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第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン
#35 みんな一緒
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こっちで弘史達と話してる内にラナが連れてったみんなも話が終わったみたいでぞろぞろと俺達の元に戻って来た…いや、ちょっと話聞くの怖いんですけど…。
「ナオトっ、というわけで、ワタシもハーレムに入れてねっ!」
「「「「リっ、リズっ!?」」」」
ぶっ!ちょっ、戻ってきて早々いきなりそれかいっ!
何が、というわけで、なんだっ!ラナに説明してただけじゃないのかよっ、どうしたらそんな話になるんだっ!?
「ぶはっ!すっげード直球だなっリズ!自分から突っ込むとかチョーウケるんだけどっ!」
「なーにがおかしいのよーヒロシっ。別に何も変なとこないでしょっ?」
「いや、いろいろおかしいからっ!どこをどうしたらそうなるんだよっ!!」
「何言ってるのさナオト、ワタシちゃんと言ったよね?前に」
…??前に言ったって…あっ!姫達とパーティー組んだ時の去り際の捨て台詞かっ!?いや、お前あれは冗談だったんじゃないのっ!?
「ちょっ、待てって、いろいろ追い付いてないから…そもそも姫達とリオだって今のままでいいわけないだろ…?」
「リズはちょっと置いといて、ウチらは前にも言ったけど構へんよ…まぁ、ナオトはんのおかげで勝手に強うなってくんはちょっと気ぃ引けるんやけど…」
「ちょっと、ワタシを置いておかないでよっ。ほら、ワタシは受付嬢だからね、その辺は気にすることなんてないでしょ?」
いや、そういう問題じゃ無くて…っていうか姫達はやっぱりいいのか…じゃあこのままパーティー組んでくれるって思っていいのかな…。
「まぁ、リズは置いといて、じゃあこのまま俺とパーティー組んでくれるってことでいい…のか?」
「そー言ってんじゃんか。あんだよナオト、もしかして…アタイらじゃイヤになったんか?」
「そんなわけないだろっ!俺が嫌になるなんて…あり得ないってのっ!」
「…ふふっ、そんなぁ力一杯ぃ言ってくれるなんてぇ~…ちょっとぉ嬉しくなっちゃうぅねぇ~」
「ちょっとだからなんでワタシを置いとくのさっ!?」
いや、まずはパーティーの話だろう、そこが纏まらないと何も進まないっての。
でも良かった、姫達はこんな風になっても一緒にまた冒険してくれるみたいだ…嬉しいのは間違いないんだけど、でも称号のことはもうちょっとちゃんと話し合わないとだよな…。
「ナっ、ナオトさんっ!リズはどうでもいいとして、わたしも、その、みんなと一緒にしてくださいっ!」
「はぁっ!?ちょっ、ラナまで何言い出すんだよっ!?」
「おいおいおいっ!マジかよっラナちゃんまで……俺かなりショックなんだけど……」
「ひ、弘史さん…どど、どんまいです……」
「まぁヒロシだからな。この先ヒロシでも良いと言う獣人が現れるまで待つしかないだろう。可能性は限り無く低いと思うが」
「だーかーらっ!置いとかないでっ!ラナもどーでもいいって何さっ!酷くないっ!?」
リズが吠えてるのはともかく、ラナまでいきなり何を言い出してるんだ…ただでさえ姫達とリオの事でいっぱいいっぱいだってのに、こんなん自分の中で処理し切れないって!
「わたし今決めましたっ、また冒険者に戻りますっ!そしてみんなと一緒に冒険しますっ!」
「「「「「えぇぇぇええっ!?」」」」」
「ちょっ、おいっ!マジかラナっ!せっかく受付嬢になれたってのにっ!」
「そっ、そうやっ!ウチらのせいであないに遠回りまでさせたっちゅうにっ」
「そっ、そうだよぉ~!ラーちゃんのぉ夢だったんでしょぉ~!受付嬢はぁ~っ」
「ちょっとラナっ!アナタナオトの専属でしょう!どーするのさっ!」
「専属はリズに譲ってあげるっ。それよりわたしは…ナオトさんの傍にいたいのっ!」
え、待ってなんでそこまでっ!?俺そんなに思われるようなこと何もしてないよなっ!?あっ、もしかして…これも称号のせいじゃねぇのっ!違うかっアコっ!
[正解です。おめでとうございます]
クイズじゃねーんだよっ!正解しても嬉しくねぇよっ!!
それ、まさか魅了系とか精神支配系の効果ってわけじゃないよなっ!?
[ご心配無く。好感度の上昇値が高くなるだけです]
ダメじゃんそれっ!え、あ、ダメじゃない…のか?別に俺がどうこうしてるってわけじゃない…?
俺に対しての好感度が上がりやすくなるってこと…?
[認識相違ありません]
ってことは…好意持たれると普通より早く、こう、好かれちゃうって…そういうわけ?
[認識相違ありません]
…なぁ、その称号って…もしかして、獣人ってやつと幼女ってやつと竜人ってやつだったりする…?
[認識相違ありません]
それでいくと、姫達で獣人、リオで竜人の称号付いたのは分かるけど…幼女ってまさか……。
[認識相違しています]
えっ、あ、よ、良かった…って言っていいのかどうか微妙だけど、とりあえずリズが元で付いたわけじゃないんだ…。
[但し適用範囲です]
なんでだよっ!?意味分からねぇよっ!見た目幼女なら適用されるって何だよっ!!ちゃんと年齢含めて判定しろっての!!
「おいおい、何だか面白いことになってねぇか?え?ナオト」
このタイミングとこの言い回し…多分ガズのおっさんに間違い無いっ!と思って後ろを振り向いたら、大正解でした。
「ガズさん…あなたどんなスキル持ってるんですか…」
「ん?これか?大したスキルじゃねぇぞ?ラナセンサーって言うんだがな」
「おいガズのおっさん、それスキルでも何でもねーだろっ」
「まぁ、似たようなもんだ、くっくっくっ」
対象限定だった…まぁラナの守護神みたいなものだから本当にそんなスキル持ってたりして…。
「で、なんだ?遂にハーレムにでもなったか?ん?」
くっ…なんて鋭いおっさんなんだ…いや、でもまだなりかけだから違うぞっ!
「なってませんから」
「ま、なりかけてるけどねー。にししっ」
おいリズ余計なコト言うなっ!置いといた腹いせかよっ!
「ほぉ…もうなりかけてんのか、そいつはまた…。で、誰がメンバーなんだ?姫達だけか?」
「姫達とリオちゃん、あとワタシとラナよ」
「おいリズ!どさくさに紛れて何増やしてるんだよっ!っていうかそれ以前にまだハーレムじゃないって言ってるだろっ!」
「ったく尚斗よぉ、まだんなこと言ってんのかよっ。いい加減もう認めちまえっての。それで一件落着だろーが」
一件落着って…ここで俺が認めたら……え、なに?モフモフのペロペロのイチャイチャし放題?って悪魔の囁きかよっ!天使の俺どこ行ったっ!!待って待って、いやホント何で俺なんだよ…いくら何でも出来過ぎだって、逆に怖いってのっ!
…けど、でも、ここまで言ってくれるみんなの事考えると……あーもーどーすりゃいいんだっ!?
「何だ?まだ踏ん切りついてねぇのか?」
「いや、だって、こんな奇跡みたいな状況、はいそうですかって簡単に鵜呑みに出来る方がおかしくないですかっ?」
「…ウチら相手に奇跡て……」
「そりゃ言い過ぎだろナオトよぉ…いや、まぁ、嬉しいんだけどさ……」
「まったく…何を躊躇ってるんだか。ワタシ達がそうしてって言ってるんだから素直に受け取ればいいじゃないのさ?」
「ナオちゃん~あのねぇ~、私たちのぉ称号見てくれるぅ~?」
「称号…って、え、まさか……」
「確かめて…もらえませんか?ナオトさん……」
よくよく考えたら俺だけ付いてても成り立つ訳無いよな、こんな称号…テンパっててそんな事すら思い付かなかった。
これで皆に何か付いてたら…潔く認めるしか、無い…のか……?
