。
「いやぁ、熱いねお前。よく知ってるダチンコに似てるわ、雰囲気が。おつむの出来は桁違いだろうけど」
ひたすら恐縮する啓介を見てけたけたと笑ってから、影斗は緩く腕を組んだ。
「…お前の言うことはもっともだ。でも、俺がそれを蒼矢に伝える必要性を感じてないから、言わなくていいんだよ」
「…?」
「現状で俺は充分満足してっから、あいつに伝わらなくても不満はねぇってこと」
腑に落ちない面持ちを向けてくるふたりへ、影斗は落ち着いた表情でそう続けた。
穏やかに語る影斗を見、先ほどの蒼矢に対するわんこ状態の彼の光景も思い出しながら、諒はその真意に考えを巡らせる。
…エイト先輩は、真正のマゾなんだろうか…?
頭の片隅に浮かび上がった選択肢を即打ち払い、諒は実際の質問を口にする。
「…無償の愛、ってことですか…?」
「! いいなそれ。ああ、それでいいよ」
…まるで"妖精さん"のようだ…
啓介はそれでもまだ納得出来ていないらしく、呟くように漏らす。
「影斗先輩は、優し過ぎるんじゃないっすか…? …おふたりの関係がそれでいいってなら、文句は無いんですけど…」
「そうなのかもしれねぇな。でも…その辺りは、蒼矢と絡んでいって、あいつの人となりが解れば、少しずつ納得出来てくかもしれねぇぜ。…お前ら、あいつのダチ候補なんだろ?」
「俺たちはもう友人です! なぁ、川崎」
「! ああ、うん」
「ほー、強気だな。まぁ一応頭に入れといてやるよ、蒼矢の友人AとBとして」
「沖本と川崎です、覚えて下さいっ」
影斗と啓介のやり取りを眺めながら、諒は再び考えを巡らせていた。
…髙城の人となり、か…
諒は思わず声高になる彼を横から制し、正気に戻った啓介は瞬時に硬直した。
「…!! すっ、すみません、俺っ……」
「いいって、気にしねぇからそれくらい」
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「いやぁ、熱いねお前。よく知ってるダチンコに似てるわ、雰囲気が。おつむの出来は桁違いだろうけど」
ひたすら恐縮する啓介を見てけたけたと笑ってから、影斗は緩く腕を組んだ。
「…お前の言うことはもっともだ。でも、俺がそれを蒼矢に伝える必要性を感じてないから、言わなくていいんだよ」
「…?」
「現状で俺は充分満足してっから、あいつに伝わらなくても不満はねぇってこと」
腑に落ちない面持ちを向けてくるふたりへ、影斗は落ち着いた表情でそう続けた。
穏やかに語る影斗を見、先ほどの蒼矢に対するわんこ状態の彼の光景も思い出しながら、諒はその真意に考えを巡らせる。
…エイト先輩は、真正のマゾなんだろうか…?
頭の片隅に浮かび上がった選択肢を即打ち払い、諒は実際の質問を口にする。
「…無償の愛、ってことですか…?」
「! いいなそれ。ああ、それでいいよ」
…まるで"妖精さん"のようだ…
啓介はそれでもまだ納得出来ていないらしく、呟くように漏らす。
「影斗先輩は、優し過ぎるんじゃないっすか…? …おふたりの関係がそれでいいってなら、文句は無いんですけど…」
「そうなのかもしれねぇな。でも…その辺りは、蒼矢と絡んでいって、あいつの人となりが解れば、少しずつ納得出来てくかもしれねぇぜ。…お前ら、あいつのダチ候補なんだろ?」
「俺たちはもう友人です! なぁ、川崎」
「! ああ、うん」
「ほー、強気だな。まぁ一応頭に入れといてやるよ、蒼矢の友人AとBとして」
「沖本と川崎です、覚えて下さいっ」
影斗と啓介のやり取りを眺めながら、諒は再び考えを巡らせていた。
…髙城の人となり、か…
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