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Fiel5/資料 塑網 No.2(1981年発行)
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≪前書き≫
今年もこの塑網を文化祭で販売することができ、大変うれしく思う。この塑網のタイトルは私たちの先輩が昨年の創刊号で付けてくださったものだ。
残念だが、今年先輩とこのNo.2を作ることは叶わなかった。あの、勇気ある行動が無ければ、今こうして塑網を執筆することも叶わなかっただろう。
さて、今年のミステリーはおかしな話だが、この塑網というタイトルについてだ。
ぜひ、私たちと一緒に謎を解き明かしてほしい。
富田 紘一
==========
==========
≪特集 塑網の謎≫
前書きでも触れたが、今年の特集はこの部誌のタイトルでもある塑網についてだ。
私たちは、残された数少ない資料をかき集め、今回の特集を執筆した。皆さんには、その資料の一部をお見せしながら、この塑網について考えて貰いたい
【資料①:文化祭前の会議の議事録】
この資料は、文化祭1か月前、塑網というタイトルを先輩が付ける2日前にあたる日に行われた、会議、といっても簡単なレクリエーションの時の議事録である。
(個人名が書かれていたところは一部編集してある)
―――――――
先輩「今回は、少し気休めと思って、言葉に全く別の意味を付けるということをやってみようと思う」
1年A「つまり、どういう事ですか?」
先輩「例えばだな…、『学校』って普通、教育施設とか、勉強するところとかそんな感じの意味だろ?でも、ここをあえて娯楽施設、とかにしてみたらどうだ?全く印象が変わるだろ」
2年B「確かに…、じゃあ『料理』は本を読むことだ、なんてどうでしょう」
先輩「いいな、全然元の意味が分からなくなってきた。他には?」
2年C「逆に『読書』が食材を調理することなんてどうでしょう。もし、この二つの変わった後の意味を知っている者同士の会話なら、なぁB、お前昨日読書したか?」
2年B「えぇっと…、いや、読書はうちでは母さんがやってくれるから、俺は昨日料理をしたよ」
先輩「いいな。それなら知っている者同士なら会話が成立する」
1年D「じゃあ、「惑星」にどうかわたしを忘れないで、なんてどうでしょう。別れ際にこれを言うと、ねぇA、惑星」
先輩「あはは、それはそれで面白いな。なぁ、みんなどうだった。言葉って一番固定概念にとらわれやすいと思うんだ。それをこう、壊してみると、全く違う世界にならないか?」
2年C「確かに、すごくおもしろかったです。これなら、部誌のネタにもできそうだ」
2年D「今年のはもう校了原稿として出来てるから、やるなら来年だな」
先輩「よし、今日はきりもよさそうだし、ここでお開きにしよう」
――――――――
先輩はこの2日後に塑網というタイトルをこの部誌に与えた。
【資料②:先輩の遺したメモ】
先輩は最後にこのメモを残していった。
――――――――
・ちとしえすはいらない
・ソクラテス「無知の知」
・塑網は自分の作った造語。ヒントを使って解けば、きちんと意味のある熟語になる。
――――――――
部室に残っていた資料はこの二つであった。我々はこの二つから塑網について解読を試みたが、それは叶わなかった。
==========
==========
≪部員創作ミステリー小説≫
我が、ミステリー部では、この部誌発行に向けて、日々様々な謎と向き合っている、部員ならではの小説を執筆している。今回はその中から特に優れたものを一つ紹介する。
【謎の暗号:熊毛 一郎】
この頃、学校では昨晩のテレビで怪盗が軽やかに物を盗んでいくものがあれば、その話題で持ちきりに。探偵が事件をあっという間に解決する映画が放送されれば、やれあの仕掛けはこうだった、いやああだったと謎というものに敏感であった。
ある日、クラスメイトの家にこんな暗号が投函してあったそうだ。
「どういう事だ?なぁ、誰か分かる奴いるか」
「上の『いだくよのうとどっしかけた』っていったい何のことかな?」
「抱くよ、ノート、掛けたとか?」
「じゃあどっしは?」
「分からないよ」
「何なのこの暗号…、誰か分かる人いる?」
「下の数字も気になるよね」
「二桁の数があったり三桁の数があったり。特に二桁の数は『86』とある時もあるのに、『014』とわざわざ先頭に0を付けている時もある」
「何で統一しないんだろう。何か意味があるのかな?」
「二桁の数字なら十の位と一の位を足せば全部14になるぞ」
「3桁の方も頑張ってやろうと思えば14にならない事もない」
「もしかして、上のやつを左から何個、右から何個読むっていう事じゃない?」
「つまり、『86』は右から8個、左から6個目の文字だから『ど』って事かい?」
「だからか、『014』も読み方によっては右から0個、左から14目、つまり『い』を表しているという事になるよ」
「じゃあ全部繋げてみると『よくとけたどうだいおもしろかったかい』」
「あっ!『よく解けたどうだい面白かったかい』になってる」
「やったー!解けたぞ」
「でも」
「どうしたんだ?」
「いや、誰がこんな暗号文を送ってきたんだろう」
「あっ、確かに…」
==========
==========
≪おわりに≫
今年も塑網を手に取っていただきありがとうございました。塑網の謎に小説の謎。それぞれ真相は分からないままです。是非これを解くことができる逸材が現れることを望んでいます。
今年もこの塑網を文化祭で販売することができ、大変うれしく思う。この塑網のタイトルは私たちの先輩が昨年の創刊号で付けてくださったものだ。
