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File8 ESS部からの挑戦状
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文化祭、文化の祭りと書いて、文化祭。
皆さんがウキウキしていて、私も自然とワクワクしてくる、そんな楽しい文化祭。
きっと、いつもはひっそりと陰に隠れている謎も、この楽しそうな空気を羨ましがって、ひょこっと顔を覗かせるかもしれませんね。
さぁ、謎に溢れた文化祭の始まりです!
――――――――――――――
長田浜高校文化祭、通称長高祭は、毎年9月下旬に2日開催される、長田浜高校の一大行事である。
その内容は幅広く、各文化部の作品展示や演奏発表にはじまり、各クラスの模擬店や企画、運動部も少しではあるが、野球ボールで的当てビンゴをやってみたり、サッカーボールでキックボーリングをしてみたりと、企画を用意しているみたいだ。
「おはようございます、戸田さん」
「おはよ」
「いよいよ文化祭ですね」
「あぁ、あんまり嬉しくないがな」
「ふふっ、戸田さんらしいですね」
鹿野とたわいない会話をしながら部室へ行くと、すでに駿之介と小郡が登校していた。
「あっ、琴ちゃんおはよ」
「おはようございます、真由美ちゃん、熊毛さん」
「おはよう。いよいよだね文化祭」
「はい!部誌、たくさん売れるといいですね」
「そうだね、頑張って売り切ろう!」
「おっ!」
俺たちミステリー同好会は、文化祭に向け、部誌である塑網のタイトルの謎、それに込められた意味を解き明かし、それを特集とした。売れるかどうかは分からないが、まぁ、頑張ってみるしかいないだろうな。
「ねぇ、琴ちゃん。今駿ちゃんと話し合ってたんだけど、塑網の宣伝をしたらどうかって」
「宣伝ですか?」
「あぁ、全部売り切るのはもちろんだけど、たくさんの人たちに部誌を読んでもらうためにも宣伝は大切だと思うんだ。ねっ、博人」
「確かにな」
こいつら、朝早くから登校して何を話していたのかと思ったが、これか。
本当にみんな部活が大好きなんだな。別に俺は普通だけど。
「いいですね、どうやって宣伝しますか?」
「やっぱり校内を歩き回って、宣伝するのが一番いいと思うんだ。他の展示も見れて、なおかつ宣伝もできる。一石二鳥だよ!」
「お前の主な目的は後者とみた。どうだ、図星だろう?」
ギクッ「な、なんのことかなぁ…。とっ、とにかく、二手に分かれて行こうよ」
「分かりました。じゃあ私は戸田さんと」
「いや、なんでだよ。普通ここは、男と女に分かれるだろ」
「駄目よ、男ばかりじゃあ暑苦しくて見てられないもの。ねっ、琴ちゃん」
「へぇ⁈いや、あの、その…、とっ、とにかく、戸田さん行きましょう!」
「ちょ、だからいつもいつも引っ張るなって」
「いってらっしゃい」
―――――――――――――
毎度のごとく、鹿野に引き連れられ、俺は校内を歩き回って、塑網の宣伝をすることになった。
はぁ、また面倒くさい事に巻き込まれた気がする。
「部室棟1階、ミステリー同好会室にて、部誌、塑網を販売中です。ぜひ、お願いします」
「します」
「もぅ、戸田さん、ちゃんと宣伝してください」
「してるだろ」
「してないですよ。なんですか『します』って」
「お願いしますの略だが」
「略せてません‼」
「そこのバカップルさん」
「なっ、俺たちは別に付き合ってないぞ」
「…」
「おい、鹿野。お前も何か言え」
「あっ、そうです、私たちはただ部活が同じだけで」
「ふぅーん。君たち何部?」
「ミステリー同好会ですけど…」
「ミステリー同好会の人!君たちなぞ解き好きだったりする?」
「いや、俺はべ「大好きです!」はぁ…」
「それは良かった。僕は、ESS部なんだけど、今回アメリカと日本の文化の違いをみんなに楽しく知ってもらおうと思って、なぞ解き風に企画展示したんだ。是非見て行ってよ」
「謎ですか!それは是非解きたいものです。ねっ、戸田さん」
「あっ、あぁ…」
おい、ESS部。この黒髪探偵帽に謎は劇薬なんだぞ!どうしてくれるんだ…。
「それじゃあ早速中へどうぞ」
聞いてるのかESS部。俺は英語なんぞ嫌いだ。
―――――――――――――――
「しっかりした展示ですね」
「そうだろ?例年に類を見ないくらいの規模なんだ」
ESS部の展示を見て回る事10分弱。写真を交えてのアメリカと日本の文化の違いについての展示は、あまり興味がない俺が見ても、なかなかしっかりした物で、見る者を引き付ける何かがあった。
「ところで、まだ謎を見ていないんですが…」
「あぁ、次の展示がなぞ解きになっているんだ」
次のブースには、少しばかり人だかりができていてる。みんな謎に苦戦しているのだろうか。
「人が多いね。見えるかな、あれが問題なんだけど」
「どうにか見る事ができます。あれは、日本とアメリカの国旗ですか?」
「あぁ、そうだよ。あの問題を解くと文が答えとして出てくるから、その文に答えてくれれば、クリア。どうだい、面白そうだろ?」
「暗号か」
「解けたら教えてくれ。合ってるか確認するから」
「分かりました。それでは」
ESS部員の後ろ姿を見送ると、鹿野は早速暗号と睨めっこを始めた。
俺もその後ろから暗号を軽く眺めてみる。あぁ、なんだ、簡単じゃないか。
「この上の文章はヒントなのでしょうか。下の数字の列も何かを表しているとは思うんですが…」
数分後、鹿野は例のごとく何も閃いていなかった。
さっさと部室に戻りたい俺は、少しばかり助言を与えることにした。
「なぁ、鹿野。今何が分かってる?」
「えっとですね、…、このアメリカの国旗星が足りないなと」
つまり、何も分かっていないと…。忘れていた、この鹿野 琴の壊滅的な推理力を。
俺は、もう期待しないことにして、答えを言おうと決めた。
別に言ってもいいよね。
「なぁ、鹿野。これはな「戸田さん、もしかして答え言おうとしてますか」おっ、おう」
「もし、手助けして下さろうとしているのであれば、答えではなく、ヒントをください」
初めて見た、鹿野のムキになっている顔。別に怖くはないが、どうしたのだろうか、いつもならすぐに答えを求めてくるのに、珍しいこともあるものだ。
「分かった。じゃあ、この展示のテーマを思い出してみろ」
「テーマですか?確か、アメリカとにほんの文化の違いだったと思いますけど」
「あぁ、じゃあ身近なものであり、アメリカと日本で違うもの。なんだと思う?」
「うぅーん。飲み物や食べ物のサイズですか?」
「ふっ。あぁ、悪い。ばか…、頭悪いなぁと思って笑っちまった」
「戸田さん、ひどくないですか⁉︎」
「まぁ、気を取り直して、違うものかつ、この問題のヒントとなり得るものだ。さっき鹿野が言った食べ物のサイズは、どう思う、この問題のヒントになりそうか?」
「…。いいえ、無理だと思います」
「だろ、だったら他の物を思い浮かべてみないといけないな」
「この問題のヒントとなり得て、尚且つ違う物…」
やっぱり鹿野には無理か。さぁ、とっとと答えを言って部活に戻ろう。
「戸田さん」
「どうした?答えを教えてほしいのか?」
「いえ、もしかして、車とか関係ありますか」
「…‼︎ちょっ、ちょっと待て鹿野。お前もしかして分かったのか?」
「多分ですけど、自動車が日本は左側通行なのに対して、アメリカは右側通行、だから、上の意味の分からない文を日本の国旗の時は左から、アメリカの国旗の時は右から数字の分だけ読めばいいと思ったのですが…」
「ふっ」
呆れた、俺は鹿野の答えを聞いて心から呆れた。
「あぁ、正解だぞ、鹿野」
鹿野がお馬鹿な、謎解きもできないへっぽこだと見下していた俺に、俺は呆れた。
鹿野は、確かにあまり謎解きが得意なのでは無いのだろう。
でも、謎解きが全くできないわけではない。時間をかけて、ゆっくり考えれば、解ける謎だってあるのだ。
俺は、鹿野の謎解きの機会を、鹿野が見つけた謎、鹿野に解かれたいと願って、見つけてもらった謎を俺は自分の為だけに、鹿野達のためではなく、自分のために解いていたのだ。
「えっと、『きょうのおひるごはんはなんだ』ですかね」
「正解だ、鹿野。よくやったな」
――――――――――
「正解は、お弁当です!」
「なるほど…。正解だよ、流石ミステリー同好会、自信作だったのになぁ」
「でも、しっかりと考えられていて、みんながアメリカの文化に興味を持てる、そんな謎だったと思います。私もこんな楽しい謎を解けて幸せです」
「そうかい、そう言ってもらえて嬉しいよ」
「戸田さん、お力添えありがとうございました」
「どうだ、自分で見つけた謎を解けた感想は」
「そうですね…。ただただ楽しかったです!」
「そうか」
俺も、気がつけて、良かったよ。
皆さんがウキウキしていて、私も自然とワクワクしてくる、そんな楽しい文化祭。
きっと、いつもはひっそりと陰に隠れている謎も、この楽しそうな空気を羨ましがって、ひょこっと顔を覗かせるかもしれませんね。
さぁ、謎に溢れた文化祭の始まりです!
――――――――――――――
長田浜高校文化祭、通称長高祭は、毎年9月下旬に2日開催される、長田浜高校の一大行事である。
その内容は幅広く、各文化部の作品展示や演奏発表にはじまり、各クラスの模擬店や企画、運動部も少しではあるが、野球ボールで的当てビンゴをやってみたり、サッカーボールでキックボーリングをしてみたりと、企画を用意しているみたいだ。
「おはようございます、戸田さん」
「おはよ」
「いよいよ文化祭ですね」
「あぁ、あんまり嬉しくないがな」
「ふふっ、戸田さんらしいですね」
鹿野とたわいない会話をしながら部室へ行くと、すでに駿之介と小郡が登校していた。
「あっ、琴ちゃんおはよ」
「おはようございます、真由美ちゃん、熊毛さん」
「おはよう。いよいよだね文化祭」
「はい!部誌、たくさん売れるといいですね」
「そうだね、頑張って売り切ろう!」
「おっ!」
俺たちミステリー同好会は、文化祭に向け、部誌である塑網のタイトルの謎、それに込められた意味を解き明かし、それを特集とした。売れるかどうかは分からないが、まぁ、頑張ってみるしかいないだろうな。
「ねぇ、琴ちゃん。今駿ちゃんと話し合ってたんだけど、塑網の宣伝をしたらどうかって」
「宣伝ですか?」
「あぁ、全部売り切るのはもちろんだけど、たくさんの人たちに部誌を読んでもらうためにも宣伝は大切だと思うんだ。ねっ、博人」
「確かにな」
こいつら、朝早くから登校して何を話していたのかと思ったが、これか。
本当にみんな部活が大好きなんだな。別に俺は普通だけど。
「いいですね、どうやって宣伝しますか?」
「やっぱり校内を歩き回って、宣伝するのが一番いいと思うんだ。他の展示も見れて、なおかつ宣伝もできる。一石二鳥だよ!」
「お前の主な目的は後者とみた。どうだ、図星だろう?」
ギクッ「な、なんのことかなぁ…。とっ、とにかく、二手に分かれて行こうよ」
「分かりました。じゃあ私は戸田さんと」
「いや、なんでだよ。普通ここは、男と女に分かれるだろ」
「駄目よ、男ばかりじゃあ暑苦しくて見てられないもの。ねっ、琴ちゃん」
「へぇ⁈いや、あの、その…、とっ、とにかく、戸田さん行きましょう!」
「ちょ、だからいつもいつも引っ張るなって」
「いってらっしゃい」
―――――――――――――
毎度のごとく、鹿野に引き連れられ、俺は校内を歩き回って、塑網の宣伝をすることになった。
はぁ、また面倒くさい事に巻き込まれた気がする。
「部室棟1階、ミステリー同好会室にて、部誌、塑網を販売中です。ぜひ、お願いします」
「します」
「もぅ、戸田さん、ちゃんと宣伝してください」
「してるだろ」
「してないですよ。なんですか『します』って」
「お願いしますの略だが」
「略せてません‼」
「そこのバカップルさん」
「なっ、俺たちは別に付き合ってないぞ」
「…」
「おい、鹿野。お前も何か言え」
「あっ、そうです、私たちはただ部活が同じだけで」
「ふぅーん。君たち何部?」
「ミステリー同好会ですけど…」
「ミステリー同好会の人!君たちなぞ解き好きだったりする?」
「いや、俺はべ「大好きです!」はぁ…」
「それは良かった。僕は、ESS部なんだけど、今回アメリカと日本の文化の違いをみんなに楽しく知ってもらおうと思って、なぞ解き風に企画展示したんだ。是非見て行ってよ」
「謎ですか!それは是非解きたいものです。ねっ、戸田さん」
「あっ、あぁ…」
おい、ESS部。この黒髪探偵帽に謎は劇薬なんだぞ!どうしてくれるんだ…。
「それじゃあ早速中へどうぞ」
聞いてるのかESS部。俺は英語なんぞ嫌いだ。
―――――――――――――――
「しっかりした展示ですね」
「そうだろ?例年に類を見ないくらいの規模なんだ」
ESS部の展示を見て回る事10分弱。写真を交えてのアメリカと日本の文化の違いについての展示は、あまり興味がない俺が見ても、なかなかしっかりした物で、見る者を引き付ける何かがあった。
「ところで、まだ謎を見ていないんですが…」
「あぁ、次の展示がなぞ解きになっているんだ」
次のブースには、少しばかり人だかりができていてる。みんな謎に苦戦しているのだろうか。
「人が多いね。見えるかな、あれが問題なんだけど」
「どうにか見る事ができます。あれは、日本とアメリカの国旗ですか?」
「あぁ、そうだよ。あの問題を解くと文が答えとして出てくるから、その文に答えてくれれば、クリア。どうだい、面白そうだろ?」
「暗号か」
「解けたら教えてくれ。合ってるか確認するから」
「分かりました。それでは」
ESS部員の後ろ姿を見送ると、鹿野は早速暗号と睨めっこを始めた。
俺もその後ろから暗号を軽く眺めてみる。あぁ、なんだ、簡単じゃないか。
「この上の文章はヒントなのでしょうか。下の数字の列も何かを表しているとは思うんですが…」
数分後、鹿野は例のごとく何も閃いていなかった。
さっさと部室に戻りたい俺は、少しばかり助言を与えることにした。
「なぁ、鹿野。今何が分かってる?」
「えっとですね、…、このアメリカの国旗星が足りないなと」
つまり、何も分かっていないと…。忘れていた、この鹿野 琴の壊滅的な推理力を。
俺は、もう期待しないことにして、答えを言おうと決めた。
別に言ってもいいよね。
「なぁ、鹿野。これはな「戸田さん、もしかして答え言おうとしてますか」おっ、おう」
「もし、手助けして下さろうとしているのであれば、答えではなく、ヒントをください」
初めて見た、鹿野のムキになっている顔。別に怖くはないが、どうしたのだろうか、いつもならすぐに答えを求めてくるのに、珍しいこともあるものだ。
「分かった。じゃあ、この展示のテーマを思い出してみろ」
「テーマですか?確か、アメリカとにほんの文化の違いだったと思いますけど」
「あぁ、じゃあ身近なものであり、アメリカと日本で違うもの。なんだと思う?」
「うぅーん。飲み物や食べ物のサイズですか?」
「ふっ。あぁ、悪い。ばか…、頭悪いなぁと思って笑っちまった」
「戸田さん、ひどくないですか⁉︎」
「まぁ、気を取り直して、違うものかつ、この問題のヒントとなり得るものだ。さっき鹿野が言った食べ物のサイズは、どう思う、この問題のヒントになりそうか?」
「…。いいえ、無理だと思います」
「だろ、だったら他の物を思い浮かべてみないといけないな」
「この問題のヒントとなり得て、尚且つ違う物…」
やっぱり鹿野には無理か。さぁ、とっとと答えを言って部活に戻ろう。
「戸田さん」
「どうした?答えを教えてほしいのか?」
「いえ、もしかして、車とか関係ありますか」
「…‼︎ちょっ、ちょっと待て鹿野。お前もしかして分かったのか?」
「多分ですけど、自動車が日本は左側通行なのに対して、アメリカは右側通行、だから、上の意味の分からない文を日本の国旗の時は左から、アメリカの国旗の時は右から数字の分だけ読めばいいと思ったのですが…」
「ふっ」
呆れた、俺は鹿野の答えを聞いて心から呆れた。
「あぁ、正解だぞ、鹿野」
鹿野がお馬鹿な、謎解きもできないへっぽこだと見下していた俺に、俺は呆れた。
鹿野は、確かにあまり謎解きが得意なのでは無いのだろう。
でも、謎解きが全くできないわけではない。時間をかけて、ゆっくり考えれば、解ける謎だってあるのだ。
俺は、鹿野の謎解きの機会を、鹿野が見つけた謎、鹿野に解かれたいと願って、見つけてもらった謎を俺は自分の為だけに、鹿野達のためではなく、自分のために解いていたのだ。
「えっと、『きょうのおひるごはんはなんだ』ですかね」
「正解だ、鹿野。よくやったな」
――――――――――
「正解は、お弁当です!」
「なるほど…。正解だよ、流石ミステリー同好会、自信作だったのになぁ」
「でも、しっかりと考えられていて、みんながアメリカの文化に興味を持てる、そんな謎だったと思います。私もこんな楽しい謎を解けて幸せです」
「そうかい、そう言ってもらえて嬉しいよ」
「戸田さん、お力添えありがとうございました」
「どうだ、自分で見つけた謎を解けた感想は」
「そうですね…。ただただ楽しかったです!」
「そうか」
俺も、気がつけて、良かったよ。
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