68 / 226
8章 付与の商会の準備
8-1. チーズ料理
しおりを挟む
僕はある日、この剣と魔法のファンタジーな世界に迷い込んだ。契約してくれた神獣のブランと、恋人のアルと一緒に、冒険者として生計を立てている。
先日、潜っている最中のダンジョンがあふれるという経験をして、そこから無事脱出するためにブランに助けてもらった。そのブランが食べたいと言ったチーズを買うためと、アルの友人であるカリラスさんに会うために、アルの故郷であるドガイへ行ってきた。
帰ってきてからはカザナラの別荘でのんびりしていたけれど、そろそろブランがダンジョンに行きたそうにしている。ドガイでは薬箱ダンジョンの攻略をしたが、ずっと他人の目があったためにブランは実力を隠していたから、そろそろ暴れたいのだろう。
「アル、ブランが周りを気にしなくていいダンジョンに行きたい」
「そうだな。コハツの不人気のダンジョンはどうだ?あそこなら人目もないし、ブランも楽しめるんじゃないか」
『ブロキオンがいいが、あそこでもいいだろう』
ブランは本当にブロキオンがお気に入りだ。ブロキオンはゾヤラにある剣をドロップする上級ダンジョンで、最下層のボスが首なし騎士で、僕たちが行くと魔剣がドロップする。僕はあそこの首なし騎士は存在自体が許せないので行きたくないけれど、ブランのためにも近いうちに行くことになるんだろうなあ。魔剣はもういらないのに。
けれどその前に、まずはチーズパーティーだ。
ドガイで大量の各種チーズと、そのチーズの料理法を貰ってきたが、それをお屋敷の料理人に見せたところ問題なく料理できると言われたので、いろいろ料理を作ってもらっている。
今更知ったのだが、このお屋敷の料理長も王宮で働いていた人だった。ブランが屋台の食べ物を好んでいるからと、屋台の料理まで研究してくれている研究熱心な人らしい。執事のサジェルといい、王宮から冒険者のお屋敷の使用人なんて、僕からすれば都落ち感がすごい気がするけど、納得しているのか心配になってしまう。いくら僕がアイテムボックス持ちとはいえ、ただの冒険者には変わりないのに。
「ユウ様のご希望で、チーズをつけて食べる料理を3種類のお味でご用意いたしましたので、お好きな物をお召し上がりください」
出てきたのはそう、チーズフォンデュだ。僕の適当な説明を聞いて、本当にチーズフォンデュが出てきた。すごい。
チーズを加熱する小っちゃいお鍋は魔道具だ。ガーデンパーティーの時などに、こういう形式でスープを用意することがあるそうで、その小型版だ。
具材をフォークに刺して、チーズをくぐらせて食べてみる。うん、日本でも数回しか食べたことがないけど、これはチーズフォンデュだ。プレーン、スパイスが効いたもの、甘めの物とそれぞれ味が違うが、美味しい。
「アル、大丈夫?」
「ああ。面白い食べ方だが旨いな」
「アルはどれが好き?」
「このスパイスが効いたものだな。酒に合いそうだ」
いつもはあまり飲まないアルが、サジェルにワインを用意させているから、かなり気に入ってくれたみたいだ。
ブランはどうかなと見ると、すでに食べ終わっていた。
『(ユウ、もっとくれ)』
「どれがいい?」
『(全部だ)』
さすが食いしん坊、どの味も気に入ったようだ。ブラン用には大きめに切った具材の上にたっぷりチーズがかけられている。特にグリルしたお肉にプレーンのチーズソースをかけたものが一番のお気に入りらしい。
僕は甘めのチーズにパンをつけて食べるのが気に入ったが、ずっと同じ味を食べていると飽きるので、いろんな味があるのはいいな。お芋にスパイスも美味しい。
ドガイのチーズは、タペラのあふれを生き延びるために手を貸してくれたブランへのお礼だ。
僕がチーズを使った料理として思いついたのは、チーズフォンデュとチーズケーキとパスタだけだった。日本でいろいろ美味しいものを食べていたはずだけど、いざとなると出てこない。チーズフォンデュはこの国では食べられていないようなので作ってもらえるように説明してお願いしたが、後はもともとこの国にもあるようなので、お任せで料理してもらっている。
