夢の中にいさせて~今日からイケメンと添い寝生活始めます!~

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第5話、王子はやっぱり王子様

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「本当に申し訳ありませんでした!」

 定時後に上司と美登里先輩に頭が膝につきそうなほど深い謝罪をしたら二人にも変に気を遣われてしまった。

「倒れるほどだったのに気にかけてやれなくて悪かったね」
「いえ……私がその、本当にすみません」

 寝不足なだけです、原因は置いておいても倒れた理由は寝不足なのだ。本当に恥ずかしいしかない。更衣室で美登里先輩と二人になったら顔を覗かれてまた心配された。

「不眠症? それいつから?」
「……ここ数カ月でしょうか」
「病院へは行った?」
「はい……お薬ももらってるんですけど、ちょっと体には合わなくて」
「そうなんだ……」

 当たり障りのない言葉で誤魔化しているが本気で心配してくれている美登里先輩に申し訳なくなる。

「ここ最近引っ越ししたりみゅーちゃんバタバタしてたよね。それもなにか理由があったの?」
「……」
「……篠原さんと別れたのもそれくらいだもんね」
「……」

 その言葉で美登里先輩はいろいろ察して言葉を飲み込んでいた。

「まだ吹っ切れないのかもしれないけど、気持ちはいつか風化するし落ち着く日が来るよ。好きだったならなおさらだ、ね? 気休めみたいな言葉になるけど、はやく元気になってね」
「……ありがとうございます」

 どれも思いやりと優しさから来ている言葉だとは分かっている。だからこそ美登里先輩の思いに笑顔で返したが、心の中ではまた笑っていない。これも八方美人なのかな、素直にここで気持ちや悩みを打ち明けられていたら美登里先輩との関係もまた一歩踏み込む仲になれるのかもしれないのに。人間関係の作り方や距離感に悩まされる毎日。結論、苦手なのかもしれない。苦手だったのに……踏み込んで信じてしまって……馬鹿をみた。

「それにしても白鹿さんは流石だったわぁ」

 美登里先輩から発せられた名前に身体がビクリと反応した。

「そそ、そのことなんですけど……その時の状況って詳しく聞かせてもらえたりしますか?」

 おそるおそる問いかける私に美登里先輩は口元を手で隠しながらもニヤニヤしていて全然顔が隠せていない。ニヤニヤ、完全に面白がっている顔だ。

「もうね、まさに王子だったわよ。倒れた瞬間は当然見てないんだけどね、白鹿さんが声をあげてくれて私も席を離れてエレベーターの方に向かったら、倒れたみゅーちゃんを抱えていたのね」

 その後――。
 頭は打っていないと思うと白鹿さんは私を抱えて様子を見てくれていたらしいが声をかけても反応しない私に白鹿さんと美登里先輩は心配した。わらわらと人が集まってくるから白鹿さんは私を抱えて医務室へ運ぶと連れ出してくれたそうだ。

「状況判断が速くてスマートだったよねぇ。みゅーちゃんを軽々抱き上げてさぁ」
「だき……」

 固まる私に美登里先輩は「むふふ」と微笑み耳打ちしてくる。

「お姫様抱っこ。まさに王子様でした、目の前で眼福、ごちそうさま」
「……」

 美登里先輩のどこまで本気かわからないからかいの言葉に青ざめるだけの私。それでもそのあとそのまま白鹿さんを拘束してベッドで一緒に眠っていたのかと思うとますます青ざめてくる。

「丁寧に……謝罪とお礼をします……」
「まぁ心配はかけてるだろうしね! お礼はすべきよ」

 お礼……その言葉を脳内で反芻させながら私はポケットにしまったままの白鹿さんから手渡された名刺を取り出していた。

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