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:閑話・想定外のクリスマス5:
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この男からは逃げられない、と、理解しているのに彩葉の足はじりじりと後退していく。
「彩葉、ちょっと会わないうちに艶っぽくなったね」
ぎゅっと抱き寄せられて、彩葉の心臓がバクバク大暴れ。この腕に包まれると安心する。それは間違いない。
「ちょ、パパが側に……」
「大丈夫、お電話かかってきてどこかへ走って行かれた」
「ひゃー、パパのばかぁ!」
顎を上に向けられ、辰之進がキスをしてくる。触れるだけの優しいキスは、それでも彩葉を蕩かせる。
「可愛いね」
「ん……」
間近で見る辰之進の顔は今日も完璧な美しさ、着ているイタリア製のスーツもネクタイも、さまになっている。やっぱり素敵、と思いかけた瞬間、完璧な男がーー彩葉のスカートをするすると捲り上げた。
「……なんで普通のパンツなの? ……紐パンはどうしたのさ?」
心底ガッカリした声で耳元で囁かれて、彩葉の目がカッ! と見開かれた。
「何しにきたの、変態馬鹿!」
「なに、って……」
「きゃー! パンツを下ろさない!」
「もっと、触りたい……ほら、オモチャもあるよ。どれがいいかな?」
ぶううん、と振動音までする。しまって馬鹿、と、彩葉は慌てる。
「……やっぱり変態! 触らなくてよろしい!」
辰之進を床に投げ飛ばし、口は勝手におなじみの悪口雑言を並べ立てる。傍では、電話を終えて戻ってきた父の目がまんまるになっているが、彩葉の舌はクルクル回る。
「愛する彩葉に会いに来て何が悪い」
「辰之進くん、すまないね、乱暴な照れ隠しをする娘で……。さあ、こちらへどうぞ」
よっこらしょ、と、辰之進が身を起こす。
「ご無沙汰しております」
変態発言など全く感じさせない辰之進が、さわやかに微笑んでいた。
辰之進と父の商談はすんなりまとまり、彩葉との結婚の段取りへと進んでいた。
「すまないね、辰之進くん。彩葉の腰が引けてしまっていて……」
ことん、と、辰之進の前に淹れ直したコーヒーを置きながら彩葉の父が穏やかに笑う。
「……お父さん……彼女への愛だけではどうにもならないのでしょうか……私は彼女以外の伴侶は考えられないのです」
ミルクを垂らしてかき混ぜ、白と黒の渦巻きになった表面を見つめながら辰之進がつぶやく。
「彩葉は、俺がいなくても寂しくないの?」
「え?」
「俺のこと、少しは考えてくれた?」
それはもちろん、と、彩葉は頷く。
「離れてても、あなたのことを考えない日はないんだって思い知ったわ」
これが、彩葉の正直な気持ちである。離れれば離れるほど辰之進のことを思う自分に気がついてもいる。
「ところで辰之進くん、彩葉のどこが良いのかね?」
「彼女はーーいつでもはっきりと意見を述べてくれます。ダメなものはダメ、いいものはいい、と。そして自然と私と肩を並べて同じ方向を見てくれる。社長夫人としても、生涯の伴侶としても、彼女が最高のパートナーです」
がたんと立ち上がったのは、彩葉だ。
「あたしに……そんな価値ない……。辰之進は、完璧な若社長よ。非の打ち所がないわ。あたしなんかより……他に相応しい人、いるんじゃないの? なんで、あたしなの……」
俯き、彩葉が絞り出した言葉を、辰之進が即座に否定した。
「お父さん、彩葉さんを連れて帰ってもよろしいでしょうか?」
「構わないよ。辰之進くんに任せる」
「ありがとうございます」
「パパ! そ、そんな、どうするの?」
「俺の愛が信じられないみたいだから、一から丁寧に教え込むしかないだろう?」
助手席で、彩葉は悶えていた。頬は紅潮し、唇からは喘ぎがひっきりなしだ。
「や、あ、ごめん、なさい……」
「何が、ごめんなのかな?」
「わかん、ないっ……」
信号のたびに辰之進は濃厚なキスをしかけ、愛している、お前が必要だと繰り返す。そのうちに彩葉のトレーナーの裾から潜り込んだ手が胸を揉み解す。彩葉が返事に困っているとさらにクリップのようなオモチャを両胸の突起につけられて、その刺激に彩葉の意識はたちまち混濁する。
「彩葉……二度と俺から離れるなよ……お前がいない間、どれだけ寂しかったか! 俺にはお前が必要なんだ……」
次の信号では、おなじみのローターが取り出され、太ももを這って付け根へと向かう。
う、と、彩葉は呻いた。よく知っている感覚。とても恥ずかしい、けどーー気持ちいいのだ。
「足を開いて……」
「は、い……」
「いい子だ」
辰之進が与えてくれる刺激を待ってしまう。気持ちいいことをしてくれる相手だと、覚えてしまった。しかしここは車の中、まだ快楽に身を任せてはダメだと理性が頭の隅で叫ぶが、ぐぐっと押し込まれた馴染みのオモチャに、快感が背中を駆け巡る。
「あ、あ、あ……」
弾けそうになりながら、彩葉は思った。オモチャではなくーー辰之進を感じたい。辰之進の心と身体を、ちゃんと感じたい。やっぱり、辰之進にはかなわない。
辰之進がくれる刺激だから受け取れるし、辰之進だから期待する。
「オモチャでイくのかな? 淫らだね……」
オモチャを動かしながら、辰之進の指が時折、肉粒を擦る。