チーズフォンデュはブラン用にたくさん作ってもらってアイテムボックスに入れておこう。時間が止まるアイテムボックスなら、冷えてチーズが固まることもないので便利だ。
もちろんダンジョン攻略中の食事にと、ハムチーズサンドとチーズバーガーも大量に作ってもらって、収納済みだ。
ドガイの旅の疲れを十分に癒して、チーズも堪能したところで、カザナラの近くの街、コハツのダンジョン攻略に来ている。
この街には上級ダンジョンがあるが、ドロップ品がしょぼいので不人気だ。不人気ダンジョンはあふれの予防のために軍が訓練で潜ることもあるが、コハツのギルドに尋ねたところ、今は軍も潜っていないので是非最下層まで攻略してほしいと言われた。攻略したほうがあふれの可能性が低くなると言われているからだろう。
「ダンジョン内でもやっぱり料理してほしいよね。僕が料理習うのが一番早いかなあ」
「ユウ、料理中にダンジョンがあふれたらどうするんだ」
「アイテムボックスにしまっちゃえばいいよね。火がついたままアイテムボックスに入れたら、中の物燃えちゃうかな」
「時間が止まってるなら燃えないだろう。温かい料理と冷たい料理を一緒に入れていても、ぬるくなったりしないだろう」
「たしかに」
なんでこんな話をしているかというと、このダンジョンのドロップ品が野菜だからだ。
モンスターを倒したらお芋に変わるとか意味が分からないけど、ドガイでケネス司祭様が言っていた「ダンジョンは神の遊び場」というのも間違いじゃないのかもしれない。さしずめここは野菜の神様の遊び場かな。
野菜のドロップ品はかさばるし、葉物はしなびるし、買い取り価格は高くない。それがこのダンジョンが不人気の理由だ。飢饉になればかなり重宝されるんだろうが、今は食料に困っていないので、人も集まらない。上層階には食材の確保に来る冒険者もいるが、中層からは人がいなくなる。
人がいない階層まで一気に潜ってからは、ブランが走り回ってモンスターを倒して回っているので、僕はアルとドロップ品の回収作業中だ。いや、回収ではなく、葉物や根菜など入り混じった収穫作業だ。
「ユウ、腰は大丈夫か?」
「痛い。疲れた」
「休憩するか」
カークトゥルスで魔石を拾う用に作ってもらったマジックハンドも、傷がついてしまうので野菜には使えない。拾うだけなので、掘ったり摘み取ったりする本当の収穫作業よりは楽だが、それでも腰が痛くなるし、疲れる。
最下層まで10日以上、毎日この生活だと思うと気が滅入るが、それでもブランが楽しそうだから頑張って付き合おう。
ここのドロップ品は上層から下層までラインナップはほとんどが変わらないが、下層に行くほど美味しくなるそうだ。アルと話して、下層の美味しい野菜は頑張って拾う代わりに、中層の野菜は力を抜いて気が向いたら拾うことにした。
『ユウ、眠れないのか』
「なんだか目が冴えちゃって」
人のいないダンジョンのセーフティーエリアでは、天幕テントと呼んでいる、とても広いテントでくつろいでいる。前はアルと僕のベッドは分けていたけれど、今は大きなベッド1つにして、アルとブランと一緒に寝るようになった。
タペラのあふれから生還した後も、ダンジョンには潜っている。けれどあの頃はまだタペラで起きたことを落ち着いて振り返るような気分ではなかったというか、まだあの非常事態の興奮状態をちょっと引きずっていた。けれど、ドガイへ行って、気持ちもリセットされた今、ダンジョンのセーフティーエリアにいることが、少し怖いと思うようになった。このダンジョンも、あの時のようにあふれるかもしれないのだ。
「ダンジョンが怖いのか?」
「どうだろう。ダンジョンが怖いのか、その後に起きることが怖いのか、よく分からない」
僕はあのあふれで命の危険を感じることはなかった。身体が辛かったのは、ブランに乗ってノンストップで移動したときだけで、あの時だって支え無しでブランに乗り続けていることが体力的に辛かっただけで、それで自分の命が脅かされるかもしれないとは思いもしなかった。何があってもブランが守ってくれると信じていた。
