10 / 75
lesson2
4
しおりを挟む
会う時間は木曜日の18時半、この備品倉庫で落ち合うこと。太刀川は一つだけ瑠衣に条件をつけてきた。
「真緒に……ですか?」
「そう、そのお友達にもこのことは内緒にしろ」
「言えませんよ、普通に」
「女の口なんか信用できない」
とにかく誰にも言うな、太刀川は瑠衣にそれだけ釘を刺した。
(自分に都合が悪いからかな……)
言葉を返すようだが自分にだって都合が悪い、瑠衣はそう思う。こんなこと誰かにバレたらもう首をつって死にたいと思う。それくらい覚悟を決めて太刀川の言葉に乗ったのだ。
(そもそも本当に治るの?)
瑠衣はそれだけが信じられない、そして瑠衣にもまた思いがある。
「治らなかったらどうするんですか?」
そう聞いた瑠衣の言葉に太刀川は目を丸くして驚いた顔をした。そんなに自分の腕に自信があるのかと瑠衣はむしろ呆れが勝った。
「な、治る前提でこんなことお願いして結果治らなかったら……これって」
「その時はぁ……考えたことなかったから考えとくわ」
とんだ自信と自惚れだな、と瑠衣は内心思う。それだけ自信があるのもすごい、さすがモテ男は違う。
「とりあえずさ」
太刀川は自分が腰を下ろすソファの左隣をポンポンと叩いて座るように促した。躊躇いつつも瑠衣は少しだけ距離を開けて傍に座ると思っていたよりも柔らかいクッションに体が沈んでそこへ収まった。
「処女なの?」
また直球でためらいもなく聞いてくるから瑠衣は真っ赤になって絶句した。それが答えになって太刀川は「ふぅん」と素直に納得する。
「最後までしてないってこと?」
「できなかったので……」
「濡れないから?」
聞かれて頷く。
「濡らす方法なんかいくらでもあるだろ。それってさ、その男が下手なだけだろ」
「私が病気だからです」
庇うつもりではなかったが瑠衣は声を荒げた。
「私に……問題があるから……」
途端に体が震え出して、瑠衣は自分の体を抱えるように縮こまった。震えを止めたいのに止まらない、それがまた余計に焦る。
あの時も震えた。震えているのに、相手の手は止まらなくて、それをだんだん心地いいと思えなくなった。怖いとは違う、拒否に似た気持ち、心はあるのに体が拒む、わかっているのに、どんどん体だけが強張っていく。
――俺のこと、嫌いなの?
脳裏に声が響いた。
「真緒に……ですか?」
「そう、そのお友達にもこのことは内緒にしろ」
「言えませんよ、普通に」
「女の口なんか信用できない」
とにかく誰にも言うな、太刀川は瑠衣にそれだけ釘を刺した。
(自分に都合が悪いからかな……)
言葉を返すようだが自分にだって都合が悪い、瑠衣はそう思う。こんなこと誰かにバレたらもう首をつって死にたいと思う。それくらい覚悟を決めて太刀川の言葉に乗ったのだ。
(そもそも本当に治るの?)
瑠衣はそれだけが信じられない、そして瑠衣にもまた思いがある。
「治らなかったらどうするんですか?」
そう聞いた瑠衣の言葉に太刀川は目を丸くして驚いた顔をした。そんなに自分の腕に自信があるのかと瑠衣はむしろ呆れが勝った。
「な、治る前提でこんなことお願いして結果治らなかったら……これって」
「その時はぁ……考えたことなかったから考えとくわ」
とんだ自信と自惚れだな、と瑠衣は内心思う。それだけ自信があるのもすごい、さすがモテ男は違う。
「とりあえずさ」
太刀川は自分が腰を下ろすソファの左隣をポンポンと叩いて座るように促した。躊躇いつつも瑠衣は少しだけ距離を開けて傍に座ると思っていたよりも柔らかいクッションに体が沈んでそこへ収まった。
「処女なの?」
また直球でためらいもなく聞いてくるから瑠衣は真っ赤になって絶句した。それが答えになって太刀川は「ふぅん」と素直に納得する。
「最後までしてないってこと?」
「できなかったので……」
「濡れないから?」
聞かれて頷く。
「濡らす方法なんかいくらでもあるだろ。それってさ、その男が下手なだけだろ」
「私が病気だからです」
庇うつもりではなかったが瑠衣は声を荒げた。
「私に……問題があるから……」
途端に体が震え出して、瑠衣は自分の体を抱えるように縮こまった。震えを止めたいのに止まらない、それがまた余計に焦る。
あの時も震えた。震えているのに、相手の手は止まらなくて、それをだんだん心地いいと思えなくなった。怖いとは違う、拒否に似た気持ち、心はあるのに体が拒む、わかっているのに、どんどん体だけが強張っていく。
――俺のこと、嫌いなの?
脳裏に声が響いた。
24
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
憧れのお姉さんは淫らな家庭教師
馬衣蜜柑
恋愛
友達の恋バナに胸を躍らせる教え子・萌音。そんな彼女を、美咲は優しく「大人の身体」へと作り替えていく。「ねえ萌音ちゃん、お友達よりも……気持ちよくしてあげる」眼鏡の家庭教師が教えるのは、教科書には載っていない「女同士」の極上の溶け合い方。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる