上 下
89 / 92

89. 新たな敵

しおりを挟む
「くぁ…ね、眠い…」
と僕はベッドから起きる。クーデターからはや一ヶ月この国は大きく変わった。国王はステラの従兄弟のシュクールさんになり、ステラのお父さんも領主に返り咲くことが出来た。それにこの世界だと時計ぐらいの役目しかなかったスマホがシュクールさんとその部下の研究によって元いた世界と同じレベルに便利になった。アラームが使えるよになったし、いろいろな機能が追加された。僕は制服に着替えると大きく伸びをする。
「う~ん…便利な世の中になったなぁ…」
としみじみと感じる。ベッドの隣の机に置いた魔道書を開くと僕は朝のルーティーンを始める。魔法は使えば使うほど練度が上がる。練度が上がると消費される魔法力が減ったり、威力があがるので、僕は毎朝よく使う魔法たちを使って練度をあげている。しばらく魔法で遊んでいると、扉がノックされ、
「お~い、ミナト起きてるか~?」
とルイトの声が聞こえる。扉を開けると
「朝飯食いに行こうぜ!」
とルイトが言う。
「おっけ、いこっか。あ、ナギエとクロエとステラはもう連絡入れてるのか?」
「ああ、ナギエにショートメッセージ送っておいたから大丈夫。」
「ならいいか、ルプスと合流して食堂行くぞ。」
と僕ら2人は歩き出した。

・食堂
「なんか最近食堂にくる生徒の人数減ってきてないか?」
とルプスが言った。
「言われてみれば…ステラ、何か知らないか?」
とルイトが聞く。
「ああ、最近異常気象とか生態系が異常を起こしているの。その影響で一旦休学して自分の家に一旦帰っている生徒がここ最近増えてきているのよ。」
「全国的な異常ってことか。嫌なことの前兆じゃないといいんだけどな。」
「私は時空間魔法使っていつでも行き来できるからこうやって来れるけど、アリア領もアリア領で大変だよ?なんかここ数週間の間にポンポン新しいダンジョンが見つかったり生えてきたりして冒険者で溢れているみたい。」
とリゾットを突きながらナギエが言う。
「スタンピードが来たら詰むな。」
「それはお父さんも思っているみたい。でもスタンピードのボスは基本災害級のモンスターだろうし、昔の私みたいに単独撃破できるような人材もいないから…」
「大変だな…」
と言って僕は汁物をズズっと啜る。
「このままじゃ勉強どころじゃなくなる可能性が高くなりそうね。」
なんて6人で話していると、
「ああ、いたいた。探したわ。ステラさんにナギエさん、クロエさん、ルイト君、ルプス君にミナト君。伝えないといけないことがあるけど、ここでもいいかしら?」
と僕らの魔法学の先生であるアリス先生が話しかけてきた。
「いいですよアリス先生、なんですか?」
とクロエが聞く。するとアリス先生は、
「これから半年間、この学校を閉鎖することになったの。理由は追って連絡するわ。ご飯を食べ終わったらでいいから寮に戻っている荷物をまとめて教室に集まってほしいの。」
と言ってきた。
しおりを挟む

処理中です...