ガイアセイバーズ8 -地中に潜む捕食者-

独楽 悠

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本編

第11話_捕食者の慢心-1

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数多の[蠕虫ワーム]に包囲され、蒼矢アズライトは灰色の闇の中で囚われの身となっていた。
身体には依然一匹の体躯がからみついていて、逃れようと必死にもがきながら、かろうじて自由のきく腕で『水面ミナモ』をふるい、巻きつく腹へ突き刺す。
刺されるたびに[蠕虫ワーム]は唸り声をあげ、大人しくさせようと圧を増す。

「! っああぁ…!」

人外の容赦ない締めつけに、アズライトの身体が軋んで震える。
『現実世界』で負った怪我に障り、激痛に意識が遠のいて抵抗する力を失う。
獲物が動かなくなったことを認め、[蠕虫ワーム]が体躯をほどいて解放すると、アズライトはぐたりと宙に浮いて水面を握る手が緩んで落ち、空間へかき消える。

力なくただようアズライトの四肢へ、周囲を取り囲う[蠕虫ワーム]から触手が伸び、からみついていく。
後ろ手に縛られて磔にされ、無抵抗に吊るされるアズライトの耳に、どこからか声が木霊した。

「――待ちかねたぞ、アズライト」

薄目を開けると、眼前に灰一色の表皮に覆われた人型が浮いていた。

「なかなか『転異空間ここ』に姿を現さんから、そろそろ[異界]へ戻ろうと思っていたところだ。焦らしてくれたな」

[異形]の密集部からにわかに姿を現した侵略者[ショク]は、人の背丈と変わらないほどの体躯で、動くたびに粉塵をまき散らす[異形]に対してその体表は舗装されたコンクリートがごとく、まるで彫刻が動いているかのような質感を帯びていた。

[蜀]は捕らえたアズライトへ悠然と近付き、金色の双眼を光らせる。

お前の出現を待つ・・・・・・・・ために、随分消耗してからだがこれほどまで縮んでしまった。[異形下僕]もさんざん破壊されて、数多を失った…なかなかの損害を被ったぞ」
「…貴様らが私欲のために『現実世界』を荒らして危害を加え、無抵抗に餌食にさせられた被害者の数の方がはるかに多い。…最初から俺が目当てなら、無駄な破壊をせずに俺だけを狙えばいいだろ」
「それは土台無理な話だ。私の狙いはお前だが、下僕たちにも餌は必要だろう? これほどの配下を抱えては、お前ひとりでは到底足りん。…単に満たせればいいのだ、下僕こいつらには質より量が必要だからな」

そう語りながら[蜀]はアズライトの頬に手を触れ、滑らかな肌を撫でる。

目を細め、淫猥な顔貌を近付けてくる[蜀]へ、アズライトは殺意をこめた視線を注ぎこんだ。

「…下種相手にこれ以上くれてやるものは何ひとつない。[異界]へ還しはしない、貴様は必ず『転異空間ここ』で仕留める」
「捕獲された身でよく言ったものよ。…お前の体も能力も全て私のものにしてやる。強大な[異界のもの我ら]の前に、無力な己へ絶望しろ」
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