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第12話 勧誘
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蒼介は最初自衛官になろうとしたが、今の自衛隊は災害救助専門なのと40歳という年齢でひっかかるため断念した。
次にチャマンカ宇宙軍への入隊を希望してメールを送信したがそもそもチャマンカ軍に地球人は入隊できないので、断りの返信が来る。
が、断りのメールが来てから10日ほど経過したある日、蒼介の入隊を突っぱねたチャマンカ軍から、再びメールがスマホに届いた。
1度会いたいとの話である。指定された場所に行くと、ソワール大佐の姿があった。
「久しぶりだな。イッシキ君。このたびの件は、本当に残念だった」
石臼を引くような重苦しい口調で大佐がしゃべりはじめた。
「自分の郷里もショードファ人のミサイル攻撃で、都市ごと吹っ飛んでしまってね。妻子も両親も親戚も友人達も、大勢亡くなってしまったよ」
何か言葉をかけようとしたが、あまりの話に、何も言葉が出なかった。
ソワール大佐のそばには、20代位の若い日本人女性がいた。
長く伸びた艶やかなストレートの黒い髪、切れ長の二つの目、桜色のルージュを塗った唇は、まるで花びらのようである。
まるでモデルみたいな女性だ。何で、こんな所にいるのか、場違いに思えた。
「宗近(むねちか)です」
女が、蒼介に挨拶をした。
「ソワール大佐の秘書官です」
ストラップでさげた名札には「宗近夏映(むねちか かえ)」という名前が入っている。その名の通り、夏の陽光を映したような輝きを帯びている。
名は体を表すとは限らないし、その必要もないのだが。
見とれてるのがばれないように蒼介は、視線をそらしてソワールの方だけを見た。
「チャマンカ軍への入隊は、断られたはずですが」
「君はゲームが好きだったな」
ソワールは、蒼介の言葉には返信せずに突然そうのたまう。
「君らが『新天地』と呼んでいたコロニーでも、スマホでよく遊んでいたと聞いている。しかもそのゲームは大抵の場合戦争物で、戦闘機のパイロットという設定の遊び手が、迫りくる敵機を次々に倒すという種類のものだ」
「よく、ご存じですね」
半ば呆れて、蒼介は肩をすくめる。
「わたしもゲームは、好きです」
横から夏映が、口をはさんだ。そして、黒い切れ長の目で、蒼介を見る。
同じ趣味があると知って、蒼介は、天にも昇るような気持になった。
相手は年齢も離れてるし、仮に自分が若くても相手にされるわけがないとわかってはいるが。
「それが、どうかしたんですか? ぼくが遊んでるゲームは人気があって、世界中で遊ばれてます」
「それも知ってる。そして君が、高得点プレイヤーである事もね。回りくどい話はよそう。君にわが軍のドローンを遠隔で操作してほしいのだ。それを使って、憎むべきショードファ人共と戦ってほしい」
「ちょっと待ってくださいよ。確かにぼくは、高得点プレイヤーです。でも、ドローンの操作とはまた別でしょう。そういうのってAIに任せた方が良いんじゃないですか」
「人工知能の思考パターンは、敵のAIに読まれる傾向があってね。むしろ人間の判断で動かした方が、敵方の人工知能に思考パターンを、読まれなくて都合が良いのだ。実はすでに、やはりゲームで高得点を稼いでいる地球人に協力してもらっているが、実際に活躍している。ドローン部隊の強化のためにも、君にも貢献してほしい」
「しかしまあ、今さらですね。ぼくがゲームでスコアを稼いでたのは、あなた達が来る前からです。『新天地』でも休憩時間に遊んでたので知ってたはず。今に至るまで、お誘いの話が来なかったとはね」
「ショードファ人共が、ここまでやるとは思わなかったのだ。すでにかれらは母星を失い、多くの者が屈服し、ごく少数の者達だけが、テロ活動に参加していた。まさかこんな大規模な、ミサイル攻撃をするだけの余力があるとは想定外だ。おそらくショードファ人だけではなく、チャマンカ人の不満分子の協力も得ているんだろう」
