あなたはキスだけしてくれない

sae

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番外編

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 待ち合わせ場所には真緒が先に着いていて早めのお昼を食べることにした。

「はい、同棲おめでとーん♡」
「ありがと、え、なに?本当にくれるの?」
「もちろーん。二人で楽しんで♡」
「楽しむ?」
 少し大きめのプレゼント袋、触った感じは柔らかい。二人で楽しむものとはなんだろう、と瑠衣は不思議そうに袋を揉むように触って中身を想像している。

「見ていい?」
「いいけど……袋の中で見てね」
「?」
 赤いリボンをほどいてガサっと袋の中を覗き込む。

「クッション?」
「それさ、100パーシルクだよ。ちょっとお高めだったんだからちゃんと活用してよね」
「?」
 真緒の言葉だけでは理解できない。そんな瑠衣の表情で心情を読みとる親友はにんまりと笑った。

「瑠衣からは誘えないって言ってたじゃん~。まぁ肉食っぽいけどさぁ、受け身ではないわな、黒王子は」

(誘う……)

 その言葉でなんとなく意味を察知するがクッションの意図が読めない。
 ガサッともう一度中を広げてよく見てみると白い横長のクッション、ではなく枕のようだ。白い部分にシルバー文字でYesとある。

「これなに」
「知らない?イエス・ノー枕。口でいえない瑠衣は夜、その枕を持って黒王子を誘いなさい。今夜しよって♡」
「え!」
「太刀川さんなら絶対知ってるよ、古典的なものだし、営業マン、そんなネタみたいなこと知らないわけない。てか、Yesだよ?裏のNo出したらダメだよ。まぁNoも我慢させてムラムラさせて盛り上がるとかいう使い方もあるって聞いたけど」
「ええ?!わ、私が誘うのぉ」
 ハッキリ意味を理解して瑠衣は赤面した。それに真緒は含み笑いだ。

「自分から一回誘ってみたいって言ってたじゃん~、自分からも気持ちもっと伝えていくって決めたんでしょ?」
「そ、そうだけどぉ」
「口で言わなくてもいいんだから上手に使ってみなよ。また報告待ってるね」
 そんな風に言われてとんでもないものをもらってしまったと思いつつ瑠衣は家路につくのだった。
 
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