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第1章:辺境復興編
8話:視察という名の茶番
馬車の窓から見える景色は、王都を出て二日目には退屈なものに変わっていた。
レオナルドは長椅子に体を預けて、天井を見上げた。
「わざわざ辺境まで出向くのは面倒だが……まあ、あの女を連れ戻してやるのも俺の器の大きさってやつだ」
向かいに座るミレーヌが微笑んだ。
「殿下はお優しいのですね。きっと泣いて感謝しますわ。殿下に許していただけるなんて」
「だろうな。帳簿の一つや二つ、やらせてやればいい。公爵家にいた頃みたいに」
レオナルドは自分の言葉に満足げに頷いた。
「ただ——言い寄られたら面倒だから、その辺は注意しないとな」
「まあ、殿下。心配しなくても、もうミレーヌがいますもの」
「そうだな。はは」
馬車の隅で、ドルトンが黙っていた。
ドルトンだけが知っていた。辺境のあの女が何をしたか。帳簿の記憶で公式文書を退け、横領の証拠をちらつかせて自分を追い返したこと。
言うべきだろうか。「あの女は手強いです」と。
言えなかった。言えば「なぜ追い返されたのか」を説明しなければならない。横領のことが殿下の耳に入れば——。
ドルトンは窓の外を見た。灰色の景色が流れていく。
(何事もなく終わってくれ)
祈るような気持ちだった。
***
三日後の午前。
馬車が領地に入ってくるのが見えた。ヴァレンシア公爵家の紋章入り。護衛の騎馬が二騎。辺境にはあまりに仰々しい。
私は館の前で待っていた。隣にセバス。背後にグレン。
馬車が止まる。扉が開いた。
最初に降りたのはレオナルド。金髪をかき上げながら、領地を見回す。
次にミレーヌ。レオナルドの腕にしがみつくようにして降りてくる。白いドレス。辺境の泥道には明らかに不向きな格好。
最後にドルトン。こちらと目が合った瞬間、逸らした。
鑑定する。
【レオナルド】
現在価値:600
潜在価値:450
現在が潜在を上回っている。王子という肩書きで底上げされた数字が、実力の上限を超えている。つまり、落ちるしかない。
【ミレーヌ】
現在価値:350
潜在価値:300
特筆すべきものがない。肩書きを外したら何も残らない数字。
【ドルトン】
現在価値:300
潜在価値:400
前と同じ。変わる要素がないのだから当然か。
それから、紋章入りの馬車越しに、ぼんやりと浮かぶ数字を見た。
【ヴァレンシア公爵家】
現在価値:2,400
潜在価値:600
——潜在600。
追放された時、父の現在価値は300だった。公爵家全体の数字は見なかったが、実家にいた頃、公爵領は3,000だった。当時の潜在がいくつだったかは覚えていないが、600まで落ちているとは。
潜在価値は「将来性の上限」だ。それが600。つまり、公爵家はこの先どうやっても600以上にはならない。帳簿を回す人間がいなくなった家の末路。
(やっぱりね)
感傷はない。確認しただけ。
「ようこそアーレン領へ。長旅でお疲れでしょう」
「ああ。酷い道だったぞ」
(三ヶ月前はもっと酷かったのよ。修繕したからこれなの)
「ご案内いたします」
***
レオナルドの「視察」が始まった。
領地を歩く。見下す態度を隠さない。
というより、隠す必要があると思っていないのだろう。
「薬草? そんなもので領地経営とは。哀れだな」
ミレーヌが追い打ちをかける。「お可哀想。公爵家にいた頃は帳簿でも触っていればよかったのに」
(触ってたわよ。あんたたちの尻拭いをね)
道を歩く。修繕された石畳。以前は穴だらけだった。
「住民が少ないな。こんな所で苦労しなくても、戻れば済む話だろう」
(三百人で黒字化してるのが何より統治能力の証拠なんだけど、分かんないわよね)
市場の広場を通る。住民たちが遠くから見ている。不安そうな目。せっかく信頼し始めた領主のところに、追い出した張本人が来ている。
「この道、荒れているじゃないか。やはり女一人では無理がある」
(三ヶ月前はもっと——もういいわ。二回目)
レオナルドは何も見ていなかった。目の前の変化が頭に入っていない。「連れ戻してやる」が前提だから、成功の兆候は視界に入らない。
認知の歪み。前世でも見た。上司が部下の成果を認めないのは、能力の問題じゃない。「こいつはダメだ」と決めてしまうと、反証が見えなくなる。
ミレーヌが道端の泥に足を取られて顔をしかめている。辺境に白いドレスで来る方が悪い。
セバスが私の後ろで拳を握り締めているのが分かった。堪えている。
グレンは黙って歩いている。表情は変わらない。ただ、レオナルドが私に近づくたびに、自然と半歩前に出るのが分かった。意識してやっているのか、体が勝手に動いているのか。
***
視察の終わり。館の応接室。
レオナルドが長椅子に座り、足を組んだ。ミレーヌが隣に寄り添う。ドルトンが隅で縮こまっている。
「まあ、辺境にしては頑張ったようだな」
上から。どこまでも上から。
「だが、それならなおさらだ。お前の力は公爵家のために使うべきだろう。帳簿が回らなくて困っているのは知っている。戻れ。帳簿係として戻してやる」
"帳簿係"。
令嬢ではなく、領主でもなく、帳簿係。
ミレーヌが笑う。「殿下はお優しいのね。追放した方にここまで温情をかけるなんて」
追放した側が「温情」と言っている。面白い冗談だ。笑えないけど。
レオナルドの目に悪意はなかった。これが一番たちが悪い。本気で「恩を売っている」つもりなのだ。自分が格好いいと思っている。惨めな元婚約者を救い上げる寛大な王子。頭の中ではそういう絵が描かれている。
現実は——辺境で三ヶ月で黒字化した領主に「帳簿係に戻れ」と言っている王子、だけど。
「殿下のお気遣い、感謝いたします」
私は立ち上がらなかった。座ったまま、帳簿を手元に引き寄せた。
「収益の報告は? まあ赤字だろうが気にするな。戻ってくれば全部解決する」
「明日、収支の報告書をお見せします。数字でご説明いたしますので」
「……数字?」
「はい。帳簿係ですから。数字で話すのが一番得意なの」
レオナルドは鼻で笑った。
「好きにしろ。まあ、聞いてやるよ」
ミレーヌが小声で笑う。ドルトンだけが笑っていなかった。青い顔をしている。あの男だけが知っている。アイリスの帳簿が何を意味するか。
「では明日の朝、応接室で。セバス、お客様を客間へ」
セバスが深く頭を下げた。その手が、まだ震えていた。
***
客人が引き上げた後の執務室。
帳簿を広げた。三日かけて準備した収支報告書。数字は全部揃っている。売上の推移、支出の削減、黒字化の実績、今後の見通し。
隙はない。数字に感情は入っていない。足し算は誰がやっても同じ答えになる。
「……アイリス様」
セバスが声を絞り出した。
「あの方々の言葉は——あまりにも——」
「いいのよ、セバス」
「ですが!」
「言葉には言葉で返さない。数字で返す。そのほうが確実だから」
セバスは唇を噛んだ。それから深く頭を下げて、部屋を出ていった。
残ったのはグレンだけ。
いつもの場所。壁際に立っている。表情は変わらない。ただ、剣の柄を握る手が——白くなるほど力が入っていた。
「グレン」
「……はい」
「明日、私が数字を並べている間、あの人たちを見ていてほしい。表情を。特にドルトンの」
「護衛ですから」
「護衛とは別の話。お願い」
少し間があった。
「……分かりました」
グレンの手が、ゆっくりと柄から離れた。
私は帳簿に目を落とした。明日の準備は終わっている。数字は揃った。あとは見せるだけ。
感情では勝てない。権力でも勝てない。
でも数字なら——数字だけは、誰にも曲げられない。
レオナルドは長椅子に体を預けて、天井を見上げた。
「わざわざ辺境まで出向くのは面倒だが……まあ、あの女を連れ戻してやるのも俺の器の大きさってやつだ」
向かいに座るミレーヌが微笑んだ。
「殿下はお優しいのですね。きっと泣いて感謝しますわ。殿下に許していただけるなんて」
「だろうな。帳簿の一つや二つ、やらせてやればいい。公爵家にいた頃みたいに」
レオナルドは自分の言葉に満足げに頷いた。
「ただ——言い寄られたら面倒だから、その辺は注意しないとな」
「まあ、殿下。心配しなくても、もうミレーヌがいますもの」
「そうだな。はは」
馬車の隅で、ドルトンが黙っていた。
ドルトンだけが知っていた。辺境のあの女が何をしたか。帳簿の記憶で公式文書を退け、横領の証拠をちらつかせて自分を追い返したこと。
言うべきだろうか。「あの女は手強いです」と。
言えなかった。言えば「なぜ追い返されたのか」を説明しなければならない。横領のことが殿下の耳に入れば——。
ドルトンは窓の外を見た。灰色の景色が流れていく。
(何事もなく終わってくれ)
祈るような気持ちだった。
***
三日後の午前。
馬車が領地に入ってくるのが見えた。ヴァレンシア公爵家の紋章入り。護衛の騎馬が二騎。辺境にはあまりに仰々しい。
私は館の前で待っていた。隣にセバス。背後にグレン。
馬車が止まる。扉が開いた。
最初に降りたのはレオナルド。金髪をかき上げながら、領地を見回す。
次にミレーヌ。レオナルドの腕にしがみつくようにして降りてくる。白いドレス。辺境の泥道には明らかに不向きな格好。
最後にドルトン。こちらと目が合った瞬間、逸らした。
鑑定する。
【レオナルド】
現在価値:600
潜在価値:450
現在が潜在を上回っている。王子という肩書きで底上げされた数字が、実力の上限を超えている。つまり、落ちるしかない。
【ミレーヌ】
現在価値:350
潜在価値:300
特筆すべきものがない。肩書きを外したら何も残らない数字。
【ドルトン】
現在価値:300
潜在価値:400
前と同じ。変わる要素がないのだから当然か。
それから、紋章入りの馬車越しに、ぼんやりと浮かぶ数字を見た。
【ヴァレンシア公爵家】
現在価値:2,400
潜在価値:600
——潜在600。
追放された時、父の現在価値は300だった。公爵家全体の数字は見なかったが、実家にいた頃、公爵領は3,000だった。当時の潜在がいくつだったかは覚えていないが、600まで落ちているとは。
潜在価値は「将来性の上限」だ。それが600。つまり、公爵家はこの先どうやっても600以上にはならない。帳簿を回す人間がいなくなった家の末路。
(やっぱりね)
感傷はない。確認しただけ。
「ようこそアーレン領へ。長旅でお疲れでしょう」
「ああ。酷い道だったぞ」
(三ヶ月前はもっと酷かったのよ。修繕したからこれなの)
「ご案内いたします」
***
レオナルドの「視察」が始まった。
領地を歩く。見下す態度を隠さない。
というより、隠す必要があると思っていないのだろう。
「薬草? そんなもので領地経営とは。哀れだな」
ミレーヌが追い打ちをかける。「お可哀想。公爵家にいた頃は帳簿でも触っていればよかったのに」
(触ってたわよ。あんたたちの尻拭いをね)
道を歩く。修繕された石畳。以前は穴だらけだった。
「住民が少ないな。こんな所で苦労しなくても、戻れば済む話だろう」
(三百人で黒字化してるのが何より統治能力の証拠なんだけど、分かんないわよね)
市場の広場を通る。住民たちが遠くから見ている。不安そうな目。せっかく信頼し始めた領主のところに、追い出した張本人が来ている。
「この道、荒れているじゃないか。やはり女一人では無理がある」
(三ヶ月前はもっと——もういいわ。二回目)
レオナルドは何も見ていなかった。目の前の変化が頭に入っていない。「連れ戻してやる」が前提だから、成功の兆候は視界に入らない。
認知の歪み。前世でも見た。上司が部下の成果を認めないのは、能力の問題じゃない。「こいつはダメだ」と決めてしまうと、反証が見えなくなる。
ミレーヌが道端の泥に足を取られて顔をしかめている。辺境に白いドレスで来る方が悪い。
セバスが私の後ろで拳を握り締めているのが分かった。堪えている。
グレンは黙って歩いている。表情は変わらない。ただ、レオナルドが私に近づくたびに、自然と半歩前に出るのが分かった。意識してやっているのか、体が勝手に動いているのか。
***
視察の終わり。館の応接室。
レオナルドが長椅子に座り、足を組んだ。ミレーヌが隣に寄り添う。ドルトンが隅で縮こまっている。
「まあ、辺境にしては頑張ったようだな」
上から。どこまでも上から。
「だが、それならなおさらだ。お前の力は公爵家のために使うべきだろう。帳簿が回らなくて困っているのは知っている。戻れ。帳簿係として戻してやる」
"帳簿係"。
令嬢ではなく、領主でもなく、帳簿係。
ミレーヌが笑う。「殿下はお優しいのね。追放した方にここまで温情をかけるなんて」
追放した側が「温情」と言っている。面白い冗談だ。笑えないけど。
レオナルドの目に悪意はなかった。これが一番たちが悪い。本気で「恩を売っている」つもりなのだ。自分が格好いいと思っている。惨めな元婚約者を救い上げる寛大な王子。頭の中ではそういう絵が描かれている。
現実は——辺境で三ヶ月で黒字化した領主に「帳簿係に戻れ」と言っている王子、だけど。
「殿下のお気遣い、感謝いたします」
私は立ち上がらなかった。座ったまま、帳簿を手元に引き寄せた。
「収益の報告は? まあ赤字だろうが気にするな。戻ってくれば全部解決する」
「明日、収支の報告書をお見せします。数字でご説明いたしますので」
「……数字?」
「はい。帳簿係ですから。数字で話すのが一番得意なの」
レオナルドは鼻で笑った。
「好きにしろ。まあ、聞いてやるよ」
ミレーヌが小声で笑う。ドルトンだけが笑っていなかった。青い顔をしている。あの男だけが知っている。アイリスの帳簿が何を意味するか。
「では明日の朝、応接室で。セバス、お客様を客間へ」
セバスが深く頭を下げた。その手が、まだ震えていた。
***
客人が引き上げた後の執務室。
帳簿を広げた。三日かけて準備した収支報告書。数字は全部揃っている。売上の推移、支出の削減、黒字化の実績、今後の見通し。
隙はない。数字に感情は入っていない。足し算は誰がやっても同じ答えになる。
「……アイリス様」
セバスが声を絞り出した。
「あの方々の言葉は——あまりにも——」
「いいのよ、セバス」
「ですが!」
「言葉には言葉で返さない。数字で返す。そのほうが確実だから」
セバスは唇を噛んだ。それから深く頭を下げて、部屋を出ていった。
残ったのはグレンだけ。
いつもの場所。壁際に立っている。表情は変わらない。ただ、剣の柄を握る手が——白くなるほど力が入っていた。
「グレン」
「……はい」
「明日、私が数字を並べている間、あの人たちを見ていてほしい。表情を。特にドルトンの」
「護衛ですから」
「護衛とは別の話。お願い」
少し間があった。
「……分かりました」
グレンの手が、ゆっくりと柄から離れた。
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