「話の趣旨は、わかりました。自分がどこまで力になれるかわかりませんが、あいつらを倒すためなら喜んで協力します」
自分がここまで熱い言葉を吐けるのが、蒼介自身にも意外であった。
「わたしも嬉しいです」
鈴が鳴るような声を出しながら、夏映が笑顔を浮かべる。
「一色さんなら、あいつらを倒してくれるって信じてます」
「今回の件は、やりすぎでしょう。チャマンカ星の人達も大勢死んだし、スペース・コロニーで働いていた地球人達も大勢死んだ」
瀬戸口は言葉を放った。日本人が働いていた『新天地』だけでなく、周辺のラグランジュ・ポイントに複数のスペース・コロニーが浮かんでおり、アメリカ、ロシア、中国等、世界各国の人達が国別にコロニーに分けられて働いていたが、皆ミサイルの攻撃で殺されたのだ。
眼前に、ワランファがいる。いつもながらショードファ人の表情は読めない。
まるでプラスチックで造られたような質感の白い顔に、ピンク色に光った目。
「軍隊がどういうものか、君もわかっているはずだ」
異星人が、回答した。
「私の意思で行ったわけではない。ショードファ共和国を司る二人の執政官からの指示で実行された」
「チャマンカの民間人も、大勢死んだ」
怒りを抑えて瀬戸口が話した。
「地球人が働いていたスペース・コロニーも破壊された。残酷なだけじゃない。宇宙グマ共の士気を高めてしまっただけだ」
「我々は過去に、奴らと同じ仕打ちを受けた。『目には目を、歯には歯を』と、古の地球の王が、名文句を吐いている。我々は、同じ行いをやったにすぎん」
「瀬戸口さん、冷静になって。気持ちはわかるけど、ここで准将閣下を責めてもしかたないよ。閣下の意思で行ったわけじゃないんだし」
瀬戸口は、そう言葉を放った結菜に対してもいらだった。
彼女は破壊されたコロニーで働いていたのに、どうしてこんな発言ができるのだ。
「結菜はコロニーにいたんだろう。元同僚が殺されて、悔しくないのか?」
「その件に関しては本当に残念だ」
ワランファが、口をはさんだ。
「執政官閣下の指示は、チャマンカ本星だけだったと聞いている。地球人の働くコロニーまで巻き添えを食ったのは、計算違いだったそうだ。この件に関しては、深くお詫びしたい」
ワランファが、日本風に頭を下げた。お詫びされても、殺された人達は決して戻ってこないのだが。
次にチャマンカ宇宙軍への入隊を希望してメールを送信したがそもそもチャマンカ軍に地球人は入隊できないので、断りの返信が来る。
が、断りのメールが来てから10日ほど経過したある日、蒼介の入隊を突っぱねたチャマンカ軍から、再びメールがスマホに届いた。
1度会いたいとの話である。指定された場所に行くと、ソワール大佐の姿があった。
「久しぶりだな。イッシキ君。このたびの件は、本当に残念だった」
石臼を引くような重苦しい口調で大佐がしゃべりはじめた。
「自分の郷里もショードファ人のミサイル攻撃で、都市ごと吹っ飛んでしまってね。妻子も両親も親戚も友人達も、大勢亡くなってしまったよ」
何か言葉をかけようとしたが、あまりの話に、何も言葉が出なかった。
ソワール大佐のそばには、20代位の若い日本人女性がいた。
長く伸びた艶やかなストレートの黒い髪、切れ長の二つの目、桜色のルージュを塗った唇は、まるで花びらのようである。
まるでモデルみたいな女性だ。何で、こんな所にいるのか、場違いに思えた。
「宗近(むねちか)です」
女が、蒼介に挨拶をした。
「ソワール大佐の秘書官です」
ストラップでさげた名札には「宗近夏映(むねちか かえ)」という名前が入っている。その名の通り、夏の陽光を映したような輝きを帯びている。
名は体を表すとは限らないし、その必要もないのだが。
見とれてるのがばれないように蒼介は、視線をそらしてソワールの方だけを見た。
「チャマンカ軍への入隊は、断られたはずですが」
「君はゲームが好きだったな」
ソワールは、蒼介の言葉には返信せずに突然そうのたまう。
「君らが『新天地』と呼んでいたコロニーでも、スマホでよく遊んでいたと聞いている。しかもそのゲームは大抵の場合戦争物で、戦闘機のパイロットという設定の遊び手が、迫りくる敵機を次々に倒すという種類のものだ」
「よく、ご存じですね」
半ば呆れて、蒼介は肩をすくめる。
「わたしもゲームは、好きです」
横から夏映が、口をはさんだ。そして、黒い切れ長の目で、蒼介を見る。
同じ趣味があると知って、蒼介は、天にも昇るような気持になった。
相手は年齢も離れてるし、仮に自分が若くても相手にされるわけがないとわかってはいるが。
「それが、どうかしたんですか? ぼくが遊んでるゲームは人気があって、世界中で遊ばれてます」
「それも知ってる。そして君が、高得点プレイヤーである事もね。回りくどい話はよそう。君にわが軍のドローンを遠隔で操作してほしいのだ。それを使って、憎むべきショードファ人共と戦ってほしい」
「ちょっと待ってくださいよ。確かにぼくは、高得点プレイヤーです。でも、ドローンの操作とはまた別でしょう。そういうのってAIに任せた方が良いんじゃないですか」
「人工知能の思考パターンは、敵のAIに読まれる傾向があってね。むしろ人間の判断で動かした方が、敵方の人工知能に思考パターンを、読まれなくて都合が良いのだ。実はすでに、やはりゲームで高得点を稼いでいる地球人に協力してもらっているが、実際に活躍している。ドローン部隊の強化のためにも、君にも貢献してほしい」
「しかしまあ、今さらですね。ぼくがゲームでスコアを稼いでたのは、あなた達が来る前からです。『新天地』でも休憩時間に遊んでたので知ってたはず。今に至るまで、お誘いの話が来なかったとはね」
「ショードファ人共が、ここまでやるとは思わなかったのだ。すでにかれらは母星を失い、多くの者が屈服し、ごく少数の者達だけが、テロ活動に参加していた。まさかこんな大規模な、ミサイル攻撃をするだけの余力があるとは想定外だ。おそらくショードファ人だけではなく、チャマンカ人の不満分子の協力も得ているんだろう」
「話の趣旨は、わかりました。自分がどこまで力になれるかわかりませんが、あいつらを倒すためなら喜んで協力します」
自分がここまで熱い言葉を吐けるのが、蒼介自身にも意外であった。
「わたしも嬉しいです」
鈴が鳴るような声を出しながら、夏映が笑顔を浮かべる。
「一色さんなら、あいつらを倒してくれるって信じてます」
「今回の件は、やりすぎでしょう。チャマンカ星の人達も大勢死んだし、スペース・コロニーで働いていた地球人達も大勢死んだ」
瀬戸口は言葉を放った。日本人が働いていた『新天地』だけでなく、周辺のラグランジュ・ポイントに複数のスペース・コロニーが浮かんでおり、アメリカ、ロシア、中国等、世界各国の人達が国別にコロニーに分けられて働いていたが、皆ミサイルの攻撃で殺されたのだ。
眼前に、ワランファがいる。いつもながらショードファ人の表情は読めない。
まるでプラスチックで造られたような質感の白い顔に、ピンク色に光った目。
「軍隊がどういうものか、君もわかっているはずだ」
異星人が、回答した。
「私の意思で行ったわけではない。ショードファ共和国を司る二人の執政官からの指示で実行された」
「チャマンカの民間人も、大勢死んだ」
怒りを抑えて瀬戸口が話した。
「地球人が働いていたスペース・コロニーも破壊された。残酷なだけじゃない。宇宙グマ共の士気を高めてしまっただけだ」
「我々は過去に、奴らと同じ仕打ちを受けた。『目には目を、歯には歯を』と、古の地球の王が、名文句を吐いている。我々は、同じ行いをやったにすぎん」
「瀬戸口さん、冷静になって。気持ちはわかるけど、ここで准将閣下を責めてもしかたないよ。閣下の意思で行ったわけじゃないんだし」
瀬戸口は、そう言葉を放った結菜に対してもいらだった。
彼女は破壊されたコロニーで働いていたのに、どうしてこんな発言ができるのだ。
「結菜はコロニーにいたんだろう。元同僚が殺されて、悔しくないのか?」
「その件に関しては本当に残念だ」
ワランファが、口をはさんだ。
「執政官閣下の指示は、チャマンカ本星だけだったと聞いている。地球人の働くコロニーまで巻き添えを食ったのは、計算違いだったそうだ。この件に関しては、深くお詫びしたい」
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