異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

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第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン

#34 メンバー会議・後半戦(SIDE:リズ)

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 ナオトのハーレムと聞いて黙っていられなくなったラナに付いては来たけど、ここまで話をした限りそうなっちゃうのも当然なんじゃない?って内容だった。
 ま、冒険者だしパーティーだしずっと傍にいるんだから、いろんな事が起こるのは当たり前なんだし、そこまで驚くようなことでもないでしょ。

 ワタシとしては、そんなコトがあってもナオトが誰にも手を出してないことにちょっとビックリだった…漂流者なのにね。

 もしかしてナオトは…って一瞬思ったけど、この間一緒に飲んだ時、ちゃんとワタシにも反応してくれたからそれは無いって分かってる。
 だとしたら、相当我慢強いか、そう簡単に手を出そうとしない理由があるのか、それとも単にヘタれなだけか…。

 でもそれも時間の問題か、こんなキレイどころに囲まれて、この先何も無いとかあり得ないよね、どう考えても。
 それはそれで自然な流れってことで。

 で、3人は何となく分かったけど、話の内容が理解出来てないのか、沈黙を貫いてる娘が一人。
 アナタも何かあったんじゃないの?当然。


「って、さっきからリオちゃん一言も発してないけど、リオちゃんはナオトと何かあった?」

「………(コクっ……。……魔力…注、いで……貰っ、た…………」

「…魔力?」

「あ、そっか、リズは知らないんだっけ。リオはドラゴンになれるんだよ?凄いよねっ」

「へっ?ドラゴンって……あの、ドラゴン…?」

「いや、ドラゴンはドラゴンやろ。あのとかあらへんて」

「いや、うん、それは分かってるんだけど、でもドラゴンに魔力って…必要なの?」

「あー、それな。リオは元々竜人種だったんだけどよ、いろいろあって今は半分魔物みたいになっちまってるんだと」

「半分魔物…もしかして、魔石持ってるとか…?それなら確かに魔力が必要だと思うけど…そうなの?リオちゃん」

「………(コクっ……。………今、は……魔人、種……なの………」

 どうもリオちゃんは純粋な竜人種ではなかったみたい。
 でも見た目や中身では半分魔物と言われても全くそうは思えない。
 ただねぇ…その胸は魔物になった影響なんじゃないの?って疑いたくなるよ…なんてったってワタシを軽く凌駕してるんだし。

「魔人種…そっか、リオちゃんもそれなりにいろいろあったってことね…。で?魔力貰っただけでマスターって呼んじゃうわけ?リオちゃんは」

「………マスター……って………良い…響、き……だった、から…………」

「え、あぁ…ホントにそれだけなのね…。ハーレムとか関係無しに」

「………後、で……マスター…に、魔力……貰、う約束……した………。………楽し、み…………」

 そう言ってリオちゃんは自分の胸を両手で押さえ付けた…気持ち嬉しそうな雰囲気を醸し出しながら。
 何となーく話の流れでワタシは分かってしまったけど、ふとラナを見ると、何とも言えない顔をしてリオちゃんを見てた。
 ラナははっきり分かってなさそうだったから、イヤな予感でもしたんじゃないかな?

「えっと、リオ?その、魔力貰うのが、何で楽しみなのかな…?あと、どうしてそこで自分の胸を触るの…?」

「………ここ、から……魔力………注い、で…貰う、の………」

「え?そこからってことは…ナオトさんに、その胸を触ってもらうってこと…?」

「………(コクコクっ………」

 うん、ドンピシャ。
 そんなことだろうと思ったよ…けどこれ、たとえ必要なことだとしても、そんな事したらいくら我慢強いナオトでも軽く限界を超えちゃうよね…この胸だもん、間違い無いんじゃないかな?
 何か周りのみんなが、くっ…、って苦々しい顔してるのがちょっと可笑しかった。

「あー、うん、これはもうアレだね、多分なりかけってやつ取れちゃいそうね。ナオトは取る気無さそうだったけど」

「…実を言うとな、ウチらもナオトはんに称号見せてもろた時、それでもええよって言ったんよ」

「そうなったらぁ~ナオちゃんがぁパーティーからぁ~簡単にぃ居なくならないよねぇ~ってぇ思ってぇ…」

「…まぁ、気持ちは分からなくもないけどね。やっと組んでくれる人が見つかったんだし」

 ラナが抜けた後、みんなが相当苦労してたのはワタシも知ってる…中々上手くいかなくて、最後の方は無理までしちゃってたよね…前衛無しでクエスト受けたりして。
 ラナと二人で心配してたもん。
 で、やっと見つかったパーティーメンバーだもんね…ここまでは上手くいってるみたいだし、手放したくなくなるのはよく分かるよ。

「ってかよ、もう称号付いちまってるんだからどうしようもなくね?パーティー解散したら外れるのか?これ」

「いや、無理やろ、これは…。多分やけどウチらにも何か称号付いてるんやないか?」

「そのぉ可能性はぁ~あるかもねぇ……」

「そうねぇー、みんなはもうこれでもいいって思ってるの?」

 もう今更(クエスト初日の騒動見たら誰でもそう思う)って感じだけど、本当になっちゃったってだけだしねぇ…。
 あの時はワタシも近い内にそうなるって思ってたから、ツバ付けといたんだよねー、ワタシの感も大したものだ、にししっ。

「いいっていうか、別に気にしねぇっていうか…」

「これからもぉ~冒険者としてぇやっていくぅつもりだしぃ…」

「勝手に強くなっちゃうところは?」

「そこは…ナオトはんとどうするかよう話さんと、とは思うてる。楽して強うなるためにナオトはんとパーティー組んだわけやあらへんし…」

「まぁ、ナオトのことだから多分どうしたらいいか悩んでるんじゃないかなー?」

 ナオトだし、本人達の意思を無視して勝手に強くしてしまった事に罪悪感すら覚えているんじゃないかなぁ…そんな気がするよ。

「とにかくそーゆーわけだからよ、アタイらはこのままパーティー続けるつもりだぜ。んで、ラナはなんで怒ってたんだよ」

「そっ、それは…」

 そんなこと聞かなくても一目瞭然でしょ?
 ラナってばホント分かりやすいんだから、にししっ。

「普通にズルいとか羨ましいとか思ってたんでしょ?」

「うぅ…そっ、そうよっ!ナオトさんと会ったのはわたしの方が先だったのに、みんなわたしよりどんどん仲良くなっちゃって…」

「なら話は早いじゃない。ラナも入れてもらえばいいだけでしょ?ハーレムに」

「そんな簡単に言わないでよ…今のみんなの話聞いてると、ナオトさんが進んでハーレム作ろうとしてるわけじゃないでしょ?」

 ふーん、そんな悠長なこと言ってていいんだ、ラナ。
 悪いけどワタシはガンガンいくから、チャンスは逃さないってねっ。

「そう、じゃあラナはこのままでいいのね。悪いけどワタシは入れてもらうつもりだから」


「「「「はぁ!?」」」「はいぃ~?」」


 驚いてる驚いてる。
 ま、自らハーレムに、なんてあんまり考える人は多くないんだろうけどね。
 でもワタシはナオトに初めて会った時の自分の直感を信じることに決めてたから。

「別に驚くようなことじゃないでしょー?みんなだって今こんなになってるってことは、少なからずナオトの事想ってるってことでしょ?」

「それは、まぁ…そうやけど……。ほなリズもそうやってこと…?」

「まぁねー。初めてナオト見た時にビビッときちゃって。こんなワタシに初対面で侮ったり蔑んだりした感じ出さないで、普通に接してくれたのはナオトが初めてだったし。それに…」

「それにぃ~…?」

 これが一番重要なとこ。
 こんな身体でも良いって思ってくれてるみたいだし、頑張っちゃうよワタシっ!


「ナオトはちっちゃい娘が好きみたいだから、ワタシが入ったら一番可愛がってくれそうだなぁーって。にししっ」


「「「「っ!?」」」」


「ちょっ、おまっ、それ洒落んなってねぇぞっ!!」

「そっ、そうやっ!そんなんズルいやんかっ!?」

「その上ぇその胸なんてぇ~、ナオちゃんがぁ黙ってられないよぉ、きっとぉ~!」

「リズっ!ナオトさんはわたしの担当漂流者なのっ!分かってるっそこっ!」

 ラナが専属云々言い出したよ…ま、確かにナオトが初めて来た時は担当交換しようなんて言っちゃったし…割と、いや、かなり本気だったんだけど、ラナが結構必死で抵抗してきてちょっと意外だったね。
 けど、今はそんなことはどーでもよかったり。


「もちろん分かってるよ?それが?」

「それがって…だから、リズは直接関係ないでしょ!ナオトさんとっ!」

「別に受付嬢としてどうこうって話じゃないんだから。ナオトのこと好きかどうかって話でしょ?違う?」

 そう、ナオトのハーレムにっていうのは、つまりそういうことで、受付嬢とかそんなことは全く関係ないってこと。
 ラナだってホントは分かってるくせに必死で抵抗しちゃって…アナタも認めちゃいなさいよ、これもある意味ワタシが背中押してやってるってことになるんじゃない?


「ちっ、違…わない……けど…っ」

「じゃあ何も問題ないじゃない」

「アリアリだっつーのっ!ダメダメっ、リズは…絶対にダメだっ!」

 あれ、意外なとこから反撃が…。
 姫達は特に気にしないと思ってたんだけど…何でだろ?

「えー?どうしてー?」

「…ナオトはんを、犯罪者にするわけにはいかへんやろ…っ」

「なんで犯罪者なのよー、ワタシがみんなより歳上だって分かってるでしょーに」

「リズは見た目でアウトなのっ!分かるでしょっ!?それくらいっ!」

 あーそういうことね。
 ワタシのこの体型、しかもナオトは小さい娘が好みっぽいから焦っちゃったわけだ。
 これは…本気で一番狙ってもよさそうかも?なんて、そんなことするためにハーレムに入りたいわけじゃないしねー。
 みんなと同じだよ?ナオトの事気に入っちゃってるんだからっ。

「それはワタシが決めることじゃなくて、ナオト次第でしょ?まぁとにかくここでワタシ達だけで喋っててもどうしようもないんだし、ワタシも早く聞いてみたいから戻ろっか」

「えっ!?ほ、本当に…聞くつもり、なの…?」

「そうだけど?」

「…ナオトはんが断る未来が見えへん……」

「聞く前ぇからぁ…結果がぁ分かりきってるぅ……」

「いいじゃない、みんな同じなんだし仲良くやっていけば。何だったら誰が一番可愛がってもらえるか勝「「「「しない(ぃ~)っ!」」」「しねぇよっ!」……そう?残念、にししっ。さ、それじゃ戻りますよーっと」

 ちょっとした冗談振ったらみんな焦る焦る、にひっ。
 こんなみんなとだから一緒に楽しく過ごせると思うんだけどねーって。
 ま、それも結局ナオト次第なんだけどさ。
 聞いた話だと漂流者の世界はこっちみたいな価値観じゃないみたいだし、複数の相手ってのに抵抗があるっぽいからね…。
 早くこっちの世界に馴染んでもらうようワタシも頑張っちゃうとしますかねっ!


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