ドS変態若社長に調教溺愛されそうなので全力で回避したいけど無理かもしれない

酉埜空音

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:若社長、成長する:

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 デートというものを満足にしたことがないーーそれは、辰之進も彩葉も同じだった。辰之進は必要のないものだと考えていたから。
 そして彩葉は単純にチャンスがなかった。だから、
「彩葉、急遽休みを取った。今からデート行くぞ」
 と言われたのが、はじめてのデートのお誘いであった。
「はい!? あたし仕事なんですけど!」
「構わん。九条、彩葉の支度を頼む。メイド服のまま連れ回したいくらいだが、可愛すぎる」
「かしこまりました」
「待ってよ、あたしの都合無視しないでよ、馬鹿っ!」
 目を白黒させた彩葉を手早くドレスアップさせた九条さんは、彩葉を可愛らしいお嬢さんへと変身させてくれた。

 そのまま車に押し込まれて、ついた場所は巨大なショッピングモールだった。
「……うわぁ……」
「さて、俺は腹が減った」
「え! いきなり食べるの? お買い物は?」
「……腹が減ると何も出来ないだろ? 先に食うぞ」
 フロアガイドを見て、どの店がいいだろうかと唸る辰之進のそばで、彩葉は迷わず少し高級な和食の店を選んだ。
「このカッコで、カジュアルすぎるお店は違うと思うの」
「ふむ、確かに」
 それに、道ゆく若い女の子たちがチラチラ辰之進を見る。そんな子たちから辰之進を隠したいと思ってしまった。もっとも、チラチラ見てしまうその気持ちもわからないこともない。見た目は完璧なイケメンなのだから。
「中身はドSで変態ですよーってぶちまけてやろうかしら」
「何か言ったか?」
「いいえー! あたし、外食久しぶり!」
「俺もだ」
 辰之進が差し出す手を恐る恐る取れば、ぐっと引き寄せられる。力強さにときめいてしまう。
「俺の隣にいろ」
「はい」
 
 その後は破廉恥なことをされることもなく、穏やかな時が流れる。お屋敷で追い回されるときの、獣のような荒々しさは微塵も感じられなくて、若干戸惑ってしまう。
 その後も彩葉のショッピングに付き合い、スイーツを食べ、二人で映画を見た。心から笑い、心から楽しむ己に気がつき、それは辰之進と一緒だからなのだと悟った。
「デート、楽しい!」
「そうだな。結婚したあともデートはしたいものだな」
「そうですね!」
「次のデートは来週どうだ? 遊園地や水族館はどうだろか? 天気にもよるが……」
「行く!」
 わーい、と、無邪気に喜ぶ彩葉を、辰之進が眩しそうに見た。

 お屋敷に帰宅したころ、もうすっかり夜になっていた。
「では、また明日」
 彩葉の部屋の前ですっと帰ろうとする辰之進を、彩葉は自然に呼び止めていた。
「あ、お部屋寄ってって」
「……いいのか?」
「……うん。どうぞ」
「いや、やめておく。お前を抱きたくなる」
 尚も帰ろうとする辰之進に、彩葉は抱きついた。
「はい。全部、わかって誘ってるんです……」

 部屋の電気は、ついたままだった。
 ブラウスのボタンもあっさり外される。下着も何もかも剥ぎ取られ、飛び出した胸の頂を辰之進がぺろりと舐め、舌先で転がす。
 反対の突起は指先で強く摘ままれ、びりっと電流が走る。
「もう一度聞く。俺と結婚するよね?」
 返事をしようと口を開いたら、辰之進に唇を塞がれた。強引に舌が捻じ込まれ、口腔内を蹂躙する。
 ぬるりと抜かれた舌が、彩葉の唇をつつっとなぞる。
「まって、って言おうとしただろ。俺はそんな返事求めてない」
「え……」
「彩葉、俺のものになれ」
 囁くような声だが、言葉が彩葉を縛る。
 身じろぎする鎖骨に吸い付いたかと思うと、胸元に強く吸い付く。あちこちに唇の跡が残っていく。
 その小さな傷みは「お前は俺のものだ」と刻み付けられているような錯覚を起こす。
 もじ、と彩葉が無意識に腰を揺らしたのをきっかけに、彩葉の両足を勢いよく左右に開く。
「きゃ……」
 長い指を這わせると、辰之進の指を待ちかねていたかのように蜜が溢れてくる。
「しっかり潤っているよ、いいことだ……」
「やだ、も……」
 とはいえ、彩葉とて触ってもらうのを待っていた――もう、否定はしない。
「浅いところが、好きだよね……」
 二本そろえて差し込んだ指でひっかくように刺激すると、たちまち彩葉の体がピンクに染まり、喘ぎが洩れる。
「どう? 気持ちいい?」
 こくこく。
「そうだよね、うねって絡みついてくる……」
 中をひっかきながら、肉粒を刺激するのも忘れない。彩葉の体がぴくぴくと震える。
「あ、もっと……欲しい、の……」
「いいよ、他には?」
「奥、も……」
 このまま刺激を続けてもらえれば、絶頂に向かう――それを知っている彩葉の体は当然強烈な快感を期待する。
「彩葉、俺と結婚しよ?」
「――え……」
 辰之進が、すべての刺激を止めた。中途半端に投げ出された彩葉が困惑の表情で辰之進を見る。
 再び刺激が再開されるが、絶頂の寸前で止まる。そのたびに「結婚しよう?」と聞かれるのだ。彩葉はすっかり困ってしまった。
「何度でも言うよ。俺と夫婦になろう。結婚しよう」
 返事を急かすように、辰之進が刺激を加える。
「彩葉、俺が嫌い?」
「――ううん……」
「結婚、嫌?」
「――嫌じゃない……」
「俺は彩葉を愛している。信じられない? 信じてよ……彩葉」
 甘いキスが落ちてくる。いつの間にか手の拘束は解かれていて、彩葉は辰之進に抱き着いた。
 ぴったり抱き合う。
「あたし、こうしてるの、好き……きもちいい……」
「俺もだよ、彩葉」
「あたしのこと、好き?」
 もちろん、と、辰之進は小さく笑う。
「俺と結婚してください」
 ぎゅ、と抱きしめられ彩葉の目から涙が滑り落ちた。
「――……はい」
 やった、と、喜んだ辰之進は、待ちかねたとばかりに彩葉の中に押入る。
 普段より硬度のあるそれは彩葉を荒々しく蹂躙しつくし、最奥に白濁を放った。
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