14 / 16
第13話 浜辺の恋人、磯場の告白
しおりを挟む
「うっみだ~!海だよ海!波が足まで来るよ~!」
「だから、海なら家の前にもあるだろ?」
「だってあそこはテトラがあるじゃん!ここ砂だよ!砂浜だよ!」
「まぁまぁ、いいじゃん。」
「またお前は…」
「かずちゃん!日焼け止めは塗った?」
「うん!起きた時に塗った!」
「早いよ…」
すると勝の隣から両手に日焼け止めを出した比奈華が上総めがけて走り出した。
「じゃあもういっかいだ、待て~!」
「テンション高けぇ。」
「じゃあ、俺たちは他の準備でもしてようか。」
「そうだな。どうせすぐ疲れて帰ってくるんだろうし。レジャーシートと…パラソルでいいか?」
「うん、ホテルで借りてきたから。」
「にしてもあの二人、昨日あんだけゲームしといてよくあのテンション保てるよな。」
「大貴って時々おじさんぽいよね。」
「あ?お前が子供すぎんじゃねぇの?高校生は大体こんなもんだ。」
「いや、高校生がみんなそうだったら暗いって。」
「人を陰気な人間見たくいうんじゃねぇ。」
「二人とも~!早く~!」
「ちょっと待って~!」
「しゃあねぇ、ちょっと準備したら行くか。」
「そうだね。」
俺たちは一通り日陰を作る作業を終えると上を脱いで飲み物を入れたボックスの下に敷いた。
「お前、ちょっと鍛えた?」
「う、うん。ちょっとだけね。あんまり細すぎると頼りないかなって。」
「そうだな。だけど、もうちょっと焼いたほうがそれっぽいぞ?」
「しょうがないじゃん。大貴と違って赤くなるから綺麗に焼けないんだよ。」
「あぁ、なるほど。」
波打ち際まで来ると上総と比奈華の姿が見えた。
「おっそ~い!」
「うっせー。お前らがさっさと行っちまうからだろ」
「まぁまぁ…」
「大貴、女の子には優しくしないとモテないぞ~。」
「知るかそんなん。」
「まぁまぁ、それよりさ。ビーチバレーしない?」
「あ~!やるやる!」
「じゃあ、チーム分けだな。」
大貴がそう言うと比奈華が割って入った。
「じゃあかずちゃんは勝くんとね?」
「うん!」
そしてなんとなく分かれてゲーム開始したものの
「うぇ~!また取られた!」
「全然ついていけない。」
「なぁ、これ体力差ありすぎなんじゃないの?」
「そうだね…ま、大丈夫っしょ。」
しかし、次第に大貴の様子が少しずつ変わってきた。
「返すよ!」
「あ、俺が!」
比奈華と大貴が同時にボールに向かって手を伸ばした。すると、打った後の体勢がちょうど比奈華の後ろに大貴が入ってしまっていた。」
「あ…ご、ごめん。」
「お、おう…俺こそ、悪ぃ。」
大貴と比奈華は少し顔を赤らめた様子だった。
「なぁ、そろそろ昼だし、休憩しようぜ。」
「そ、そうね。あたしもおなかすいちゃった。」
「焼きそば食べたい!」
「海の家行こうか。」
そして俺たちはビーチにたった一軒の海の家に入った。
「焼きそばとラーメン一つずつと…あとは?」
「俺はカツカレー。」
「あたしもそれで。」
しばらくして運ばれてきた料理は、海の家らしく素朴な味で、疲れた身体に少し塩辛い味がよくしみる。午後は少し動く気にはなれないような気がしつつ、それでもやっぱり上総に引っ張られて走り回る羽目になるのかと半ば諦めにも似たような感じがしていた。
「午後どうする?」
「私ビーチの端まで行ってみたい!」
「俺パス。動く気おきねぇ。」
「あたしもいいかな。二人で行ってきたら。」
「行こう!勝!」
「分かったからそんなに走らないでって。」
俺と上総は海の家を離れ、果てしなく続く長いビーチを散歩し始めた。
「二人とも行っちゃったね。」
「本当元気だよな。」
「ねぇ、あたしたちもちょっと散歩しない?いい場所見つけたんだ。」
「…まぁ、いいか。どうせここにいても暇なだけだし。」
比奈華は少し浮かれているような、しかし一方で緊張もしているような不思議な気持ちを抱えながら、さっき見つけた人気のない岩場を目指した。ちょうど午後なのもあって長い日が少し傾き始め、紅まではいかないが橙色程度には空が赤らんだ昼と夕方の境目に差し掛かった頃だった。
「いい景色だよね。この街。」
「そうだな。前に来た時はそうは思わなかったけど。」
「ねぇ…」
大貴は少し顔を伏せた比奈華の顔が明らかに日焼けではなく赤くなっていることが見てとれた。
「なんだ、そんな神妙な…」
「あたしじゃ、ダメかな?」
「な、なんの話だ?」
あまりに唐突に思った大貴は普段は滅多に見せない困惑した顔をした。
「あたしが、かずちゃんの代わりじゃダメ?大貴のそばにいちゃ。」
俺はそこまで言われてやっと話の意味をつかんだ。
「…そうだな。お前にあいつの代わりはできねぇな。」
明らかに比奈華が泣きそうな顔をする。
「そうだよね。無理だよね…私なんかじゃ。」
「…素直に好きって言えよ。俺は…代わりとか、いわねぇから。」
大貴も恥ずかしそうに外を向いてつぶやく。
「え…?」
「俺だって、勢いで女に惚れるほどは腐ってねぇつもりだ。」
比奈華は泣きそうな顔を上げて大貴を見つめる。長い睫毛が涙を含んで悩ましげに瞳に影を作る。その姿が思ったより美しく映った大貴の顔もまた、より赤くなっていた。
「別に、お前のこと…嫌いじゃ、ねぇから。」
すると、堰を切ったように涙をあふれ出させた比奈華が大貴に強く抱きついた。
「いいならいいって、はっきり言ってよ!ふられたかもって思って、泣きそうだったんだから!自分だって素直じゃないくせに!人にばっか偉そうなこと言って…でも、すごく優しくて…大好きだから!」
「わ、分かったから…俺も…その、好き、だからさ。代わりとかじゃなくて、お前のことが。」
「なんでそういう泣かせるようなことばっかり言うのよ!もう!女の子のことこんなに泣かせて、重罪なんだから…責任、とってよね?」
真っ赤にして涙を流した顔を少し上げて自分の胸から覗いた比奈華に、大貴は少し顔をそらせて、背中に手を回した。
「その、付き合うってことでいいのか?俺と。」
「うん、末長くお願いしますって、変かな?」
泣きながらも健気に精一杯の茶目っ気を振り絞った彼女に、大貴は自分もまた、彼女に好意を持っていたと認めざるを得なくなった。
「少し、落ち着いたか?」
「うん…ありがとう。」
大貴は先行して時々手を貸しながらビーチまで戻ってきた。
「本当はね、やっぱり無理かなって思ってたの。大貴はかずちゃんのことずっと好きだったみたいだし。」
「だからって代わりにはないだろ。俺を見損なうな。」
「やっぱり、優しいよね。」
「言うな、らしくねぇだろ?」
「ねぇ、本当に気がつかなかったの?」
「全く。」
「私結構頑張ってたのに。食べるのも大貴と一緒にしてたし、かずちゃんの様子みるって連れ出したし。」
「あ~、ショッピングモール行った日は、ちょっとドキッとした。」
「あれ結構恥ずかしいんだよ?絶対隣の席の人こっち見てたし。」
「俺だって一緒だ。」
「あ~!いた~!二人ともどこ行ってたの!?」
「ごめんごめん。ちょっと買い物。」
「そろそろ部屋戻ろうか?もう冷えてきたし。」
「そうだな、晩飯食って、その前に風呂だな。」
「そのあと卓球しよ~!」
「え!マジで…」
「頑張って相手してやれ。」
「そうね、私たちはスロットでもやってるわ。」
「昨日の続きやるか?」
「いいよ、次は負けないんだから。」
「じゃあ、罰ゲームつけるか。」
すると、比奈華は大貴のすぐそばまで行って耳打ちした
「じゃあ、負けた方から勝った方にキス。」
「本気?」
「もちろん。」
「それは罰ゲームにはならねぇな。」
「じゃっ、かずちゃん!お風呂行こ!」
大貴は少し呆然とした様子で見送っていた。
