世界を越えてもその手は

犬派だんぜん

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4章 もう一つのスキル

4-7. 僕の独占欲 *

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 お屋敷に戻ると、玄関でアルが出迎えてくれた。
 ただいま、と抱き着くと、抱きしめてつむじにキスしてくれる。僕はこのキスが好きだ。この時だけは、背が小さくてもよかったと思える。
 気付くとシリウスの3人が呆れた顔で見ている。たしかにイチャイチャしてました。ごめんなさい。

 お昼を食べて少し休んだら、ブランによるアルの特訓だ。
 シリウスの3人と一緒に、ブランの攻撃を片っ端から撃ち落としていくアルを見ている。しばらく続けていたので、アルもだいぶ反撃できるようになっている。といってもブランは全く本気じゃないけど。

「思ってたのの数十倍すげえ」
「アルさん、強っ」
「いやいや、それよりもあれ、シルバーウルフじゃないよな?」

 魔法や氷や炎が飛び交っていて、僕には詳しいところまでは分からないけど、シリウスの3人には見えているようだ。今の攻撃は、とか、あの体勢で、とか話している。
 アルの体力と魔力が尽きたところで終わった。今日もアルがヘロヘロになっている。

「お前たちもやるか?」
「全く相手になりませんよ」
「ブランは手加減してくれるよ」
「それなら、こんな機会ないからやりたいです」

 ということで、第2戦はシリウス vs ブランだ。
 氷の矢は危ないのでなしで、氷の玉はアルの時よりも少ないし飛ぶスピードも遅い。それが3人に分散されているが、風魔法がメインのコーチェロくんが、氷を避けきれずに時々受けてしまっている。
 キリシュくんはさすがの俊敏な動きで全ての氷を避けてブランに迫ろうとしたところで、魔法で吹き飛ばされている。
 スリナザルくんがコーチェロくんのカバーに入って、氷を叩き斬ったとき、スリナザルくんの剣が折れてしまった。
 あっ、と思ったときには、全ての氷が消えていた。ブランが消してくれたみたいだ。みんなに怪我がなくてよかった。

「剣折れちゃったの、ブランの氷のせいだよね。ごめんなさい」
「いや、長く使ってたから、買い替え時だったんだろう。アルさんが普通に斬ってたから、いけると思ったけど……」
「魔法で作られた氷だからな」
「ダンジョンのドロップ品の剣でよければあるよ」
「ありがたいけど、高くて買い取れないから」

 結局、アルの提案で、僕がアイテムボックスに持っているドロップ品の剣で合うものがあれば、ギルドの買取価格で売って、支払いは1年以内ということになった。ブランの氷で壊れちゃったのだからあげてもいいと僕は思うけど、アルが言うなら仕方がない。
 アイテムボックスから、剣を出して並べていく。
 その中から、今まで使っていた剣と同じような形をアルが選んで、スリナザルくんがそれを1本ずつ振っていく。

「これって剣がドロップするっていうゾヤラのブロキオンのか?」
「そう。魔剣以外の滅多に買い取りに出ないすごくいい剣は買い取ってもらえたんだけど、それ以外の剣は地元の冒険者の収入源だからって断られたんだ。僕たち全部拾うから量が多すぎたみたいで」
「ああ、普通は全部持って帰ってこれないもんな」

 剣の候補が決まり、スリナザルくんがアルと打ち合いをして、最終的に1本を決めた。
 アルのアドバイスで前のものより少し重めの剣にしたから、慣れるまでに少し時間がかかるらしいので、しばらくはダンジョンに行かず、ここでアルや警備の元冒険者と訓練することになった。


「今日はいいものが買えたのか?」
「うん。明後日届くから、楽しみにしててね」
「ああ」
「アル、シリウスのみんなを呼んでくれてありがとね」
「ユウが元気になったならいい」

 額にキスをしてくれる。いつだってアルは僕のことを優先してくれる。

「ねえ、アル、しよう」
「ユウ、身体は」
「もう平気だよ。眠れるし、剣だって怖くなくなったし」

 あれから、アルはそういう目的では僕に触れないけど、僕だってそれなりに欲はあるのだ。
 でもアルは、本当に大丈夫なのかと、いまいち乗り気じゃない。だったら仕方がない、僕が襲うしかないよね。体重をかけて、アルを押し倒した。

 深くなっていくキスの合間に、アルの着ているものを脱がせ、露になった筋肉に触れていく。戦う者の身体だ。

「ユウ……」

 アルが欲に濡れた目で、僕を捕食しようと、僕だけを見ている。強烈な独占欲が満たされる、この眼差しがたまらない。
 僕は見せつけるように服を脱ぎ、獣に身体を差し出した。

「ユウ、上手だ、そのまま腰を落として」
「ああっ、だめっ、あっ、やあぁ」

 僕がアルを押し倒したのに、主導権はすぐにアルに取られて、僕はずっとアルの上で喘ぐことしかできないでいる。

「ほら、腰を動かして」
「きもちよく、て……、できなっ、ああっ、やぁっ、だめぇぇ!」

 今日は僕がアルを気持ちよくしようと思ったのに、快感に力が入らず思うように動けない。
 アルに下から突き上げられて、その度にあられもない声が漏れ出てしまう。

「だめっ、そこっ、まって、やぁっ、アル、まっ、ああぁぁ!」
「っ、ユウ、俺はイってないから頑張れ」
「はっ、まって、すこし、休みた、いあああぁぁぁ!」
「くっ」
「やあ、だめっ、まって、まっ、そこっ、いやぁ」

 アルに腰を持たれて、僕が気持ちよくて逃げたくなるところを何度も何度も狙って突かれて、感じすぎて自分がイっているのかどうかも分からない。
 快感が辛くて逃げたいのに、下から見上げてくるアルの、こんな時にしか見せない野性的な笑みに、すべてを明け渡してしまいたくなる。
 アルも少し息があがっていて、盛り上がった胸の筋肉が呼吸に合わせて上下するのが色っぽい。

「ユウ、今日は、気持ち良くしてくれるんだろう」
「するっ、するからっ」
「じゃあ、もう少し、頑張ってくれ」

 そう言って、下から強く突き上げられた。

「っあああぁぁぁぁ…………!」

 身体が突っ張って、快感を逃がせない。お腹の奥から伝わってくるあまりに強い快感から逃げたいのに、次から次へと襲ってきて息が出来ない。
 それなのにアルが容赦なく突き上げてくる。ダメだ、また来る。

「はっ……あっ……あああっ!」

 いつもと違う僕の様子に、アルが意地悪くさらに責め立てる。

「ユウ、上手だ」
「まっ……あっ……、ぃやああぁ!」
「そのままイってろ」
「あっんあっ……まっ……めっ、だめっ、ああっ!」

 逃げられない。快感が止まらない。もうこれ以上ないと思っても、アルの次の一突きで、さらに上回る快感を突きつけられる。

「ユウ、出すぞ」
「あっ、アル、んっ、ちょ……だいっ」
「くっ、反則だっ」
「あっ、ああっ、あああぁぁぁぁぁーーーーっ!」

 そこで僕の意識は白く塗りつぶされた。


 目が覚めた時はすでに昼前だった。身体が怠い。

「起きたか。身体は大丈夫か?」

 アルが上機嫌で挨拶してくれるけど、恥ずかしくて顔が見れない。
 昨日はなんだか気分が盛り上がってしまった結果、思い出したら叫び出しそうなことをあれこれした自覚があるのだ。
 ベッドに顔をうずめていると、耳元でささやかれた。

「積極的なユウがよくて、無理をさせてしまった。でもまた昨日のように誘ってくれ」
「なっ……!」

 恥ずかしすぎて声も出ない。
 忘れてください、お願いします。


 宝石店で注文した、コーチェロくんのピアスと、僕のペンダントが、お屋敷に届いた。
 コーチェロくんのピアスは、花をあしらった籠の中に宝石が入っているような、とてもかわいらしい出来上がりだ。

「こちらがコーチェロ様ご注文のピアスになります。ご自身で入手された石とのことでしたので磨くくらいにしてあまり加工せず、ご結婚のプレゼントですので式典でよく使われる花を細工に入れました」
「姉さんに似合いそう。ありがとうございます」

 プレゼント用の箱に入れてリボンをかけたものを、コーチェロくんは大切そうに受け取った。

「次に、ユウ様にご注文いただきましたペンダントです」

 僕が頼んだペンダントは、石は綺麗にカットされ、台座にはオオカミと花と透明な石があしらわれていた。

「こちらは同じ宝石ですが、色味の違いで緑と黒に見えます。台座にはお二人のパーティー名から氷と花、また従魔のオオカミをモチーフとして使用しました」
「アルとお揃いにしたんだけど、ブランもお揃いだ」
「ユウ、素敵なプレゼントをありがとう。どっちがユウのだ?」
「僕は緑がいいけど、アルは黒でもいい?」
「ああ」

 アルが緑の石のペンダントを僕にかけて、額にキスをしてくれた。僕もアルに黒の石のペンダントをかけると、アルは「ユウの色だ」と言って石にキスをする。かっこいいけど、お店の人も見ているので恥ずかしい。

「気に入っていただけたようで、よかったです」
「ありがとうございます。すごく素敵です」
「俺も恋人ほしい」
「今近づいてくるヤツは絶対ユウくん狙いだぞ、気をつけろ」

 スリナザルくん、なんかごめんね。
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