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第3話 意外な人物
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ビッグサイトのイベントの後愛斗は赤羽のアパートに帰った。やはりユメカと会えたのは、嬉しい。あんな恋人がいたら、どんなにか楽しいだろうと考える。『ビッグになりたい』と話していたのを思い出す。実際にそうなるのが楽しみである。
夜10時頃カグラからLINEがあった。彼の屋敷を訪れた時LINEを交換したのである。
LINEには小銭入れの画像が添付してあった。これが落ちていたが、愛斗の物ではないかという内容。
確かに彼の物だった。今夜は遅いので明日月曜日の夜8時頃カグラの家に取りに行っていいか返信すると、それでよいという連絡がある。
愛斗は正直あまり、1人で行きたくない気もしたが、仕方ない。
小銭入れぐらいなら諦めても良い気もしたが、せっかく連絡してきたのである。
カグラが悪いわけじゃないが、イマジナリーフレンドが見えるようなトラウマを背負ってるような人物と会うのはちょっと不安に感じたのだ。
翌日の月曜日に仕事が終わると愛斗は電車に乗って赤羽駅に向かう。列車はほぼほぼ定刻通りに到着する。
ホームに降りて、大勢の乗客達と階段を降りた。そして改札口を出て、そこから歩いてカグラの家に行く。
20分後ちょうど夜8時に着いた。インターホンのボタンを押した時違和感を覚える。
土曜日に来た時はインターホンの機械が埃っぽかったのに、今夜は綺麗に拭かれていた。突然綺麗好きに目覚めたのだろうかと考える。
躊躇しながらもボタンを押す。男が鳴り響いたが、いつまでたっても返事がない。が、屋敷の一室の照明がついていた。
そこは土曜日に案内された部屋の1つで、鎧兜や日本刀や日本画が陳列されていた場所である。まるで戦国大名の住居のような一角だ。
門の横の通用口のドアに手をかけると未施錠で、手をかけると普通に開いた。何だか嫌な予感がしたが、愛斗は中に入ってゆく。
事前に来るとわかっているから入っても問題ないと考えたのである。たまたまトイレに行くか、誰かと電話しているのだろう。
敷地内に入り、今度は玄関の横にある呼び鈴のボタンを押したが無反応だ。念のため玄関の扉に手をかけたが未施錠で、やはり開いた。
愛斗は灯りの漏れている、鎧兜のある部屋に向かう。
そこは和室で襖が開放したままだった。中に入ると、カグラがうつぶせに倒れている。
その背中は血で染まり、そばには血まみれの日本刀が落ちていた。素人目にも、彼が死んでいるのがわかる。
愛斗は思わずみっともない叫び声をあげてしまった。その場にぺたんと座りこみ、しばらく動けそうにない。
が、そうもしていられないので、震える手でスマホをつかむと110番に電話する。
しばらくすると制服の警官や私服の刑事が屋敷に現れ、愛斗は別室で取り調べを受け、ありのままを警察に話した。
小銭入れの画像が添付されたLINEも見せた。
「ご協力ありがとうございます」
取り調べをした刑事が感謝の言葉を述べた。頭髪の薄い50代ぐらいの男性で、話し方はやわらかいが、射るような目をしている。
警視庁捜査一課の岩倉(いわくら)という警部補だそうだ。
「遺体の近くにこういった物があったのですが、心当たりはありませんか?」
岩倉はスマホの画像を見せた。そこには虹色のイヤリングの片方だけが映っている。
ユメカが昨日の日曜日にビッグサイトのイベントでつけていたのと同じものだ。
「知りません」
愛斗は、嘘をついた。まさかユメカが犯人なんてありえない。たまたま似たようなデザインなだけで、ユメカとは無関係に違いない。
「この家には防犯カメラはないんですか? あれば犯人は映ってそうですが」
「残念ながら、それが全くないんだよね。もしかしたら、それを知ってる人物の犯行かもしれない。君は被害者との付き合いは長いの?」
愛斗はオフ会で知り合ったヲタスケとリナに、ここへ連れてこられた事を正直に話した。
「そのヲタスケ君とリナさんっていうのは、本名かどうかもわからないんだよね?」
「その通りです」
「最近そういうの多いんだよね」
吐き捨てるように岩倉が話す。
「ハンドルネームって言うんだろ? その2人の連絡先はわからないの?」
「リナさんのはわかりませんが、ヲタスケさんの方は、連絡に使っていたSNSのアカウントがわかります」
愛斗は、それを岩倉に教える。
「付き合いがまだ浅いから、被害者を恨んでた人物に心当たりなんてないよね?」
「ええ、ないです」
「強盗の仕業じゃないんですか? こんなでかい豪邸ですし」
「強盗なら、屋敷の窓やドアを壊して侵入するはずなんだけど、壊された箇所がないんだよ。だから被害者の神楽さん自身の許可を得て、中に入った知り合いが犯行後に未施錠だった玄関と、ゲート横のドアから出たと思うんだよね」
「そうでしたか」
「インターホンには録音機能も録画機能もついてない古い物だから、そちらから調べる事もできないしね。指紋は君のしか出てこなかった。つまりは君が来る前に綺麗にぬぐわれていたわけだ」
「係長、ちょっとすいません」
若い刑事が現れた。
「すいませんが、もう少しこちらの部屋でお待ちください」
愛斗を残し、2人の刑事は部屋を出た。愛斗はすぐにヲタスケのアカウントにダイレクトメールを送り、今までの経緯を説明し、警部補から連絡が行くかもしれないという文章を届ける。
返信は、すぐに来た。
「大変だったね! テレビのニュースで観たけど、まさかマナト君が第一発見者だったとは! 驚いたでしょう!?」
「びっくりしました。まさかカグラ君が殺されるだなんて。警察の人に聞きましたが、この屋敷には防犯カメラは1つもないんですってね」
「そうなんだ。それは僕も知らなかった。それじゃあ誰が犯人か探すのは難しいかもね」
「ヲタスケさんも、犯人の心当たりはないですか?」
「思いつかない。考えてみると、僕もオフ会と握手会で会ったのと、彼の屋敷に行ったの以外で会った機会がなくて、カグラ君の交友関係について、聞いた事もなかったな」
そこでしばらくダイレクトメールのやり取りは途絶える。
「もしかすると、強盗かもね」
しばらくして、ヲタスケからまたメールが入る。が、その線は薄いという岩倉の説明を、愛斗はメールした。
ちょうどそこへ、ノックの音が鳴り響く。
「どうぞ」
返事をする。ドアが開く。また岩倉が現れたのかと思いきや、そこには意外な人物がいた。
夜10時頃カグラからLINEがあった。彼の屋敷を訪れた時LINEを交換したのである。
LINEには小銭入れの画像が添付してあった。これが落ちていたが、愛斗の物ではないかという内容。
確かに彼の物だった。今夜は遅いので明日月曜日の夜8時頃カグラの家に取りに行っていいか返信すると、それでよいという連絡がある。
愛斗は正直あまり、1人で行きたくない気もしたが、仕方ない。
小銭入れぐらいなら諦めても良い気もしたが、せっかく連絡してきたのである。
カグラが悪いわけじゃないが、イマジナリーフレンドが見えるようなトラウマを背負ってるような人物と会うのはちょっと不安に感じたのだ。
翌日の月曜日に仕事が終わると愛斗は電車に乗って赤羽駅に向かう。列車はほぼほぼ定刻通りに到着する。
ホームに降りて、大勢の乗客達と階段を降りた。そして改札口を出て、そこから歩いてカグラの家に行く。
20分後ちょうど夜8時に着いた。インターホンのボタンを押した時違和感を覚える。
土曜日に来た時はインターホンの機械が埃っぽかったのに、今夜は綺麗に拭かれていた。突然綺麗好きに目覚めたのだろうかと考える。
躊躇しながらもボタンを押す。男が鳴り響いたが、いつまでたっても返事がない。が、屋敷の一室の照明がついていた。
そこは土曜日に案内された部屋の1つで、鎧兜や日本刀や日本画が陳列されていた場所である。まるで戦国大名の住居のような一角だ。
門の横の通用口のドアに手をかけると未施錠で、手をかけると普通に開いた。何だか嫌な予感がしたが、愛斗は中に入ってゆく。
事前に来るとわかっているから入っても問題ないと考えたのである。たまたまトイレに行くか、誰かと電話しているのだろう。
敷地内に入り、今度は玄関の横にある呼び鈴のボタンを押したが無反応だ。念のため玄関の扉に手をかけたが未施錠で、やはり開いた。
愛斗は灯りの漏れている、鎧兜のある部屋に向かう。
そこは和室で襖が開放したままだった。中に入ると、カグラがうつぶせに倒れている。
その背中は血で染まり、そばには血まみれの日本刀が落ちていた。素人目にも、彼が死んでいるのがわかる。
愛斗は思わずみっともない叫び声をあげてしまった。その場にぺたんと座りこみ、しばらく動けそうにない。
が、そうもしていられないので、震える手でスマホをつかむと110番に電話する。
しばらくすると制服の警官や私服の刑事が屋敷に現れ、愛斗は別室で取り調べを受け、ありのままを警察に話した。
小銭入れの画像が添付されたLINEも見せた。
「ご協力ありがとうございます」
取り調べをした刑事が感謝の言葉を述べた。頭髪の薄い50代ぐらいの男性で、話し方はやわらかいが、射るような目をしている。
警視庁捜査一課の岩倉(いわくら)という警部補だそうだ。
「遺体の近くにこういった物があったのですが、心当たりはありませんか?」
岩倉はスマホの画像を見せた。そこには虹色のイヤリングの片方だけが映っている。
ユメカが昨日の日曜日にビッグサイトのイベントでつけていたのと同じものだ。
「知りません」
愛斗は、嘘をついた。まさかユメカが犯人なんてありえない。たまたま似たようなデザインなだけで、ユメカとは無関係に違いない。
「この家には防犯カメラはないんですか? あれば犯人は映ってそうですが」
「残念ながら、それが全くないんだよね。もしかしたら、それを知ってる人物の犯行かもしれない。君は被害者との付き合いは長いの?」
愛斗はオフ会で知り合ったヲタスケとリナに、ここへ連れてこられた事を正直に話した。
「そのヲタスケ君とリナさんっていうのは、本名かどうかもわからないんだよね?」
「その通りです」
「最近そういうの多いんだよね」
吐き捨てるように岩倉が話す。
「ハンドルネームって言うんだろ? その2人の連絡先はわからないの?」
「リナさんのはわかりませんが、ヲタスケさんの方は、連絡に使っていたSNSのアカウントがわかります」
愛斗は、それを岩倉に教える。
「付き合いがまだ浅いから、被害者を恨んでた人物に心当たりなんてないよね?」
「ええ、ないです」
「強盗の仕業じゃないんですか? こんなでかい豪邸ですし」
「強盗なら、屋敷の窓やドアを壊して侵入するはずなんだけど、壊された箇所がないんだよ。だから被害者の神楽さん自身の許可を得て、中に入った知り合いが犯行後に未施錠だった玄関と、ゲート横のドアから出たと思うんだよね」
「そうでしたか」
「インターホンには録音機能も録画機能もついてない古い物だから、そちらから調べる事もできないしね。指紋は君のしか出てこなかった。つまりは君が来る前に綺麗にぬぐわれていたわけだ」
「係長、ちょっとすいません」
若い刑事が現れた。
「すいませんが、もう少しこちらの部屋でお待ちください」
愛斗を残し、2人の刑事は部屋を出た。愛斗はすぐにヲタスケのアカウントにダイレクトメールを送り、今までの経緯を説明し、警部補から連絡が行くかもしれないという文章を届ける。
返信は、すぐに来た。
「大変だったね! テレビのニュースで観たけど、まさかマナト君が第一発見者だったとは! 驚いたでしょう!?」
「びっくりしました。まさかカグラ君が殺されるだなんて。警察の人に聞きましたが、この屋敷には防犯カメラは1つもないんですってね」
「そうなんだ。それは僕も知らなかった。それじゃあ誰が犯人か探すのは難しいかもね」
「ヲタスケさんも、犯人の心当たりはないですか?」
「思いつかない。考えてみると、僕もオフ会と握手会で会ったのと、彼の屋敷に行ったの以外で会った機会がなくて、カグラ君の交友関係について、聞いた事もなかったな」
そこでしばらくダイレクトメールのやり取りは途絶える。
「もしかすると、強盗かもね」
しばらくして、ヲタスケからまたメールが入る。が、その線は薄いという岩倉の説明を、愛斗はメールした。
ちょうどそこへ、ノックの音が鳴り響く。
「どうぞ」
返事をする。ドアが開く。また岩倉が現れたのかと思いきや、そこには意外な人物がいた。
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