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(18)デートにしたかった男②
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相手役俳優は確かに美しかった。
人外の美貌とも評される事の多い彼だったが、本家にはやはり敵わない。持っている雰囲気が人間とは違うのだ。
しかし、それが原因でのクレームとは違う。
どうやら単にイメージと合わないからが理由らしかった。
それは増々、彼のプライドを粉々にした。
可哀想な話であった。
さて映画。
魔物と人間。
異種族間恋愛そして異種族婚姻。
何より魔族と勇者。
世界情勢が世界情勢ならば敵同士な関係だ。
魔王討伐が果たされていない現在も、それに当てはまる。
にも関わらずこの時期での上映は何故なのか。
これには政策も若干関わっていて、魔族は全てが敵では無い事。場合によっては人間と愛を育む事が出来る存在であるというのを知らしめ浸透させていこうというのが目的であった。
もうそろそろ、魔王討伐が果たされるのかも知れない。
「………………だそうですよケイトさん」
「………………なるほど。この本が原作なんだ。言ってくれないんだからね、あの店員さん」
「…………」
ジョルジオが溜め息を吐く。
これでは勇者が要らないと言う訳だ。本人監修の小説を元にしたのだから。
伴侶さんはどんな人なんだろう。あの小説のまんまではあるまい。気になる。
隣のケイトを見た。
「…………」
スクリーンがある舞台を眺めている。その表情からは何を考えているかは読めない。
どうしても一緒に行きたくて誘った映画。ロイヤルプレミアム席を全面的に強調して押し切った。後でどんな映画か説明したら微妙な表情をした。見ない振りをして強引に誘った。承諾させたけど耐えられなければ自分も来なくても良かった。分かっていたのに酷い事をした。心が傷まない訳では無い。けれど。
わあっ!という歓声と共に出演者が舞台壇上に登壇してきた。ダブル主演の俳優二人を筆頭に映画監督と脇を固める俳優達。あれ?脇役で重要なキャラっていたっけ?ジョルジオが頭をひねる。む、確かいない。ああ、新しく作られたキャラか、そんなこんなで難航して難産だったのか。
などと勝手に納得している側ではケイトが遠いけれど初めて見る超大物芸能人に興奮している。頬が上気している。
可愛いな~主役、ケイトさんで良いよな。
などと勝手に思い納得しているうちに一通りの挨拶を終えて再び主演の二人に撮影時のエピソードを聞いたりしていた。
主演の勇者役の俳優はポスターやパンフレットで見るような冷たい雰囲気はなく、善良な人の好さそうな青年だった。まさか自分も素はこうなんだぞ、と言わんばかりの隠れたメッセージが受け取れと自分に対して脅迫しているように感じるジョルジオである。なんて厚かましい。あ、違うかも知れない違ったら御免なさい勇者様。
一方、問題の相手役俳優である。
結局大陸宝級の美形俳優は自主降板し、選ばれたのはこれがデビューの新人俳優だった。
初々しい。容姿も対して遜色がない。素晴らしい。大型新人の誕生である。勝手な想像だが例の俳優には初々しさが足りなかったのであろう。演技しても無理だろうと言われたのと同じだ。トップであった事に傲りが態度に滲んでいたのかも知れない。
新人は美しい黒髪だった。顔立ちは例の俳優とは方向性が違い、どちらかといえば可愛いっぽい感じが強い。場馴れしてないが故のオドオドしている点が可愛い印象を強くする。
まだ10代。年齢を重ねれば可愛いは鳴りを潜め、大人の美貌で人々を魅了する俳優になっていくに違いない。
舞台挨拶が出演者達による「どうぞごゆっくり映画を楽しんで下さい」で締めくくられて終了した。笑顔で手を振りながら壇上を降りてゆく出演者に割れんばかりの拍手と歓声が飛ぶ。
内容は微妙だが、超大作級の扱いで大陸中に上映されるのだろうとジョルジオは思った。
これの制作を許して何が目的なんだろう?
一緒に観る者はいない。
何かのエラーが発生しない限りでは。
人外の美貌とも評される事の多い彼だったが、本家にはやはり敵わない。持っている雰囲気が人間とは違うのだ。
しかし、それが原因でのクレームとは違う。
どうやら単にイメージと合わないからが理由らしかった。
それは増々、彼のプライドを粉々にした。
可哀想な話であった。
さて映画。
魔物と人間。
異種族間恋愛そして異種族婚姻。
何より魔族と勇者。
世界情勢が世界情勢ならば敵同士な関係だ。
魔王討伐が果たされていない現在も、それに当てはまる。
にも関わらずこの時期での上映は何故なのか。
これには政策も若干関わっていて、魔族は全てが敵では無い事。場合によっては人間と愛を育む事が出来る存在であるというのを知らしめ浸透させていこうというのが目的であった。
もうそろそろ、魔王討伐が果たされるのかも知れない。
「………………だそうですよケイトさん」
「………………なるほど。この本が原作なんだ。言ってくれないんだからね、あの店員さん」
「…………」
ジョルジオが溜め息を吐く。
これでは勇者が要らないと言う訳だ。本人監修の小説を元にしたのだから。
伴侶さんはどんな人なんだろう。あの小説のまんまではあるまい。気になる。
隣のケイトを見た。
「…………」
スクリーンがある舞台を眺めている。その表情からは何を考えているかは読めない。
どうしても一緒に行きたくて誘った映画。ロイヤルプレミアム席を全面的に強調して押し切った。後でどんな映画か説明したら微妙な表情をした。見ない振りをして強引に誘った。承諾させたけど耐えられなければ自分も来なくても良かった。分かっていたのに酷い事をした。心が傷まない訳では無い。けれど。
わあっ!という歓声と共に出演者が舞台壇上に登壇してきた。ダブル主演の俳優二人を筆頭に映画監督と脇を固める俳優達。あれ?脇役で重要なキャラっていたっけ?ジョルジオが頭をひねる。む、確かいない。ああ、新しく作られたキャラか、そんなこんなで難航して難産だったのか。
などと勝手に納得している側ではケイトが遠いけれど初めて見る超大物芸能人に興奮している。頬が上気している。
可愛いな~主役、ケイトさんで良いよな。
などと勝手に思い納得しているうちに一通りの挨拶を終えて再び主演の二人に撮影時のエピソードを聞いたりしていた。
主演の勇者役の俳優はポスターやパンフレットで見るような冷たい雰囲気はなく、善良な人の好さそうな青年だった。まさか自分も素はこうなんだぞ、と言わんばかりの隠れたメッセージが受け取れと自分に対して脅迫しているように感じるジョルジオである。なんて厚かましい。あ、違うかも知れない違ったら御免なさい勇者様。
一方、問題の相手役俳優である。
結局大陸宝級の美形俳優は自主降板し、選ばれたのはこれがデビューの新人俳優だった。
初々しい。容姿も対して遜色がない。素晴らしい。大型新人の誕生である。勝手な想像だが例の俳優には初々しさが足りなかったのであろう。演技しても無理だろうと言われたのと同じだ。トップであった事に傲りが態度に滲んでいたのかも知れない。
新人は美しい黒髪だった。顔立ちは例の俳優とは方向性が違い、どちらかといえば可愛いっぽい感じが強い。場馴れしてないが故のオドオドしている点が可愛い印象を強くする。
まだ10代。年齢を重ねれば可愛いは鳴りを潜め、大人の美貌で人々を魅了する俳優になっていくに違いない。
舞台挨拶が出演者達による「どうぞごゆっくり映画を楽しんで下さい」で締めくくられて終了した。笑顔で手を振りながら壇上を降りてゆく出演者に割れんばかりの拍手と歓声が飛ぶ。
内容は微妙だが、超大作級の扱いで大陸中に上映されるのだろうとジョルジオは思った。
これの制作を許して何が目的なんだろう?
一緒に観る者はいない。
何かのエラーが発生しない限りでは。
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