ガイアセイバーズ -GAIA SAVERS-

独楽 悠

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本編

第1話_男と青年_2

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建物を出た道の更に先を行くと、緑がほど良く生い茂った公園があり、ひと気の少ない適当なベンチに座らされる。
濁った臭いは次第に薄れ、周りの木々で浄化された空気を思い切り吸い込み、深く息を吐き出した。

「…大丈夫ですか?」
「……ああ」
「必要でしたらきちんと休めるところへ案内しますが」
「…いや、いい」

事実、タブレットがようやく効いてきたのか感覚を抑えることが出来るようになり、段々思考がクリアになってきた。

顔をあげると、誘導してきた人物が正面に立っていた。

「お前がここへ連れてきたのか?」
「あ、はい。 あなたは一般の方ですか?」
「…?」
「ええと…どこかの学部生ですか?」
「? いや、違う」
「そうですか…」

その人物は若い男性で、こちらを見て少し困ったような表情をしていた。

気分が落ち着いてきたところで、[男]はその青年を観察し始めた。

「お前は、何だ?」
「ここの在学生です」
「ここは?」
「大学の敷地内ですよ。…知らない間に入り込んでしまったようですね」
「…なるほど。そのようだ」


――だから、[学部生]かと聞いてきたのか。いわゆる[学校]には、若い人間が集まっているらしい――


一応目的は果たせていたようだ、と男は納得した。
が、今までのあらゆる臭いの不快感は想像を絶するものであった。

やはり、一筋縄にはいかないようだ。


――しかし、この人間は…どうだ?――


[男]は目の前の青年に、今まで数時間にわたり味わってきた苦痛に結びつかない、違和感を感じていた。
彼からは、他の人間のような生物らしからぬ刺激臭がほとんどしないからだ。
そればかりか、どこかそそられるような芳しささえ感じる。


――なぜだ? 他の人間と同じように着衣をまとっているのに? なぜ…――


髙城タカシロ、行かないの? 次始まるよ」
「! ああ、行く」

ふいに遠くから声がかかり、青年がその方向へ振り返る。
[男]へ軽く会釈をすると、傍らに置いてあったバッグを肩に掛ける。

「すみません、これから講義なんです」
「? ふん」
「僕はもう行かなければならないので、念のために…あっちに保健センターがあります。案内板通りにいけば、迷わないと思います。なにかしら処方してくれるでしょうから、必要だったら行ってみて下さい」
「…ああ」
「それでは、これで」

青年は申し訳なさそうにしながら、足早に去っていった。

取り残された[男]は、青年が去って行った方を眺めていた。


――なんだ? あの人間は――

――興味深いな――
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