残念だが、今年先輩とこのNo.2を作ることは叶わなかった。あの、勇気ある行動が無ければ、今こうして塑網を執筆することも叶わなかっただろう。
さて、今年のミステリーはおかしな話だが、この塑網というタイトルについてだ。
ぜひ、私たちと一緒に謎を解き明かしてほしい。
富田 紘一
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≪特集 塑網の謎≫
前書きでも触れたが、今年の特集はこの部誌のタイトルでもある塑網についてだ。
私たちは、残された数少ない資料をかき集め、今回の特集を執筆した。皆さんには、その資料の一部をお見せしながら、この塑網について考えて貰いたい
【資料①:文化祭前の会議の議事録】
この資料は、文化祭1か月前、塑網というタイトルを先輩が付ける2日前にあたる日に行われた、会議、といっても簡単なレクリエーションの時の議事録である。
(個人名が書かれていたところは一部編集してある)
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先輩「今回は、少し気休めと思って、言葉に全く別の意味を付けるということをやってみようと思う」
1年A「つまり、どういう事ですか?」
先輩「例えばだな…、『学校』って普通、教育施設とか、勉強するところとかそんな感じの意味だろ?でも、ここをあえて娯楽施設、とかにしてみたらどうだ?全く印象が変わるだろ」
2年B「確かに…、じゃあ『料理』は本を読むことだ、なんてどうでしょう」
先輩「いいな、全然元の意味が分からなくなってきた。他には?」
2年C「逆に『読書』が食材を調理することなんてどうでしょう。もし、この二つの変わった後の意味を知っている者同士の会話なら、なぁB、お前昨日読書したか?」
2年B「えぇっと…、いや、読書はうちでは母さんがやってくれるから、俺は昨日料理をしたよ」
先輩「いいな。それなら知っている者同士なら会話が成立する」
1年D「じゃあ、「惑星」にどうかわたしを忘れないで、なんてどうでしょう。別れ際にこれを言うと、ねぇA、惑星」
先輩「あはは、それはそれで面白いな。なぁ、みんなどうだった。言葉って一番固定概念にとらわれやすいと思うんだ。それをこう、壊してみると、全く違う世界にならないか?」
2年C「確かに、すごくおもしろかったです。これなら、部誌のネタにもできそうだ」
2年D「今年のはもう校了原稿として出来てるから、やるなら来年だな」
先輩「よし、今日はきりもよさそうだし、ここでお開きにしよう」
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先輩はこの2日後に塑網というタイトルをこの部誌に与えた。
【資料②:先輩の遺したメモ】
先輩は最後にこのメモを残していった。
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・ちとしえすはいらない
・ソクラテス「無知の知」
・塑網は自分の作った造語。ヒントを使って解けば、きちんと意味のある熟語になる。
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部室に残っていた資料はこの二つであった。我々はこの二つから塑網について解読を試みたが、それは叶わなかった。
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≪部員創作ミステリー小説≫
我が、ミステリー部では、この部誌発行に向けて、日々様々な謎と向き合っている、部員ならではの小説を執筆している。今回はその中から特に優れたものを一つ紹介する。
【謎の暗号:熊毛 一郎】
この頃、学校では昨晩のテレビで怪盗が軽やかに物を盗んでいくものがあれば、その話題で持ちきりに。探偵が事件をあっという間に解決する映画が放送されれば、やれあの仕掛けはこうだった、いやああだったと謎というものに敏感であった。
ある日、クラスメイトの家にこんな暗号が投函してあったそうだ。
「どういう事だ?なぁ、誰か分かる奴いるか」
「上の『いだくよのうとどっしかけた』っていったい何のことかな?」
「抱くよ、ノート、掛けたとか?」
「じゃあどっしは?」
「分からないよ」
「何なのこの暗号…、誰か分かる人いる?」
「下の数字も気になるよね」
「二桁の数があったり三桁の数があったり。特に二桁の数は『86』とある時もあるのに、『014』とわざわざ先頭に0を付けている時もある」
「何で統一しないんだろう。何か意味があるのかな?」
「二桁の数字なら十の位と一の位を足せば全部14になるぞ」
「3桁の方も頑張ってやろうと思えば14にならない事もない」
「もしかして、上のやつを左から何個、右から何個読むっていう事じゃない?」
「つまり、『86』は右から8個、左から6個目の文字だから『ど』って事かい?」
「だからか、『014』も読み方によっては右から0個、左から14目、つまり『い』を表しているという事になるよ」
「じゃあ全部繋げてみると『よくとけたどうだいおもしろかったかい』」
「あっ!『よく解けたどうだい面白かったかい』になってる」
「やったー!解けたぞ」
「でも」
「どうしたんだ?」
「いや、誰がこんな暗号文を送ってきたんだろう」
「あっ、確かに…」
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≪おわりに≫
今年も塑網を手に取っていただきありがとうございました。塑網の謎に小説の謎。それぞれ真相は分からないままです。是非これを解くことができる逸材が現れることを望んでいます。
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