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耐えがたい沈黙が室内を包む。その中では息を呑むのさえ憚られて瑠衣は窒息しそうになりかけていた。胸の音が聞こえているんじゃないかと思うほど静かで緊迫感がある。
(無理すぎる、限界)
沈黙にも空気にも耐えきれなくなった瑠衣は思い切って言葉にした。
「し、失礼します……」
まるで逃げるように背の高い太刀川の横をすり抜けようとしたら積み上げられた段ボールに勢いよく突っ込んだ。テンパっていた、視界は太刀川で塞がっていた、いろんな理由はあるがとどのつまり見えていなかった。
「きゃあ!」
ぶつかった反動で結局太刀川にぶつかる。
「すみ、すみませんっ!」
よろめいて棚にもぶつかる、パニック状態の瑠衣に太刀川がプッと吹き出した。バカにしたような笑いだったが不思議と嫌悪感はなかった、小さい子に笑いかけるようなそんな優しさを少し感じた。
「ほ、ほんとにすみませ……いたっ」
ぶつかった棚の鍵穴部分に髪の毛が引っかかった。それが瑠衣の行く手を阻んで逃げるに逃げられない。
「ちょっと待って」
そう言って手を伸ばしてきたのは太刀川の方だった。その手の動きに余計瑠衣は慌てて声を荒げる。
「あの!あの、だい、大丈夫なので!ほんとに……」
「動くなよ、取りにくいから」
そう言われたらもう動けない。瑠衣は諦めて太刀川の言葉に従った。早く取れればその分この状況から解放されるとむしろ前向きに捉えて太刀川に甘えることにした。
太刀川の香水が、無駄に香る。
キツくはない、少しだけ甘さを感じる匂い。どこかで嗅いだとか思わない、初めて知る匂いだ。だから思う、きっと太刀川と会った人はこの匂いを忘れないのではないか、また会えたらハッと匂いを思い出すだろう、そう印象づけるような香りでまたそれが太刀川によく似合っていた。
その香りに酔いかけてうっかり顔を見つめてしまった。
細い猫っ毛、スッと通った鼻筋に形の良いくちびるは女の子みたいにピンク色をしている。伏せられたまつ毛は長めでその下には漆黒の瞳が隠されている。噂だけであまり直視したことのない太刀川の顔は思っているよりもずっと中性的な綺麗な顔で。イメージがイメージなだけに戸惑う。
(なんか……すごい綺麗なひと……)
シミひとつない肌が羨ましい。なぜ太刀川は黒王子なのだろう、見た目だけなら白王子となんら引け目をとらない。やはり性格を揶揄されているのか、そんなことを呑気に思っていたら漆黒の瞳と目があった。
「とれた」
「あ、ありがとうございます、お手を煩わせまして……」
頭を下げたらいきなり顎を持ち上げられた。長い指が顎をなでて、親指の腹が頬に伝ってくる。
「あ……あ、のぉ……」
「感じないってほんと?」
瑠衣の目はこぼれ落ちそうなほど見開かれた。
「なんにも感じないの?触られても?挿れられても?濡れないてこと?」
矢継ぎに聞かれて瑠衣の口がワナワナと震え始める。聞く言葉も直球で何ひとつオブラートに包んではくれない。
そう聞く太刀川の声も感情のない淡々としたものでとくに表情が乱れることもない。さきほどのクリアファイルの場所を聞くくらいなんでもないことのように聞いてくるのだ。
「セックス気持ちいいて思ったことない?」
その言葉にカッとなった。
(無理すぎる、限界)
沈黙にも空気にも耐えきれなくなった瑠衣は思い切って言葉にした。
「し、失礼します……」
まるで逃げるように背の高い太刀川の横をすり抜けようとしたら積み上げられた段ボールに勢いよく突っ込んだ。テンパっていた、視界は太刀川で塞がっていた、いろんな理由はあるがとどのつまり見えていなかった。
「きゃあ!」
ぶつかった反動で結局太刀川にぶつかる。
「すみ、すみませんっ!」
よろめいて棚にもぶつかる、パニック状態の瑠衣に太刀川がプッと吹き出した。バカにしたような笑いだったが不思議と嫌悪感はなかった、小さい子に笑いかけるようなそんな優しさを少し感じた。
「ほ、ほんとにすみませ……いたっ」
ぶつかった棚の鍵穴部分に髪の毛が引っかかった。それが瑠衣の行く手を阻んで逃げるに逃げられない。
「ちょっと待って」
そう言って手を伸ばしてきたのは太刀川の方だった。その手の動きに余計瑠衣は慌てて声を荒げる。
「あの!あの、だい、大丈夫なので!ほんとに……」
「動くなよ、取りにくいから」
そう言われたらもう動けない。瑠衣は諦めて太刀川の言葉に従った。早く取れればその分この状況から解放されるとむしろ前向きに捉えて太刀川に甘えることにした。
太刀川の香水が、無駄に香る。
キツくはない、少しだけ甘さを感じる匂い。どこかで嗅いだとか思わない、初めて知る匂いだ。だから思う、きっと太刀川と会った人はこの匂いを忘れないのではないか、また会えたらハッと匂いを思い出すだろう、そう印象づけるような香りでまたそれが太刀川によく似合っていた。
その香りに酔いかけてうっかり顔を見つめてしまった。
細い猫っ毛、スッと通った鼻筋に形の良いくちびるは女の子みたいにピンク色をしている。伏せられたまつ毛は長めでその下には漆黒の瞳が隠されている。噂だけであまり直視したことのない太刀川の顔は思っているよりもずっと中性的な綺麗な顔で。イメージがイメージなだけに戸惑う。
(なんか……すごい綺麗なひと……)
シミひとつない肌が羨ましい。なぜ太刀川は黒王子なのだろう、見た目だけなら白王子となんら引け目をとらない。やはり性格を揶揄されているのか、そんなことを呑気に思っていたら漆黒の瞳と目があった。
「とれた」
「あ、ありがとうございます、お手を煩わせまして……」
頭を下げたらいきなり顎を持ち上げられた。長い指が顎をなでて、親指の腹が頬に伝ってくる。
「あ……あ、のぉ……」
「感じないってほんと?」
瑠衣の目はこぼれ落ちそうなほど見開かれた。
「なんにも感じないの?触られても?挿れられても?濡れないてこと?」
矢継ぎに聞かれて瑠衣の口がワナワナと震え始める。聞く言葉も直球で何ひとつオブラートに包んではくれない。
そう聞く太刀川の声も感情のない淡々としたものでとくに表情が乱れることもない。さきほどのクリアファイルの場所を聞くくらいなんでもないことのように聞いてくるのだ。
「セックス気持ちいいて思ったことない?」
その言葉にカッとなった。
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