「だから、海なら家の前にもあるだろ?」
「だってあそこはテトラがあるじゃん!ここ砂だよ!砂浜だよ!」
「まぁまぁ、いいじゃん。」
「またお前は…」
「かずちゃん!日焼け止めは塗った?」
「うん!起きた時に塗った!」
「早いよ…」
すると勝の隣から両手に日焼け止めを出した比奈華が上総めがけて走り出した。
「じゃあもういっかいだ、待て~!」
「テンション高けぇ。」
「じゃあ、俺たちは他の準備でもしてようか。」
「そうだな。どうせすぐ疲れて帰ってくるんだろうし。レジャーシートと…パラソルでいいか?」
「うん、ホテルで借りてきたから。」
「にしてもあの二人、昨日あんだけゲームしといてよくあのテンション保てるよな。」
「大貴って時々おじさんぽいよね。」
「あ?お前が子供すぎんじゃねぇの?高校生は大体こんなもんだ。」
「いや、高校生がみんなそうだったら暗いって。」
「人を陰気な人間見たくいうんじゃねぇ。」
「二人とも~!早く~!」
「ちょっと待って~!」
「しゃあねぇ、ちょっと準備したら行くか。」
「そうだね。」
俺たちは一通り日陰を作る作業を終えると上を脱いで飲み物を入れたボックスの下に敷いた。
「お前、ちょっと鍛えた?」
「う、うん。ちょっとだけね。あんまり細すぎると頼りないかなって。」
「そうだな。だけど、もうちょっと焼いたほうがそれっぽいぞ?」
「しょうがないじゃん。大貴と違って赤くなるから綺麗に焼けないんだよ。」
「あぁ、なるほど。」
波打ち際まで来ると上総と比奈華の姿が見えた。
「おっそ~い!」
「うっせー。お前らがさっさと行っちまうからだろ」
「まぁまぁ…」
「大貴、女の子には優しくしないとモテないぞ~。」
「知るかそんなん。」
「まぁまぁ、それよりさ。ビーチバレーしない?」
「あ~!やるやる!」
「じゃあ、チーム分けだな。」
大貴がそう言うと比奈華が割って入った。
「じゃあかずちゃんは勝くんとね?」
「うん!」
そしてなんとなく分かれてゲーム開始したものの
「うぇ~!また取られた!」
「全然ついていけない。」
「なぁ、これ体力差ありすぎなんじゃないの?」
「そうだね…ま、大丈夫っしょ。」
しかし、次第に大貴の様子が少しずつ変わってきた。
「返すよ!」
「あ、俺が!」
比奈華と大貴が同時にボールに向かって手を伸ばした。すると、打った後の体勢がちょうど比奈華の後ろに大貴が入ってしまっていた。」
「あ…ご、ごめん。」
「お、おう…俺こそ、悪ぃ。」
大貴と比奈華は少し顔を赤らめた様子だった。
「なぁ、そろそろ昼だし、休憩しようぜ。」
「そ、そうね。あたしもおなかすいちゃった。」
「焼きそば食べたい!」
「海の家行こうか。」
そして俺たちはビーチにたった一軒の海の家に入った。
「焼きそばとラーメン一つずつと…あとは?」
「俺はカツカレー。」
「あたしもそれで。」
しばらくして運ばれてきた料理は、海の家らしく素朴な味で、疲れた身体に少し塩辛い味がよくしみる。午後は少し動く気にはなれないような気がしつつ、それでもやっぱり上総に引っ張られて走り回る羽目になるのかと半ば諦めにも似たような感じがしていた。
「午後どうする?」
「私ビーチの端まで行ってみたい!」
「俺パス。動く気おきねぇ。」
「あたしもいいかな。二人で行ってきたら。」
「行こう!勝!」
「分かったからそんなに走らないでって。」
俺と上総は海の家を離れ、果てしなく続く長いビーチを散歩し始めた。
「二人とも行っちゃったね。」
「本当元気だよな。」
「ねぇ、あたしたちもちょっと散歩しない?いい場所見つけたんだ。」
「…まぁ、いいか。どうせここにいても暇なだけだし。」
比奈華は少し浮かれているような、しかし一方で緊張もしているような不思議な気持ちを抱えながら、さっき見つけた人気のない岩場を目指した。ちょうど午後なのもあって長い日が少し傾き始め、紅まではいかないが橙色程度には空が赤らんだ昼と夕方の境目に差し掛かった頃だった。
「いい景色だよね。この街。」
「そうだな。前に来た時はそうは思わなかったけど。」
「ねぇ…」
大貴は少し顔を伏せた比奈華の顔が明らかに日焼けではなく赤くなっていることが見てとれた。
「なんだ、そんな神妙な…」
「あたしじゃ、ダメかな?」
「な、なんの話だ?」
あまりに唐突に思った大貴は普段は滅多に見せない困惑した顔をした。
「あたしが、かずちゃんの代わりじゃダメ?大貴のそばにいちゃ。」
俺はそこまで言われてやっと話の意味をつかんだ。
「…そうだな。お前にあいつの代わりはできねぇな。」
明らかに比奈華が泣きそうな顔をする。
「そうだよね。無理だよね…私なんかじゃ。」
「…素直に好きって言えよ。俺は…代わりとか、いわねぇから。」
大貴も恥ずかしそうに外を向いてつぶやく。
「え…?」
「俺だって、勢いで女に惚れるほどは腐ってねぇつもりだ。」
比奈華は泣きそうな顔を上げて大貴を見つめる。長い睫毛が涙を含んで悩ましげに瞳に影を作る。その姿が思ったより美しく映った大貴の顔もまた、より赤くなっていた。
「別に、お前のこと…嫌いじゃ、ねぇから。」
すると、堰を切ったように涙をあふれ出させた比奈華が大貴に強く抱きついた。
「いいならいいって、はっきり言ってよ!ふられたかもって思って、泣きそうだったんだから!自分だって素直じゃないくせに!人にばっか偉そうなこと言って…でも、すごく優しくて…大好きだから!」
「わ、分かったから…俺も…その、好き、だからさ。代わりとかじゃなくて、お前のことが。」
「なんでそういう泣かせるようなことばっかり言うのよ!もう!女の子のことこんなに泣かせて、重罪なんだから…責任、とってよね?」
真っ赤にして涙を流した顔を少し上げて自分の胸から覗いた比奈華に、大貴は少し顔をそらせて、背中に手を回した。
「その、付き合うってことでいいのか?俺と。」
「うん、末長くお願いしますって、変かな?」
泣きながらも健気に精一杯の茶目っ気を振り絞った彼女に、大貴は自分もまた、彼女に好意を持っていたと認めざるを得なくなった。
「少し、落ち着いたか?」
「うん…ありがとう。」
大貴は先行して時々手を貸しながらビーチまで戻ってきた。
「本当はね、やっぱり無理かなって思ってたの。大貴はかずちゃんのことずっと好きだったみたいだし。」
「だからって代わりにはないだろ。俺を見損なうな。」
「やっぱり、優しいよね。」
「言うな、らしくねぇだろ?」
「ねぇ、本当に気がつかなかったの?」
「全く。」
「私結構頑張ってたのに。食べるのも大貴と一緒にしてたし、かずちゃんの様子みるって連れ出したし。」
「あ~、ショッピングモール行った日は、ちょっとドキッとした。」
「あれ結構恥ずかしいんだよ?絶対隣の席の人こっち見てたし。」
「俺だって一緒だ。」
「あ~!いた~!二人ともどこ行ってたの!?」
「ごめんごめん。ちょっと買い物。」
「そろそろ部屋戻ろうか?もう冷えてきたし。」
「そうだな、晩飯食って、その前に風呂だな。」
「そのあと卓球しよ~!」
「え!マジで…」
「頑張って相手してやれ。」
「そうね、私たちはスロットでもやってるわ。」
「昨日の続きやるか?」
「いいよ、次は負けないんだから。」
「じゃあ、罰ゲームつけるか。」
すると、比奈華は大貴のすぐそばまで行って耳打ちした
「じゃあ、負けた方から勝った方にキス。」
「本気?」
「もちろん。」
「それは罰ゲームにはならねぇな。」
「じゃっ、かずちゃん!お風呂行こ!」
大貴は少し呆然とした様子で見送っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる