異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

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第六章 激震、マーリレンス大陸

#24 久しぶりの全員集合(やっぱり一柱除く)

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「あっ!忘れてた……」

[またアコの事を忘れていましたね。戦闘中すら使わないとかあり得ないのですが]

 あ…いや、今回はちょっとテンパってたからさ…許してくれって、ゴメンっ。

[………次はもうありませんので。次があればその時はそれ相応の対応をしますので覚悟しておいてください]

 怖いなっ!けど、はい、分かりました…。

 と、ガルムドゲルンの家に全員─我ら黒惹華と従者二人、そして勇者パーティーとシルファ達─で転移してきてすぐ、アコに説教を喰らったのは置いとくとして、残ってたものの一つを思い出した…。

「…?誰忘れたん?全員おるで?」

「いや、人じゃないから…。攻瑠美、護璃」

「「?なにー?」「何ですか…?」」

「その、オーガの事なんだけど…ほら、あいつも魔王じゃないか。でもケージ達の面倒見る事になったからさ、力奪うのは後回しにしといてくれないかって……」

「あ…そういえばそうでしたね……」

「なんかもう普通に仲間だと思ってたよー……」

 確かに最後の方なんか一緒になって戦ってたからなぁ…そう思って当然というか。
 しかしオーガもあんなことして魔王としての立場とか大丈夫なのかと…この大陸でも碌に魔王の役割果たしてないっぽいし…。
 上司からのお叱りとか無きゃいいんだけど。

「まぁ、あいつはあの通り害は無いやつだから、そうしといてもらえると助かるかな」

「うん、ボクはいいと思うよー」

「というかもう、こうなったからには奪っちゃ駄目ですよね」

「うん、まぁそうなるね。もしかしたらオーガのやつ、こうなるように動いてたかもしれないんだけどな…」

 フィオの為なら何でもやりそうだし。
 ケージに敵対しとけば自分は勇者から狙われずに済むとか、こうして後回しにされるとか、まぁ本人は素で良い奴っぽい…というか完全に娘にベタ惚れだしな…本当に害は無いだろう、こっちからフィオに何かしようとか思わない限り。
 そんなことするつもりなんか絶対に無いけどな、今となってはひぃやティシャの友達なんだから、寧ろ俺にとっても保護対象にしかなりえないし。

「じゃあこの大陸の魔王はホントに最後ってことにしておこうかっ」

「うん、それでいいと思う」

「ありがとな、二人とも。落ち着いたらちゃんとオーガとも話してみるか?あいつ娘がいるんだけどさ、これがまた可愛いのなんのって…」

「…え?尚にぃってまさか……」
「嘘…ですよね……?」

 …え、今の発言でアウトなの?いや、普通に可愛いって思ってるだけなんだけど…って、そうか、この二人は漂流者なんだった…あれ?じゃあ家に入れるのマズいんじゃないか?これ…。


「まぁ細かい事は中入ってからにしぃや。いやぁ、しかしウチらいつぶりやろか…ちょっと空け過ぎやないかな?みんなウチらのこと忘れとるとかあらへんよな…?」

「だ、大丈夫でしょ?多分……」

「なーに心配してんだか…んなわきゃねーだろ、変なコト言ってんなよなっ」

「そうだぁよぉ~、みんなぁにぃ~限ってぇ~それはぁないよぉ~」

「………うん…ない、ね…………」

 と、俺の疑惑を後回しにしといてシータが何やらいらぬ心配を…。
 俺はこの間帰ってきてちょっとゆっくりしたから、というかもう皆俺の嫁なのでなんの心配もないんだけど、シータ達のことだって皆が忘れるとかそんな事は絶対あり得ないのに…特にシータなんか一番弟子であるティシャが居るだろう…弟子が師匠のこと忘れるわけがないって。
 ラナだって元同僚のリズがいるんだし。
 ……ん?あれ?そう言えば…何か忘れてるような…?

「ここがナオト達の家なのねぇ。結構な大きさじゃない?」

「これもう豪邸のレベルだよねぇ…護璃」
「うん、そうね…。本当にここが尚兄さんの家なんですか…?」

「あー、うん、そうなんだよ…。しかもこれ、貰い物なんだよね……」

「「貰い物……」」

「そう、クエストの報酬でね」

「っつーかこんなとこでくっちゃべってねーで早く入ろうぜっ!アタイだって早くみんなに会いてぇんだよっ!」

 うん、それはそうだ、俺だって早く皆に会いたくて帰って来たんだからさっさと入ろう。
 今はもう時間的に大分遅い…晩御飯はもう終わってる頃だから全員家に居るだろう、多分。

「よし、じゃああとは家に入ってゆっくり話そうっ」

「うっし、んじゃ入るぜーっ」

 と、アーネが玄関の扉を開けて入り、俺達も続いて中へ。


「「「「「「ただいま(ぁ~)っ!」」」」」」


 全員揃ってただいまの挨拶を…さて、今回は誰が一番に迎えてくれるかな、と。
 やっぱりひぃかな?なんて思ってたら…

「ナオトーっ!」

「っと、リズっ」

「良かった…っ!無事で……っ!」

「あぁ…俺達は大丈夫だよ。リズも…無事で良かった…本当に」

 …事情を知ってたリズが一番最初に迎えてくれて、俺に飛び付いてきた…あぁ、またこうやって抱きしめることが出来て本当に良かった……いつもよりお互い力がこもっている抱擁だった。

「みんなもおかえりーっ!」

「おうっ!リズも変わってねぇなっ!」
「元気ぃ~そうでぇよかったぁ~、ふふっ」
「……リズ……ただい、ま………」
「「…………」」

「ランちゃんもイアちゃんもお帰りっ」

「なぁに?リズが一番なの?」

「そうよっ!みんなの事知ってたんだから一番に来て当たり前でしょっ!」

「あぁ、そうやったな…心配かけてもうたな」

「ナオトがいるんだから大丈夫って思ってたけどさっ、やっぱりちょっとは、ね…?」

「そっか…そうだよね、ごめんリズ……」

「気にしてないってば、もう。ラナも頑張ってきたんでしょ?」

「うん…そのつもり……」

「ならいいじゃないっ、もうこうやってみんな帰って来てくれたんだから、何も言うことないよっ!ほらっ、何かお客さん…お客さん?なのっ?ナオト!」

「え?あー、うん、多分お客さん…多分……まだ………」

 俺に抱っこされながら一頻り皆と言葉を交わしたあと、後ろに居る皆を見てまた勘付いたらしい…皆揃ってから称号確認するの確定だよな、これ…。
 それとサラッと流しそうだったけどリズはランとイア、両方の言ってることが分かってるっぽい…あれか?ミニマム組統括の力とかなのか?
 と、追加でまた誰かがお出迎えに来てくれたらしい。

「あ、ナオトー。それにみんなもー。おかえりー」

「お、これまた予想外なやつが来たなぁ」

「……ただ、いま………ニア………」

「ニアだけなん?」

「んー?これからみんなでお風呂入ろっかーって話してたから通っただけだよー」

「…お出迎えじゃなかったのね……」

「ニアちゃん~らしいぃねぇ~、うふふっ」

 …来たのはまた意外な人物だったんだけど、お出迎えの為では無かった…通っただけって。
 いやまぁ、ニアらしいんだけどさ…。
 けどもうそんなお風呂に入るくらいの時間だったのか…これはちょっとタイミングが悪かった…悪かった?なんかまたとんでもないことになりそうな予感が…。

「そんなとこいないで早く入ればー?」

「あー、うん、そうする…。じゃあ移動しよう、みんな」


「……(本当にハーレムなのね…しかもあんな小さな娘まで…)」
「……(やっぱり尚にぃって…そういうことなのかなぁ…)」

 後ろを振り返って皆に移動を促すと、なんか護璃と攻瑠美がじぃーっと俺とリズを見てた…あ、これ絶対変な勘違いされてるよな…。
 こう見えてリズは今の俺より歳上ですから、そこは後でちゃんと言っておかないとな、ただまぁ他のミニマム組メンバー見せた時点で何も言い訳のしようが無いんだけど。

 一旦リズを降ろして客間まで来ると、皆それぞれ寛いだり、さっきニアが言ってた通りお風呂に入るための準備をしようとしてたのか、部屋へ移動しようとしてたりと、自由に動き回ってる感じだった。
 そんなところへ俺達が来たもんだから、それはもうこうなりますよねー。

「みんなーっ!ナオト達帰ってきたよーっ!」


『『『『っ!?』』』』


「ナーくーんっ!!」
「ナオトお兄さまっ!!」

 まずはこの二人が俺に寄って来て…当然の如く俺が両腕に抱きかかえる、と。

「ただいま二人ともっ」

「尚斗君っ!」
「お兄さんっ!」

 続いては魅音とウェナ、珍しくひぃとティシャを抱っこしてるにも関わらず俺にひしっ、と抱き付いてきた…いや、ホントに珍しい。

「ナオト様…っ、ご無事で何よりです…!」
「「ナオトっ!」「「ナオトさんっ!」」

 次にやって来たのはファルと…ファミ、マミ、ニナ。
 魅音とウェナがもう抱き付いてるから流石にそうしてこなかったけど、勢い的にはそうしたかったんだろうくらいだった。
 なんだろ…?あぁそうか、この面子はギルドに居たから逸早く話を聞いてたってところか、ウェナは魅音辺りに聞いたんだろう。
 心配してくれてたのか…いや、うん、これは…嬉しいなぁ…。

「みんなただいま。心配かけちゃったか?」

「そりゃあね…お兄さんが強いのは知ってるけど、なっちゃうもんだよぉー」
「リズりんとかファルるんから話聞いた時はびっくりしちゃったもん……」
「私もナオト様ならとは思っていましたが、やはりこう、気持ちがざわついてしまいまして…」
「こっちもてんやわんやだったんだ、そりゃ心配にもなるって…」
「そうですよっ、あんな慌てた冒険者のみんな見ちゃったら…」
「ナオトさんたち大丈夫かなぁーって不安になっちゃってぇ……」

「お姉ちゃんたちはーしんぱいしすぎなのーっ。ナーくんはーすっごく強いんだからーっ!」
「そうですよっ、ナオトお兄さまは何にだって負けたりはしませんからっ」

 ひぃとティシャの絶大な信頼は一体どこから…まぁ誰でも不安や心配にはなったりするだろうしな…どんなに俺がおかしな強さを持ってようが、こればっかりは、ね。

「みんなお疲れ様…無事で何よりだわ」
「みなさんお帰りなさいっ!」
「ま、アタシは心配なんぞしてなかったがな、兄さんがいるんだし」

「……?なしてシャリー達がおるん?」

「……………………あ」

「…ちょっとナオト、もしかして言ってないの?」

「……わ、忘れてた………ごめん…………」

「しょーもないな、兄さんは。つまりそういうことだよ、シー達なら分かるだろ」

「マジか…いつの間に……」
「そうだったんだぁねぇ~」
「ナオトさん…そこ忘れるところじゃないですよね…?」

「いや…はい、そうですね……ごめんなさい」

 忘れてたのはこれだった…この三人、ジィナとミル、それにシャリーの事を姫達とリオには言ってなかった…。
 ほら、いろいろあったからさ、スッ飛んじゃってたんだよ…ホントすみません。
 ま、まぁ全く知らない仲ってわけでもないし、そこは許してください…。

「……でも…また、いっぱい…増え、て……嬉…しい………」

「そっかぁ~…シャーちゃんもぉ~来てくれたんだぁねぇ~……うふふふふふふ」

「……ヤベーなこれ、間違えたか…?」

「がーんばってねーっ、シャーっ!アハッ」

「チッ…見てろよウェナ……お前も道連れだからな………」


「…ナオト様、お帰りなさいませ」

「「「お帰りなさい(なのですっ)」」」

「お帰りなのだーっ、ナオにーちゃんっ!」

「うん、ただいまっ」

 で、メイドの四人…エマ、キャム、チェル、コロネ、そしてドワーフのメイ。
 エマも皆より一歩引いた感じにしてるけど、心配してくれてたみたいだ…コロネもそれっぽく見えるけど、キャムとチェル、それにメイはそうでもなさそう…なんでだろ?まぁ、メイは間近で俺を見たからってのは何となく分かるけど、双子はよく分からない…日頃俺を揶揄って遊んでる内に何かを見極めたりしたのだろうか…。
 ただ単に出てないだけか?表情に。


「お帰りなさいませ、ナオト様。いろいろと大変だったようで」
「お帰りなさい、ナオトさん。大丈夫でした?」

「ただいま。まぁ大変だったけど何とかなったよ、この通りちゃんとみんなで帰ってこれたしね」

「その様で。やはり我が主には無用なものでしたか、心配など」

 最後に執事のセヴァルとマネージャーのカッツが来てくれた…けどセヴァル、無用は言い過ぎだと思う…普通に心配してくれていいです、信頼度が重いよ。

 と、我が家に居る皆から声を掛けられて…お客さんがちょっと放置されてしまいました。
 風呂に入ろうとしてたニアを呼び戻して、全員に紹介しないとなぁ…客間のソファーがそろそろ足りなくなってきてます、全員は座れないな、これ。




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