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5.謎の箱
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「今日、帰りに一緒に何か食べに行こうよ」
「うん、いいよ」
「それじゃあ、もっと魔物を倒して稼がないとね」
「そうだね、もう少し頑張るか」
サリナは二人で連携をとりながら魔物を倒すことができたのが嬉しかったのかダンジョンに来る前よりも上機嫌になっているように感じる。だが、それでいて周囲の警戒を疎かにしていないようだ。
「サリナはいつからダンジョンに潜り始めたの?」
「うーん、二か月くらい前からかな」
「それで慣れているのか」
「ま、そうだね。でも、もっと強くなるためにユウくんから色々学ばなきゃ」
「俺はまだダンジョンは初心者なんだけどな」
「それでも強いのは事実でしょ。お互いに支え合いながら進んでいくのが仲間でしょ」
「たしかにそうだね。それじゃあ、俺が助けを必要としているときはよろしくね」
「もちろん!」
俺たちは周囲を警戒しつつ、談笑しながら前へと進んでいく。
「ちょっとまって、あれ何?」
サリナが指を差す先には白い壁の部屋のような場所があった。
慎重にその部屋へと足を踏み入れる。
部屋に入った瞬間に何かが起こるかもしれないと思っていたが、何も起こらなかった。ただ、その部屋の中心には一つの黒い箱が設置されていた。
その箱には小さなボタンのようなものも付いている。
(なんだこれは……)
「これってもしかして、ドロップアイテムじゃない?」
「ドロップアイテム?」
「そっか、ユウくんはまだダンジョン初心者だから知らないかもね。ダンジョンで収入を得るにはどうしたらいいか分かる?」
「魔物を倒して魔石を得ることじゃないの?」
「それもあるけど、もう一つ方法があるの」
魔石以外にもダンジョンで収入を得る方法があるのか。俺は最近ダンジョンに足を踏み入れたばかりの初心者だから知らなかった。
こういうことを教えてくれる人が近くにいて良かったかもしれない。
もしサリナがいなかったら俺は手に入れられるはずの収入を見逃してしまっていたかもしれない。
「もしかして、もう一つの方法がドロップアイテム?」
「そう。ドロップアイテムの中には高価な物もあったりするから見逃さないようにした方がいいよ」
「教えてくれてありがとう。この箱に付いてるボタンを押せばドロップアイテムがもらえるの?」
「それがよく分かんないんだよね。普通はただの何の変哲もない箱のはずなんだけど……」
「どうする? 押してみる?」
「そうだね、押さないと何も分からないままになっちゃうからね」
俺とサリナはお互いに顔を見合わせこくり、と頷き一緒に箱に付いたボタンを押す。
ボタンを押すとまるで地震が発生した時のように地面が大きく揺れ始める。
「何が起こってるんだ」
数秒の間揺れると、木製のパズルが地面から浮き上がってきた。
このパズルが何なのか分からないが、きっとこのドロップアイテムが入っているであろう箱となにかしら関係があるはずだ。
「多分だけど、このパズルを完成させないと箱は開かないんじゃないかな」
「パズルか……」
「もしかして、ユウくんこういうの苦手?」
「あまり得意ではないかな。そういうサリナはどうなの?」
「私は趣味程度にやったことがあるくらいかな」
「協力して完成させようか」
「そうだね」
パズルなんて全然触ったことがないんだよな。
今まで鍛錬ばかりしていてこういうものにあまり興味を示してこなかったから。
だが、今回はサリナがいる。
二人で協力してやれば早く完成させることができるかもしれない。
「ちなみにこれ何ピースあるんだろう」
「うーん、多分150くらいじゃない?」
「パズルの中だとまだマシなほうかな」
「まさか、ダンジョンの中でこんなに頭を使うことになるとは思わなかったね」
俺たちは憂鬱な気分になりながらもパズルのピースを手に取り、頭を使いながらパズルのピースをはめていく。
あまりやったことがないこともあり、どこにどのピースが合うのか全然わからない。だが、隣をみてみるとサリナはもう既に多くのピースを繋げていた。
趣味程度にやったことがあるくらいだと言っていたが、俺からしてみれば本当に趣味なのか疑うほどの速さだ。俺が苦手過ぎるだけなのかもしれないが。
「サリナ早くない? コツとかある?」
「外側から埋めていくと楽だよ。外側のピースは必ず平らな面があるから見つけやすいよ」
「なるほど。そういうことか」
サリナにパズルを埋めるコツを教えてもらい、その教え通りに平らな面があるピースを手に取り、外側から埋めていく。
教えてもらったことで先ほどよりも早くパズルを埋めていく。
その後、約一時間もの間二人で集中しながらパズルを埋めていき、ようやく完成させることができた。
「やった~~~!」
「魔物と戦うよりも疲れた気がする」
「これでドロップアイテムがもらえるはず……」
「どうしたの?」
「なんか、開かない」
パズルを完成させたのに、黒い箱は全く開かないようだった。
俺たちが何度も開けようとしていると、パズルが地面の下へと戻って行き再び地面が大きく揺れる。
すると、地面に巨大な穴が現れ、そこから何かが姿を現す。俺たちの何倍もの大きさをした何かが。
「これって……」
「うん、やばいかも……」
「「ミノタウロスだぁぁあああああ!!!」」
そこに姿を現したのは、牛の頭をした二足歩行の筋骨隆々な肉体をもった魔物だった。
こいつを倒さなければ、ドロップアイテムを手に入れられないってことかよ。これで高価なドロップアイテムじゃないわけないよな!
俺たちは覚悟を決め、武器を構える。
「うん、いいよ」
「それじゃあ、もっと魔物を倒して稼がないとね」
「そうだね、もう少し頑張るか」
サリナは二人で連携をとりながら魔物を倒すことができたのが嬉しかったのかダンジョンに来る前よりも上機嫌になっているように感じる。だが、それでいて周囲の警戒を疎かにしていないようだ。
「サリナはいつからダンジョンに潜り始めたの?」
「うーん、二か月くらい前からかな」
「それで慣れているのか」
「ま、そうだね。でも、もっと強くなるためにユウくんから色々学ばなきゃ」
「俺はまだダンジョンは初心者なんだけどな」
「それでも強いのは事実でしょ。お互いに支え合いながら進んでいくのが仲間でしょ」
「たしかにそうだね。それじゃあ、俺が助けを必要としているときはよろしくね」
「もちろん!」
俺たちは周囲を警戒しつつ、談笑しながら前へと進んでいく。
「ちょっとまって、あれ何?」
サリナが指を差す先には白い壁の部屋のような場所があった。
慎重にその部屋へと足を踏み入れる。
部屋に入った瞬間に何かが起こるかもしれないと思っていたが、何も起こらなかった。ただ、その部屋の中心には一つの黒い箱が設置されていた。
その箱には小さなボタンのようなものも付いている。
(なんだこれは……)
「これってもしかして、ドロップアイテムじゃない?」
「ドロップアイテム?」
「そっか、ユウくんはまだダンジョン初心者だから知らないかもね。ダンジョンで収入を得るにはどうしたらいいか分かる?」
「魔物を倒して魔石を得ることじゃないの?」
「それもあるけど、もう一つ方法があるの」
魔石以外にもダンジョンで収入を得る方法があるのか。俺は最近ダンジョンに足を踏み入れたばかりの初心者だから知らなかった。
こういうことを教えてくれる人が近くにいて良かったかもしれない。
もしサリナがいなかったら俺は手に入れられるはずの収入を見逃してしまっていたかもしれない。
「もしかして、もう一つの方法がドロップアイテム?」
「そう。ドロップアイテムの中には高価な物もあったりするから見逃さないようにした方がいいよ」
「教えてくれてありがとう。この箱に付いてるボタンを押せばドロップアイテムがもらえるの?」
「それがよく分かんないんだよね。普通はただの何の変哲もない箱のはずなんだけど……」
「どうする? 押してみる?」
「そうだね、押さないと何も分からないままになっちゃうからね」
俺とサリナはお互いに顔を見合わせこくり、と頷き一緒に箱に付いたボタンを押す。
ボタンを押すとまるで地震が発生した時のように地面が大きく揺れ始める。
「何が起こってるんだ」
数秒の間揺れると、木製のパズルが地面から浮き上がってきた。
このパズルが何なのか分からないが、きっとこのドロップアイテムが入っているであろう箱となにかしら関係があるはずだ。
「多分だけど、このパズルを完成させないと箱は開かないんじゃないかな」
「パズルか……」
「もしかして、ユウくんこういうの苦手?」
「あまり得意ではないかな。そういうサリナはどうなの?」
「私は趣味程度にやったことがあるくらいかな」
「協力して完成させようか」
「そうだね」
パズルなんて全然触ったことがないんだよな。
今まで鍛錬ばかりしていてこういうものにあまり興味を示してこなかったから。
だが、今回はサリナがいる。
二人で協力してやれば早く完成させることができるかもしれない。
「ちなみにこれ何ピースあるんだろう」
「うーん、多分150くらいじゃない?」
「パズルの中だとまだマシなほうかな」
「まさか、ダンジョンの中でこんなに頭を使うことになるとは思わなかったね」
俺たちは憂鬱な気分になりながらもパズルのピースを手に取り、頭を使いながらパズルのピースをはめていく。
あまりやったことがないこともあり、どこにどのピースが合うのか全然わからない。だが、隣をみてみるとサリナはもう既に多くのピースを繋げていた。
趣味程度にやったことがあるくらいだと言っていたが、俺からしてみれば本当に趣味なのか疑うほどの速さだ。俺が苦手過ぎるだけなのかもしれないが。
「サリナ早くない? コツとかある?」
「外側から埋めていくと楽だよ。外側のピースは必ず平らな面があるから見つけやすいよ」
「なるほど。そういうことか」
サリナにパズルを埋めるコツを教えてもらい、その教え通りに平らな面があるピースを手に取り、外側から埋めていく。
教えてもらったことで先ほどよりも早くパズルを埋めていく。
その後、約一時間もの間二人で集中しながらパズルを埋めていき、ようやく完成させることができた。
「やった~~~!」
「魔物と戦うよりも疲れた気がする」
「これでドロップアイテムがもらえるはず……」
「どうしたの?」
「なんか、開かない」
パズルを完成させたのに、黒い箱は全く開かないようだった。
俺たちが何度も開けようとしていると、パズルが地面の下へと戻って行き再び地面が大きく揺れる。
すると、地面に巨大な穴が現れ、そこから何かが姿を現す。俺たちの何倍もの大きさをした何かが。
「これって……」
「うん、やばいかも……」
「「ミノタウロスだぁぁあああああ!!!」」
そこに姿を現したのは、牛の頭をした二足歩行の筋骨隆々な肉体をもった魔物だった。
こいつを倒さなければ、ドロップアイテムを手に入れられないってことかよ。これで高価なドロップアイテムじゃないわけないよな!
俺たちは覚悟を決め、武器を構える。
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