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イベントクラッシャー(1)
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次のイベントを目指し、アデライトは王宮をずんずんと進んだ。
手を握られたままの私もまた、彼女に引っ張られて小走りについて行く他にない。
「アデライト様! ま、待って、どこに行くおつもりですか!?」
アデライトの足取りは迷いない。
だけど、追いかける私は全く状況が把握できない状態だ。
行く先もわからず、不安になって尋ねれば、アデライトは振り返ることもなくこう答える。
「イベントの現場よ! 次のイベントでは、オレリアが王宮の貴族に陰湿な悪口を言われるの。オレリアは聖女だけど平民でしょう? そんな卑しい身分の人間は、王妃に相応しくないって思う派閥があるのよ、馬鹿馬鹿しいことに!」
ふん、と鼻息荒いアデライトは、身分なんてまるで気にしていないようだ。
だけど、きっと王宮にいる多くの貴族は、アデライトのようにはいかないだろう。
なにせ、アンリの妻――王妃の座を狙う人間はごまんといる。
求婚の申し込みは連日のように届いている。
結婚の手回しをするよう、陛下に袖の下を渡す貴族も少なくない。
令嬢たちも互いに牽制しあい、旅から帰ってくるアンリを、手をこまねいて待っていた。
なのに、あの突然の婚約宣言だ。
これまで王妃の座をめぐり水面下で争っていた人々は、急に横から現れたオレリア様に不満を抱くのも当然だろう。
ただ、「だから悪口を言っていい」とはならない。
もちろん、「まったく言うな」なんてきれいごとは言えないけど――せめて本人に聞かせないくらいの慎みは必要だろう。
特に、相手は命がけの旅を終えたばかりの聖女だ。
本当に必要なのは、悪口ではなくねぎらいの言葉なのだから。
「世界を救った聖女なんて、そこらへんの貴族よりよっぽど立派でしょうに! 自分ではなにもしてないくせに、身分ばっかりかさに着て、恥ずかしくないのかしら!」
悪役には似つかわしくない言葉を吐き捨て、アデライトは胸を張る。
その様子は、いかにも真っ直ぐなアデライトらしくて、眩しいくらいだ。
「お兄様は、悪口を言われるオレリアをかばうのよ。――だから、それを邪魔しないと!」
「邪魔……って、まさかアデライト様、悪口をそのままにするおつもりで!?」
「そんなわけないじゃない!」
一瞬だけよぎった不安を、アデライトは一息に切り捨てる。
それから、ようやく足を止めて私に振り返ると、彼女は力強く胸を張った。
「要は、オレリアが悪口を言われなければいいんでしょう!? だから、悪口を言っている連中を、今から全員叱り飛ばすのよ! お兄様の出る幕なんかないわ!!」
…………いい子だ。
彼女が悪役なんて、どう考えても配役ミスである。
手を握られたままの私もまた、彼女に引っ張られて小走りについて行く他にない。
「アデライト様! ま、待って、どこに行くおつもりですか!?」
アデライトの足取りは迷いない。
だけど、追いかける私は全く状況が把握できない状態だ。
行く先もわからず、不安になって尋ねれば、アデライトは振り返ることもなくこう答える。
「イベントの現場よ! 次のイベントでは、オレリアが王宮の貴族に陰湿な悪口を言われるの。オレリアは聖女だけど平民でしょう? そんな卑しい身分の人間は、王妃に相応しくないって思う派閥があるのよ、馬鹿馬鹿しいことに!」
ふん、と鼻息荒いアデライトは、身分なんてまるで気にしていないようだ。
だけど、きっと王宮にいる多くの貴族は、アデライトのようにはいかないだろう。
なにせ、アンリの妻――王妃の座を狙う人間はごまんといる。
求婚の申し込みは連日のように届いている。
結婚の手回しをするよう、陛下に袖の下を渡す貴族も少なくない。
令嬢たちも互いに牽制しあい、旅から帰ってくるアンリを、手をこまねいて待っていた。
なのに、あの突然の婚約宣言だ。
これまで王妃の座をめぐり水面下で争っていた人々は、急に横から現れたオレリア様に不満を抱くのも当然だろう。
ただ、「だから悪口を言っていい」とはならない。
もちろん、「まったく言うな」なんてきれいごとは言えないけど――せめて本人に聞かせないくらいの慎みは必要だろう。
特に、相手は命がけの旅を終えたばかりの聖女だ。
本当に必要なのは、悪口ではなくねぎらいの言葉なのだから。
「世界を救った聖女なんて、そこらへんの貴族よりよっぽど立派でしょうに! 自分ではなにもしてないくせに、身分ばっかりかさに着て、恥ずかしくないのかしら!」
悪役には似つかわしくない言葉を吐き捨て、アデライトは胸を張る。
その様子は、いかにも真っ直ぐなアデライトらしくて、眩しいくらいだ。
「お兄様は、悪口を言われるオレリアをかばうのよ。――だから、それを邪魔しないと!」
「邪魔……って、まさかアデライト様、悪口をそのままにするおつもりで!?」
「そんなわけないじゃない!」
一瞬だけよぎった不安を、アデライトは一息に切り捨てる。
それから、ようやく足を止めて私に振り返ると、彼女は力強く胸を張った。
「要は、オレリアが悪口を言われなければいいんでしょう!? だから、悪口を言っている連中を、今から全員叱り飛ばすのよ! お兄様の出る幕なんかないわ!!」
…………いい子だ。
彼女が悪役なんて、どう考えても配役ミスである。
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