ドS変態若社長に調教溺愛されそうなので全力で回避したいけど無理かもしれない

酉埜空音

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:メイド、嘆く:

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「なんであのとき、はいって返事しちゃったんだろ……あいつは、変態。わかってたはずなのに……はぁ……」

 螺旋階段の手すりを磨きながら、彩葉は盛大なため息をついていた。
 磨き布を持っている左手の薬指には、激しい存在感を放つ指輪があり「この女は売約済です」とアピールしている。
 町で声をかけてきたナンパ男も、その指輪を見るなり逃げ出した。効果は抜群である。
 しかし、辰之進のいないところで指輪を外そうものなら、どうやって察知したものか辰之進がどこからともなくすっ飛んでくる。
 その場にもし、若かろうが年配だろうが男性がいようものなら、
「彩葉は俺の妻になるんだからな! そのことを忘れないように」
 と周囲に見せつけてから去っていくのだが、普通に去るような男ではない。
 彩葉のスカートを捲り上げて遠隔操作ができるローターを装着して去っていくのだ。
 ただ震えるだけでなく内部で回転するタイプで、彩葉の弱いところを刺激するように装着される。そのため、一度スイッチが入れられてしまうと刺激や喘ぎ声を堪えるのに一苦労する。
 そして辰之進はどこからかその様子を眺めて悦び、帰宅するなりすぐに抱かれる。
 他の男に淫らな姿を見せた罰だとかで、着衣のまま玄関ホールや車庫で貫かれることもあるし、首輪や目隠しをして寝室に連行されて辰之進が喜ぶ言葉――たとえば「彩葉のご主人さまは辰之進さまだけです」とか「ご主人様、いっぱい虐めてください」だとかを言わされる。

「変態だよね……」

 むろん、彩葉もその都度感度が増して激しく乱れるのだから、辰之進だけをどうこう言える立場ではない。

 本当にこんな変態が嫌なら婚約破棄すればいいのだが――辰之進が嫌いなわけでもない、むしろ、愛されているのだと実感できて、そのことに心地よさを覚えている。
 大企業の奥方としての役割もあるようだが、誰も彩葉にそれを強いるようなことはなさそうである。

 結婚するにあたって心配事――結婚すると決まってから、辰之進の性欲に磨きがかかったことだろうか。
 いつだったか、結婚なんて合法的にヤれる正統な手段のひとつじゃないか、と宣ったがあれは本音だったらしい。
 そして、彩葉を誰かにとられるのでは、という心配が根底にあり、それを払しょくするために彩葉をベッドに引っ張り込んでいる。
「ちゃんと婚姻届け出したら、こんなヤりまくりの生活は終わるのかなぁ……」
 届を出して、挙式披露宴を行えば、名実ともに彩葉は辰之進の妻となるのだから、心配しなくていいはずである。
 今は、夜通し抱かれることも珍しくないため、彩葉は慢性的に寝不足、体中あちこちにロープで縛った痕やキスマークが散らばっている。
「あ、そうよ……ドレスの試着する前の日は縛るのも噛むのもやめてもらわなくちゃ!」
 情事の痕跡が残った体で試着をするのは嫌だもんね、と彩葉は呟いた。

――そのはずだったのだが。

「あ、あんっ、やぅ、うんっ……」
「彩葉、綺麗だ……」
 純白のドレスの裾が大きく捲りあげられ、壁に手を突いた彩葉は、後ろから突かれる快感に震えていた。
 朝、九条さんにたたき起こされた彩葉の目の前には、有名メーカのドレスがずらりと並んでいた。
 住良木グループを率いる若き社長の妻となる女性に相応しいドレスを選ばなくてはならないらしい。しかも、どこのメーカーも彩葉に自社製品を選んでもらいたくて必死なのだとか。
「ドレスは、お店に見に行くものだと思ってた……」
 店員さんに該当するスタッフが全くおらず、辰之進と二人きりなのが気になったが、生まれて初めてのドレスにすっかり浮かれてしまった。
 だから、辰之進が迫ってきていることに気付くのが遅れ――オモチャを使われて彩葉の体はあっさりと火が灯った。
「さて、次はどのドレスにしようか……。マーメイドもよさそうだけど、彩葉のエロいボディラインが強調されてしまうかな。おっと、試着、もう少し、頑張るんだよ」
 耳元でねっとりと囁きながら耳朶をべろりと舐め、ローターのスイッチを握っていない方の手で彩葉の胸をそっと揉んでくる。
「やっ……だ、め……」
「ビジューのついた布地の上からでも、尖ってるのがわかるよ。ほら、乳首はここでしょ? ぽつん、て」
 きゅ、といきなり摘ままれて「ひゃあ!」と大きな声が出てしまった。慌てて唇を噛む。そんな彩葉を見て辰之進は嬉しそうだ。
「あっはは、いい声だ」
「ばっ……ばかぁ……」
 彩葉は拳を握った。真っ白のドレス姿のどこに欲情したのかさっぱりわからない。ドレスを着てみたら綺麗でエロいというので、いったいどこがエロいのか教えてほしいと聞いたら、こうなったのだ。
 真っ赤になって辰之進を睨みつけるむ彩葉を、辰之進は愛おしそうに抱き寄せる。
「うー……」
「泣くな、彩葉。泣き顔も可愛いけどな」
 ちゅ、ちゅ、とキスが落ちてくる。彩葉も、それに応じる。
「どのドレスも、綺麗だよ……」
「ほん、と、に?」
「ああ、誰よりも綺麗な花嫁になること間違いなしだ……」
 俺の彩葉、と言いながら雄茎で勢いよく最奥を突かれ、彩葉は快感に耐えきれず床に崩れ落ちた。
「この……変態!」
 何とでも、と、辰之進は満足そうな笑みを浮かべる。
「結婚式当日は、抱かないように気を付けないとな……」
「当たり前でしょ!」
 それめも彩葉が激怒するであろうアレコレを思い浮かべながら、辰之進はいつまでも彩葉を見つめる。
「ああもう……先が思いやられる……」
 彩葉は頭を抱えた。
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