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ほどけては結われる花々の章
60.烙印の真実
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しばらくして。
リヒト兄様が辺境伯邸に来てくださった。
来客の報せを聞いて、すぐに私が出ていって兄様を案内した。
久しぶりに会った兄様は変わらない笑みを向けてくれたけれど――少し、疲れているように見えた。
応接室にはダリウス様も同席した。
兄様は軽く一礼し、視線を合わせる。
「まずは……ご無事で何よりです、辺境伯閣下」
「こちらこそ、わざわざご足労頂き、恐れ入ります」
形式ばった言葉のあと、私たちは本題に入った。
最初に口を開いたのはダリウス様だった。
「魔獣の件から話しましょう。生け捕りにした個体と、捕縛した男たちの供述です」
低く落ち着いた声で、彼は調査の結果を説明する。
魔獣は自然発生ではありえない、魔晶石による影響を受けた異常個体であること。
実際、捕縛した魔獣は蓋を開けてみれば幼体に過ぎず、この間に縮んでしまっている。
そして全ての命令は、義父――シェリフォード公爵エドムンドから出されていたと、捕えた男たちが吐いたこと。
神殿はそうした魔獣への関与方法を、最前線で戦うダリウス様たちにもひた隠しにし、利用していたこと。
ダリウス様の言葉は淡々としていたが、その奥にある怒りは、はっきりと伝わってきた。
話を聞きながら、私は無意識に指先を握りしめていた。
兄様は呆れた様子で脚を組み、吐き捨てるように言う。
「……成程。それはそれは。気が小さいくせに、随分なことを仕出かしてくれたものだ。ルーチェがここにいなければ、言ったこちらの品位が下がるような口汚い言葉で罵るところでした」
「同感です」
「兄様……」
「辺境伯殿が討伐ではなく捕縛に舵を切るとは予想していなかったのでしょう。証拠が押さえられたのは、何よりでした」
兄様が静かに呟く。
次に兄様が語ったのは、王家の古い伝承についてだった。
「王族しか立ち入れない書庫で、アルベルト殿下が調べたそうだ。記述は断片的だが、共通する文言があり……殿下の推測では」
慎重に言葉を選びながら続ける。
「国に厄災の兆しある時、印は現れる……すなわち、ルーチェの「しるし」は、あやまつ者をふらつかせるのではないだろうか、と」
室内の空気が、わずかに重くなった。
私は頷き、用意していたものを差し出す。
神殿の禁書の写しと、あの絵本。
「これが、神殿の禁書にあった記述です」
――あやまちし時に現れる印。
――あやまつ者は、その前に立つことを許されない。
「そして、こちらは見つかった絵本です。……ある時代に神殿が発禁本に指定したそうです」
ページをめくるたび、美しい挿絵が目に入る。
柔らかい線、子供向けの言葉。けれど、そこに描かれている内容は、決して優しいだけのものではなかった。
昔々――人々は、とてもがんばって生きていました。
けれど、ひとは強いひとがえらく、力のあるものが、正しいとされていました。
そのせいで、きずつくひとがいました
それをみて悲しんだのが、神様たちです。
神様たちは大地におりてきて、人々をしずめ、決まりごとをつくり、街と国をととのえました。
そして神様たちは いいました。
「この世界は、ひとのもの。わたしたちの助けはここまで」
神様たちはひとりの王様に国を預けることにしました。
けれど、神様たちのなかのひとりは、すこし心配になりました。
「ひとは、ときどき間違える。それでも大丈夫だろうか?」
「王様はひとりで皆をみちびいて、さみしくないだろうか?」
そこでその神様は、ひとりの少女をえらびました。
少女には特別な力はありません。
ただ、すべてを まっすぐに見る、優しくて強いまなざしをもっていました。
神様は言いました。
「あなたは、見守るひと。王様とこの国のひとを見ていてください」
少女はほほえんで、王様を見つめました。
すると、王様はいつも自分の心をたしかめました。
自分は、正しい道を歩いているだろうか。
まちがっていたら、どうすればいいだろうか。
正しいときは、自信を持ってまっすぐ立つことができました。大きな力もわいてきました。
まちがえてしまったときは、おそろしくて、とてもその目の前に立っていられないくらい、ふらふらしました。
そして、その間違いをみとめ、あやまり、やりなおすことができました……
ひとは誰でもまちがえます。でも、まちがいを認めることができれば、また正しい道にもどれます。
少女が見ているかぎり、正しいひとは正しくあることができました。
あやまつひとは、そのまなざしに耐えられませんでした。
こうして世界はおだやかになり、ひとびとは笑顔でくらしましたとさ……
私は顔を上げる。
「王家の伝承、神殿の禁書、そして絵本。全部、同じことを指しています」
兄様は深く息を吐いた。
「烙印とは……正すためのしるし、というわけか」
「正しい時には、力と確信を与える。だが、誤った時には――」
恐らく神殿は、この真実の「半分」をはっきりと知っていたのだ。
とくに、「誤った時」の側を。
「だから……私は、恐れられたの、でしょうか」
そう口にすると、二人の視線が集まる。
「烙印を持つ者は、世を正す存在になり得る。でも同時に、王や神殿の「あやまち」を暴く存在にもなるから……」
神殿の中にいる、悪しき秘密を抱えた者たち。
彼らにとって、私はきっと守護者ではない。
自分たちの悪事を映し出す危険な鏡だ。
「……だから歪めた、というわけか。烙印だと教え、忌むべきものだと記録し、恐怖で縛り……お前が誰のことも見ないように、誰もお前のことを見ないように」
兄様は目を伏せ、ゆっくりと頷いた。
私の翠の瞳の底、目を凝らせば瞳孔の奥に小さく見える、紋様。
……そう。
この瞳の奥にあるしるしが周囲を不幸にすると教え込まれて。
怖くて悲しくて、私はずっと、誰のこともまっすぐに見られなかった。
誰のこともまっすぐ見返せなくて。
そうできるようになったのは、この地に来て、ようやく自分の人生を生きられるようになってから。
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
怖さは消えない。けれど。
王家の伝承。神殿の禁書。それらに書かれた事実を結びつける絵本。
すべてが揃った今、ようやく――補完され結ばれた真実は、一つの形を成そうとしている。
この烙印は、呪いではない。
「……「聖印」と呼んでも良さそうなものに思えるがな」
「それも含めて、改竄されたのだろう。……訴求できるだろうか」
兄様は考え込んでいる。
「写しは?」
「はい兄様、ここに」
「……ありがとう。貰っておく」
真実を言葉にし終えたあと、しばらく沈黙が落ちた。
誰もが考え込んでいる沈黙だった。
それを破ったのは、リヒト兄様だった。
「……これで、準備が整った」
静かな声だったが、迷いはなかった。
「王都へ戻り次第、告発を決行する。神殿、公爵家、第二王子派閥――まとめてだ。お前たちのお陰で証拠はより強固なものになった。烙印――いや、「しるし」と呼ぶべきか。そのことも含めて、あらわにできるだろう」
兄様は私を見る。
「その時点で、お前たちは辺境にいろ」
強い口調だった。
ダリウス様がわずかに眉を動かす。
「……それはしかし、あまりにリヒト卿の負担が大きすぎる」
兄様は苦笑し、けれどすぐに表情を引き締めた。
「心配してもらえるのはありがたいが、辺境伯殿。貴殿は怪我人でしょう。怪我人やら、守るべき妹やらがいると、却って私は動きにくいのですよ。残念ながら」
冗談めかした口調なのに、その言葉はひどく現実的だった。
「王都で事が動き出した瞬間、報復の危険も生じます」
私の方を見て、視線が少しだけ柔らぐ。
「だから辺境で守りを固めていてください。ここは辺境伯殿の庭で、王都からも離れている」
ダリウス様が、私を見る。
その視線に、ほんのわずかな逡巡があった。
「……リヒト卿。理屈は分かります」
ダリウスは低く答えた。
「しかし、やはりすべてを任せるのは」
「任せるべきです」
兄様は即座に言った。
「だいたい、そういう立ち回りについて、辺境伯閣下が私よりお上手だとは思いませんが」
「……」
ダリウス様が黙ると、兄様はくくっと含み笑いを漏らす。
その言い方が、あまりにもいつも通りで。
私は胸の奥が少しだけ痛んだ。
「こちらに手を出すより、妹の身を必ず守ってほしい、という要望です。ご理解頂けますか」
「……了解しました、リヒト卿」
「ルーチェ」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
「王都で何が起きても、すぐには知らせないだろう。だが――必ず片をつけておく。お前のためにも」
それは約束というより、決意表明だった。
私は、しばらく黙ってから頷いた。
「……分かりました、兄様」
「良い子だ、ルーチェ。……すべてが終わるまで、お前は絶対に、ここにいるんだ」
どこか影を帯びた……私と同じ、翠色の瞳。
不安はあるけれど、兄様なら大丈夫だと、寧ろこちらが邪魔にならないようにしなければと――
私は信じていた。
◆
しばらくして。
リヒトはルーチェに席を外させた。
室内に残ったのは、二人だけ。
リヒトはしばらく黙ったまま、懐から封筒を取り出した。
厚みのある、しっかりと封蝋された書類の束だ。
「……色々と、物騒ですから」
そう前置きしてから、机の上にそれを置く。
「万が一の時のためです。これは――ルーチェを守るものとして、貴殿に預けたい」
ダリウスは封筒を見下ろし、眉をひそめた。
「中身は?」
「…………私の立場から、ルーチェの身元を保証するものです。烙印に関わる記述と一緒にして、保管しておいてください」
少し躊躇うように声を抑えて、リヒトは言う。
「本来は、もっと早く渡すべきでしたが……これは封じておく書類です。必要な時以外は、開封しないようにして頂きたい」
リヒトは視線を上げ、真っ直ぐにダリウスを見る。
「……分かりました」
短く答え、ダリウスは封筒を手に取る。
「それと、しばらく私の動きによって王都は騒がしくなるでしょう。事が終わるまで……いや、もし事が終わっていなければ、全貴族会議を欠席してでも、ルーチェはこの地に封じておいてほしいのです」
「……彼女が承知することならば、私はそれを守ります」
リヒトは、わずかに肩の力を抜いた。
「もし何かあった時――いや。何も起きないのが一番ではあるのですが。裁判所の倫理観を信じましょう」
そう言って、苦笑した。
ダリウスは真面目に答えた。
「……告発し裁判に持ち込むというのは、とても正当な手段であると私も思います。義がこちらにあると示すためにも必要な手続きでしょう。しかし、その当事者となる貴方のことを心配せざるをえません。これだけの改竄を長きに渡り行ってきた相手方です。暴力的な手段に出る可能性も……」
「ご心配はありがたく。…………しかし大丈夫です。私は」
言いかけて、言葉を切る。
ダリウスのまっすぐな視線に気圧されたように、ふっと息を吸い込んで。
「……何かあった場合には、第一王子殿下の影に逃げ込みますから」
「殿下はその間も、王宮にずっといらっしゃるのですか? すぐに対応できる場にいて下さるのでしょうか」
「…………ええ。だから、私は、大丈夫です。後ろ盾がありますから」
「そうですか。……なら、良いのですが」
言葉を止めたダリウスに、リヒトは息をついた。
「いいえ、しかしそれより……」
リヒトは最後に一度だけ、深く頭を下げる。
「……妹を、これからもどうか……ずっと、末永く、よろしく頼みたい」
ダリウスは、迷いなく答えた。
「命にかえても」
その言葉に、リヒトは一瞬だけ目を伏せ、そして何も言わずに背を向けた。
◆
出立前の屋敷は、音だけが忙しなく、空気は妙に張りつめていた。
荷を運ぶ足音、控えめに交わされる指示、遠くで開閉される扉の気配。
それらが重なり合いながら、一定の秩序を保って流れている。
回廊を抜けた先、中庭に面した場所で、イリアはリヒトと行き合った。
一瞬、互いに足を止める。
「……お忙しそうですね」
先に口を開いたのはリヒトだった。
形式ばった言葉だったが、声音は柔らかい。
イリアはぱっと頭を下げた。
「いえ、とんでもありません。リヒト様こそ、お忙しさは奥様から聞き及んでおります」
それ以上の言葉は加えなかった。
「……」
リヒトが溜め息をつく。
やけに疲れた色を感じさせるそれに、イリアはふと、違和感を覚えた。
その感覚を覆い隠すように、リヒトが呟く。
「今日は、辺境伯領にしては暖かくて何よりでした」
「……え、ええ。夏の間、このあたりはとても美しくなります。日が長くて……夜もずっと、夕暮れのような空が続いて」
「それは素敵ですね」
歩きながら、間を持たせるための他愛のない会話が続く。
二人ともがそれ以上の話題に踏み込まないことを選んでいた。
リヒトは静かに言った。
「先日は……失礼いたしました」
「え?」
「王宮の……舞踏会の夜、庭園で」
イリアは一瞬、視線を伏せ、それから頷いた。
「お気になさらないでください。こちらが、配慮に欠けておりました」
庭園での出来事。
追跡を逃れるためとはいえ、あまりにも唐突で、距離の近い行為だった。
あの時、強い力で抱き締められた感覚は、まだイリアの中に残っている。
けれど、何も言うつもりはなかった。
イリアの言葉にリヒトは困ったように頬を掻いた。
「配慮……すべきは、私の方だったと思いますが」
「いえ。私が不用意に、本来いるべきでない場所に現れてしまったので。適切に対処頂きありがとうございました」
イリアはぺこりともう一度頭を下げる。
遠くから、リヒトを呼ぶ声が響いた。
「時間のようですね」
「……はい」
リヒトはほんの一瞬だけ足を止めた。
「王都は、しばらく落ち着かないでしょう。どうか……ルーチェをよろしく頼みます。これからも、ずっと」
「もちろんです」
形式的なやり取りでも、その言葉には、確かな気遣いが滲んでいた。
「それでは、リヒト様。またお越しください。ヴァルト辺境伯家は奥様の兄君様をいつでも歓迎しております。……奥様は既に玄関でお待ちだと思います。どうか、ごゆっくりお過ごしください」
「……お気遣いに感謝します」
リヒトは再び歩き出し――
数歩進んだところで、ふと、立ち止まる。
「……?」
振り向いてじっとこちらを見るリヒトに、イリアは首を傾げた。
「何か……?」
「いえ。それでは失礼します。……さようなら、イリアさん」
「……ええ、また……」
リヒトの背中が遠ざかっていく。
それ以上呼び止めることもしないまま、イリアはその姿を見送った。
リヒト兄様が辺境伯邸に来てくださった。
来客の報せを聞いて、すぐに私が出ていって兄様を案内した。
久しぶりに会った兄様は変わらない笑みを向けてくれたけれど――少し、疲れているように見えた。
応接室にはダリウス様も同席した。
兄様は軽く一礼し、視線を合わせる。
「まずは……ご無事で何よりです、辺境伯閣下」
「こちらこそ、わざわざご足労頂き、恐れ入ります」
形式ばった言葉のあと、私たちは本題に入った。
最初に口を開いたのはダリウス様だった。
「魔獣の件から話しましょう。生け捕りにした個体と、捕縛した男たちの供述です」
低く落ち着いた声で、彼は調査の結果を説明する。
魔獣は自然発生ではありえない、魔晶石による影響を受けた異常個体であること。
実際、捕縛した魔獣は蓋を開けてみれば幼体に過ぎず、この間に縮んでしまっている。
そして全ての命令は、義父――シェリフォード公爵エドムンドから出されていたと、捕えた男たちが吐いたこと。
神殿はそうした魔獣への関与方法を、最前線で戦うダリウス様たちにもひた隠しにし、利用していたこと。
ダリウス様の言葉は淡々としていたが、その奥にある怒りは、はっきりと伝わってきた。
話を聞きながら、私は無意識に指先を握りしめていた。
兄様は呆れた様子で脚を組み、吐き捨てるように言う。
「……成程。それはそれは。気が小さいくせに、随分なことを仕出かしてくれたものだ。ルーチェがここにいなければ、言ったこちらの品位が下がるような口汚い言葉で罵るところでした」
「同感です」
「兄様……」
「辺境伯殿が討伐ではなく捕縛に舵を切るとは予想していなかったのでしょう。証拠が押さえられたのは、何よりでした」
兄様が静かに呟く。
次に兄様が語ったのは、王家の古い伝承についてだった。
「王族しか立ち入れない書庫で、アルベルト殿下が調べたそうだ。記述は断片的だが、共通する文言があり……殿下の推測では」
慎重に言葉を選びながら続ける。
「国に厄災の兆しある時、印は現れる……すなわち、ルーチェの「しるし」は、あやまつ者をふらつかせるのではないだろうか、と」
室内の空気が、わずかに重くなった。
私は頷き、用意していたものを差し出す。
神殿の禁書の写しと、あの絵本。
「これが、神殿の禁書にあった記述です」
――あやまちし時に現れる印。
――あやまつ者は、その前に立つことを許されない。
「そして、こちらは見つかった絵本です。……ある時代に神殿が発禁本に指定したそうです」
ページをめくるたび、美しい挿絵が目に入る。
柔らかい線、子供向けの言葉。けれど、そこに描かれている内容は、決して優しいだけのものではなかった。
昔々――人々は、とてもがんばって生きていました。
けれど、ひとは強いひとがえらく、力のあるものが、正しいとされていました。
そのせいで、きずつくひとがいました
それをみて悲しんだのが、神様たちです。
神様たちは大地におりてきて、人々をしずめ、決まりごとをつくり、街と国をととのえました。
そして神様たちは いいました。
「この世界は、ひとのもの。わたしたちの助けはここまで」
神様たちはひとりの王様に国を預けることにしました。
けれど、神様たちのなかのひとりは、すこし心配になりました。
「ひとは、ときどき間違える。それでも大丈夫だろうか?」
「王様はひとりで皆をみちびいて、さみしくないだろうか?」
そこでその神様は、ひとりの少女をえらびました。
少女には特別な力はありません。
ただ、すべてを まっすぐに見る、優しくて強いまなざしをもっていました。
神様は言いました。
「あなたは、見守るひと。王様とこの国のひとを見ていてください」
少女はほほえんで、王様を見つめました。
すると、王様はいつも自分の心をたしかめました。
自分は、正しい道を歩いているだろうか。
まちがっていたら、どうすればいいだろうか。
正しいときは、自信を持ってまっすぐ立つことができました。大きな力もわいてきました。
まちがえてしまったときは、おそろしくて、とてもその目の前に立っていられないくらい、ふらふらしました。
そして、その間違いをみとめ、あやまり、やりなおすことができました……
ひとは誰でもまちがえます。でも、まちがいを認めることができれば、また正しい道にもどれます。
少女が見ているかぎり、正しいひとは正しくあることができました。
あやまつひとは、そのまなざしに耐えられませんでした。
こうして世界はおだやかになり、ひとびとは笑顔でくらしましたとさ……
私は顔を上げる。
「王家の伝承、神殿の禁書、そして絵本。全部、同じことを指しています」
兄様は深く息を吐いた。
「烙印とは……正すためのしるし、というわけか」
「正しい時には、力と確信を与える。だが、誤った時には――」
恐らく神殿は、この真実の「半分」をはっきりと知っていたのだ。
とくに、「誤った時」の側を。
「だから……私は、恐れられたの、でしょうか」
そう口にすると、二人の視線が集まる。
「烙印を持つ者は、世を正す存在になり得る。でも同時に、王や神殿の「あやまち」を暴く存在にもなるから……」
神殿の中にいる、悪しき秘密を抱えた者たち。
彼らにとって、私はきっと守護者ではない。
自分たちの悪事を映し出す危険な鏡だ。
「……だから歪めた、というわけか。烙印だと教え、忌むべきものだと記録し、恐怖で縛り……お前が誰のことも見ないように、誰もお前のことを見ないように」
兄様は目を伏せ、ゆっくりと頷いた。
私の翠の瞳の底、目を凝らせば瞳孔の奥に小さく見える、紋様。
……そう。
この瞳の奥にあるしるしが周囲を不幸にすると教え込まれて。
怖くて悲しくて、私はずっと、誰のこともまっすぐに見られなかった。
誰のこともまっすぐ見返せなくて。
そうできるようになったのは、この地に来て、ようやく自分の人生を生きられるようになってから。
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
怖さは消えない。けれど。
王家の伝承。神殿の禁書。それらに書かれた事実を結びつける絵本。
すべてが揃った今、ようやく――補完され結ばれた真実は、一つの形を成そうとしている。
この烙印は、呪いではない。
「……「聖印」と呼んでも良さそうなものに思えるがな」
「それも含めて、改竄されたのだろう。……訴求できるだろうか」
兄様は考え込んでいる。
「写しは?」
「はい兄様、ここに」
「……ありがとう。貰っておく」
真実を言葉にし終えたあと、しばらく沈黙が落ちた。
誰もが考え込んでいる沈黙だった。
それを破ったのは、リヒト兄様だった。
「……これで、準備が整った」
静かな声だったが、迷いはなかった。
「王都へ戻り次第、告発を決行する。神殿、公爵家、第二王子派閥――まとめてだ。お前たちのお陰で証拠はより強固なものになった。烙印――いや、「しるし」と呼ぶべきか。そのことも含めて、あらわにできるだろう」
兄様は私を見る。
「その時点で、お前たちは辺境にいろ」
強い口調だった。
ダリウス様がわずかに眉を動かす。
「……それはしかし、あまりにリヒト卿の負担が大きすぎる」
兄様は苦笑し、けれどすぐに表情を引き締めた。
「心配してもらえるのはありがたいが、辺境伯殿。貴殿は怪我人でしょう。怪我人やら、守るべき妹やらがいると、却って私は動きにくいのですよ。残念ながら」
冗談めかした口調なのに、その言葉はひどく現実的だった。
「王都で事が動き出した瞬間、報復の危険も生じます」
私の方を見て、視線が少しだけ柔らぐ。
「だから辺境で守りを固めていてください。ここは辺境伯殿の庭で、王都からも離れている」
ダリウス様が、私を見る。
その視線に、ほんのわずかな逡巡があった。
「……リヒト卿。理屈は分かります」
ダリウスは低く答えた。
「しかし、やはりすべてを任せるのは」
「任せるべきです」
兄様は即座に言った。
「だいたい、そういう立ち回りについて、辺境伯閣下が私よりお上手だとは思いませんが」
「……」
ダリウス様が黙ると、兄様はくくっと含み笑いを漏らす。
その言い方が、あまりにもいつも通りで。
私は胸の奥が少しだけ痛んだ。
「こちらに手を出すより、妹の身を必ず守ってほしい、という要望です。ご理解頂けますか」
「……了解しました、リヒト卿」
「ルーチェ」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
「王都で何が起きても、すぐには知らせないだろう。だが――必ず片をつけておく。お前のためにも」
それは約束というより、決意表明だった。
私は、しばらく黙ってから頷いた。
「……分かりました、兄様」
「良い子だ、ルーチェ。……すべてが終わるまで、お前は絶対に、ここにいるんだ」
どこか影を帯びた……私と同じ、翠色の瞳。
不安はあるけれど、兄様なら大丈夫だと、寧ろこちらが邪魔にならないようにしなければと――
私は信じていた。
◆
しばらくして。
リヒトはルーチェに席を外させた。
室内に残ったのは、二人だけ。
リヒトはしばらく黙ったまま、懐から封筒を取り出した。
厚みのある、しっかりと封蝋された書類の束だ。
「……色々と、物騒ですから」
そう前置きしてから、机の上にそれを置く。
「万が一の時のためです。これは――ルーチェを守るものとして、貴殿に預けたい」
ダリウスは封筒を見下ろし、眉をひそめた。
「中身は?」
「…………私の立場から、ルーチェの身元を保証するものです。烙印に関わる記述と一緒にして、保管しておいてください」
少し躊躇うように声を抑えて、リヒトは言う。
「本来は、もっと早く渡すべきでしたが……これは封じておく書類です。必要な時以外は、開封しないようにして頂きたい」
リヒトは視線を上げ、真っ直ぐにダリウスを見る。
「……分かりました」
短く答え、ダリウスは封筒を手に取る。
「それと、しばらく私の動きによって王都は騒がしくなるでしょう。事が終わるまで……いや、もし事が終わっていなければ、全貴族会議を欠席してでも、ルーチェはこの地に封じておいてほしいのです」
「……彼女が承知することならば、私はそれを守ります」
リヒトは、わずかに肩の力を抜いた。
「もし何かあった時――いや。何も起きないのが一番ではあるのですが。裁判所の倫理観を信じましょう」
そう言って、苦笑した。
ダリウスは真面目に答えた。
「……告発し裁判に持ち込むというのは、とても正当な手段であると私も思います。義がこちらにあると示すためにも必要な手続きでしょう。しかし、その当事者となる貴方のことを心配せざるをえません。これだけの改竄を長きに渡り行ってきた相手方です。暴力的な手段に出る可能性も……」
「ご心配はありがたく。…………しかし大丈夫です。私は」
言いかけて、言葉を切る。
ダリウスのまっすぐな視線に気圧されたように、ふっと息を吸い込んで。
「……何かあった場合には、第一王子殿下の影に逃げ込みますから」
「殿下はその間も、王宮にずっといらっしゃるのですか? すぐに対応できる場にいて下さるのでしょうか」
「…………ええ。だから、私は、大丈夫です。後ろ盾がありますから」
「そうですか。……なら、良いのですが」
言葉を止めたダリウスに、リヒトは息をついた。
「いいえ、しかしそれより……」
リヒトは最後に一度だけ、深く頭を下げる。
「……妹を、これからもどうか……ずっと、末永く、よろしく頼みたい」
ダリウスは、迷いなく答えた。
「命にかえても」
その言葉に、リヒトは一瞬だけ目を伏せ、そして何も言わずに背を向けた。
◆
出立前の屋敷は、音だけが忙しなく、空気は妙に張りつめていた。
荷を運ぶ足音、控えめに交わされる指示、遠くで開閉される扉の気配。
それらが重なり合いながら、一定の秩序を保って流れている。
回廊を抜けた先、中庭に面した場所で、イリアはリヒトと行き合った。
一瞬、互いに足を止める。
「……お忙しそうですね」
先に口を開いたのはリヒトだった。
形式ばった言葉だったが、声音は柔らかい。
イリアはぱっと頭を下げた。
「いえ、とんでもありません。リヒト様こそ、お忙しさは奥様から聞き及んでおります」
それ以上の言葉は加えなかった。
「……」
リヒトが溜め息をつく。
やけに疲れた色を感じさせるそれに、イリアはふと、違和感を覚えた。
その感覚を覆い隠すように、リヒトが呟く。
「今日は、辺境伯領にしては暖かくて何よりでした」
「……え、ええ。夏の間、このあたりはとても美しくなります。日が長くて……夜もずっと、夕暮れのような空が続いて」
「それは素敵ですね」
歩きながら、間を持たせるための他愛のない会話が続く。
二人ともがそれ以上の話題に踏み込まないことを選んでいた。
リヒトは静かに言った。
「先日は……失礼いたしました」
「え?」
「王宮の……舞踏会の夜、庭園で」
イリアは一瞬、視線を伏せ、それから頷いた。
「お気になさらないでください。こちらが、配慮に欠けておりました」
庭園での出来事。
追跡を逃れるためとはいえ、あまりにも唐突で、距離の近い行為だった。
あの時、強い力で抱き締められた感覚は、まだイリアの中に残っている。
けれど、何も言うつもりはなかった。
イリアの言葉にリヒトは困ったように頬を掻いた。
「配慮……すべきは、私の方だったと思いますが」
「いえ。私が不用意に、本来いるべきでない場所に現れてしまったので。適切に対処頂きありがとうございました」
イリアはぺこりともう一度頭を下げる。
遠くから、リヒトを呼ぶ声が響いた。
「時間のようですね」
「……はい」
リヒトはほんの一瞬だけ足を止めた。
「王都は、しばらく落ち着かないでしょう。どうか……ルーチェをよろしく頼みます。これからも、ずっと」
「もちろんです」
形式的なやり取りでも、その言葉には、確かな気遣いが滲んでいた。
「それでは、リヒト様。またお越しください。ヴァルト辺境伯家は奥様の兄君様をいつでも歓迎しております。……奥様は既に玄関でお待ちだと思います。どうか、ごゆっくりお過ごしください」
「……お気遣いに感謝します」
リヒトは再び歩き出し――
数歩進んだところで、ふと、立ち止まる。
「……?」
振り向いてじっとこちらを見るリヒトに、イリアは首を傾げた。
「何か……?」
「いえ。それでは失礼します。……さようなら、イリアさん」
「……ええ、また……」
リヒトの背中が遠ざかっていく。
それ以上呼び止めることもしないまま、イリアはその姿を見送った。
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