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本編
第14話_"空き家"の密談_3
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議題は楠神社を襲った[侵略者]の件へ移る。
「――苡月が言ってた"拾い物"は、たぶんコレだ」
夕方に苡月から新たに得られた情報を受け、影斗は楠瀬邸2階の彼の自室へ入り、話の通りドッグタグを見つけていた。
緻密な幾何学文様が彫られた透明な楕円板を面々に見せてから、床へ放る。
3人は、畳に打ち捨てられた小さなタグへ顔を寄せる。
「…光ってはねぇな」
「ほんとにこれが[侵略者]の置き土産なのか? ただのガラスかプラの板にしか見えねぇんだけど…」
半信半疑な烈と陽の感想を聞いた影斗は、おもむろに襟ぐりを探り、首から下がる銀鎖のペンダント――『起動装置』を取り出す。
トップにはまる漆黒のオニキス鉱石へドックタグを近づけると、鉱石が淡く輝きを放ち始めた。
「……!!」
「…そっち!?」
「ドッグタグ自体が光る現象は再現できなかった。…が、[異界]性のものであることは違いねぇ」
「そ、そうだな…」
『起動装置』側が光るという意表を突かれながらも、少なくともただのタグではないことが証明され、面々は納得する。
本来であれば、強い[異界のもの]の気配が接近しない限り沈黙を貫く『起動装置』が、この極小の薄板にいとも簡単に反応するさまを受け、蒼矢は推測を深める。
「…おそらく、[侵略者]の体の一部を使って造られたものでしょう。[侵略者]本体と相互作用し合うようになっていて、『現実世界』で狙った条件が揃った時に、遠隔地である[異界]にいる[本体]へ知らせる役割があるのではないかと」
「こいつを使って、襲うタイミングを計ってたってことか?」
「はい。話を聞いた限りでは、タグに異変が見られた直後に苡月は気を失ってるようなので…狙ってた条件は、苡月が独りになる瞬間…つまり2階に上がった時に接触した、という推論で間違いないと思います」
「…そのあと、苡月の部屋に向かった葉月さんが鉢合わせて、駐車場まで追いかけて、そこで…」
楠瀬兄弟の身に起きた惨劇のおおむねが想像でき、事後を目の当たりにした烈は顔を強張らせる。
視線を落とす烈を気にかけつつ、影斗は続ける。
「苡月が体験した事象が今この場で再現できねぇのは、造った[本人]が今はタグを必要としてないからってことかもな」
「ええ。…警戒心をあおらずに近づくために犬の散歩を装って、去り際に"ドッグタグ"を落とした。[奴]の条件を揃えるには、苡月が拾って帰ることが必須…彼が高確率で拾うような、『現実世界』になじみのあるものに成形した。…およそこういうストーリーかと」
「そんなところだな」
「――苡月が言ってた"拾い物"は、たぶんコレだ」
夕方に苡月から新たに得られた情報を受け、影斗は楠瀬邸2階の彼の自室へ入り、話の通りドッグタグを見つけていた。
緻密な幾何学文様が彫られた透明な楕円板を面々に見せてから、床へ放る。
3人は、畳に打ち捨てられた小さなタグへ顔を寄せる。
「…光ってはねぇな」
「ほんとにこれが[侵略者]の置き土産なのか? ただのガラスかプラの板にしか見えねぇんだけど…」
半信半疑な烈と陽の感想を聞いた影斗は、おもむろに襟ぐりを探り、首から下がる銀鎖のペンダント――『起動装置』を取り出す。
トップにはまる漆黒のオニキス鉱石へドックタグを近づけると、鉱石が淡く輝きを放ち始めた。
「……!!」
「…そっち!?」
「ドッグタグ自体が光る現象は再現できなかった。…が、[異界]性のものであることは違いねぇ」
「そ、そうだな…」
『起動装置』側が光るという意表を突かれながらも、少なくともただのタグではないことが証明され、面々は納得する。
本来であれば、強い[異界のもの]の気配が接近しない限り沈黙を貫く『起動装置』が、この極小の薄板にいとも簡単に反応するさまを受け、蒼矢は推測を深める。
「…おそらく、[侵略者]の体の一部を使って造られたものでしょう。[侵略者]本体と相互作用し合うようになっていて、『現実世界』で狙った条件が揃った時に、遠隔地である[異界]にいる[本体]へ知らせる役割があるのではないかと」
「こいつを使って、襲うタイミングを計ってたってことか?」
「はい。話を聞いた限りでは、タグに異変が見られた直後に苡月は気を失ってるようなので…狙ってた条件は、苡月が独りになる瞬間…つまり2階に上がった時に接触した、という推論で間違いないと思います」
「…そのあと、苡月の部屋に向かった葉月さんが鉢合わせて、駐車場まで追いかけて、そこで…」
楠瀬兄弟の身に起きた惨劇のおおむねが想像でき、事後を目の当たりにした烈は顔を強張らせる。
視線を落とす烈を気にかけつつ、影斗は続ける。
「苡月が体験した事象が今この場で再現できねぇのは、造った[本人]が今はタグを必要としてないからってことかもな」
「ええ。…警戒心をあおらずに近づくために犬の散歩を装って、去り際に"ドッグタグ"を落とした。[奴]の条件を揃えるには、苡月が拾って帰ることが必須…彼が高確率で拾うような、『現実世界』になじみのあるものに成形した。…およそこういうストーリーかと」
「そんなところだな」
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