やはり、あふれが落ち着いてからの冒険者の裏切りが、自分で思う以上に堪えているのかもしれない。もし同じ状況になったときどうすればいいのか、答えが出ない。
「アルは怖くないの?」
「ダンジョンのあふれは怖くないが、ユウに嫌われるのは怖いな」
「嫌いになんてならないよ?」
「ユウが俺を嫌いにならない限りブランが守ってくれるだろう?だからあふれは怖くない。ただユウが傷付かないか心配になる。戻るか?」
「戻らない。でも、どうするのが正解だったのかな」
あの時、どうすればよかったんだろう。僕がショックを受けていたから、誰も僕にあの時の話を振らない。冒険者ギルドにはアルだけが詳しく説明しに行ったし、おそらく僕には聞くなとアルがギルドに言ってくれているのだろう。
「ユウは間違ったことはしてない。あれはあいつらの問題だ」
「でも僕がマジックバッグを出さなければあんなことにはならなかった」
『だとしても、ユウ、お前に落ち度はない』
「また同じことがあったら」
『ユウ、もしまた潜っている最中にダンジョンが溢れたら、次は一気に地上まで戻る。例えユウに頼まれようと、冒険者を助けたりはしない。アルもいいな?』
「分かった。戻ったらギルドにも伝えておく」
ブランに守ってもらわなければ、多分僕は10分も生きていられなかった。助けられる人を見捨てるのは罪悪感が募るが、そもそも助けられるのはブランがいるからで、そのブランが助けないと言ったら僕には出来ることが何もない。きっとそれが分かっているから、ブランは助けないと宣言してくれたんだ。いつも、アルとブランに心まで守られている。
同じ状況になることはもうない。だから安心して眠れ。そう言ってブランが尻尾であやしてくれる。ブランにベッドに乗り切れるギリギリまで大きくなってもらい、アルとふたりでお腹に抱き込んでもらって、尻尾を掛布団にして、浅い眠りについた。
先日、潜っている最中のダンジョンがあふれるという経験をして、そこから無事脱出するためにブランに助けてもらった。そのブランが食べたいと言ったチーズを買うためと、アルの友人であるカリラスさんに会うために、アルの故郷であるドガイへ行ってきた。
帰ってきてからはカザナラの別荘でのんびりしていたけれど、そろそろブランがダンジョンに行きたそうにしている。ドガイでは薬箱ダンジョンの攻略をしたが、ずっと他人の目があったためにブランは実力を隠していたから、そろそろ暴れたいのだろう。
「アル、ブランが周りを気にしなくていいダンジョンに行きたい」
「そうだな。コハツの不人気のダンジョンはどうだ?あそこなら人目もないし、ブランも楽しめるんじゃないか」
『ブロキオンがいいが、あそこでもいいだろう』
ブランは本当にブロキオンがお気に入りだ。ブロキオンはゾヤラにある剣をドロップする上級ダンジョンで、最下層のボスが首なし騎士で、僕たちが行くと魔剣がドロップする。僕はあそこの首なし騎士は存在自体が許せないので行きたくないけれど、ブランのためにも近いうちに行くことになるんだろうなあ。魔剣はもういらないのに。
けれどその前に、まずはチーズパーティーだ。
ドガイで大量の各種チーズと、そのチーズの料理法を貰ってきたが、それをお屋敷の料理人に見せたところ問題なく料理できると言われたので、いろいろ料理を作ってもらっている。
今更知ったのだが、このお屋敷の料理長も王宮で働いていた人だった。ブランが屋台の食べ物を好んでいるからと、屋台の料理まで研究してくれている研究熱心な人らしい。執事のサジェルといい、王宮から冒険者のお屋敷の使用人なんて、僕からすれば都落ち感がすごい気がするけど、納得しているのか心配になってしまう。いくら僕がアイテムボックス持ちとはいえ、ただの冒険者には変わりないのに。
「ユウ様のご希望で、チーズをつけて食べる料理を3種類のお味でご用意いたしましたので、お好きな物をお召し上がりください」
出てきたのはそう、チーズフォンデュだ。僕の適当な説明を聞いて、本当にチーズフォンデュが出てきた。すごい。
チーズを加熱する小っちゃいお鍋は魔道具だ。ガーデンパーティーの時などに、こういう形式でスープを用意することがあるそうで、その小型版だ。
具材をフォークに刺して、チーズをくぐらせて食べてみる。うん、日本でも数回しか食べたことがないけど、これはチーズフォンデュだ。プレーン、スパイスが効いたもの、甘めの物とそれぞれ味が違うが、美味しい。
「アル、大丈夫?」
「ああ。面白い食べ方だが旨いな」
「アルはどれが好き?」
「このスパイスが効いたものだな。酒に合いそうだ」
いつもはあまり飲まないアルが、サジェルにワインを用意させているから、かなり気に入ってくれたみたいだ。
ブランはどうかなと見ると、すでに食べ終わっていた。
『(ユウ、もっとくれ)』
「どれがいい?」
『(全部だ)』
さすが食いしん坊、どの味も気に入ったようだ。ブラン用には大きめに切った具材の上にたっぷりチーズがかけられている。特にグリルしたお肉にプレーンのチーズソースをかけたものが一番のお気に入りらしい。
僕は甘めのチーズにパンをつけて食べるのが気に入ったが、ずっと同じ味を食べていると飽きるので、いろんな味があるのはいいな。お芋にスパイスも美味しい。
ドガイのチーズは、タペラのあふれを生き延びるために手を貸してくれたブランへのお礼だ。
僕がチーズを使った料理として思いついたのは、チーズフォンデュとチーズケーキとパスタだけだった。日本でいろいろ美味しいものを食べていたはずだけど、いざとなると出てこない。チーズフォンデュはこの国では食べられていないようなので作ってもらえるように説明してお願いしたが、後はもともとこの国にもあるようなので、お任せで料理してもらっている。
チーズフォンデュはブラン用にたくさん作ってもらってアイテムボックスに入れておこう。時間が止まるアイテムボックスなら、冷えてチーズが固まることもないので便利だ。
もちろんダンジョン攻略中の食事にと、ハムチーズサンドとチーズバーガーも大量に作ってもらって、収納済みだ。
ドガイの旅の疲れを十分に癒して、チーズも堪能したところで、カザナラの近くの街、コハツのダンジョン攻略に来ている。
この街には上級ダンジョンがあるが、ドロップ品がしょぼいので不人気だ。不人気ダンジョンはあふれの予防のために軍が訓練で潜ることもあるが、コハツのギルドに尋ねたところ、今は軍も潜っていないので是非最下層まで攻略してほしいと言われた。攻略したほうがあふれの可能性が低くなると言われているからだろう。
「ダンジョン内でもやっぱり料理してほしいよね。僕が料理習うのが一番早いかなあ」
「ユウ、料理中にダンジョンがあふれたらどうするんだ」
「アイテムボックスにしまっちゃえばいいよね。火がついたままアイテムボックスに入れたら、中の物燃えちゃうかな」
「時間が止まってるなら燃えないだろう。温かい料理と冷たい料理を一緒に入れていても、ぬるくなったりしないだろう」
「たしかに」
なんでこんな話をしているかというと、このダンジョンのドロップ品が野菜だからだ。
モンスターを倒したらお芋に変わるとか意味が分からないけど、ドガイでケネス司祭様が言っていた「ダンジョンは神の遊び場」というのも間違いじゃないのかもしれない。さしずめここは野菜の神様の遊び場かな。
野菜のドロップ品はかさばるし、葉物はしなびるし、買い取り価格は高くない。それがこのダンジョンが不人気の理由だ。飢饉になればかなり重宝されるんだろうが、今は食料に困っていないので、人も集まらない。上層階には食材の確保に来る冒険者もいるが、中層からは人がいなくなる。
人がいない階層まで一気に潜ってからは、ブランが走り回ってモンスターを倒して回っているので、僕はアルとドロップ品の回収作業中だ。いや、回収ではなく、葉物や根菜など入り混じった収穫作業だ。
「ユウ、腰は大丈夫か?」
「痛い。疲れた」
「休憩するか」
カークトゥルスで魔石を拾う用に作ってもらったマジックハンドも、傷がついてしまうので野菜には使えない。拾うだけなので、掘ったり摘み取ったりする本当の収穫作業よりは楽だが、それでも腰が痛くなるし、疲れる。
最下層まで10日以上、毎日この生活だと思うと気が滅入るが、それでもブランが楽しそうだから頑張って付き合おう。
ここのドロップ品は上層から下層までラインナップはほとんどが変わらないが、下層に行くほど美味しくなるそうだ。アルと話して、下層の美味しい野菜は頑張って拾う代わりに、中層の野菜は力を抜いて気が向いたら拾うことにした。
『ユウ、眠れないのか』
「なんだか目が冴えちゃって」
人のいないダンジョンのセーフティーエリアでは、天幕テントと呼んでいる、とても広いテントでくつろいでいる。前はアルと僕のベッドは分けていたけれど、今は大きなベッド1つにして、アルとブランと一緒に寝るようになった。
タペラのあふれから生還した後も、ダンジョンには潜っている。けれどあの頃はまだタペラで起きたことを落ち着いて振り返るような気分ではなかったというか、まだあの非常事態の興奮状態をちょっと引きずっていた。けれど、ドガイへ行って、気持ちもリセットされた今、ダンジョンのセーフティーエリアにいることが、少し怖いと思うようになった。このダンジョンも、あの時のようにあふれるかもしれないのだ。
「ダンジョンが怖いのか?」
「どうだろう。ダンジョンが怖いのか、その後に起きることが怖いのか、よく分からない」
僕はあのあふれで命の危険を感じることはなかった。身体が辛かったのは、ブランに乗ってノンストップで移動したときだけで、あの時だって支え無しでブランに乗り続けていることが体力的に辛かっただけで、それで自分の命が脅かされるかもしれないとは思いもしなかった。何があってもブランが守ってくれると信じていた。
やはり、あふれが落ち着いてからの冒険者の裏切りが、自分で思う以上に堪えているのかもしれない。もし同じ状況になったときどうすればいいのか、答えが出ない。
「アルは怖くないの?」
「ダンジョンのあふれは怖くないが、ユウに嫌われるのは怖いな」
「嫌いになんてならないよ?」
「ユウが俺を嫌いにならない限りブランが守ってくれるだろう?だからあふれは怖くない。ただユウが傷付かないか心配になる。戻るか?」
「戻らない。でも、どうするのが正解だったのかな」
あの時、どうすればよかったんだろう。僕がショックを受けていたから、誰も僕にあの時の話を振らない。冒険者ギルドにはアルだけが詳しく説明しに行ったし、おそらく僕には聞くなとアルがギルドに言ってくれているのだろう。
「ユウは間違ったことはしてない。あれはあいつらの問題だ」
「でも僕がマジックバッグを出さなければあんなことにはならなかった」
『だとしても、ユウ、お前に落ち度はない』
「また同じことがあったら」
『ユウ、もしまた潜っている最中にダンジョンが溢れたら、次は一気に地上まで戻る。例えユウに頼まれようと、冒険者を助けたりはしない。アルもいいな?』
「分かった。戻ったらギルドにも伝えておく」
ブランに守ってもらわなければ、多分僕は10分も生きていられなかった。助けられる人を見捨てるのは罪悪感が募るが、そもそも助けられるのはブランがいるからで、そのブランが助けないと言ったら僕には出来ることが何もない。きっとそれが分かっているから、ブランは助けないと宣言してくれたんだ。いつも、アルとブランに心まで守られている。
同じ状況になることはもうない。だから安心して眠れ。そう言ってブランが尻尾であやしてくれる。ブランにベッドに乗り切れるギリギリまで大きくなってもらい、アルとふたりでお腹に抱き込んでもらって、尻尾を掛布団にして、浅い眠りについた。
245
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる