31 / 214
第二章 冒険者稼業の始まり
#07 パーティー結成
しおりを挟む4人で受付カウンターまで来て、ラナさんの窓口の所に並んだ…余計なやつがいなくなったからか、もうラナさんの窓口にも普通に冒険者が並んでたからな。
むしろラナさんの窓口が一番並んでる感じだった、流石はラナさん、人気者ですね。
人がいた割には意外と早く順番が来た、仕事の手腕も流石ってことだろうか、いや、これホントいい人が専属になってくれたんだなぁ…。
「次の方、ご用件を…って、あれ?ナオトさん……と、アーネ、マール、シータ…どうしたの?」
「えっとな、ラナ……ナオトはんがな、ウチらのパーティーに入ってくれることになって…な。パーティー申請しに来たんや」
「ええっ!?ほ、本当ですかっ、ナオトさん!」
「あー、うん、本当。だから、手続きよろしく…ラナ」
もう何か朝の一件とかさっきのやり取りでいろいろと吹っ切れた感があるから…ラナさん…ラナも姫達と同い年って言ってたし、堅っ苦しいのは止めることにした。
それに、何となく仲間外れにされてるみたいって思われるのもイヤだなって…。
「え、あっ…は、はいっ!分かりました…っ!」
うん、何となく喜んでくれてるように見える…から、いいよな、これで。
「あ、そうだ、ラナ。さっきガズさんに会って…心配してたっぽいけど、とりあえず解決したからって礼まで言われてさ…ラナによろしくって」
「そうですか、ガズおじさんが…また心配かけちゃったんですね、わたし……」
「いや、あれは仕方無いだろ、ラナのせいじゃないんだし。さっきので落ち着いてくれればいいんだけどな…まぁ、またあんなことになってたら俺がいくよ」
騒ぎをデカくした張本人だしな…無傷とはいえ勝負的には俺の負けにしちゃったから、懲りずにまたラナさんのとこに来るかもしれないし…責任持ってこれから対処しないと。
「…ナオトさん……あ、ありがとうございます……」
「いや、礼言われるような事じゃないから気にしなくてもいいよ。んじゃ、手続きよろしくな」
「は、はいっ、ではこちらのパーティー申請に記載を…って、そうでしたよね、ナオトさん漂流者ですもんね。うん、わたしが代筆しますから、記入要項に答えてもらっていいですか?」
「あぁ、よろしく。ごめんな…まだ字書けなくて……」
「いえいえっ、大丈夫ですよ!これくらいなんて事ありませんから、気にしないでくださいっ」
「ラナ、あれやったらウチが書いてもええよ」
「あ、ううん、大丈夫。これも受付嬢の仕事だし、任せてよっ」
「ラーちゃん~、もうすっかりぃ受付嬢がぁ~板にぃ付いてきたねぇ~」
「えへへ…そうかな?」
「いや、ホントだって…ちっと前には大盾持って前衛張ってたとか思えねぇって」
……んん?大盾?前衛?ってことは…もう一人居たってのはラナだったのか……でも、それなら何で受付嬢出来てるんだ…?国に帰らなきゃって……。
「もしかして…元々いた前衛って、ラナだったの?」
「そうやで。ラナも犬人族の領主の娘やから、四獣姫だったってわけや」
「え、でも、それなら冒険者止めたら国に帰らなきゃダメなんじゃないのか?」
「あー、いや、ラナはな、元々受付嬢になる為に出てきたんだ。そこをアタイらが無理矢理パーティーに引っ張り込んで、前衛やってもらってたんだよ」
「結構~いい感じでぇ~パーティー組めてたんだよぉねぇ~」
「そら、全員獣人やったし、勝手知ったるってやつやったからなぁ…。ホンマに楽やったわ」
「みんな強引で断れなくって…でもランクがハイシルバーになるまでって約束でパーティー組んでたんですよ」
なるほど、そういう事だったのか…まぁ、ラナは人良さそうだし、皆を放っておけなかったってのもあるんだろうな。
しかし、ラナが大盾…似合わなさ過ぎてどんな戦闘になってたのか想像つきにくいな…。
体格的には確かに3人よりラナの方が前衛出来そうな感じがしなくもないけど…まぁそれでもマールよりは細いかな。
いや別にマールが太ってるって言ってるわけじゃないんだからな、断じて、決して。
「っと、昔話は置いといて、仕事しますね。名前と職種…それから加入先パーティーはこちらで書けますから、他の要項…編成タイプはどうしますか?」
「前衛でお願いするよ。それ、申請以外の編成しちゃダメなのか?」
「いえ、目安ですから大丈夫ですよ。パーティー申請時の確認事項みたいなものです。バランスが悪いと申請が通らない事もあるので」
なるほどね、前衛だらけとか、後衛オンリーなんてギルド的には推奨出来ないもんな…まぁ、それでもやりたいんだったら自己責任でってことか。
そういう意味だと姫達は俺が入ることでバランス的には良くなるはずだから、すんなり申請も通るはず…だよな?
