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最終章 手を携えて未来へ
10-11. モクリークに帰ろう
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「もっと簡単に行き来できるといいのにね」
『望むなら空を駆けてやるぞ』
すごくやってみたいけど、オオカミが空を走っていたらみんなが驚いちゃうから、目立たない時にお願いしたい。でもブランなら、不可視の結界とか出来そうだな。
「僕が移動に向いている動物をテイムできるといいんだけど」
『必要ないだろう』
「アルのためだよ。僕と離れてアルが移動するときのため。ブラン、そういうのに向いたなんとかウルフとか探して連れてきて」
『ダンジョンに潜っているときはどうするんだ。馬と違って預かってもらえないぞ』
そうだった。移動くらいなら問題ないだろうけど、ダンジョンに一緒に潜って戦うためにはアルがテイムする必要がある。
これも企画倒れか。この動物テイムできたら便利じゃないかなっていう僕のアイデアは、ことごとく何かしら不都合があって実行されないでいる。もふもふ増やしたいのになあ。
コサリマヤまでは、周りを騎士団に護衛され、教会の馬車で進んだ。
騎士団の人たちはコサリマヤからコーモへと抜ける山道も護衛してくれると言ったけど、ブランに乗っていくので断った。山道で彼らのスピードに合わせると、途中で野営しなければならなくなる。
山道を越えてコーモに着くと、そこに教会の人と、ギルドが手配してくれた護衛の冒険者が待っていた。
「よお。家出は終わりか?」
「お帰り。元気そうで安心したよ」
「ユウ、ちょっとちっちゃくなったか?」
ちょっとやせたかもしれないけど背は変わってないよ、タムジェントさん。ガリドラさんは無言で頭を撫でてくれた。
獣道の4人が今までとあまりに変わらなくて、安堵から涙が出てしまった。
そこからは、教会が用意してくれた馬車に乗って、途中の街の教会に泊まりながら、カザナラの別荘には寄らずに王都へと移動した。
教会関係者と、なんとなくブランの正体に気付いていそうな獣道の4人しかいないので、ブランには子犬になってもらった。だって、ブランが大きいと、馬車の中が狭いのだ。
途中ゾヤラでは、教会までシリウスのみんなが会いに来てくれた。とても心配してくれて、王都まで一緒に行こうかと言ってくれたので、うれしくてまた泣いてしまった。
でももしかしたら襲われるかもしれない状況にシリウスのみんなを巻き込めない。ただでさえ僕の唯一の友人ということで、狙われるかもしれないのに。
それなのに、状況が落ち着いて、僕がダンジョンに潜れそうなら、また一緒にダンジョンに潜ろうと約束してくれた。友達ってありがたいな。
「マーナガルム様、ユウさん、アレックスさん、お帰りなさいませ。ドガイからの旅はいかがでしたか?」
「快適でした。これからご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
『世話になる』
「もったいないお言葉です。ユウさん、ここでのことはチルダム司教が取り仕切りますので、どうぞ家と思ってくつろいで下さいね」
ブランの言葉に感激で倒れたりはしないモクリークの大司教様は、いつも沈着冷静だ。それでも僕たちをすごく気遣ってくれていることが分かる優しい眼差しに、初めてくるところだけど、親戚の家のような安心感を得た。
僕たちは、チルダム司教様に案内されて、またもや貴賓室と呼べるような部屋に案内された。まあそうなるよね。今回はちゃんと覚悟していたよ。
そして部屋に入ると、サジェルがいた。
「お帰りなさいませ。身の回りのお世話のために参りました」
カザナラの別荘ではいつもこの、執事の見本のようなとても綺麗なお辞儀で出迎えられていた。それを見て、帰って来たって気分になったけれど、でもどうしていいかわからなくて視線でアルに助けを求めた。
「ユウ、ユウがしたいようにしていいんだ。嫌ならカザナラに帰せばいい」
「とりあえず数日いていただいて、それから考えてはいかがですか?陛下への要望などあれば伝えやすいでしょうし」
僕の戸惑いに、アルだけでなくチルダム司教様も助言をくれた。これから王様と交渉しないといけないし、サジェルは王様や貴族のこととか詳しいから、いてくれる方がいいかもしれない。でもサジェルはいいのかな?
と思っていたけど、次の言葉でとりあえず王様との交渉までは棚上げすることに決めた。
「お風呂の準備をしておりますので、まずはごゆっくり入浴をお楽しみください」
チルダム司教様とサジェルに相談に乗ってもらって、ギルドと王様と話す内容を考えている。
僕の要求は、僕の行動を妨げないこと、何も強要しないことだ。それを守ってもらえるなら、あふれの対応は協力する。ダンジョン特別部隊の武器も貸し出しを継続する。要求が通らないなら、武器も返してもらうし、この国を出る。
「ユウ、本当にユウが自分で交渉するつもりか?俺じゃダメなら、司教様にお願いすればいいんじゃないか?」
それではダメなのだ。
僕は、この世界でアルと一緒に生きていくと決めた。それは、アルに養ってもらうことじゃない。アルと助け合って生きていくことだ。
今まで僕がひとりで交渉したのは、奴隷商会でアルを買った時と、フェリア商会でアイスの魔石を売る時だけだ。それ以外は、ギルドとのやり取りも、家の購入も、サジェルとの契約も、全てアルがやってくれた。
今までのようにアルの後ろに隠れて、アルに頼っているのではダメなのだ。
僕だって日本にいれば社会人で後輩の指導をしていてもおかしくない歳だ。いきなり取引先の社長と大きな商談をまとめるような状況ではあるけど、でも不可能なことではないはずだ。アルも教会も助けてくれるのだから。
大丈夫。もう、知り合いも頼れる人もいなくて、ひとりぼっちだったカイドの頃とは違う。
まずは前哨戦、ギルドの交渉だ。言うなれば、フロアボス戦だ。
と言っても、ギルドは今までの経緯から考えてもきっと僕に無理なことは言ってこないはずなので、お互いの要望のすり合わせになるだろう。
「ユウさん、お帰りなさい。お元気そうで何よりです」
「帰りました。ギルドマスター、今日はお時間を取ってもらってありがとうございます。僕たちの待遇についてのお話をしたいと思いますが、よろしいですか」
僕が挨拶だけでなく話を進めていることにギルドマスターが驚いている。今までずっとアルに任せていたからそういう反応になるのは仕方がないのかな。
でも今日から僕は、ちょっとバージョンアップした新しいユウなのだ。頑張るぞ。
まずは僕の要求を伝えて、それに対するギルドマスターの反応を待つ。
「ギルドとは、今まで通りということですね。あふれにはアレックスさんは護衛として参加されますか?」
「その時地上にいれば、ユウの護衛として同行する」
「アルが参加しなくても、僕とブランは参加します」
「あふれの対応には、教会から必ず1名はユウさんに同行いたします」
今までアルと僕はセットだと思われていたけど、ドガイでは別行動でアルがダンジョンを攻略しているので、確認されたようだ。
不仲説も一部には流れているらしいので、これからそれも払拭しないといけないな。
「分かりました。今後、アレックスさんも含め、ギルドからの強制依頼は特例で対象外にします。指名依頼も今まで通り受け付けません」
「ありがとうございます」
強制依頼が免除されるのは特例中の特例だ。冒険者が特典を受けられるのは、いざという時の強制依頼を受ける義務があるからだ。それを免除すると、周りの冒険者から不満が出かねない。けれど、今の僕たちの状況で依頼を強制するのは、得策ではないと判断したのだろう。可能であれば受けてください、という努力目標にしてくれた。
「しばらくダンジョン攻略には行かない予定ですが、ギルドカードは失効しますか?」
「Sランクには期限がありませんので大丈夫ですよ」
僕はアイテムボックスを持っているからSランクになったので、あふれの対応でアイテムボックスを使うなら、たとえ期限があったとしても問題ないらしい。
僕の話はそれで終わった。
「ユウさん、今まで冒険者ギルドがユウさんに対して行ったことを、ギルドを代表して謝罪いたします。その上でギルドに協力してくださることに感謝いたします」
「ギルドとは良い関係でいたいので、今後は気を付けてください」
ふう。終わった。
最後ちょっと偉そうだったかなと思うけど、気にしませんって言っちゃいけないと思ったので、他にどう言っていいのか分からなかったのだ。
僕が緊張から解放されて伸びをしていると、ブランが足元にすりすりと頭を寄せて、よく頑張ったなと褒めてくれた。アルもチルダム司教様も褒めてくれるのが面映ゆい。でも少しだけ自信がついた。
次は本命の国との交渉だ。本命というかラスボスというか。
国との交渉は、中央教会で非公式で行われることになった。教会が日程を調整してくれて、ギルドマスターも同席してくれる。
「サジェル、何着ればいいかな?あとマナーが分からないんだけど」
「服はご用意しております。非公式ですのでマナーの細かいことは求められません」
「アルはなんでそんなに落ち着いているの?」
「落ち着いてはいないが、大司教様とお会いするのと変わらないだろう?」
そうなの?だいぶ違わない?
確かに、ヨーロッパの法皇と女王だと思えばどちらも遠すぎて変わらないような気もする。
ブランがいるから僕は大司教様に対してあまり緊張していないのかもしれない。ドガイで初めて大司教様に会ったときは、大司教様が僕が抱っこしていたブランに対して頭を下げたことで、緊張するよりも前にパニクったからね。
サジェルにはそのまま僕たちの身の回りの世話をしてもらっている。痒い所に手が届くサービスはさすが王宮に勤めていただけあるし、とりあえず国との交渉が決裂しなければ、このままお仕事をしてもらっていいかなと思っている。
王様にちょっと伝えたいことが出来たときとかに便利かもしれない、というのもある。ブランのおかげで全面的に僕の味方である教会から伝えてもらうと、大ごとになりそうな気もするから。
ギルドともちゃんと交渉できたんだし、王様相手も大丈夫だ。
交渉の日まであと何日と、まるで試験の日を待つ学生のような気分で過ごした。
『望むなら空を駆けてやるぞ』
すごくやってみたいけど、オオカミが空を走っていたらみんなが驚いちゃうから、目立たない時にお願いしたい。でもブランなら、不可視の結界とか出来そうだな。
「僕が移動に向いている動物をテイムできるといいんだけど」
『必要ないだろう』
「アルのためだよ。僕と離れてアルが移動するときのため。ブラン、そういうのに向いたなんとかウルフとか探して連れてきて」
『ダンジョンに潜っているときはどうするんだ。馬と違って預かってもらえないぞ』
そうだった。移動くらいなら問題ないだろうけど、ダンジョンに一緒に潜って戦うためにはアルがテイムする必要がある。
これも企画倒れか。この動物テイムできたら便利じゃないかなっていう僕のアイデアは、ことごとく何かしら不都合があって実行されないでいる。もふもふ増やしたいのになあ。
コサリマヤまでは、周りを騎士団に護衛され、教会の馬車で進んだ。
騎士団の人たちはコサリマヤからコーモへと抜ける山道も護衛してくれると言ったけど、ブランに乗っていくので断った。山道で彼らのスピードに合わせると、途中で野営しなければならなくなる。
山道を越えてコーモに着くと、そこに教会の人と、ギルドが手配してくれた護衛の冒険者が待っていた。
「よお。家出は終わりか?」
「お帰り。元気そうで安心したよ」
「ユウ、ちょっとちっちゃくなったか?」
ちょっとやせたかもしれないけど背は変わってないよ、タムジェントさん。ガリドラさんは無言で頭を撫でてくれた。
獣道の4人が今までとあまりに変わらなくて、安堵から涙が出てしまった。
そこからは、教会が用意してくれた馬車に乗って、途中の街の教会に泊まりながら、カザナラの別荘には寄らずに王都へと移動した。
教会関係者と、なんとなくブランの正体に気付いていそうな獣道の4人しかいないので、ブランには子犬になってもらった。だって、ブランが大きいと、馬車の中が狭いのだ。
途中ゾヤラでは、教会までシリウスのみんなが会いに来てくれた。とても心配してくれて、王都まで一緒に行こうかと言ってくれたので、うれしくてまた泣いてしまった。
でももしかしたら襲われるかもしれない状況にシリウスのみんなを巻き込めない。ただでさえ僕の唯一の友人ということで、狙われるかもしれないのに。
それなのに、状況が落ち着いて、僕がダンジョンに潜れそうなら、また一緒にダンジョンに潜ろうと約束してくれた。友達ってありがたいな。
「マーナガルム様、ユウさん、アレックスさん、お帰りなさいませ。ドガイからの旅はいかがでしたか?」
「快適でした。これからご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
『世話になる』
「もったいないお言葉です。ユウさん、ここでのことはチルダム司教が取り仕切りますので、どうぞ家と思ってくつろいで下さいね」
ブランの言葉に感激で倒れたりはしないモクリークの大司教様は、いつも沈着冷静だ。それでも僕たちをすごく気遣ってくれていることが分かる優しい眼差しに、初めてくるところだけど、親戚の家のような安心感を得た。
僕たちは、チルダム司教様に案内されて、またもや貴賓室と呼べるような部屋に案内された。まあそうなるよね。今回はちゃんと覚悟していたよ。
そして部屋に入ると、サジェルがいた。
「お帰りなさいませ。身の回りのお世話のために参りました」
カザナラの別荘ではいつもこの、執事の見本のようなとても綺麗なお辞儀で出迎えられていた。それを見て、帰って来たって気分になったけれど、でもどうしていいかわからなくて視線でアルに助けを求めた。
「ユウ、ユウがしたいようにしていいんだ。嫌ならカザナラに帰せばいい」
「とりあえず数日いていただいて、それから考えてはいかがですか?陛下への要望などあれば伝えやすいでしょうし」
僕の戸惑いに、アルだけでなくチルダム司教様も助言をくれた。これから王様と交渉しないといけないし、サジェルは王様や貴族のこととか詳しいから、いてくれる方がいいかもしれない。でもサジェルはいいのかな?
と思っていたけど、次の言葉でとりあえず王様との交渉までは棚上げすることに決めた。
「お風呂の準備をしておりますので、まずはごゆっくり入浴をお楽しみください」
チルダム司教様とサジェルに相談に乗ってもらって、ギルドと王様と話す内容を考えている。
僕の要求は、僕の行動を妨げないこと、何も強要しないことだ。それを守ってもらえるなら、あふれの対応は協力する。ダンジョン特別部隊の武器も貸し出しを継続する。要求が通らないなら、武器も返してもらうし、この国を出る。
「ユウ、本当にユウが自分で交渉するつもりか?俺じゃダメなら、司教様にお願いすればいいんじゃないか?」
それではダメなのだ。
僕は、この世界でアルと一緒に生きていくと決めた。それは、アルに養ってもらうことじゃない。アルと助け合って生きていくことだ。
今まで僕がひとりで交渉したのは、奴隷商会でアルを買った時と、フェリア商会でアイスの魔石を売る時だけだ。それ以外は、ギルドとのやり取りも、家の購入も、サジェルとの契約も、全てアルがやってくれた。
今までのようにアルの後ろに隠れて、アルに頼っているのではダメなのだ。
僕だって日本にいれば社会人で後輩の指導をしていてもおかしくない歳だ。いきなり取引先の社長と大きな商談をまとめるような状況ではあるけど、でも不可能なことではないはずだ。アルも教会も助けてくれるのだから。
大丈夫。もう、知り合いも頼れる人もいなくて、ひとりぼっちだったカイドの頃とは違う。
まずは前哨戦、ギルドの交渉だ。言うなれば、フロアボス戦だ。
と言っても、ギルドは今までの経緯から考えてもきっと僕に無理なことは言ってこないはずなので、お互いの要望のすり合わせになるだろう。
「ユウさん、お帰りなさい。お元気そうで何よりです」
「帰りました。ギルドマスター、今日はお時間を取ってもらってありがとうございます。僕たちの待遇についてのお話をしたいと思いますが、よろしいですか」
僕が挨拶だけでなく話を進めていることにギルドマスターが驚いている。今までずっとアルに任せていたからそういう反応になるのは仕方がないのかな。
でも今日から僕は、ちょっとバージョンアップした新しいユウなのだ。頑張るぞ。
まずは僕の要求を伝えて、それに対するギルドマスターの反応を待つ。
「ギルドとは、今まで通りということですね。あふれにはアレックスさんは護衛として参加されますか?」
「その時地上にいれば、ユウの護衛として同行する」
「アルが参加しなくても、僕とブランは参加します」
「あふれの対応には、教会から必ず1名はユウさんに同行いたします」
今までアルと僕はセットだと思われていたけど、ドガイでは別行動でアルがダンジョンを攻略しているので、確認されたようだ。
不仲説も一部には流れているらしいので、これからそれも払拭しないといけないな。
「分かりました。今後、アレックスさんも含め、ギルドからの強制依頼は特例で対象外にします。指名依頼も今まで通り受け付けません」
「ありがとうございます」
強制依頼が免除されるのは特例中の特例だ。冒険者が特典を受けられるのは、いざという時の強制依頼を受ける義務があるからだ。それを免除すると、周りの冒険者から不満が出かねない。けれど、今の僕たちの状況で依頼を強制するのは、得策ではないと判断したのだろう。可能であれば受けてください、という努力目標にしてくれた。
「しばらくダンジョン攻略には行かない予定ですが、ギルドカードは失効しますか?」
「Sランクには期限がありませんので大丈夫ですよ」
僕はアイテムボックスを持っているからSランクになったので、あふれの対応でアイテムボックスを使うなら、たとえ期限があったとしても問題ないらしい。
僕の話はそれで終わった。
「ユウさん、今まで冒険者ギルドがユウさんに対して行ったことを、ギルドを代表して謝罪いたします。その上でギルドに協力してくださることに感謝いたします」
「ギルドとは良い関係でいたいので、今後は気を付けてください」
ふう。終わった。
最後ちょっと偉そうだったかなと思うけど、気にしませんって言っちゃいけないと思ったので、他にどう言っていいのか分からなかったのだ。
僕が緊張から解放されて伸びをしていると、ブランが足元にすりすりと頭を寄せて、よく頑張ったなと褒めてくれた。アルもチルダム司教様も褒めてくれるのが面映ゆい。でも少しだけ自信がついた。
次は本命の国との交渉だ。本命というかラスボスというか。
国との交渉は、中央教会で非公式で行われることになった。教会が日程を調整してくれて、ギルドマスターも同席してくれる。
「サジェル、何着ればいいかな?あとマナーが分からないんだけど」
「服はご用意しております。非公式ですのでマナーの細かいことは求められません」
「アルはなんでそんなに落ち着いているの?」
「落ち着いてはいないが、大司教様とお会いするのと変わらないだろう?」
そうなの?だいぶ違わない?
確かに、ヨーロッパの法皇と女王だと思えばどちらも遠すぎて変わらないような気もする。
ブランがいるから僕は大司教様に対してあまり緊張していないのかもしれない。ドガイで初めて大司教様に会ったときは、大司教様が僕が抱っこしていたブランに対して頭を下げたことで、緊張するよりも前にパニクったからね。
サジェルにはそのまま僕たちの身の回りの世話をしてもらっている。痒い所に手が届くサービスはさすが王宮に勤めていただけあるし、とりあえず国との交渉が決裂しなければ、このままお仕事をしてもらっていいかなと思っている。
王様にちょっと伝えたいことが出来たときとかに便利かもしれない、というのもある。ブランのおかげで全面的に僕の味方である教会から伝えてもらうと、大ごとになりそうな気もするから。
ギルドともちゃんと交渉できたんだし、王様相手も大丈夫だ。
交渉の日まであと何日と、まるで試験の日を待つ学生のような気分で過ごした。
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