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続 3章 ドロップ品のオークション
13-8. タゴヤのギルドマスター
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リネとアルの薬箱ダンジョン攻略が決まったものの、勝手にダンジョンに行くわけにはいかないということで、ギルドマスターに教会に来てもらった。けれど、出会ってすぐからギルドマスターの愚痴が止まらない。
「お前らなあ、なんでそんなに引きが強いんだ。そっちのウルフもそうだってことだよな。モクリークのギルドに同情するぞ」
「ギルドマスター、無用な詮索はお控えくださいと、申したはずです」
「聞きましたよ。すみません。分かってますけど、それにしてもまったく」
大司教様に謝りながらも、なんだって俺がギルマスやってるときなんだと、ぼやいている。タゴヤのギルドマスターにとっては、神獣は歓迎したい相手ではないらしい。ギルドにとっては、人の力が及ばず道理の通じない相手など、例え神であっても厄介な相手でしかないんだろう。
「こっちはオークションの準備と全国から集まってきている奴らのせいで忙しいんだ。神獣様に文句を言える奴なんていないんだから、ダンジョンは勝手に行ってくれ」
「ドロップ品は?」
「好きにしろ」
なんだか心配になるくらい、ギルドマスターが投げやりだ。オークションのために他国から集まっている王族が、自分の部下に薬箱ダンジョンを攻略させたいから便宜を図れたと言われ続けて、いらだっているらしい。薬箱ダンジョンの前で揉めごとが起きていたら、神獣様に焼き払ってもらえないかと半ば本気でアルにお願いしているから、かなり面倒をかけられているのだろう。モンスターの強さは大したことがないのに攻略すればエリクサーが手に入るとあっては、ダンジョンに入りたい国は多そうだ。
「いいことを思いついた。神獣様がダンジョン攻略をご希望だからと、オークションが終わるまでダンジョンを封鎖しよう。うん、それがいい」
「ギルドマスター、それでは神獣様に会いたい者たちが薬箱ダンジョンに集まってしまいます」
「それくらいは協力してくれるよな?」
ギルドマスターの荒んだ雰囲気に、アルも異論を唱えられなかったようで、あいまいに笑っている。薬箱ダンジョンの一時閉鎖が決まってしまったようだ。神獣様のためなら、冒険者も他の国も文句を言えないから、それで押し通すらしい。力業だな。
さらにギルドマスターは、オークションが終わって他の国の王族が帰るまで、この国にとどまってほしいとアルにお願いしている。アルがドガイで活動していたころは現役の冒険者だったギルドマスターとはもともと顔見知り程度の関係はあったからか、ギルドマスターに遠慮がない。僕たちはオークションが始まる前にモクリークに戻る予定なのでアルは断ったけど、こっそり帰ってこの国にいることにしてくれと代案まで出されて、アルが苦笑していた。
薬箱ダンジョンではドガイの軍も攻略に乗り出しているので、国との調整はしてくれるそうだ。前回僕たちが攻略した時は、一部の騎士が協力を強制してきて、ブランが足元を凍らせたけど、相手がリネだと確実に大騒動が起きてしまう。そのせいでアルの故郷であるドガイに来られなくなるような事態は避けたいので、そこはドガイのほうでリネを怒らせるようなことをしないように、気を遣ってほしい。
その日はカリラスさんとサリュー司祭様と一緒に夕ご飯だ。サリュー司祭様もアルと仲が良いことが知れ渡っているので、リネについていろいろ聞かれるらしい。
「グァリネ様はどのように戦われるのですか?」
「風の魔法で切り裂くのが多いですね。周りに冒険者がいても気にしないので、リネが戦うときは周りの冒険者に離れるように呼びかけていたら、ダンジョン内では冒険者が近寄ってこなくなりました」
「まじか……」
ありそうだ。リネならきっと気にせず攻撃して、怪我をさせたことにも気づかないだろう。
カリラスさんが怖がっているから、ちょっと周りを気にしないことがあるだけで、リネは人懐っこいのだと教えてあげよう。
「アルが友達だと紹介した冒険者を見かけると、おやつをねだったりしているようですよ」
「おやつ?」
「リネは甘いものが好きで、隊商の護衛をしていた冒険者のところに寄っていったと聞きました。そのときは商品のクッキーを食べたらしいです」
「カリラスのところにも行くかもな」
きっと移動中のカリラスさんを見つけたら、寄っていく気がする。リネを少し恐れながらも、クッキーを用意しておくか、とカリラスさんが言っているけど、そういう面倒見のいいところをきっとリネに気に入るはずだ。
「これはやっちゃいけない、ということはあるか?」
「知らない奴に触られると怒るが、何かまずいことがあったらリネの興味を他のものに移せばいい。食べ物か光り物にはだいたい興味を持つ」
突然知らない人に触られるなんて、人間だって許せないだろう。神獣だからみんなちょっと信仰心とか特別感に浮かれてしまうだけで、相手に敬意をもって接するという基本を忘れなければ、きっと大きなトラブルにはならないはずだ。
機嫌を損ねたときのしっぺ返しがとんでもないものになるから、ちゃんと節度は守ってほしい。
「お前らなあ、なんでそんなに引きが強いんだ。そっちのウルフもそうだってことだよな。モクリークのギルドに同情するぞ」
「ギルドマスター、無用な詮索はお控えくださいと、申したはずです」
「聞きましたよ。すみません。分かってますけど、それにしてもまったく」
大司教様に謝りながらも、なんだって俺がギルマスやってるときなんだと、ぼやいている。タゴヤのギルドマスターにとっては、神獣は歓迎したい相手ではないらしい。ギルドにとっては、人の力が及ばず道理の通じない相手など、例え神であっても厄介な相手でしかないんだろう。
「こっちはオークションの準備と全国から集まってきている奴らのせいで忙しいんだ。神獣様に文句を言える奴なんていないんだから、ダンジョンは勝手に行ってくれ」
「ドロップ品は?」
「好きにしろ」
なんだか心配になるくらい、ギルドマスターが投げやりだ。オークションのために他国から集まっている王族が、自分の部下に薬箱ダンジョンを攻略させたいから便宜を図れたと言われ続けて、いらだっているらしい。薬箱ダンジョンの前で揉めごとが起きていたら、神獣様に焼き払ってもらえないかと半ば本気でアルにお願いしているから、かなり面倒をかけられているのだろう。モンスターの強さは大したことがないのに攻略すればエリクサーが手に入るとあっては、ダンジョンに入りたい国は多そうだ。
「いいことを思いついた。神獣様がダンジョン攻略をご希望だからと、オークションが終わるまでダンジョンを封鎖しよう。うん、それがいい」
「ギルドマスター、それでは神獣様に会いたい者たちが薬箱ダンジョンに集まってしまいます」
「それくらいは協力してくれるよな?」
ギルドマスターの荒んだ雰囲気に、アルも異論を唱えられなかったようで、あいまいに笑っている。薬箱ダンジョンの一時閉鎖が決まってしまったようだ。神獣様のためなら、冒険者も他の国も文句を言えないから、それで押し通すらしい。力業だな。
さらにギルドマスターは、オークションが終わって他の国の王族が帰るまで、この国にとどまってほしいとアルにお願いしている。アルがドガイで活動していたころは現役の冒険者だったギルドマスターとはもともと顔見知り程度の関係はあったからか、ギルドマスターに遠慮がない。僕たちはオークションが始まる前にモクリークに戻る予定なのでアルは断ったけど、こっそり帰ってこの国にいることにしてくれと代案まで出されて、アルが苦笑していた。
薬箱ダンジョンではドガイの軍も攻略に乗り出しているので、国との調整はしてくれるそうだ。前回僕たちが攻略した時は、一部の騎士が協力を強制してきて、ブランが足元を凍らせたけど、相手がリネだと確実に大騒動が起きてしまう。そのせいでアルの故郷であるドガイに来られなくなるような事態は避けたいので、そこはドガイのほうでリネを怒らせるようなことをしないように、気を遣ってほしい。
その日はカリラスさんとサリュー司祭様と一緒に夕ご飯だ。サリュー司祭様もアルと仲が良いことが知れ渡っているので、リネについていろいろ聞かれるらしい。
「グァリネ様はどのように戦われるのですか?」
「風の魔法で切り裂くのが多いですね。周りに冒険者がいても気にしないので、リネが戦うときは周りの冒険者に離れるように呼びかけていたら、ダンジョン内では冒険者が近寄ってこなくなりました」
「まじか……」
ありそうだ。リネならきっと気にせず攻撃して、怪我をさせたことにも気づかないだろう。
カリラスさんが怖がっているから、ちょっと周りを気にしないことがあるだけで、リネは人懐っこいのだと教えてあげよう。
「アルが友達だと紹介した冒険者を見かけると、おやつをねだったりしているようですよ」
「おやつ?」
「リネは甘いものが好きで、隊商の護衛をしていた冒険者のところに寄っていったと聞きました。そのときは商品のクッキーを食べたらしいです」
「カリラスのところにも行くかもな」
きっと移動中のカリラスさんを見つけたら、寄っていく気がする。リネを少し恐れながらも、クッキーを用意しておくか、とカリラスさんが言っているけど、そういう面倒見のいいところをきっとリネに気に入るはずだ。
「これはやっちゃいけない、ということはあるか?」
「知らない奴に触られると怒るが、何かまずいことがあったらリネの興味を他のものに移せばいい。食べ物か光り物にはだいたい興味を持つ」
突然知らない人に触られるなんて、人間だって許せないだろう。神獣だからみんなちょっと信仰心とか特別感に浮かれてしまうだけで、相手に敬意をもって接するという基本を忘れなければ、きっと大きなトラブルにはならないはずだ。
機嫌を損ねたときのしっぺ返しがとんでもないものになるから、ちゃんと節度は守ってほしい。
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