転生したら、周辺環境がクソだったので、人形と共に改革していく 〜せっかく転生したのならゆっくりのんびり生きたい〜

甘夏かん

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18. 魔道車の中で

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ゴトゴトと揺れる音が聞こえる。どうやら戻ってきたようだった。降りる駅に着いたらクロエが起こしてくれると思うので、
(もう一眠りするか…)と思っていると、
「や、やめなよルイトくん。こんなに気持ちよさそうに寝てるんだよ?そんなことしちゃダメだって。」
「大丈夫だって、絶対面白いからさ、クロエも手伝えって。」
と何やらヒソヒソと会話が聞こえる。
(まあ大方、ルイトがバカやらかそうとしてそれをクロエが止めてるんだろうなぁ…)
なんて思いながら意識を微睡の中に引き摺り込もうとしていると、
「でもダメだってぇ~、洗濯バサミで鼻と耳を摘むなんてことしちゃダメだよぉ…」
とオロオロしたような声でルイトに静止をかけていた…ほぅ、洗濯バサミか…って洗濯バサミ⁉︎これからやられるであろうルイトの所業の内容を聞き、僕の意識は急浮上し、微睡なんてものは綿菓子を水に突っ込んだようにスッっと消えた。
そしてうっすらと目を開けると、
「いいからそこで見とけって…よしっ記録開始っと。じゃあ行くぞ…10…9…8…」
と洗濯バサミを片手に、後ろを向き、秒読みをしているルイトの姿があった。
(コイツ…なぐ飛ばしてやろうか…?)と考え目を開けると、クロエと目があった。
「あ…」
とクロエが呟く。慌てて口元に人差し指を当てて、黙ってほしいという意思を伝えると音が立たないように静かにゆっくりと立ち、ルイトが振り向いた瞬間に目の前にいる場所に立つ。
ちらっとクロエの方に目線を向けると、これから起きることを全て察したのか、スマホを片手に口元を抑え(笑いを堪えているのだろう)ていた。ちなみに、この世界のスマホはとても便利かつ安価で、電話はもちろん、カメラで写真やビデオを撮ったり、草花や、動物程度なら鑑定機能がある。また、ほぼL○NEのようなメッセージ送信機能があったり、分布の図鑑などいろんな便利機能が盛りだくさん積まれているにも関わらず、量産しやすく、丈夫なため、大体の子供は、学園に入学する時点で親から買い与えられる。
「さ~ん…に~い…い~ち、ぜ~ろっ!」
その間にも律儀にカウントダウンをしていたルイトがと後ろを勢いよく振り向き…
「えっ、ナ…ナギ…エ…?」
顔から笑顔が消え、顔が真っ青を通り越して真っ白になった。ポトリ…と手から洗濯バサミが落ちる。僕はにっこりと笑いながら(この時に後ろで般若のお面が見えた byクロエ談)それを拾い、
「ねぇ、ルイくん。これなんに使うはずだったの?なんであそこにルイくんのスマホがあるの?」
と問うと、ルイトは
「いや…あの…その…え、えと…」
としどろもどろに目線を逸らした。さて、どうやってこいつをしめる大義名分を得ようかと考えていると、
「嬢ちゃん、そいつはな、その洗濯バサミを寝ている嬢ちゃんの鼻につけようとしてたらしいぜ?」
と魔道車に乗っていた乗客の1人が教えてくれえた。
「そうなんですか。ありがとうございます。」
とペコリとお辞儀をすると改めてルイトに向き直ると、
「ねぇ、今の本当?」
と尋ねると、
「本当だよ~」
と周りの乗客の方々や、クロエからの言証がくる。うん、周りの人たち完全に楽しんでるな。
とルイトに目を向けると冷や汗ダラダラ流して小刻みにガタガタと震えていた。まぁ、かといって容赦をする気はないけどね。
「ねぇルイトくん。」
とできるだけ穏やかな声をかけて肩に手を置くと肩がビクゥとなり、
「はっ、はい…なんでしょう…」
ギギギッという効果音が聞こえてきそうな動きでルイトがこちらに顔を向ける。
「あのね、女の子にこんなことしていいと思っているの?」
ときくが、
「………。」
と黙り込む
「だまんなやぁ~!」
「い、痛ダダダダダダ!?」
気づけば僕はルイトにアイアンクローをかけていた。メキメキとルイトの頭蓋が軋む音がする。
「あ、謝る、謝るから一旦手を離してくださいお願いします!」
というので手を離すと、
「お、おかしい…おかしいって、なんで5センチ近く身長差があるのに俺の体が浮くんだよ?」
というルイトに
「あ゛ぁ!?」
と睨むと、
「す、すみませんでした…ちょっといい悪戯を思いついたらちょうどナギエが寝ていたから実験しようとし…い、痛゛だだだっ、ちょ、まっ、ナギエさん、そこの関節はそっちには曲がらなっ!」
こいつ今までバカだバカだと思っていたがここまでとは思わなかった。まさか地雷に自ら近づいていって思いっきし踏み抜くとは…まぁいいや…ここまできたからには徹底的にやっとくか…
「す、すみませんでした!きちんと謝るから、は、離して…ってまって今関節からエグい音したってまってほんまに、ほんまに逝ってまう、ほんまに右肘が逝くからやめて~!」
と魔道車の床をバンバンと叩く。流石に必死な顔のルイトを見てやばいと思ったクロエに止められた。
「うぅ~ひどいや…ちょっと悪戯しようと思っただけなのに…」
とルイトが呟く。
「うっさい!お前が調子乗ったのが悪い!」
と言うと周りの人たちがうんうんと頷いていた。
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