「………わ、分かった…。じゃあ、見せてもらう…よ……」
ふぅぅ……。
じゃ、じゃあアコ、皆の称号…見せてくれ……。
[対象者:アーネルミルヴァ・シータフィオラシス・マールオリザロレッタ・リーオルエレミネア・ラーナミラルティア・リーズロルトミニィの称号を表示]
【ステータス】
《識別》
名前:アーネルミルヴァ
《称号》
虎人族族長次女
中級冒険者
脊髄反射の鬼
虎突猛進娘
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
《識別》
名前:シータフィオラシス
《称号》
狐人族族長次女
中級冒険者
器量良し
照れ屋さん
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
《識別》
名前:マールオリザロレッタ
《称号》
兎人族族長三女
中級冒険者
聖邪混濁娘
邪眼使い
ブレストヒーラーズ1号
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
《識別》
名前:リーオルエレミネア
《称号》
元・竜の巫女
竜魔法の使い手
魔を取り込みし者
魔力喰い
勇者の騎乗竜
魔王大戦の生き残り
暁の桜華竜
中級冒険者
ブレストヒーラーズ2号
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
《識別》
名前:ラーナミラルティア
《称号》
犬人族族長三女
冒険者ギルド・ガルムドゲルン支部受付嬢
元・一般冒険者
アウトブレイク・パニッカー
愛犬となる素質を持つ者
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
《識別》
名前:リーズロルトミニィ
《称号》
冒険者ギルド・ガルムドゲルン支部受付嬢
面倒見の良い幼女(偽)
ムードブレイカー
ブレストヒーラーズ(補欠)
ハーレム(なりかけ)メンバー〈主:遊佐 尚斗〉
……………ものの見事に全員付いてました。
誰だってさ、異世界に来たってだけでこんな風に好かれるとか思う?それも一遍に6人もなんて、元の世界と差があり過ぎてホントどうしたらいいか分からないってのが正直なところなんだけど…。
でも、これ見ちゃったらもう信じるしかないんだよな……彼女達が本当に俺でいいって思ってるからこそ付いてるんだろうし…。
こんな俺のどこがいいのかって思う部分も多々あるんだけど、それでもこうして好意を寄せてくれるのは、純粋に嬉しいと思う反面、この娘達と上手く付き合っていけるのか、愛想尽かされないか不安な面も当然あって…けど、それでも、こうして出会えた皆と一緒にまだまだ冒険したい、その思いが一番強かった。
だからもう、あれこれ考えるのは止めにしよう…。
「ま、見てもらうまでも無いと思うんだけどねー。全員に付いてたでしょ?称号」
「………うん」
「まぁ、相手がいるからナオトはんにも称号付いとるわけやし…これでスッキリしたわ」
「あーあー羨ましいこって!こんな6人もカワイコちゃん、しかもケモミミっ娘ちゃんまでいてよぉー」
「ラナも良かったじゃねぇか。しっかりナオトに付いていけよ」
「はいっ!ナオトさん、よろしくお願いしますねっ」
よろしくされるのは俺の方だと思うんだけど…けど、まぁ頑張るしかないか…皆と楽しくやっていけるように。
「…それ、俺の台詞だと思うんだけど…ね」
「あーアタイもスッキリしたぜっ!これからは堂々とやっていけるってなっ!もう周りなんか気にしねぇぞ!」
「お、アーネちゃんやる気満々だねぇー。ワタシも頑張っちゃうからねっ!ナオト、覚悟しときなさいよっ!」
「お、お手柔らかに頼む…マジで。こんな経験初めてなんだし……」
「そんなにぃ~急にはぁ変わらないとぉ思うからぁ~、大丈夫だぁよぉ~きっとぉ~。ふふっ」
「…………マス、ター…………」
と、皆の勢いに圧されつつ戸惑ってたら、リオがクイっクイっ、と袖を引っ張ってきた。
今までずっと黙ってたけど、事の成り行きは理解出来たんだろうか…ちょっと心配だけど、このタイミングで話し掛けてきたってことはリオも分かってはいるんだろう、と思いたい。
「ど、どうした…?リオ」
「………お腹……空い、た…………」
「え?あぁ、そっか魔力補充ね。約束したもんな」
「ちょ、ちょっと待ってリオっ!こ、ここでやるのっ!?」
「………(コクっ……。………どこ、でも……いい…よ……?………」
「ちょっ、ここじゃダメだってのっ!もうちょい我慢しろっ!ナオトっ!帰るぞっ、急いでっ!」
「あ、ワタシもいくー」
「もっ、もちろんわたしも行きますっ!」
何故か急に慌てだした皆。
魔力補充するだけなのに何をそんなに焦る必要があるのかと不思議に思ってたら、シータとマールに片腕ずつガッチリ掴まれて両脇を固められた…。
「ほ、ほなウチら宿に帰るからっ!」
「みんなぁ~また明日ねぇ~っ!」
「んじゃなっ!ほれっリオ行くぞっ!」
「えっ、ちょっ、なに……っ」
「いいからいいから、みんなに付いてってっ!じゃ、ヒロシ達もゆっくり休みなよーっ」
「お、お疲れ様でしたーっ」
「………(ペコっ……」
問答無用で引っ張られてギルドを後にさせられた…弘史達へまともに挨拶すら出来なかった。
いったい何が始まるんだ…魔力補充ってそんな危険なものだっけ?そういやリオが竜人になってからは初めてだったか。
ドラゴンの時とは違うやり方でもあるんだろうか…なんて考えながら、周りを皆に固められたままメルさんの宿へ帰った…。
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