【R18】虐げられた片翼姫が裏稼業な頭領に攫われ甘やかされてとろけるまで溺愛される話

あおまる三行

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1.虐げられた片翼姫は夜伽の寝室で奪われる

11.逃れられない繋がり ※

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 その後、グレンが現れることはなかった。

 離宮に戻された私は、傷の手当ても最低限のまま、冷えたベッドに横たわりながら、何度も扉の方へ視線を向けた。
 夜になれば、また彼が来てくれるのではないかと、愚かにも期待していたのだ。

 けれど、何も起こらない。
 戸が軋むこともなければ、黒い羽根が影を落とすこともない。

 次第に、あの夜の記憶が曖昧になっていく。
 私はベッドの上で膝を抱えながら、何度も自問した。
 あれは、本当にあったことなのだろうか。
 薬で朦朧とした頭が見せた幻ではなかったのか。
 もしそうなら、私はひどく滑稽だ。
 ありもしない救いに縋り、前後不覚のまま誰かを誘って自分の身を穢しておきながら、それでも夢見るなんて。

 考えれば考えるほど、胸の奥が冷えていった。
 けれど、身体は冷えない。
 ――むしろ、逆だった。

「はぁ……っ、ぁ……」

 あの夜を境に、身体かおかしくなっていた。
 最初は傷の痛みのせいだと思った。けれど違う。
 鞭の痕が疼くのとは別に、胸の奥や翼の付け根や……お腹の奥が、じんわりと熱を帯びるのだ。

(熱い……身体がおかしい……っ)

 片方しかない翼が勝手に平たく開いて、お尻が高く上がって揺れる。

「グレン……たすけて……」

 日を追うごとに、むしろ強くなる。
 風が背に触れると、片翼の付け根がひどく敏感になり、息が詰まる。

 身体が勝手に反応して、全身で少しでも彼の存在を感じ取ろうとする。

 ツガイには出逢えば分かる、と幼い頃に教えられた。
 身体が共鳴し、どうしようもなく互いを求め合い、――しばらくは見境なく互いに溺れてしまう、とも。

 だから、出逢ったツガイたちはしばらくの間は他者を遠ざけ、互いの存在を馴染ませ、身体と心をしっかりと結びつける。
 その時間は大切なもので、巣にこもって満足するまで愛し合って過ごす。
 それがなければ、ツガイはひどく不安定になるのだと。

 身体はそれを知っているかのように、不安に揺れていた。
 胸の奥に空洞があるようで、グレンに触れられた記憶を思い出すと一瞬だけ落ち着くのに、すぐに余計に渇きが増す。
 それは、羞恥よりも深い、欠乏の感覚だった。

 けれど、誰にもこんなことを相談できない。
 ツガイがいるのは王家の血を引く者と、それに選ばれた者だけ。王宮の誰にもこの感覚は分からない。

「いやぁ…………っ、もう、いや……」

 夢の中でもグレンに逢うことはできなかった。
 それなのに、私は浅い夢の中で毎夜、優しい影のような存在に身体中を愛撫されていた。
 あの夜に初めて知った達する感覚を求めて、夢の中ではしたなく身をくねらせて求めても終わらない。

(もう、終わりにして……あの時みたいに、して……)
(お願い、……グレン……)

 夢の中のそれは熱を解放してくれるようなものではなくて、ただ溜め込んでいく。
 自分でふれようとしても、いつ誰に見られているか分からない状況では躊躇いが先に立った。



 侍女たちは私の様子を観察する目を持っているけれど、そこに同情はない。
 ある朝、湯浴みのあと、背中を拭いているときに、片翼の付け根がひどく敏感になっていることに気づかれた。
 布が触れただけで息が漏れる。私は慌てて布を落とし、膝をついた。

 その様子を見ていた侍女が、馬鹿にした様子で私を見た。
「どうなさいました、ノエリア様。そんなところが痒いのですか?」
 私は首を振る。否定したいのに、顔が赤くなる。
「やはり色欲に溺れた証ですわね」

 私は必死に唇を噛んだ。違う。けれど説明できない。
 息を殺して、下着が濡れていくのを気づかれないように蹲るので精一杯だった。
 別の侍女が囁く。

「一晩では足りなかったのでは?」
「仮にも王女だったくせに。恥を知る心があるなら、もう少し慎ましくしなさいよ」

 その言葉に、胸の奥がひりつく。
 慎ましくしてきた。ずっと、ずっと。
 自分を押し殺し、欲を否定し、存在を小さくしてきた。

 それでも、身体がどうしても言うことをきかない。
 グレンにふれられたことを思い出しては、身体が甘く疼き、浅ましい自分が恥ずかしくて堪らなくなる。
 あの夜に愛された感覚が消えてくれないまま、いやらしい夢を見て目を覚まし、傍にいられないことで呼吸が浅くなる。

 身体は我儘に、またとろけるほどツガイに愛されたいと訴え、心はツガイに逢えない寂しさで壊れかけていた。

(グレン……どこにいるの、グレン……)
(私が変だったから、もう嫌なの?)
(それとも、やっぱり全部……私の都合の良い、幻だったの……?)

 綺麗だと、可愛いと言われて、みっともない片翼にすら愛おしげに唇を寄せられて。
 はしたない身体も指先まで愛撫されて。いじめられて。可愛がられて。
 その記憶が、今は私を却って苛んでいた。

 私は枕に顔を押しつけて、声を殺して泣いた。
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