おいでませ!?DIVERPG世界でセカンドライフの時間だよ!

祁季みのる

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■第2楽章:2つの異なる道標

EPISODE 24:ジャックVSクーロン

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 トネリコ達は“旧ホノルル”の上空付近へと到着すると、本来“旧ホノルル”には何も残っていなかった筈なのに凄い変貌に驚くと共に“異質”を感じていた。

 明らかに、存在してはいけないモノが其処で誕生するために其処に存在している。


「あれが、アイツの根城ってわけか」

「レーヴェ」

「とうとう、此処まで来たんだな」

「うん、そうだね」


 魔導空挺が水晶の大樹の上に降り立つとトネリコ達は外へと出て、中心にある城のようなモノを見上げていた。

 明らかな“異質”なんだと理解するのには、そんなに時間は必要ではなかった。
 存在自体が“異質”だからこそ、それへの理解は早かったのだ。


「さて、僕等は此処で待っていますので!それに、周辺の魔物も集まって来ているようだからね!」

「俺達の事は心配しないで、全力で戦ってきてください!」

「おう、ちゃんと移動手段ってのは守って待っておくって!」

「クロムさん、フェイトくん、ロイドさん」

「皆が戻って来る場所は、僕等の家なんですからね!だから、トネリコちゃん!僕等は、舞っているよ」

「ありがとう、クロムさん」


 クロム達3人は魔導空挺を護るために此処に残り、集まってくる魔物を蹴散らすために準備を始める。

 トネリコ達は根城である城のような建物へと入っていくと、その中は“最後のダンジョン”と同じように鼓動のような音が聴こえてくる。


「あの時と同じ、だな」

「そうだね。最後のダンジョンも、鼓動のような音が常にしていたから」

「不気味だな、鼓動のような音とかって」

「ふむ……?」

「待ってください、皆さん」

「オズくん?」


 オズワルドが皆の足の歩みを止めるとジャックは周りを見渡しては、左側にある廊下を見つめていた。


「リコ」

「うん、分かるよ。コレは、“魔物化”したシュレイドさんだ」


 ジャックが見つめていた左側にある廊下から、“魔物化”していたシュレイドで背中には剣や槍が刺さっている姿を露わにした。


「やっぱり、生きていたんだね。シュレイドさんは、スキルの関係で生存する可能性があったから……それに、光の粒子を見ることは無かったし」

「トネリコ達は、先に奥に向かってください。此処は、俺が相手をします。“ファースト”なら、シュレイドさんには負けませんから」

「オズくん」

「大丈夫ですよ、必ず追いつきます」

「うん、信じてる」

「はい」


 トネリコ達が奥へと走っていくのを見てからオズワルドは、刀剣を取り出しては“魔物化”したシュレイドを見つめる。

 かつて、憧れていた人達の一人と向かい合って対峙している。
 それが、こんな形で果たせるとは思わなかったオズワルドは複雑な気持ちで感じていた。


「なんとも言えないってのは、こういう事を言うのかも。いつかは、シュレイドさんと一騎打ちをしてみたいと思っていたんですけどね……。こんな形で、それが出来るなんて複雑な気持ちですよ」

「う、あ、っ」

「ですが、トネリコ達の道を邪魔をするならば話は別です。当時ならば、アナタには勝てませんでしょうけど。スパルタな師匠から、様々な事を学びましたから負けるつもりはないです」


 オズワルドは不敵な笑みを浮かべては刀剣を構えて、シュレイドが走って来るのを見てオズワルドは身を低くして見えない動きをしてはシュレイドの背後へと着地して、シュレイドの首へ一閃の一太刀を与える。


「長い間、お疲れ様でした。シュレイドさん」


 シュレイドの首が切り落とされシュレイドの身体が床に倒れ込むと、シュレイドの身体は無数の光の粒子となり天井へと消えていく。


【ありがとな、オズの坊主】

「!、いいえ、これも1つの救済なモノでしょうから。それに、それはトネリコが望んでいますから」

【そうか、本当に、ありがとな。トネリコに、伝えてくれ。一緒に旅をしたり、一緒にイベントを楽しめて良かったぜ、ってな】

「わかりました。ちゃんと、トネリコに伝えておきます」


 オズワルドは無数の光の粒子を見上げてから軽く頭を下げて、周りを見てから軽く息を吐いてから頭を掻いては少しだけイラついていた。


「早めに向かいたいのに、な」


 オズワルドがボヤくと同時に無数の魔物が行く手と後手を塞ぎ、明らかにヨシュアの時のような事を起こさせようとしているのが明確過ぎてオズワルドは軽く笑ってから刀剣を構える。


「数があろうとも、俺の道を塞げるとは思うなよ。俺は俺の道に、彼女がいるならば止まるつもりはない」


 オズワルドが無数の魔物と戦闘を開始している頃、奥へと向かったトネリコ達は大きな広間のような場所へと出ると螺旋階段の入り口にの段に座っているクーロンを見つける。


「やぁ、逢いたかったでぇ?トネリコ」

「やっぱり、直前に出てきたみたいだね。クーロン」

「んふふっ、そりゃあーね?邪魔をされたら、困るのは確かだけど……。トネリコ以外は、要らへんのや。場違いなヤツらは、排除せなアカンやろ?だから、ワテが此処に居るんや」

