おいでませ!?DIVERPG世界でセカンドライフの時間だよ!

祁季みのる

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■第2楽章:2つの異なる道標

EPISODE 19:残り香のように

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 トネリコがサツキの部屋を出て少し歩いてすぐに、レーヴェはフラスコから勝手に出てくるとレーヴェは何処となく匂いを嗅いでいる。


「どうしたの、レーヴェ?」

「なんか、臭うんだよなー……獣臭いってのもあるけど、なんか“魔物化”したかのような凄く臭いのがする」

「ん?でも、獣って言ってもサツキちゃんぐらいじゃない?彼女は、“兎人族”だし」

「……まぁ、確かに兎の匂いはするんだけど混ざっているんだよ」

「混ざっている?……ねぇ、それって“あの時”と同じじゃない?“あの時”メンバーの1人が、“人狼族”だった」

「!?、まさか“あの時”と同じっ」


 レーヴェは何かを感じてトネリコを引き寄せて、黒色の何かで大きなハンマーを大きな口でキャッチして勢いよく振り回して窓を突き破り、大きなハンマーごとサツキを外へと投げ捨てる。


「同じ、“あの時”とっ……」

「シュレイドと同じように、“魔物化”が施されているだとっ……クソがっ」

「そうなると、“世界統一政府機関”の中に“アイツ”との繋がりを持つプレイヤーがいる?」


 レーヴェは突き破った窓から飛び降りては、2本のダガーを出し身構えながらもサツキの様子を見ながら歩み寄る。


「“自我”あるのか?」

「っ、ぅ……」

「あるみたいだな?」

「うぅ……、は、い、ある、っす……まだ、っ」

「なら、いくつか聞きたいことがある」

「はいっ…」

「誰に“やられた”?」


 レーヴェはサツキが“まだ”自分としての“自我”がある事に気付いて、いくつか優先的な質問をしていく事を決めた。

 もしも、“世界統一政府機関”の残っているメンバーの中で“繋がりがある”ならば手掛かりの一つとして手に入れたい。


「“最高機関議長”、っす……」

「!?、クーロンか」

「はい、あの人が、“第四機関議長”に、命じて、数名、囚われ、何かを、施された、っす」

「……」


 レーヴェは何とも言えない表情でトネリコを見れば、レーヴェの後ろまで歩いて来ていたトネリコは驚いた表情をせずに何処となく納得したかのような表情をしていた。


「確かに、……あの人なら“繋がる”でしょうね。悪質なストーカーでプレイヤーキルを楽しむ人だし……それでも、プレイヤーキルをするのは当時は理由があった」

「多分だけど、“アイツ”の策略に呑まれて何かの“影響”を強く受けた可能性はあるだろうな」

「だろうね」

「それで、他の施されたヤツらは何処に?」

「それは、此処に向かっている、可能性と……とある孤島に、向かわ、されたっす……っう」


 サツキが地面に座り込み頭を抱えていると、赤黒い霧のようなモノが地面が湧き出てくると赤黒い多重術式が展開していく。


「シュレイドさんと同じっ」


 “最後のダンジョンへと出向いたトネリコ一行は、トネリコを含めた5人のメンバーという少数精鋭だった。”

 “流石、最後のダンジョンと呼ばれているだけあり何処となく神秘的な赤黒い水晶の群生と共に白と黒の神殿のような宮殿のような場所だ。”

 “黒寄りの灰色の髪色をしたウルフカットで頭には黒色の狼の耳があり、切れ長なツリ目をした朱色の瞳色をした背の高い男性が立ち止まり周りを嗅いでいる。”


【シュレイドさん?何か見つけました?】

【トネリコ、俺様の気の所為かなんて分からない。だが、さっきとは違う気配と違う匂いが微かにするんだ】

【匂い、ですか?】

【シュレイド、何かに気づいたのか?】

【レーヴェ。一応、警戒はしておいてくれないか?なんか、可笑しいんだ】


 “シュレイドの隣へと金色の髪色をした背中ぐらいのロングストレートで頭には帽子を被っており、少しツリ目をした緑色の瞳色をした背の高いエルフの女性が立っては周りを見渡す。”


【匂いに関しては分からないけど、この“マナ”の流れは何だか危険な流れがするわ。なんだか、此処へと集まってきているような……そんな感じだわ】

【っ!?、あぶねぇリーシェ!!?】


 “シュレイドは何かに気付いてリーシェを突き飛ばすと、シュレイドに赤黒い霧が纏わりつくだけではなくシュレイドの身体を貫いて中へと侵入し、侵食するようなモノがシュレイドの身体に浮き出ていた。”


【シュレイドさん!?】

【シュレイドっ!!】


 アレがシュレイドを侵食して“フラグメント”を書き換えただけではなく、“魔物という本能”を高めて暴走させたんだ。
 シュレイドの暴走によって、自分達の目の前でシュレイドの手によってリーシェは殺された。


 サツキの身体へと赤黒い何かは貫き中へと侵入し侵食させて、サツキを“魔物化”させていくとサツキの身体は細身だったサツキとは思えない姿へと変貌していく。


「まるっきし、同じじゃねぇーか!」


 レーヴェは黒い何かを纏い真っ黒な人狼の姿へと変わり、凄い速さで向かってきた魔物化したサツキの大きなハンマーを素手で掴み握り砕いて壊す。


「レーヴェっ」

「俺は、大丈夫だ」

「……援護は、任せて」

「大丈夫か?」

「うん、やらないといけないから。シュレイドさんの時は、動揺してしまったからリーシェさんも犠牲にしてしまった……だから、迷わない躊躇はしないっ!」

「なら、援護は任せたぜ?“相棒”」

「うんっ!」


 レーヴェがサツキと殴り合いをしているのに合わせてトネリコは、レーヴェの身体能力や攻撃力を大幅に上昇させながらもサツキの動きを鈍くさせるデバフを付与する。


「サツキちゃん、今解放してあげるから」

「グルルルルっ」


 レーヴェは鋭い爪の強い一撃でサツキの胸を貫くと、サツキは大量に吐血しては光の粒子へと変換されて天へと昇っていく。


「ありが、と、う、っす……。頭領、ごめん、なさ、い……あちし、ねる、っす……」


 サツキが涙を流しながらも満面な笑みを浮かべては、完全に光の粒子となり消え去るとトネリコはサツキが居た所を見つめていた。

 “あの時”、シュレイドは大きな大穴へと落ちてしまった。もしかしたら、シュレイドは生きているかもしれない。


「レーヴェ」

「あぁ、アイツ。シュレイドなら、生きている可能性があるだろうな」

「あの時、光の粒子は見えなかった。サツキちゃんのように、亡くなった時に光の粒子となるならば………シュレイドさんは、“生きている”という事になる」

「シュレイドのスキルの事を考えたら、余計に可能性は高いだろうから」

「……………レーヴェ。皆に、話そう」

「話すのか?“5年前”、何があったのか」

「うん。もう、話さないといけない時が来たんだと思う。クーロンの後ろ盾は、確実に“アイツ”だというのは確定したから」


 トネリコは杖を強く握っては少しだけ震えていたが、そんなトネリコをレーヴェはトネリコの後ろから優しく抱きしめてはトネリコの頭を優しく撫でる。


「まだ辛いけど、もう此処まで来たなら皆に伝えて共に“アイツ”と戦うのかを聞かないといけないから……。それが、例え責められようともアタシは伝えないといけない」

「リコ……」


 トネリコはレーヴェの手を優しく自分の手で包んでは、何処となく寂しくも何処となく悲しくも感じるようでトネリコが本当に消えてしまうんじゃないかと、レーヴェは悲痛な表情をしてはトネリコを少し強く抱きしめる。


「もしも、そうなったとしても俺はリコと共に居るからな」

「レーヴェ」

「俺は、リコが大好きだからさ。リコが1人になろうとしても、俺は常にリコと共に居る」

「相変わらず、キミは…………バカ、だね」

「おう、バカで結構!それほど、俺は本気でリコの事を愛している」

「ふふっ、もう何回目?“ゲーム”でも、今でも……どんだけ、バカなの?キミは……」


 レーヴェとトネリコは互いを見ては笑みを浮かべていると、魔導空艇が見えてきてトネリコは強い眼差しで見つめていた。

 これから、クロム達に話をするのは“5年前の事件”についてとは別に“内緒にしていた話”をする。


「皆の出迎え、行かないとね」

「そうだなー、アイツらも大変だったかもしれないしな?」

「お茶会を開きながら、あの時の話をするよ」


 この世界の在り方が何故出来たのか。

 どうして、“トネリコ以外が全滅した”のか。


 トネリコとレーヴェは地面に降り立った魔導空挺へと近寄れば、慌てた表情をしたオズワルドとヴェイグを見てはトネリコは軽く首を傾げる。


「トネリコっ、大丈夫だった!?」

「リコちゃん、何も起きていないか!?」

「うん、ちょっとした事はあったけどレーヴェが処理してくれたよ」

「流石、レーヴェの旦那だな」

「おう、当たり前だろ?」

「トネリコは、怪我とかはっ」

「していないよ、オズくん。それと、皆に話をしたい事があるの」

「話、ですか?」

「皆に、“5年前の事件”と“アタシという存在”について話をしておきたくて」

「「!?!?」」

「会議室で、話をするね?先に、待ってる」


 トネリコは優しく笑みを浮かべてから、レーヴェと共にギルド拠点の会議室へと歩みを進めて立ち去る。

 その2人の背中をオズワルドとヴェイグは見つめては、何処となく分かっていたかのような表情をしていた。
 ただ、疑問なのは“5年前の事件”以外にも“トネリコという存在”についての話だった。


「二人とも、速いですって……!」

「クロムさん」

「ヴェイさん、どうかしたんです?」

「リコちゃんが、大事な話をしたいってよ」

「大事な話を?」

「……“5年前の事件”について」

「!?、わかった」

「会議室で話をするって言うから、ロイドやフェイトの二人にも声を掛けておかないとな」

「なら、俺がしてきます」


 オズワルドは魔導空挺へと走って入り口で談笑していた、フェイトとロイドに話をすれば二人とも驚いた表情をしたが直ぐに真剣な表情で頷いていた。


「じゃあ、皆で会議室に行こうか」

「………おう」


 クロム達はギルド拠点の会議室へと向かい中へと入ると、トネリコは部屋の中央に椅子を置いて座っていてレーヴェはトネリコの隣に立ってクロム達を待っていた。


「皆、席に座って話を聞いて欲しいの。“5年前の事件”と“トネリコという存在”について、全てを皆に話をしたい」







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