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エピソード・太刀川編
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内心うんざり、若干いらいら、そこに気づかないのか國枝は話しかけてくるからますます嫌悪がひどくなる。そこに話してくる内容がつまらさすぎるのだ。
「白鹿ばっかり一位だと面白くなくない?」
「別に」
顔も見ず愛想もなく返答しているのに國枝は空気も読まず会話を続けてくるからやはり気づかないのだろう。呆れもついてむしろおかしくなってきた。
「あいつってさ、どこにそんなツテがあるわけ?やっぱり女なの?」
浅い考えしかしないのも好きじゃないところのひとつだ。女だけで仕事が取れるわけがない。そういう仕事のやり方しかしてないから自分は五位にも入れないんだろうが、と太刀川は心の中で毒づいている。
「それでも取れるんなら才能なんじゃね?」
白鹿がそんな舐めた人物ではないことを太刀川が誰よりも知っている。それを國枝レベルに言ったところで意味もないし、そもそもまもとに返す気にもならない。適当にそう返したら國枝は真に受けたのか。
「才能ねぇ、欠点も弱点もなさそうだもんな、白鹿って」
面白くなさそうにつぶやく國枝を横目にパソコンを閉じて席を立つ太刀川に國枝が驚く。
「え、もう帰んの?」
「やることはやった。無駄な残業はしない」
「うっそ。なんか最近マジでおかしくない?彼女、下げマンなんじゃないの?!」
「あ?」
話しを切るために席を立ったのに噛みつかせてくる。
「総務の若槻さん?太刀川ってああいうタイプが好みだったわけ?めっちゃ意外だわ~」
お前が俺の何を知っている、そう喉まで出かけた言葉は当然飲み込むが苛立ちは隠せそうにない。なぜなら國枝はまだ瑠衣に対しての客観的評価を述べてくるからだ。
「なんか大人しそうだしぃ?ん~、めんどくさいこととか言いそうじゃん。ほら仕事と私どっちが大事?みたいな?実際言われてんの?」
瑠衣がそんなことを言うわけがない。なんなら我儘なんか言わずいつだって太刀川を優先するタイプだ。我儘こそ言わせたいくらいに思っているのに。
「仕事の鬼みたいだった太刀川がねぇ~。やる気下げさてるってことじゃないの?成績下がるわ、定時で帰るわ……信じらんねー」
「……脳みそ沸いてるわ」
「え?誰が?」
「……俺が。お先ー」
お前もだよ、と太刀川は思う。
太刀川は瑠衣を馬鹿にされて苛ついて沸騰しそうだ、國枝は蛆虫でも沸いて腐ってる、そんな思いで吐きだしたセリフだったが國枝がその真意に気づけるはずがなかった。
「白鹿ばっかり一位だと面白くなくない?」
「別に」
顔も見ず愛想もなく返答しているのに國枝は空気も読まず会話を続けてくるからやはり気づかないのだろう。呆れもついてむしろおかしくなってきた。
「あいつってさ、どこにそんなツテがあるわけ?やっぱり女なの?」
浅い考えしかしないのも好きじゃないところのひとつだ。女だけで仕事が取れるわけがない。そういう仕事のやり方しかしてないから自分は五位にも入れないんだろうが、と太刀川は心の中で毒づいている。
「それでも取れるんなら才能なんじゃね?」
白鹿がそんな舐めた人物ではないことを太刀川が誰よりも知っている。それを國枝レベルに言ったところで意味もないし、そもそもまもとに返す気にもならない。適当にそう返したら國枝は真に受けたのか。
「才能ねぇ、欠点も弱点もなさそうだもんな、白鹿って」
面白くなさそうにつぶやく國枝を横目にパソコンを閉じて席を立つ太刀川に國枝が驚く。
「え、もう帰んの?」
「やることはやった。無駄な残業はしない」
「うっそ。なんか最近マジでおかしくない?彼女、下げマンなんじゃないの?!」
「あ?」
話しを切るために席を立ったのに噛みつかせてくる。
「総務の若槻さん?太刀川ってああいうタイプが好みだったわけ?めっちゃ意外だわ~」
お前が俺の何を知っている、そう喉まで出かけた言葉は当然飲み込むが苛立ちは隠せそうにない。なぜなら國枝はまだ瑠衣に対しての客観的評価を述べてくるからだ。
「なんか大人しそうだしぃ?ん~、めんどくさいこととか言いそうじゃん。ほら仕事と私どっちが大事?みたいな?実際言われてんの?」
瑠衣がそんなことを言うわけがない。なんなら我儘なんか言わずいつだって太刀川を優先するタイプだ。我儘こそ言わせたいくらいに思っているのに。
「仕事の鬼みたいだった太刀川がねぇ~。やる気下げさてるってことじゃないの?成績下がるわ、定時で帰るわ……信じらんねー」
「……脳みそ沸いてるわ」
「え?誰が?」
「……俺が。お先ー」
お前もだよ、と太刀川は思う。
太刀川は瑠衣を馬鹿にされて苛ついて沸騰しそうだ、國枝は蛆虫でも沸いて腐ってる、そんな思いで吐きだしたセリフだったが國枝がその真意に気づけるはずがなかった。
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