本物勇者に捨てられて次席勇者に拾われた俺

高島静貴( しずたか)

文字の大きさ
9 / 41

(09) 今度休みなんで。④

 ちゃんと告白したはずだった。
 ちゃんと告白したつもりだった。
 拒否されるかも知れない、しょうがない、多分同性から告白された事など無いかも知れないから。抵抗なら有るだろう。でも一度や二度くらい断られても諦める気は無かった。

 それがどうだ。
 それ以前の問題だった。

 ジョルジオが内心冷や汗をかく。

「あの、ケイトさん、好きは好きでも好きの種類が、その」
「?」

 鈍感なんですか、わざとなんですか、あざといですよ、その不思議顔!!

 心の叫びをぐっとこらえる。

「ジョルジオ君は優しいから友達全員に言ってそうだね、そういうの」
「いえ、それ、優しいとかいう問題じゃないです」
 ケイトが笑う。
 真剣に否定しても笑って流された!


 神よ。

 振られる以前の問題ではないですか。
 いいえ、振られたんですか私は。
 心の中で天を仰ぐ。心の中、何回すればいいのだ。不安になる。
 そういえば勇者様が言っていた。
 ――――あいつは当てにならないぞ。
 ならば神に祈っても嘆いても意味がない。
 当てにならないって何か経験があるのですか勇者様。いつか教えて下さい。


 駄目だ。多分駄目だ、今は撤退しよう。


 ジョルジオはそう判断して、取り敢えず映画鑑賞の件に話を戻す。

「ケイトさん」
「はい」
「俺と一緒に映画館行って下さい!」
 ……悩んだ割にはひねりの足りない言葉になった。ジョルジオは自分の応用の利かなさに内心がっかりした。必死なんだ余裕なんかないのだ、別の手が思い付かない今、この初めの取っ掛かりを成功させたい。なんとなく、これが駄目なら次も駄目な予感がする。たがら、ここは死守しなければならない。



 ………何だろう。"真剣!"と顔に字が見える。このしつこさは何処から来るのか分からない。
 ケイトがひくっと口元を引きつらせる。
 こんなに真剣なのを断るからには同じ量の理由がなければいけない気がしてきて、すると理由がない事を悩んでケイトが諦めて認めた。

「………………分かったよ」


 押し切ったーーーー~~~~~っ!!

 とジョルジオが心の中でガッツポーズをした事などケイトが分かるはずもなく。

「有難うケイトさん、有難うございます!俺今、すごく嬉しいです!!」
「……大袈裟だよ」
「このまま友達も辞めようっていわれたらどうしようって」
「大袈裟過ぎるよ」
「さっきすぐにドア閉められると思いました」
「そこまで!?」
 しないよ!
 
 ケイトがジョルジオからマグカップを取り返す。
「え」
「淹れ直すよ。今日は?時間まだあるの?あったらその映画の話を…」
「あります!けど、今度休みなので又ゆっくり来てもいいですか!?」
「え、いいけど…」
「せっかくなのでお茶はご馳走になってもいいですか?ケイトさんが淹れてくれる気になっているのに勿体ない」
「別にいいんだけど」
 にこにこしているジョルジオを前に、何か言うべき言葉をケイトは失う。
 そのまま何も言わずにコンロの所へ歩いて行った。

 ジョルジオがニコニコ笑う。

 あんまりゴネても大人げないもんね。
 とケイトが諦観で返事したのだが、分かってそれでもジョルジオは嬉しかった。

「今度休みなので」
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。