「残念だけど、アタシ達がアンタの相手をするわけじゃないの。レーヴェでもヴェイグさんでもない。“現住民”でもあるジャックさんが、アンタの相手をする」

「へぇ?“現住民”が?あははっ!!“現住民”が、最上位ランクのプレイヤーに勝てるわけがないやろ!!」

「それは、どうだろうな」


 クーロンが嘲笑っているとトネリコ達の前にジャックは立つと、その手には大きな機械の斧と刀剣が握られていた。


「さぁ、君達は最後の場所へと向かえ。僕ならば、大丈夫だ。何よりも、フィロからの“お守り”もある。たった1人の“外界の人間”に、僕は倒されたりはしない。だから、安心して自分達がすべき事を成し遂げて来い」

「ありがとうございます、ジャックさん」

「礼は要らん。それに、1個人として世界統一政府機関に対しては怒りを感じていた。さっさと、行け」


 ジャックが刀剣を床に強めに刺し込むと周りは“溶けない氷”が展開し、ジャックとクーロンの戦いに邪魔が入らないようにする。


「!?」

「さて、始めようか。まだ、相手がリーオじゃなくて良かったな?お前は、一度だけフィロに救われたというのに調査隊などを出したのだ。リーオは、本来ならばお前を惨たらしく殺したいとボヤいていたからな」

「あぁ、そういえば……そんな事があったやなぁ、すっかり忘れておったわ」

「お前は、恩を忘れて平穏を乱した。それだけは、赦すつもりはない」

「あははははっ!!!なら、アンタを殺してから“その娘”を向かえに行って散々と犯して遊んでやるわ!!」


 クーロンは無数の赤色の蝶を出してジャックへと放ち大きな爆発を起こし、周りが見えないがジャックの小さな声“20%、耐性強化”という声だけが微かに聴こえていた。

 砂埃が消えていくと負傷をしているジャックは、大きな機械の斧を持ちクーロンの目の前に居たがクーロンは鉄扇子で軽々と防いでは赤色の蝶の群れでジャックを押し流し大爆発を起こす。


「何や、威勢だけがエエのかぁ?そんなんで、好きな女なんぞ護れへんでぇ?」

「………50%」

「なんやなんや、さっきから何の%や?ったか、飽きてきたわぁアンタの相手」

「知りたいならば、何度でも攻撃してみるといい。それは、お前の終わりを告げる“カウントダウン”に過ぎないからな」

「っ!、癇に障るヤツやなぁああ!!!」


 クーロンは赤色の龍を呼び出してジャックを喰らいつかして、飲み込まさせるとマナの一定の数値まで溜めて留まらせて大きな爆発を起こし周りの氷を砕き散らす。


「………流石に、死ぬやろ」


 クーロンは不敵な笑みを浮かべては背を向けようとしたが、殺気を感じて鉄扇子で刀剣を防ぐと重傷の筈のジャックが不敵な笑みを浮かべて其処に立っていた。


「っ!?(嘘やっ、ほんまなら死んでいても可笑しい爆発やぞ!?マナを直接ぶつけられた、そんな筈はっ)」

「なんだ、俺が生きているのが可笑しいのか?なら、お前の目の前に居るのは“亡霊”かもしれないな!!」

「なんやって、そんな笑みを浮かべていられるんや!?普通ならば、もう死んでも可笑しくはないやろ!?なのに、なんでっ」

「“何故、生きているのか?”ってか?それは、直接教えてやるよ」


 ジャックが刀剣でクーロンの右腕を切り落としたのだが、クーロンは鉄扇子の刃の部分でジャックの首を切りつけたのだが“無傷”で手応えもあった筈なのに“傷1つ無い”のだ。


「なっ……!?(確かに、手応え、あったはず!?)」

「俺のスキルは一定の負傷率で、様々な効果が発動するようになっている。最初ならば、其々の耐性が強化はされる」


 ジャックが身を低くして不敵な笑みを浮かべていると、クーロンは後ろへと飛び退くのだが切り落とされた右腕が凍てついて持続ダメージがクーロンを襲っていた。


「さっきのマナを使用した爆発、あの時に最終的な効果が発動した。それと共に、フィロの“お守り”が発動し続ける。今の俺は、物理も魔法も術式もデバフも全て“無効化”し続けている謂わば“無敵状態”というわけだ」

「んな、馬鹿なスキルなんてあるわけがないっ!?」

「まぁ、それはお前ら“外界の人間”には無いだろうな。これは、“現住民”であり“彼女”と共に居るからこそある“能力”だ」

「っ!?」


 ジャックは凍てつかせた刀剣でクーロンの胸を貫けば、クーロンを段々と凍てついて氷漬けにされていくのだがクーロンは悔しそうな表情を浮かべていた。


「なん、や、その“チート”っ……」

「それが、“現住民”の特権だ。お前は、“現住民”の底力を知らないから“現住民”を馬鹿に出来る。だが、俺達からすれば“外界の人間”なんぞ“弱者”だ」

「くっ、そ、がっ…………」


 クーロンは完全に氷漬けにされた所で、ジャックは刺さっている刀剣を振り払うとクーロンは砕けて散っていく。


「約束は放たしたぞ、リーオ。お前の代わりに、排除はした。あとは、世界の命運は彼女達がするだろう。もしも、失敗した場合は……いや、それは愚問かもしれないな」


 ジャックは持っていたフィロの“お守り”を取り出しは、一気全回復させてから上の階を見上げては笑みを浮かべていた。


「上手くやれよ、男共。大切な人を護りたいならば、全力でやってみろ」







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