26 / 46
25 麒麟児
しおりを挟む
ショックをうけて、ほとんど気絶しているクラウスを尻目に、アタシはなんとか軌道修正を図ろうとしていた。このさい誤解を解くどころじゃないよ、カリーナはやばい。
そもそも女ってのは、勘の鋭い生き物さ。だけどたいていの場合、それ以上のものでありえない。性別っていうのはよくできていて、女には女の得意な分野、男には男に長じた才がある。ところが時々、その両方の長所をもつ人間が存在する。たぶん、カリーナがそれだ。
女の勘に、男の論理的思考━━。
鎌倉の御前の正体を隠そうと思うなら、カリーナには近づかない方がいい。けど今日のところは、アタシがカリーナを屋敷に招いた手前、逃げ出すわけにはいかない。だとしたら、無難な話題に終始しようじゃないか。貴族令嬢のおしゃべりといったら、お茶とお花とお菓子、ドレスに宝石にロマンス小説だ。
「か、カリーナさまのお召し物は、素敵な藍染ですのね」
クラウスの秘密を聞いて「あらあらまあまあ」と戸惑っていたカリーナだったが、アタシがドレスの話題に水を向けると、ニコリと微笑んだ。
「ええ、このドレスは絹ですの。お父様のすすめで購いまして。私、恥ずかしながら絹のドレスを手に入れたのは初めてなんです」
アスペルマイヤー家はにわかに景気が良くなったからねえ。綿のドレスも絹に出世したというわけだ。しかし、絹、絹か…。
「…絹糸の産地といえば東のミュンヒハウゼン領が有名ですが、やはり東方の気候風土が、養蚕に向いているのでしょうか」
━━言ってから、アタシは自分の失敗に気づいた。せっかく無難にドレスの話題をふったのに、ドレスのデザインじゃなく、素材のことに言及するだなんて、まったく貴族令嬢らしくない。そもそも、こんな問いには、カリーナだって答えようがないだろう。
ところがだ。
「どうでしょう。たとえば桑の木はアスペルマイヤー領にも生えておりますけれど、蚕の生育環境として、気候が整っているのかといわれれば…」
カリーナの回答に、アタシは瞠目した。この娘は…。
「カリーナさまは、他のご令嬢がたとは違っているようですね。ふつう、絹という繊維は知っていても、それが蚕という虫の繭だとは知りません。ましてや蚕の食べるものが桑の葉だなんて、貴族令嬢は知るはずもないでしょうね」
「…たしかに、言われてみればそうかもしれません。私は変わり者だと言われることがしばしばあります。ですが自分が着ているドレスが、どういった材料でできているのか、みんなは気にならないものでしょうか」
気にならないだろうさ、脳みそが花畑の貴族令嬢は。
この時点で、アタシはカリーナを無難にやり過ごすことをやめた。この娘は特別だ。特別な生き物だ。アタシはカリーナが欲しくてたまらなくなってしまった。
「カリーナさまは、アスペルマイヤー領で養蚕を始めようとは思わなかったのですか?」
アタシが訊ねると、カリーナは少し考え込んだあと━━
「…たしかに産業の育成が必要かもしれません。いま、アスペルマイヤー領には国軍が駐留し、領内が活気づいていますが、軍需産業以外に外貨を得る手段をもたなければ、いずれ国軍がふたたび駐留地を移したとき、アスペルマイヤー領は困窮することにもなりかねませんわね」
━━と言った。
「素晴らしいわ!カリーナさまはアスペルマイヤー伯が生み出した、生涯最高の傑作です。これほどの宝なればこそ、伯はお家の運命をかけてカリーナさまを守ろうとしたのでしょう」
アタシゃ、もう手を叩いて大笑いしたもんだ。対してカリーナはキョトンとしている。どうやら自覚がないらしい。だけどね、これだけの識見をもっていること自体、貴族社会においては奇跡に近いんだ。少なくともカリーナの父親であるフンベルト・フォン・アスペルマイヤーは、これほど聡くなかった。
間違いない、軍事工場をアスペルマイヤー領に建設せしめたのは、カリーナさ。決断したのは領主であるフンベルトかもしれないが、決断させたのはカリーナだろう。カリーナの無自覚な発言は、アスペルマイヤー家の家中において、重きをなしているに違いない。そりゃ、そうだろ。
実質100歳を越えているアタシと違って、カリーナは弱冠18歳。それも経済が未発達の世界で育った18歳だ。それが、フンベルトから軍事工場の話を聞いて、有益であると判断した。この娘は天才だ。フンベルトにゃもったいないくらいの器量人さ。
こうなったら、どうしてもカリーナが欲しい。
アタシは手を叩いた。
「クラウス、お兄様を呼んできなさい!ボーっとしてないで、早く!」
「おお、これはカリーナ嬢、ご挨拶が遅れましたな」
呼ばれてやってきたコンラートは、人の良さそうな笑みを浮かべていた。そのコンラートと、後ろにひかえたクラウスの間で、カリーナの視線がせわしなく往復している。
ああ、そういえばカリーナは誤解したまんまだったね。道ならぬ主従の恋、とか考えているんだろう。かすかに頬が赤らんでさえいる。
「では、ゆっくりしていってください」
あいさつだけして立ち去ろうとするコンラートを、アタシは呼び止める。
「ちょっと、お兄様。もう少し話していかれませんこと?」
「あ、いや…。せっかく歳の近いふたりなんだから、私は邪魔かと思ってね」
「そんなに遠慮がちなことでどうします!お兄様ははや三十路にさしかかり、結婚を急がなければならない身の上。せっかく年頃のカリーナさまがいらしているというのに、食らいついていかないことには…」
「ハンナ、お前は何を言い出すんだ!」
慌てるコンラートの手を引っ張って、無理やりソファに座らせる。これがいちばん手っ取り早いのさ━━カリーナをアタシのものにするにゃあ。
カリーナはコンラートのことを憎からず思っているし、コンラートだって、カリーナなら不満はないだろ。なにせカリーナは完璧だ。帝国三大美人で性格が良くて頭が良い。頭の良い女が苦手な男もいるんだろうが、コンラートの場合は問題ない。領地経営に口を出して、しかも成功している妹を見て、嫉妬もせずに平然としている男だからね。つまらないプライドなんかもちあわせてないんだろう。
だったらこの良縁を、アタシがまとめてやろうじゃないか。
「そういえばカリーナさまは18歳でしたね。もう社交界デビューはお済みでしょう。お気に召した男性はいらして?」
「…ハンナさま、私、社交界デビューはしていませんわ」
「えっ、でも」
「アスペルマイヤー家が豊かになったのは最近のことですもの。ふつう伯爵家は、娘を社交界デビューなんかさせません。社交界で出会った男性と恋愛結婚するだなんて、大貴族だけに許された贅沢ですわ」
生まれた娘をいちいち社交界デビューさせていたら、伯爵家の財政規模では、すぐに破産してしまう、とカリーナは言う。言われてみればそうかもしれないね。グレッツナー家はアタシひとりを社交界デビューさせるのに四苦八苦していたんだ。じゃあたとえば娘が3人生まれた伯爵家はどうなるんだって話さ。
だけどだとしたら、こりゃアタシがコンラートから聞いていた話とはずいぶん違うねえ。
鋭い視線をコンラートに突き刺さしてやると、蛇ににらまれたカエルみたいに縮こまっている。それでもアタシは言わずにはいられなかった。
「お兄様、貴族令嬢は全員が社交界デビューするんだと、私はお兄様から教わりましたが?」
「いや、それは…」
「私の社交界デビューにそなえるために、お金を貯めなければいけないと、この数年、グレッツナー家は奮闘してきたのですよ?」
カリーナの話が本当なら、伯爵令嬢が社交界デビューするってのは、貧乏人が子どもを私立の小中高大一貫校に入学させるようなモンだ。無理をするほどのことじゃなかったんだよ。公立の学校だってあるんだから。それなのに━━。
「お兄様は、ご自分の結婚まで犠牲にしたわ。お金が足らないからといって、ずっと縁談を断ってきたことを、私が知らないとでも思っているのですか!」
こんな、こんなくだらないことのために。
「私の自由のために、お兄様は自分ひとり犠牲になるおつもりだったのですか!」
結婚と子づくりは貴族の義務だ。血統を遺し、地位を継承させていくってことだからね。こんなグレッツナー家でも、700年以上続いてきた帝国貴族の一員なんだよ。その誇りは、コンラートの中にも確かにあったはずなんだ。だけど700年の伝統よりも、アタシの幸福をコンラートは選んだ。伯爵家を断絶させる汚名をかぶってでも、アタシに自由を与えようとした。
こみあげてくるものを必死でこらえているアタシの目の前で、コンラートの唇がふるえる。
「わ、私はお前がグレッツナー家にきてくれたことが嬉しくて、その、お前に後悔してほしくなかったのだ。私の妹になったことを後悔してほしくなかった」
「だから与えられるものをすべて与えてきたというわけですか。優先順位を見誤るんじゃないよ!」
「ハンナ、お客様の前で大きな声を…」
「知ったこっちゃないよ、このバカ!」
なんだか胸が詰まってしまって、アタシはそれ以上何も言えずにサロンを飛び出した。
これほど惜しげもなく、すべてを与えられたのはいつぶりだろう。もしかしたら、初めての経験だったかもしれないね。前世の両親でさえ、夫でさえ、自分の地位や生活を犠牲にしてまでアタシに与えようとはしなかった。
アタシゃわかっていたようでわかっていなかった。コンラートのバカさ加減を見誤っていた。あいつの人の良さは底が抜けていて、それから溢れ出した優しさが、あいつに関わった者すべてを優しく包み込む。
コンラートのために命をかけてもいい、アタシゃそう考えていたはずなんだけどね。そんな覚悟は、屁にもならなかった。
これだけの恩を返す手段を、アタシは知らない。
そもそも女ってのは、勘の鋭い生き物さ。だけどたいていの場合、それ以上のものでありえない。性別っていうのはよくできていて、女には女の得意な分野、男には男に長じた才がある。ところが時々、その両方の長所をもつ人間が存在する。たぶん、カリーナがそれだ。
女の勘に、男の論理的思考━━。
鎌倉の御前の正体を隠そうと思うなら、カリーナには近づかない方がいい。けど今日のところは、アタシがカリーナを屋敷に招いた手前、逃げ出すわけにはいかない。だとしたら、無難な話題に終始しようじゃないか。貴族令嬢のおしゃべりといったら、お茶とお花とお菓子、ドレスに宝石にロマンス小説だ。
「か、カリーナさまのお召し物は、素敵な藍染ですのね」
クラウスの秘密を聞いて「あらあらまあまあ」と戸惑っていたカリーナだったが、アタシがドレスの話題に水を向けると、ニコリと微笑んだ。
「ええ、このドレスは絹ですの。お父様のすすめで購いまして。私、恥ずかしながら絹のドレスを手に入れたのは初めてなんです」
アスペルマイヤー家はにわかに景気が良くなったからねえ。綿のドレスも絹に出世したというわけだ。しかし、絹、絹か…。
「…絹糸の産地といえば東のミュンヒハウゼン領が有名ですが、やはり東方の気候風土が、養蚕に向いているのでしょうか」
━━言ってから、アタシは自分の失敗に気づいた。せっかく無難にドレスの話題をふったのに、ドレスのデザインじゃなく、素材のことに言及するだなんて、まったく貴族令嬢らしくない。そもそも、こんな問いには、カリーナだって答えようがないだろう。
ところがだ。
「どうでしょう。たとえば桑の木はアスペルマイヤー領にも生えておりますけれど、蚕の生育環境として、気候が整っているのかといわれれば…」
カリーナの回答に、アタシは瞠目した。この娘は…。
「カリーナさまは、他のご令嬢がたとは違っているようですね。ふつう、絹という繊維は知っていても、それが蚕という虫の繭だとは知りません。ましてや蚕の食べるものが桑の葉だなんて、貴族令嬢は知るはずもないでしょうね」
「…たしかに、言われてみればそうかもしれません。私は変わり者だと言われることがしばしばあります。ですが自分が着ているドレスが、どういった材料でできているのか、みんなは気にならないものでしょうか」
気にならないだろうさ、脳みそが花畑の貴族令嬢は。
この時点で、アタシはカリーナを無難にやり過ごすことをやめた。この娘は特別だ。特別な生き物だ。アタシはカリーナが欲しくてたまらなくなってしまった。
「カリーナさまは、アスペルマイヤー領で養蚕を始めようとは思わなかったのですか?」
アタシが訊ねると、カリーナは少し考え込んだあと━━
「…たしかに産業の育成が必要かもしれません。いま、アスペルマイヤー領には国軍が駐留し、領内が活気づいていますが、軍需産業以外に外貨を得る手段をもたなければ、いずれ国軍がふたたび駐留地を移したとき、アスペルマイヤー領は困窮することにもなりかねませんわね」
━━と言った。
「素晴らしいわ!カリーナさまはアスペルマイヤー伯が生み出した、生涯最高の傑作です。これほどの宝なればこそ、伯はお家の運命をかけてカリーナさまを守ろうとしたのでしょう」
アタシゃ、もう手を叩いて大笑いしたもんだ。対してカリーナはキョトンとしている。どうやら自覚がないらしい。だけどね、これだけの識見をもっていること自体、貴族社会においては奇跡に近いんだ。少なくともカリーナの父親であるフンベルト・フォン・アスペルマイヤーは、これほど聡くなかった。
間違いない、軍事工場をアスペルマイヤー領に建設せしめたのは、カリーナさ。決断したのは領主であるフンベルトかもしれないが、決断させたのはカリーナだろう。カリーナの無自覚な発言は、アスペルマイヤー家の家中において、重きをなしているに違いない。そりゃ、そうだろ。
実質100歳を越えているアタシと違って、カリーナは弱冠18歳。それも経済が未発達の世界で育った18歳だ。それが、フンベルトから軍事工場の話を聞いて、有益であると判断した。この娘は天才だ。フンベルトにゃもったいないくらいの器量人さ。
こうなったら、どうしてもカリーナが欲しい。
アタシは手を叩いた。
「クラウス、お兄様を呼んできなさい!ボーっとしてないで、早く!」
「おお、これはカリーナ嬢、ご挨拶が遅れましたな」
呼ばれてやってきたコンラートは、人の良さそうな笑みを浮かべていた。そのコンラートと、後ろにひかえたクラウスの間で、カリーナの視線がせわしなく往復している。
ああ、そういえばカリーナは誤解したまんまだったね。道ならぬ主従の恋、とか考えているんだろう。かすかに頬が赤らんでさえいる。
「では、ゆっくりしていってください」
あいさつだけして立ち去ろうとするコンラートを、アタシは呼び止める。
「ちょっと、お兄様。もう少し話していかれませんこと?」
「あ、いや…。せっかく歳の近いふたりなんだから、私は邪魔かと思ってね」
「そんなに遠慮がちなことでどうします!お兄様ははや三十路にさしかかり、結婚を急がなければならない身の上。せっかく年頃のカリーナさまがいらしているというのに、食らいついていかないことには…」
「ハンナ、お前は何を言い出すんだ!」
慌てるコンラートの手を引っ張って、無理やりソファに座らせる。これがいちばん手っ取り早いのさ━━カリーナをアタシのものにするにゃあ。
カリーナはコンラートのことを憎からず思っているし、コンラートだって、カリーナなら不満はないだろ。なにせカリーナは完璧だ。帝国三大美人で性格が良くて頭が良い。頭の良い女が苦手な男もいるんだろうが、コンラートの場合は問題ない。領地経営に口を出して、しかも成功している妹を見て、嫉妬もせずに平然としている男だからね。つまらないプライドなんかもちあわせてないんだろう。
だったらこの良縁を、アタシがまとめてやろうじゃないか。
「そういえばカリーナさまは18歳でしたね。もう社交界デビューはお済みでしょう。お気に召した男性はいらして?」
「…ハンナさま、私、社交界デビューはしていませんわ」
「えっ、でも」
「アスペルマイヤー家が豊かになったのは最近のことですもの。ふつう伯爵家は、娘を社交界デビューなんかさせません。社交界で出会った男性と恋愛結婚するだなんて、大貴族だけに許された贅沢ですわ」
生まれた娘をいちいち社交界デビューさせていたら、伯爵家の財政規模では、すぐに破産してしまう、とカリーナは言う。言われてみればそうかもしれないね。グレッツナー家はアタシひとりを社交界デビューさせるのに四苦八苦していたんだ。じゃあたとえば娘が3人生まれた伯爵家はどうなるんだって話さ。
だけどだとしたら、こりゃアタシがコンラートから聞いていた話とはずいぶん違うねえ。
鋭い視線をコンラートに突き刺さしてやると、蛇ににらまれたカエルみたいに縮こまっている。それでもアタシは言わずにはいられなかった。
「お兄様、貴族令嬢は全員が社交界デビューするんだと、私はお兄様から教わりましたが?」
「いや、それは…」
「私の社交界デビューにそなえるために、お金を貯めなければいけないと、この数年、グレッツナー家は奮闘してきたのですよ?」
カリーナの話が本当なら、伯爵令嬢が社交界デビューするってのは、貧乏人が子どもを私立の小中高大一貫校に入学させるようなモンだ。無理をするほどのことじゃなかったんだよ。公立の学校だってあるんだから。それなのに━━。
「お兄様は、ご自分の結婚まで犠牲にしたわ。お金が足らないからといって、ずっと縁談を断ってきたことを、私が知らないとでも思っているのですか!」
こんな、こんなくだらないことのために。
「私の自由のために、お兄様は自分ひとり犠牲になるおつもりだったのですか!」
結婚と子づくりは貴族の義務だ。血統を遺し、地位を継承させていくってことだからね。こんなグレッツナー家でも、700年以上続いてきた帝国貴族の一員なんだよ。その誇りは、コンラートの中にも確かにあったはずなんだ。だけど700年の伝統よりも、アタシの幸福をコンラートは選んだ。伯爵家を断絶させる汚名をかぶってでも、アタシに自由を与えようとした。
こみあげてくるものを必死でこらえているアタシの目の前で、コンラートの唇がふるえる。
「わ、私はお前がグレッツナー家にきてくれたことが嬉しくて、その、お前に後悔してほしくなかったのだ。私の妹になったことを後悔してほしくなかった」
「だから与えられるものをすべて与えてきたというわけですか。優先順位を見誤るんじゃないよ!」
「ハンナ、お客様の前で大きな声を…」
「知ったこっちゃないよ、このバカ!」
なんだか胸が詰まってしまって、アタシはそれ以上何も言えずにサロンを飛び出した。
これほど惜しげもなく、すべてを与えられたのはいつぶりだろう。もしかしたら、初めての経験だったかもしれないね。前世の両親でさえ、夫でさえ、自分の地位や生活を犠牲にしてまでアタシに与えようとはしなかった。
アタシゃわかっていたようでわかっていなかった。コンラートのバカさ加減を見誤っていた。あいつの人の良さは底が抜けていて、それから溢れ出した優しさが、あいつに関わった者すべてを優しく包み込む。
コンラートのために命をかけてもいい、アタシゃそう考えていたはずなんだけどね。そんな覚悟は、屁にもならなかった。
これだけの恩を返す手段を、アタシは知らない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる