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第5話 事件解決?
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左近は、赤羽にある葦名のアパートを再び訪れた。警部補を見る葦名の目は、前回会った時以上に困惑に満ちている。
慣れた視線だ。刑事が取り調べに来るのを喜ぶ者など、まずいない。
市民社会を悪から守る正義のカウボーイのはずだが、誰もがそう考えるわけではないからだ。
「き、今日はどうされたんですか? 知ってる事は、こないだ全部お話ししてます」
ヘビに睨まれたカエルのような表情であった。恐怖のあまり舌も上手く回ってないようである。
「君が蕨の壺屋晴人君の家で観た映画なんだけど日曜の朝10時40分から観はじめて、12時40分に観終わったから、大体2時間だな。上映時間。どの場面が1番良かった?」
左近は、葦名にそう切り出した。意外な質問だったらしく葦名の顔は戸惑っている。
が、やがて目を上に向けながら、作品の内容を思い出そうとしてるようだ。
「そうですね……最後の方で大人になった主人公とヒロインが、車内で会う場面が好きです」
左近は興奮状態になった。彼はこの作品が事件解決の糸口になると思い、レンタルビデオ店でDVDを借りて観たのだ。
また、映画好きの友人や部下に作品にまつわる話を聞いたり、ネットで調べたりしたのである。
「君、その映画観たの初めてだよね? 早送りはしてないんだろう?」
思わず、つばを飛ばして聞いた。
「そんな真似、できませんよ」
葦名は苛立つように、言葉を尖らせる。
「壺屋先輩が、リモコンとプレイヤーの置いてある小部屋を施錠しちゃったんで。無論先輩が小部屋の鍵を持ったまま外出しました。僕がズルして、映画を早送りできないようにしたんでしょうね」
葦名がそう結論づける。
「驚くかもしれないが、君が今話したシーンは124分版の『ニューシネマパラダイス』に入ってない。入ってるのは170分のディレクターズカット版の方だけなんだ」
ディレクターズカット版なんてのがあるの自体、映画好きの部下から聞いて初めて知った。
その時に124分版と170分版の違いを知り、念のため自分でも両方のバージョンを観たのである。
「本当に、映画は2時間で終わったの? 実際は3時間近くあったんじゃないの? 本当は君の先輩は、10時40分より早い時刻に外出したんじゃないだろうか? スマホで外出時と帰宅時の時刻を見たって言ってたけど、先輩がスマホの時刻表示を内緒で操作したりはしなかったの?」
左近は、さらに追求した。
「そ、それは、ないです」
警部補の迫力に気圧されたらしく、葦名は目を丸くして、激しく首を横に振る。
「あの後スマホの時刻を駅の時計と確認したけど、合ってましたんで」
「あの後って、君はずっと自分のスマホを持ってたんじゃないのか!?」
左近は、思わず大声をあげる。
「10時40分という時刻は、僕が確認したんじゃないんです。先輩が外出する時、自分の腕時計を見て、そう言いました。スマホは先輩の家に行った時、最初に金庫に預けたんで」
「わざわざ金庫に?」
びっくりして、左近が聞いた。
「以前僕がスマホなくしたんで、またなくさないようにって、土曜遊びに行った時取りあげられて、金庫の中に入れられたんです。先輩が秋葉原から帰宅した時金庫の中から返してもらいましたけど。その時スマホの時刻を見ましたけど、間違いなく昼の12時35分でした」
「おかしいとは思わなかったの? 2時間にしては長いって」
つい、強い語調になって詰問する。
「普段映画観ないから3時間の作品があるって知らなかったんです。映画なんて、みんな2時間位かと。『124分』と書いたパッケージを見てますから、当然中身もそれぐらいだと思ってました。作品が面白かったから夢中になって時間の経つのも忘れてましたし、部屋には時計もなかったし」
確かに左近自身も、同じ映画でふた通りの長さの作品があるとは知らなかった。
失礼ながらドン臭そうな葦名なら、すっかり騙されたとしても、無理はなさそうに感じる。
いや本当は、薄々おかしいと彼も勘づいたのかもしれない。
が、事件に関わりたくないという心理が働き、わざとそこは追求しなかった可能性もある。
いずれにしても今の一件で、壺屋晴人のアリバイは破れた。
左近は早速部下の刑事と一緒に晴人の家を訪問し、令状を見せた。
地下室にあるDVDの棚を調べたら愚かな事に、124分版のパッケージに、170分版のDVDが今も入ったままである。
左近は晴人の目の前に、パッケージより尺の長いDVDを突きつけて、追求した。
晴人の顔色が見る見るうちにひきつって、警部補から目をそらす。事実上、自白したも同然である。
左近は晴人を神田署の取調室に連行した。彼は晴人の向かいに座り、証拠の数々を、ぶつけていった。やがて晴人は渋々とだが自供する。
「お父さんが殺された日曜の朝君は葦名君1人だけを蕨の自宅に残し、家を出た。その時君は自分の腕時計を見て『10時40分だ』と話したが、実際は違ったな」
左近は、穏やかな口調で聞いた。
「本当は、9時53分」
晴人はふてくされた顔で、そう回答する。その目は左近を、恨めしそうに睨んでいた。
「そして君は蕨駅から電車に乗る前駅前のコンビニのトイレの中で変装した」
この件は、聞きこみで判明した。黒ずくめの男がコンビニの便所に入り、別の格好で出てきたのを店員が見たのである。
服装だけではない。髪型もロン毛に変わっていたのである。その証言は、店の防犯カメラの録画映像でも確認できた。
「マフラー、帽子、サングラスをスポーツバッグに入れて、代わりにバッグから出したロン毛のかつらをかぶったんだよ」
壺屋晴人は、重苦しい口調で話す。
「リバーシブルのジャケットは、内側だった赤い方を外にして着なおした。そして10時19分蕨駅発の電車に乗った。この日の京浜東北線は、時刻表通りに動いてた。蕨駅にホームドアができる前は線路への侵入もたまにあったが、最近は減ってたからな。今回みたいな計画も成立すると考えた」
もはや、不貞腐れた話しぶりだ。
「そして、神田駅に向かったんだな?」
「ああ。神田駅で降りると駅の便所でボンジュール急便の制服に似た服に着がえ、実家に行った」
「どこかから制服を盗んだのか?」
「本物の制服じゃねーよ」
晴人は、首を横にふる。
「似たような服をネットで探して買ったんだよ。毎週日曜の朝11時代は弟が彼女の1人暮らしのマンションから帰ってくるから門も玄関も施錠されてないのを知ってたんで、その時間に行ったんだよ。この女が結構可愛くてさ。あいつにはもったいないぐらいだぜ」
晴人は、舌なめずりするような顔になる。
「もしも万が一玄関のドアが施錠されてたり、電車が大幅に遅延したら計画は中止して、別のプランを立てる気だった。まあ俺はギャンブラーだからな。今回は幸運を掴んだと信じてたけど違ったな」
(どちらにしても、自分のお父さんを殺す気だったか)
怒りのあまり、左近は歯噛みをした。
「家に入ると、親父は玄関に背を向け叔母さんと電話中でよ。背中をこちらに向けていたので、むしろ好都合だと思ったわけよ」
晴人は、説明を続ける。
「俺が来たのに気づかれると、激しく抵抗されるって思ったからよ。俺は足をしのばせて台所に行くと包丁を持ちだし、親父の背を何度か刺して、殺したわけよ。あいつがのたうちまわりながら死んでいくのを眺めてるのは、気分が良かった」
そこで晴人は、不気味な笑みを口に浮かべた。
「そして神田駅へ戻り電車の切符を買って、駅構内の便所でまた黒ずくめの服装に戻り、ダンボールは畳んでバッグに戻したわけよ。そして山手線に乗って秋葉原駅で降り、ガンダムカフェに行ったんだよ」
「そこで宮城さんと会ったんだな? 葦名さんには忘れていたと話したそうだが、実際はそこで会う事を覚えていた」
「ま、そうだな」
「ちなみに弟の義明君が借金を消費者金融からしてるけど、これって君のを肩がわりしてるだけだよな?」
「すぐ返すつもりだったよ」
動揺の表情が走る。良心のかけらでも思い出したような顔だった。
「競馬やらパチンコやらのギャンブルでまた借金ができて、もう消費者金融から借りるのはまずいと思って、弟から借りたんだよ。そのうち弟もこれ以上消費者金融から借りれないと言いはじめて……」
「何の落ち度もない父親を殺し、恥ずかしいと思わないのか?」
「親父は年だから、そのうち先に死ぬじゃないか!」
突然晴人が、大声をあげた。
「ちょっとばっか予定よりも先に親父が死んで、今後生きてく俺が早めに遺産を受けとっても、罪はねえだろう。日本は高齢化社会なんだ。老人なんて、死んじまえ!」
「しかも弟に罪をなすりつけようとしたろう。弟が帰る時間を狙ったろう!?」
「親父が死んで弟がムショに行けば、遺産は全部俺の物になるからな」
晴人は開きなおった態度だ。左近は、この男をなぐりたい衝動を必死に抑えるのに苦労した。
晴人が逮捕された後葦名は呼びだされて樫原のアパートへ行き、スーパーで買ったビールとつまみで、2人きりの宴会を始める。
「今日は一体何の用です?」
葦名は質問した。
「頼む。金、貸してくれ」
遠慮のないしゃべり方。
「む、無理ですよ。もう何万も貸したでしょう!」
「だったら、俺に手を貸してくれ。神田にある壺屋の屋敷に空き巣に入るんだ。こないだ亡くなった悟さんの葬式に参列したろう。何のかのと理屈をつけて、息子の義明に取り入るんだよ。そして壺屋邸に2人で遊びに行って、うまい事合鍵を作るとか、侵入しやすそうなルートを探すんだ」
「それ、犯罪でしょう」
突然、樫原の拳骨が飛んできて、葦名は頬に痛みを覚えた。
「お前は、俺の言う通りにすればいいんだ。今日からお前は、俺の舎弟だ」
樫原の顔はいつのまにか、鬼のような形相になっていた。
慣れた視線だ。刑事が取り調べに来るのを喜ぶ者など、まずいない。
市民社会を悪から守る正義のカウボーイのはずだが、誰もがそう考えるわけではないからだ。
「き、今日はどうされたんですか? 知ってる事は、こないだ全部お話ししてます」
ヘビに睨まれたカエルのような表情であった。恐怖のあまり舌も上手く回ってないようである。
「君が蕨の壺屋晴人君の家で観た映画なんだけど日曜の朝10時40分から観はじめて、12時40分に観終わったから、大体2時間だな。上映時間。どの場面が1番良かった?」
左近は、葦名にそう切り出した。意外な質問だったらしく葦名の顔は戸惑っている。
が、やがて目を上に向けながら、作品の内容を思い出そうとしてるようだ。
「そうですね……最後の方で大人になった主人公とヒロインが、車内で会う場面が好きです」
左近は興奮状態になった。彼はこの作品が事件解決の糸口になると思い、レンタルビデオ店でDVDを借りて観たのだ。
また、映画好きの友人や部下に作品にまつわる話を聞いたり、ネットで調べたりしたのである。
「君、その映画観たの初めてだよね? 早送りはしてないんだろう?」
思わず、つばを飛ばして聞いた。
「そんな真似、できませんよ」
葦名は苛立つように、言葉を尖らせる。
「壺屋先輩が、リモコンとプレイヤーの置いてある小部屋を施錠しちゃったんで。無論先輩が小部屋の鍵を持ったまま外出しました。僕がズルして、映画を早送りできないようにしたんでしょうね」
葦名がそう結論づける。
「驚くかもしれないが、君が今話したシーンは124分版の『ニューシネマパラダイス』に入ってない。入ってるのは170分のディレクターズカット版の方だけなんだ」
ディレクターズカット版なんてのがあるの自体、映画好きの部下から聞いて初めて知った。
その時に124分版と170分版の違いを知り、念のため自分でも両方のバージョンを観たのである。
「本当に、映画は2時間で終わったの? 実際は3時間近くあったんじゃないの? 本当は君の先輩は、10時40分より早い時刻に外出したんじゃないだろうか? スマホで外出時と帰宅時の時刻を見たって言ってたけど、先輩がスマホの時刻表示を内緒で操作したりはしなかったの?」
左近は、さらに追求した。
「そ、それは、ないです」
警部補の迫力に気圧されたらしく、葦名は目を丸くして、激しく首を横に振る。
「あの後スマホの時刻を駅の時計と確認したけど、合ってましたんで」
「あの後って、君はずっと自分のスマホを持ってたんじゃないのか!?」
左近は、思わず大声をあげる。
「10時40分という時刻は、僕が確認したんじゃないんです。先輩が外出する時、自分の腕時計を見て、そう言いました。スマホは先輩の家に行った時、最初に金庫に預けたんで」
「わざわざ金庫に?」
びっくりして、左近が聞いた。
「以前僕がスマホなくしたんで、またなくさないようにって、土曜遊びに行った時取りあげられて、金庫の中に入れられたんです。先輩が秋葉原から帰宅した時金庫の中から返してもらいましたけど。その時スマホの時刻を見ましたけど、間違いなく昼の12時35分でした」
「おかしいとは思わなかったの? 2時間にしては長いって」
つい、強い語調になって詰問する。
「普段映画観ないから3時間の作品があるって知らなかったんです。映画なんて、みんな2時間位かと。『124分』と書いたパッケージを見てますから、当然中身もそれぐらいだと思ってました。作品が面白かったから夢中になって時間の経つのも忘れてましたし、部屋には時計もなかったし」
確かに左近自身も、同じ映画でふた通りの長さの作品があるとは知らなかった。
失礼ながらドン臭そうな葦名なら、すっかり騙されたとしても、無理はなさそうに感じる。
いや本当は、薄々おかしいと彼も勘づいたのかもしれない。
が、事件に関わりたくないという心理が働き、わざとそこは追求しなかった可能性もある。
いずれにしても今の一件で、壺屋晴人のアリバイは破れた。
左近は早速部下の刑事と一緒に晴人の家を訪問し、令状を見せた。
地下室にあるDVDの棚を調べたら愚かな事に、124分版のパッケージに、170分版のDVDが今も入ったままである。
左近は晴人の目の前に、パッケージより尺の長いDVDを突きつけて、追求した。
晴人の顔色が見る見るうちにひきつって、警部補から目をそらす。事実上、自白したも同然である。
左近は晴人を神田署の取調室に連行した。彼は晴人の向かいに座り、証拠の数々を、ぶつけていった。やがて晴人は渋々とだが自供する。
「お父さんが殺された日曜の朝君は葦名君1人だけを蕨の自宅に残し、家を出た。その時君は自分の腕時計を見て『10時40分だ』と話したが、実際は違ったな」
左近は、穏やかな口調で聞いた。
「本当は、9時53分」
晴人はふてくされた顔で、そう回答する。その目は左近を、恨めしそうに睨んでいた。
「そして君は蕨駅から電車に乗る前駅前のコンビニのトイレの中で変装した」
この件は、聞きこみで判明した。黒ずくめの男がコンビニの便所に入り、別の格好で出てきたのを店員が見たのである。
服装だけではない。髪型もロン毛に変わっていたのである。その証言は、店の防犯カメラの録画映像でも確認できた。
「マフラー、帽子、サングラスをスポーツバッグに入れて、代わりにバッグから出したロン毛のかつらをかぶったんだよ」
壺屋晴人は、重苦しい口調で話す。
「リバーシブルのジャケットは、内側だった赤い方を外にして着なおした。そして10時19分蕨駅発の電車に乗った。この日の京浜東北線は、時刻表通りに動いてた。蕨駅にホームドアができる前は線路への侵入もたまにあったが、最近は減ってたからな。今回みたいな計画も成立すると考えた」
もはや、不貞腐れた話しぶりだ。
「そして、神田駅に向かったんだな?」
「ああ。神田駅で降りると駅の便所でボンジュール急便の制服に似た服に着がえ、実家に行った」
「どこかから制服を盗んだのか?」
「本物の制服じゃねーよ」
晴人は、首を横にふる。
「似たような服をネットで探して買ったんだよ。毎週日曜の朝11時代は弟が彼女の1人暮らしのマンションから帰ってくるから門も玄関も施錠されてないのを知ってたんで、その時間に行ったんだよ。この女が結構可愛くてさ。あいつにはもったいないぐらいだぜ」
晴人は、舌なめずりするような顔になる。
「もしも万が一玄関のドアが施錠されてたり、電車が大幅に遅延したら計画は中止して、別のプランを立てる気だった。まあ俺はギャンブラーだからな。今回は幸運を掴んだと信じてたけど違ったな」
(どちらにしても、自分のお父さんを殺す気だったか)
怒りのあまり、左近は歯噛みをした。
「家に入ると、親父は玄関に背を向け叔母さんと電話中でよ。背中をこちらに向けていたので、むしろ好都合だと思ったわけよ」
晴人は、説明を続ける。
「俺が来たのに気づかれると、激しく抵抗されるって思ったからよ。俺は足をしのばせて台所に行くと包丁を持ちだし、親父の背を何度か刺して、殺したわけよ。あいつがのたうちまわりながら死んでいくのを眺めてるのは、気分が良かった」
そこで晴人は、不気味な笑みを口に浮かべた。
「そして神田駅へ戻り電車の切符を買って、駅構内の便所でまた黒ずくめの服装に戻り、ダンボールは畳んでバッグに戻したわけよ。そして山手線に乗って秋葉原駅で降り、ガンダムカフェに行ったんだよ」
「そこで宮城さんと会ったんだな? 葦名さんには忘れていたと話したそうだが、実際はそこで会う事を覚えていた」
「ま、そうだな」
「ちなみに弟の義明君が借金を消費者金融からしてるけど、これって君のを肩がわりしてるだけだよな?」
「すぐ返すつもりだったよ」
動揺の表情が走る。良心のかけらでも思い出したような顔だった。
「競馬やらパチンコやらのギャンブルでまた借金ができて、もう消費者金融から借りるのはまずいと思って、弟から借りたんだよ。そのうち弟もこれ以上消費者金融から借りれないと言いはじめて……」
「何の落ち度もない父親を殺し、恥ずかしいと思わないのか?」
「親父は年だから、そのうち先に死ぬじゃないか!」
突然晴人が、大声をあげた。
「ちょっとばっか予定よりも先に親父が死んで、今後生きてく俺が早めに遺産を受けとっても、罪はねえだろう。日本は高齢化社会なんだ。老人なんて、死んじまえ!」
「しかも弟に罪をなすりつけようとしたろう。弟が帰る時間を狙ったろう!?」
「親父が死んで弟がムショに行けば、遺産は全部俺の物になるからな」
晴人は開きなおった態度だ。左近は、この男をなぐりたい衝動を必死に抑えるのに苦労した。
晴人が逮捕された後葦名は呼びだされて樫原のアパートへ行き、スーパーで買ったビールとつまみで、2人きりの宴会を始める。
「今日は一体何の用です?」
葦名は質問した。
「頼む。金、貸してくれ」
遠慮のないしゃべり方。
「む、無理ですよ。もう何万も貸したでしょう!」
「だったら、俺に手を貸してくれ。神田にある壺屋の屋敷に空き巣に入るんだ。こないだ亡くなった悟さんの葬式に参列したろう。何のかのと理屈をつけて、息子の義明に取り入るんだよ。そして壺屋邸に2人で遊びに行って、うまい事合鍵を作るとか、侵入しやすそうなルートを探すんだ」
「それ、犯罪でしょう」
突然、樫原の拳骨が飛んできて、葦名は頬に痛みを覚えた。
「お前は、俺の言う通りにすればいいんだ。今日からお前は、俺の舎弟だ」
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