彩葉は、必死で腕を伸ばした。辰之進を捕まえる。
「後で……奥まで挿れて……待ってるから」
「彩葉、ちょっと会わないうちに艶っぽくなったね」
ぎゅっと抱き寄せられて、彩葉の心臓がバクバク大暴れ。この腕に包まれると安心する。それは間違いない。
「ちょ、パパが側に……」
「大丈夫、お電話かかってきてどこかへ走って行かれた」
「ひゃー、パパのばかぁ!」
顎を上に向けられ、辰之進がキスをしてくる。触れるだけの優しいキスは、それでも彩葉を蕩かせる。
「可愛いね」
「ん……」
間近で見る辰之進の顔は今日も完璧な美しさ、着ているイタリア製のスーツもネクタイも、さまになっている。やっぱり素敵、と思いかけた瞬間、完璧な男がーー彩葉のスカートをするすると捲り上げた。
「……なんで普通のパンツなの? ……紐パンはどうしたのさ?」
心底ガッカリした声で耳元で囁かれて、彩葉の目がカッ! と見開かれた。
「何しにきたの、変態馬鹿!」
「なに、って……」
「きゃー! パンツを下ろさない!」
「もっと、触りたい……ほら、オモチャもあるよ。どれがいいかな?」
ぶううん、と振動音までする。しまって馬鹿、と、彩葉は慌てる。
「……やっぱり変態! 触らなくてよろしい!」
辰之進を床に投げ飛ばし、口は勝手におなじみの悪口雑言を並べ立てる。傍では、電話を終えて戻ってきた父の目がまんまるになっているが、彩葉の舌はクルクル回る。
「愛する彩葉に会いに来て何が悪い」
「辰之進くん、すまないね、乱暴な照れ隠しをする娘で……。さあ、こちらへどうぞ」
よっこらしょ、と、辰之進が身を起こす。
「ご無沙汰しております」
変態発言など全く感じさせない辰之進が、さわやかに微笑んでいた。
辰之進と父の商談はすんなりまとまり、彩葉との結婚の段取りへと進んでいた。
「すまないね、辰之進くん。彩葉の腰が引けてしまっていて……」
ことん、と、辰之進の前に淹れ直したコーヒーを置きながら彩葉の父が穏やかに笑う。
「……お父さん……彼女への愛だけではどうにもならないのでしょうか……私は彼女以外の伴侶は考えられないのです」
ミルクを垂らしてかき混ぜ、白と黒の渦巻きになった表面を見つめながら辰之進がつぶやく。
「彩葉は、俺がいなくても寂しくないの?」
「え?」
「俺のこと、少しは考えてくれた?」
それはもちろん、と、彩葉は頷く。
「離れてても、あなたのことを考えない日はないんだって思い知ったわ」
これが、彩葉の正直な気持ちである。離れれば離れるほど辰之進のことを思う自分に気がついてもいる。
「ところで辰之進くん、彩葉のどこが良いのかね?」
「彼女はーーいつでもはっきりと意見を述べてくれます。ダメなものはダメ、いいものはいい、と。そして自然と私と肩を並べて同じ方向を見てくれる。社長夫人としても、生涯の伴侶としても、彼女が最高のパートナーです」
がたんと立ち上がったのは、彩葉だ。
「あたしに……そんな価値ない……。辰之進は、完璧な若社長よ。非の打ち所がないわ。あたしなんかより……他に相応しい人、いるんじゃないの? なんで、あたしなの……」
俯き、彩葉が絞り出した言葉を、辰之進が即座に否定した。
「お父さん、彩葉さんを連れて帰ってもよろしいでしょうか?」
「構わないよ。辰之進くんに任せる」
「ありがとうございます」
「パパ! そ、そんな、どうするの?」
「俺の愛が信じられないみたいだから、一から丁寧に教え込むしかないだろう?」
助手席で、彩葉は悶えていた。頬は紅潮し、唇からは喘ぎがひっきりなしだ。
「や、あ、ごめん、なさい……」
「何が、ごめんなのかな?」
「わかん、ないっ……」
信号のたびに辰之進は濃厚なキスをしかけ、愛している、お前が必要だと繰り返す。そのうちに彩葉のトレーナーの裾から潜り込んだ手が胸を揉み解す。彩葉が返事に困っているとさらにクリップのようなオモチャを両胸の突起につけられて、その刺激に彩葉の意識はたちまち混濁する。
「彩葉……二度と俺から離れるなよ……お前がいない間、どれだけ寂しかったか! 俺にはお前が必要なんだ……」
次の信号では、おなじみのローターが取り出され、太ももを這って付け根へと向かう。
う、と、彩葉は呻いた。よく知っている感覚。とても恥ずかしい、けどーー気持ちいいのだ。
「足を開いて……」
「は、い……」
「いい子だ」
辰之進が与えてくれる刺激を待ってしまう。気持ちいいことをしてくれる相手だと、覚えてしまった。しかしここは車の中、まだ快楽に身を任せてはダメだと理性が頭の隅で叫ぶが、ぐぐっと押し込まれた馴染みのオモチャに、快感が背中を駆け巡る。
「あ、あ、あ……」
弾けそうになりながら、彩葉は思った。オモチャではなくーー辰之進を感じたい。辰之進の心と身体を、ちゃんと感じたい。やっぱり、辰之進にはかなわない。
辰之進がくれる刺激だから受け取れるし、辰之進だから期待する。
「オモチャでイくのかな? 淫らだね……」
オモチャを動かしながら、辰之進の指が時折、肉粒を擦る。
彩葉は、必死で腕を伸ばした。辰之進を捕まえる。
「後で……奥まで挿れて……待ってるから」
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