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さっきまでは殺気だった猫みたいだったのに、腕の中にいる彼女が一変してとたんに懐くように可愛くなるから……。
(くそ可愛いんだけど、なんだこれ)
「まだ……久世さんの下で働きたいです」
しかも言うことも可愛い。
彼女が自分を上司として認めて好いてくれているのかと思うだけでどうしようもないほど胸に込み上がってくるものがあった。そんな心情の中彼女がぽつりとこぼしてくるのだ。
「……すき」
一瞬聞き逃してしまいそうなほどの小さなその言葉に、「え?」と間抜けな声をあげてしまった。
「すき」
そう言って顔を両手で隠して俯く。隠しきれてない耳が真っ赤に染まっていた。顔を見られたくなかったのは俺も同じかもしれない。その気持ちとそんな彼女の可愛さに、グッと身体を引き寄せて抱きしめると首筋に熱い息が吹きかかる。
抱きしめている、彼女を……。縮まらなかった距離がずっとあったのに、その距離をなくせるほど彼女が近くにいる。俺の……腕の中にいる。
(やばい、可愛すぎるな、これ)
熱が、匂いが、俺を刺激する。ずっと抱き締めたかったんだと実感する。この多幸感をなにに例えればいいのか。
「……もう一回……言ってくれる?」
「ぇ……」
耳元で囁くような声に熱が含まれたようでなんてことない言葉がやたら艶っぽい。無意識にそんな声を耳元で吐くなよと思うのに、この声でもう一度好きと言われたいんだ。
(俺を好きだと……もう一度)
一度だけじゃなく、何度でも――。
腕の中に包まれた彼女は少し身体をこわばらせていたがためらうように自分の腕をそっと背中に回してきた。
「二回、言いましたっ」
素直に言わない彼女。その感じもまた可愛くて、結局は可愛いしかない。
言葉の代わりに背中に回った手が制服をキュッと掴むといつかのことを思い出す。
あの時ためらいながら裾だけをつまんでいた手が、今は力強く俺を掴んでいる。離れないように、離さないように掴むから、だったらと俺も思う。
俺だって、もうこの手は離さない。
仕事だけじゃない、彼女自身をもう捕まえてどこにもやらない。
(絶対に手放さない)
そう心に決めてもう一度彼女の口にくちづけた。
(くそ可愛いんだけど、なんだこれ)
「まだ……久世さんの下で働きたいです」
しかも言うことも可愛い。
彼女が自分を上司として認めて好いてくれているのかと思うだけでどうしようもないほど胸に込み上がってくるものがあった。そんな心情の中彼女がぽつりとこぼしてくるのだ。
「……すき」
一瞬聞き逃してしまいそうなほどの小さなその言葉に、「え?」と間抜けな声をあげてしまった。
「すき」
そう言って顔を両手で隠して俯く。隠しきれてない耳が真っ赤に染まっていた。顔を見られたくなかったのは俺も同じかもしれない。その気持ちとそんな彼女の可愛さに、グッと身体を引き寄せて抱きしめると首筋に熱い息が吹きかかる。
抱きしめている、彼女を……。縮まらなかった距離がずっとあったのに、その距離をなくせるほど彼女が近くにいる。俺の……腕の中にいる。
(やばい、可愛すぎるな、これ)
熱が、匂いが、俺を刺激する。ずっと抱き締めたかったんだと実感する。この多幸感をなにに例えればいいのか。
「……もう一回……言ってくれる?」
「ぇ……」
耳元で囁くような声に熱が含まれたようでなんてことない言葉がやたら艶っぽい。無意識にそんな声を耳元で吐くなよと思うのに、この声でもう一度好きと言われたいんだ。
(俺を好きだと……もう一度)
一度だけじゃなく、何度でも――。
腕の中に包まれた彼女は少し身体をこわばらせていたがためらうように自分の腕をそっと背中に回してきた。
「二回、言いましたっ」
素直に言わない彼女。その感じもまた可愛くて、結局は可愛いしかない。
言葉の代わりに背中に回った手が制服をキュッと掴むといつかのことを思い出す。
あの時ためらいながら裾だけをつまんでいた手が、今は力強く俺を掴んでいる。離れないように、離さないように掴むから、だったらと俺も思う。
俺だって、もうこの手は離さない。
仕事だけじゃない、彼女自身をもう捕まえてどこにもやらない。
(絶対に手放さない)
そう心に決めてもう一度彼女の口にくちづけた。
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