「なるほど、そういうことね。じゃあ俺は大丈夫…かな?」
「はい、問題無いと思いますよ。あ、でも…組んだ後は問題あるんじゃないかなぁって……」
「おいおいラナ、そりゃどういうこったよっ」
「大丈夫だよラナ、そこは俺も分かってるから」
「ナオちゃんまでぇ~……」
「…でも、まぁ、二人の言う通りやな……さっきやらかしてもうたばっかりやし………」
シータはまだ引き摺ってるっぽいな…ま、そりゃあんなになったんだからそう簡単に吹っ切れるわけも無いか。
でも俺はもう気にしてないからな、何ていうか、こっちの世界来ていろいろと吹っ切れるのが簡単になってきたっていう…元々の性格上、なるようになれとしか思ってないってのもあるけど。
「ナオトさんが認識してるんなら大丈夫そうですね。皆もナオトさんにあんまり迷惑掛けないようにねっ」
「ラナに言われなくても、分かってるっつーの…」
「分かっててもやるのがアーネなんだから言ってるんじゃない、あんまりって」
「流石元パーティーメンバー、よく分かってるんだな」
「わたしも伊達にただ引っ張り回されてたってわけじゃないですからねっ、ふふっ」
「…勘弁してくれって……さっきやらかしたばっかで、これでも少しはヘコんでんだよ……」
「はいはい、分かってるってば。うん、後は…加入先パーティーの方の更新だけど、パーティー名はどうするの?このまま?」
パーティー名か…そういや考えてなかったな。
やー、別に変えなくてもいいんじゃないか?そのままで。
「あ、特に考えとらんかったわ…どないする?」
「そうだねぇ~…全然気にしてぇなかったねぇ~……」
「今までだって誰か入れても変えてなかったんだし、このままでいいんじゃねぇの?」
「せやな…ナオトはん、このままでもええか?」
「俺は構わないよ。後で変えることも出来るんだよな?ラナ」
「そうですね、申請してくれればいつでも変更出来ますよ」
「んじゃ、このままでいいか。何かいいの思い付いたら変えればいいんじゃないか?」
「ナオトはんの言う通りやな。ほな、このままでええよ、ラナ」
「うん、分かった。それじゃこれで更新するから皆のギルドカード出してくれる?」
4人揃ってギルドカードをラナに渡す、3人は銀色の、俺だけ金色のカード…やっぱ目立つな、これ。
「ありがと。じゃあ、ちょっと待っててねっ」
カードを全部受け取ったラナが奥に引っ込んでった、パーティーの情報をカードに載せるんだろう。
ラナが居なくなった途端、代わりにリズがやって来た…何だろう?
「…ホント、ピンピンしてるのね、ナオト……さっき心配しちゃったのがバカみたい……」
あぁ、闘技場の一件か、そういや心配してくれてたんだっけな、リズは。
「あー、うん、悪かったな、心配させちまって」
「まぁ、無事ならいいんだけどね。それよりどうしたの?4人揃って。ナオト、さっきクエスト受けたんでしょ?」
そうなんだけど、受けてクエスト行く前に3人と話してたらパーティー組むことになったんだよ…だからまた受付カウンターに逆戻りしてきたってわけで。
「あーっと、実はな…」
「ふふん、聞いて驚けよ、リズ。アタイらな、パーティー組むことになったんだぜっ!」
「……え?………冗談よね?ナオト…」
そんなパーティー組むってだけで驚くようなことか?しかも冗談て。
「いや、ホントだけど…なんで冗談?」
「え、だって、さっきのハーレムも冗談なんでしょ?」
あーそっか、リズには冗談って分かってたんだっけか、あの時冷静にツッコまれてたしな…。
「まぁ、そうなんだけど…何ていうかもう、周りに説明するのも面倒だし、この際いいかなって……」
「あ、そ、そうなんだ…でも、それって冗談じゃなくてホントにハーレムにしちゃうってこと…?」
ぶっ!んなわけないだろっ、早々簡単に出来るもんじゃないっての、ハーレムなんてっ!そりゃまぁ、俺も男だし?向こうの世界で読んでた異世界ハーレムものには憧れてるところもあるけど、あれはあくまで読み物であって、現実なんてそう甘いもんじゃないってのは理解してるよっ。
「いやいやっ、それは無い、それはっ。でも、まぁ、周りに勘違いされる分には説明する手間が省けていいかな、くらいで」
「あぁ、そういことね…っていうか、アナタたち3人もそれでいいってわけ?」
「あぁ、アタイは別に構わねぇぞ。クエスト熟してランク上げられるならな」
「私もぉ~、今のぉパーティーのぉ状況がぁ~変えられるならぁ~、何もぉ問題ないかなぁ~」
「…ウチは………もう……言い訳のしようが、無いん…………」
アーネもマールもそういうとこは気にしないっていうか、それより現状打破優先ってところか。
シータは…んー、あんだけ旦那様旦那様って叫んでたからなぁ…仕舞いには抱擁シーンまで披露しちまったし……うん、強く生きようか、シータ。
「あー、そういえばそうだったねぇ。さっきもシータちゃん、泣いて抱き付いてたし…ねぇ」
「っ!?!?ああぁぁぁあ…………」
またその場で蹲っちゃったよ…しかし、シータってこういうの一番向いてなさそうだと思ったのに、最後の最後までやり通してたのは何でだろうな…?やってる途中も滅茶苦茶恥ずかしそうにしてたのに、我慢してまでとか。
「あー、ほら、折角持ち直してきてたのに、掘り返すなよリズ……」
「ごめんごめん、丁度からかい甲斐のあるネタだったから、つい……ねっ」
あ、出たよテヘペロ、でもリズのは某お菓子屋のマスコットキャラみたいだから、わざとらしさ満載だよ…ラナを見習えって、あれはめっさ可愛かったぞっ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,644
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる