1 / 1
1
しおりを挟む
ヘッドリー子爵家に新たに生まれた女の子サーシャは、生まれつき魔力を吸収する能力が低かった。
魔力が吸収できなければ魔力枯渇となり、生死を左右する。
自分自身で魔力を吸収できない者は、他人から譲渡してもらうことで生き延びることができる。
サーシャは両親や兄姉から魔力を分けてもらい、すくすくとは言えないがなんとか十五歳まで育った。
そんなサーシャに七歳年上の婚約者ができた。
婚約者の名前はアラスター。
アッシュフィールド伯爵家の嫡男でサーシャの兄の友人。さらに言えば、生まれたときからの付き合いでもある。
アラスターは魔力枯渇で苦しみつつも、それでも精一杯に生きるサーシャをこの手で守りたいと密かに想っていた。
その想いを叶えるため、アラスターは最年少で王宮魔法使いに上り詰め、様々な研究に着手した。
その結果、周囲の魔力を吸収し、登録者に魔力を供給する魔道具を生み出すことに成功した。
アラスターの生み出した魔道具はサーシャが着けることを想定したものであるため、ネックレスの形をしている。
魔道具の動力源となる魔石をアラスターの瞳の色と同じ色にして、サーシャへと贈った。
こうしてアラスターから贈られた魔道具を身に着けることでサーシャは他人から魔力の譲渡を受けずとも普通の生活を送れるようになった。
***
定期的に魔力を譲渡してもらわなければ魔力枯渇状態に陥ってしまうサーシャは、学院に通うことを諦めていた。
しかし、アラスターがくれた魔道具のおかげで普通の人と同じ生活ができる。
「学院に通ってみてはどうかな?」
両親や兄姉の勧めもあり、サーシャは学院へ通うことになった。
家庭教師から勉強を教わっていたこともあり、授業に困ることもなく、隣の席の令嬢とも仲良くなった。
順風満帆の学院生活を送っていたのだが、サーシャの婚約者が王宮魔法使いのアラスターだと知れ渡ると態度がよそよそしい者が増えた。
王宮魔法使いは国の誰もが憧れる職であり、アラスターの顔はとんでもなく整っている。さらにアッシュフィールド伯爵家の嫡男なので、職を辞しても将来安泰……。
以前からアラスターに好意を寄せていた者たちは、すぐにサーシャに陰湿ないじめを始める。
サーシャは学院内で孤立させられ、ない者として扱われ……、婚約破棄するまで続けると脅され、ついにアラスターがくれたネックレス型の魔道具を奪い取られた。
「あんたなんかがアラスター様の瞳と同じ色の物を持ち歩くなんて……! 身の程を知りなさい!」
普段であれば、相手は高位貴族であるためサーシャは我慢するのだが、奪われた魔道具はサーシャの生命線である。
「返してください! それがないと死んじゃうんです!」
サーシャの叫びはすべて無視された。
魔道具を奪われたことで魔力の供給が止まり、だんだん具合が悪く……魔力枯渇になりつつあると気付いたサーシャは急いで家へと帰った。
家族から魔力を譲渡してもらったが、しばらく安静が必要な状態に陥る。
連絡を受けてアラスターがサーシャの元を訪れた。
「魔道具を失くしてごめんなさい」
ベッドから起き上がれず、そのままの状態でサーシャがアラスターに謝罪する。
「大丈夫だ。また用意する」
アラスターはそっとサーシャの頭を撫で、ついでに魔力を供給した。
優しい魔力が流れてくる感覚にサーシャはほっと息を吐く。
「どこで失くしたのか予想はついているかい?」
「えっと、その……」
失くしたのではなく、奪われたのだとは言えず黙り込むサーシャ。
「サーシャに贈った魔道具は特別なものでね、君以外の者が触れると魔力を吸われて大変なことになるんだよ」
「え?」
サーシャは慌ててアラスターに魔道具を奪われたことを伝えた。
その後、アラスター率いる王宮魔法使いの調査によって、サーシャの魔道具を奪った者が判明したのだが……。
魔道具を奪った令嬢は、魔道具に魔力を吸われて干からびかけている状態で発見された。
魔力が吸収できなければ魔力枯渇となり、生死を左右する。
自分自身で魔力を吸収できない者は、他人から譲渡してもらうことで生き延びることができる。
サーシャは両親や兄姉から魔力を分けてもらい、すくすくとは言えないがなんとか十五歳まで育った。
そんなサーシャに七歳年上の婚約者ができた。
婚約者の名前はアラスター。
アッシュフィールド伯爵家の嫡男でサーシャの兄の友人。さらに言えば、生まれたときからの付き合いでもある。
アラスターは魔力枯渇で苦しみつつも、それでも精一杯に生きるサーシャをこの手で守りたいと密かに想っていた。
その想いを叶えるため、アラスターは最年少で王宮魔法使いに上り詰め、様々な研究に着手した。
その結果、周囲の魔力を吸収し、登録者に魔力を供給する魔道具を生み出すことに成功した。
アラスターの生み出した魔道具はサーシャが着けることを想定したものであるため、ネックレスの形をしている。
魔道具の動力源となる魔石をアラスターの瞳の色と同じ色にして、サーシャへと贈った。
こうしてアラスターから贈られた魔道具を身に着けることでサーシャは他人から魔力の譲渡を受けずとも普通の生活を送れるようになった。
***
定期的に魔力を譲渡してもらわなければ魔力枯渇状態に陥ってしまうサーシャは、学院に通うことを諦めていた。
しかし、アラスターがくれた魔道具のおかげで普通の人と同じ生活ができる。
「学院に通ってみてはどうかな?」
両親や兄姉の勧めもあり、サーシャは学院へ通うことになった。
家庭教師から勉強を教わっていたこともあり、授業に困ることもなく、隣の席の令嬢とも仲良くなった。
順風満帆の学院生活を送っていたのだが、サーシャの婚約者が王宮魔法使いのアラスターだと知れ渡ると態度がよそよそしい者が増えた。
王宮魔法使いは国の誰もが憧れる職であり、アラスターの顔はとんでもなく整っている。さらにアッシュフィールド伯爵家の嫡男なので、職を辞しても将来安泰……。
以前からアラスターに好意を寄せていた者たちは、すぐにサーシャに陰湿ないじめを始める。
サーシャは学院内で孤立させられ、ない者として扱われ……、婚約破棄するまで続けると脅され、ついにアラスターがくれたネックレス型の魔道具を奪い取られた。
「あんたなんかがアラスター様の瞳と同じ色の物を持ち歩くなんて……! 身の程を知りなさい!」
普段であれば、相手は高位貴族であるためサーシャは我慢するのだが、奪われた魔道具はサーシャの生命線である。
「返してください! それがないと死んじゃうんです!」
サーシャの叫びはすべて無視された。
魔道具を奪われたことで魔力の供給が止まり、だんだん具合が悪く……魔力枯渇になりつつあると気付いたサーシャは急いで家へと帰った。
家族から魔力を譲渡してもらったが、しばらく安静が必要な状態に陥る。
連絡を受けてアラスターがサーシャの元を訪れた。
「魔道具を失くしてごめんなさい」
ベッドから起き上がれず、そのままの状態でサーシャがアラスターに謝罪する。
「大丈夫だ。また用意する」
アラスターはそっとサーシャの頭を撫で、ついでに魔力を供給した。
優しい魔力が流れてくる感覚にサーシャはほっと息を吐く。
「どこで失くしたのか予想はついているかい?」
「えっと、その……」
失くしたのではなく、奪われたのだとは言えず黙り込むサーシャ。
「サーシャに贈った魔道具は特別なものでね、君以外の者が触れると魔力を吸われて大変なことになるんだよ」
「え?」
サーシャは慌ててアラスターに魔道具を奪われたことを伝えた。
その後、アラスター率いる王宮魔法使いの調査によって、サーシャの魔道具を奪った者が判明したのだが……。
魔道具を奪った令嬢は、魔道具に魔力を吸われて干からびかけている状態で発見された。
1,469
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(6件)
あなたにおすすめの小説
【短編完結】婚約破棄なら私の呪いを解いてからにしてください
未知香
恋愛
婚約破棄を告げられたミレーナは、冷静にそれを受け入れた。
「ただ、正式な婚約破棄は呪いを解いてからにしてもらえますか」
婚約破棄から始まる自由と新たな恋の予感を手に入れる話。
全4話で短いお話です!
最後に、お願いがあります
狂乱の傀儡師
恋愛
三年間、王妃になるためだけに尽くしてきた馬鹿王子から、即位の日の直前に婚約破棄されたエマ。
彼女の最後のお願いには、国を揺るがすほどの罠が仕掛けられていた。
その支払い、どこから出ていると思ってまして?
ばぅ
恋愛
「真実の愛を見つけた!婚約破棄だ!」と騒ぐ王太子。
でもその真実の愛の相手に贈ったドレスも宝石も、出所は全部うちの金なんですけど!?
国の財政の半分を支える公爵家の娘であるセレスティアに見限られた途端、
王家に課せられた融資は 即時全額返済へと切り替わる。
「愛で国は救えませんわ。
救えるのは――責任と実務能力です。」
金の力で国を支える公爵令嬢の、
爽快ザマァ逆転ストーリー!
⚫︎カクヨム、なろうにも投稿中
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
【短編】可愛い妹の子が欲しいと婚約破棄されました。失敗品の私はどうなっても構わないのですか?
五月ふう
恋愛
「お姉様。やっぱりシトラ様は、お姉様ではなく私の子供が産みたいって!」
エレリアの5歳下の妹ビアナ・シューベルはエレリアの婚約者であるシトラ・ガイゼルの腕を組んでそう言った。
父親にとって失敗作の娘であるエレリアと、宝物であるビアナ。妹はいつもエレリアから大切なものを奪うのだ。
ねぇ、そんなの許せないよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
犯人が発覚しました
どう対処するんですか?
イジメてた人たちはこのままですか?
いろいろな方向に膨らませられますよね?
続きを待ってます
奪った代償は大きい。だから?恋愛要素は?
続きが読みたいです。