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1.虐げられた片翼姫は夜伽の寝室で奪われる
12.謂れ無い罪
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その日も、身体の内側にある落ち着かない感覚は相変わらずで、どうにかやり過ごしていた。
そこへ、侍女が慌ただしくやって来た。
「ノエリア様、今夜の夜会にご出席いただきます」
その声音は、妙に弾んでいた。
私は一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
「……私が?」
「はい。陛下と王妃様のご意向です」
断れるはずがない。そもそも、選択肢など最初からない。
着替えはすぐに始まった。
触れる手の動きが、いつもよりも執拗だと感じるのは、私の身体が過敏になっているせいだろうか。
指が肌を滑るたびに思わず肩が跳ねる。
「やんっ」
「あら、どうなさいました?」
「触れただけですわ。ノエリア様ったら、そんなに震えては、夜会で困りますよ」
「ご、ごめんなさい、なんでもないの……っ」
必死に平静を装うけれど、指先まで神経が尖っているようで、下着の布が擦れるだけでも落ち着かない。
着せられた桃色のドレスは私がこれまで着せられてきたどの衣装よりも大胆だった。
薄い光沢を持つ生地の背中は腰の終わりまで大胆に空き、片翼を隠すどころか、むしろ強調するような形だった。
足元まで落ちるドレスの布地は光を受けると簡単に透けて、内側の布地は股下の辺りまでしかない。
「……こ、これ…………」
「国王陛下と王妃様からの贈り物です」
「さ、ノエリア様」
「……っ」
着付けられると、胸元が思った以上に窮屈で、同時に布が足りない。
くすくすと笑う声が重なる。
「また誰かに揉ませたの?」
「そんなこと……っ」
「他は貧相で緩いくらいなのに、ここだけ収まらないなんて」
胸の上部はぐっと持ち上げられ、ドレスの縁がぎりぎりを隠して柔肉に食い込んでいる。
下着もドレスも大きさがあっていないせいで、呼吸するたびにこぼれてしまいそうになる感覚があった。
背中は完全に露出し、片翼も小さく生えた右の羽も、おかしなかたちに発育してしまった身体のラインも隠しようがない。
あいかわらず汚く欠けた翼、と言いながら羽を何枚か抜かれて、痛みを堪えるしかなかった。
背中の鞭の傷跡だけは丁寧に化粧で覆われた。
やがて私は夜会の間へと引っ張られた。
けれど、その場は「夜会」というにはあまりにも閉じられた狭い空間だった。
室内には白翼の貴族――男性ばかりがいた。そのことに気づいて身が竦む。
突き飛ばすようにして前に出され、すぐに扉が閉じられた。
そして、視線が一斉に私へ向けられた。
現王勢力に殺された先代王の面影を持ちながら、片翼しかない娘。
その存在は幽閉され、長らく公の場から遠ざけられていた。
好奇と嘲りと、色めいた興味が混じった目が、遠慮なく私を値踏みする。
その中央に現王が立っていた。
亡き父よりも年上のその男は、にやにや笑いながら客を見渡している。
「皆に知らせることがある。この娘は……先代王陛下の娘ということで、情けをかけて保護してきたが、先日大変な事件を起こした」
「あ……」
「婚姻前でありながら寝所に男を引き入れ……」
「ち、ちが……」
語られる私の罪状。
耳を塞ぎたくなるような言葉が繰り返される。
「本来ならば追放すべき存在だ。だが、恩赦を与えることにした。この娘には皆の世話係という職を与えたい」
現王は笑っている。扇を軽く揺らしながら、まるで善行を施したかのように。
「この、「元王女」も自ら望んだ」
「え……っ!?」
「皆の世話をするから、身体の火照りを治めてほしいそうだ。困ったことだ」
当惑する私だけを残して、会場に笑いが広がる。
私の装いを見れば、その言葉の意味は分かる。
背を晒し、胸を強調したこの姿。
貴族たちの間に、理解の波が広がる。ああ、そういうことか、と。
先代王の忘れ形見の片翼は、王の欲望の捌け口ですらない。王宮の慰み者になるのだと。
「さて、世話係としての仕事の仕方を教えてやれ」
王はそう言って、侮蔑のまなざしで私を見た後、部屋を出て行く。
そこへ、侍女が慌ただしくやって来た。
「ノエリア様、今夜の夜会にご出席いただきます」
その声音は、妙に弾んでいた。
私は一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
「……私が?」
「はい。陛下と王妃様のご意向です」
断れるはずがない。そもそも、選択肢など最初からない。
着替えはすぐに始まった。
触れる手の動きが、いつもよりも執拗だと感じるのは、私の身体が過敏になっているせいだろうか。
指が肌を滑るたびに思わず肩が跳ねる。
「やんっ」
「あら、どうなさいました?」
「触れただけですわ。ノエリア様ったら、そんなに震えては、夜会で困りますよ」
「ご、ごめんなさい、なんでもないの……っ」
必死に平静を装うけれど、指先まで神経が尖っているようで、下着の布が擦れるだけでも落ち着かない。
着せられた桃色のドレスは私がこれまで着せられてきたどの衣装よりも大胆だった。
薄い光沢を持つ生地の背中は腰の終わりまで大胆に空き、片翼を隠すどころか、むしろ強調するような形だった。
足元まで落ちるドレスの布地は光を受けると簡単に透けて、内側の布地は股下の辺りまでしかない。
「……こ、これ…………」
「国王陛下と王妃様からの贈り物です」
「さ、ノエリア様」
「……っ」
着付けられると、胸元が思った以上に窮屈で、同時に布が足りない。
くすくすと笑う声が重なる。
「また誰かに揉ませたの?」
「そんなこと……っ」
「他は貧相で緩いくらいなのに、ここだけ収まらないなんて」
胸の上部はぐっと持ち上げられ、ドレスの縁がぎりぎりを隠して柔肉に食い込んでいる。
下着もドレスも大きさがあっていないせいで、呼吸するたびにこぼれてしまいそうになる感覚があった。
背中は完全に露出し、片翼も小さく生えた右の羽も、おかしなかたちに発育してしまった身体のラインも隠しようがない。
あいかわらず汚く欠けた翼、と言いながら羽を何枚か抜かれて、痛みを堪えるしかなかった。
背中の鞭の傷跡だけは丁寧に化粧で覆われた。
やがて私は夜会の間へと引っ張られた。
けれど、その場は「夜会」というにはあまりにも閉じられた狭い空間だった。
室内には白翼の貴族――男性ばかりがいた。そのことに気づいて身が竦む。
突き飛ばすようにして前に出され、すぐに扉が閉じられた。
そして、視線が一斉に私へ向けられた。
現王勢力に殺された先代王の面影を持ちながら、片翼しかない娘。
その存在は幽閉され、長らく公の場から遠ざけられていた。
好奇と嘲りと、色めいた興味が混じった目が、遠慮なく私を値踏みする。
その中央に現王が立っていた。
亡き父よりも年上のその男は、にやにや笑いながら客を見渡している。
「皆に知らせることがある。この娘は……先代王陛下の娘ということで、情けをかけて保護してきたが、先日大変な事件を起こした」
「あ……」
「婚姻前でありながら寝所に男を引き入れ……」
「ち、ちが……」
語られる私の罪状。
耳を塞ぎたくなるような言葉が繰り返される。
「本来ならば追放すべき存在だ。だが、恩赦を与えることにした。この娘には皆の世話係という職を与えたい」
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「この、「元王女」も自ら望んだ」
「え……っ!?」
「皆の世話をするから、身体の火照りを治めてほしいそうだ。困ったことだ」
当惑する私だけを残して、会場に笑いが広がる。
私の装いを見れば、その言葉の意味は分かる。
背を晒し、胸を強調したこの姿。
貴族たちの間に、理解の波が広がる。ああ、そういうことか、と。
先代王の忘れ形見の片翼は、王の欲望の捌け口ですらない。王宮の慰み者になるのだと。
「さて、世話係としての仕事の仕方を教えてやれ」
王はそう言って、侮蔑のまなざしで私を見た後、部屋を出て行く。
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