21 / 66
第21話 ザースコ少佐
しおりを挟む
ショードファ人のザースコ少佐は結局3人の部下と一緒に在日チャマンカ総督府から脱出した。
チャマンカ人の宇宙船を強奪し、ワープで地球を離れたのだ。
同胞であるショードファ人を裏切り、チャマンカ人の元からも離れたかれらに、帰る場所はない。
銀河を流浪するかれらの元にも、ショードファ軍がチャマンカ軍に破れ、ワランファ准将が捕囚の身になったニュースは届いていた。
「ザースコ少佐。ここは思いきって、ワランファ准将の救出に向かってはいかがでしょう?」
部下の1人が提案した。
「裏切り者の我々がか!?」
ザースコは驚いた。そんなふうに考えた事もなかったのだ。
「このままでは我ら4人、ただ真空の大海を放浪するだけの身で、最期には朽ち果てるだけです。無謀な計画かもしれませんが、やってみる価値はあるかと。裏切ったとはいえ、我ら4人、ショードファ人の愛国者です」
その場にいた他の2人も、賛同した。
「宰相閣下」
側近から声をかけられ、バサニッカはそちらを振り向いた。
「ショードファ人のザースコ少佐から入電ですが、いかがしますか? 直接閣下とお話ししたいと」
「誰だ、そいつは?」
「同胞を裏切って我々についておきながら作戦に失敗し、地球のチャマンカ総督府から宇宙船を強奪して脱出した男です」
バサニッカはアゴで、通信をつなぐよう指示した。
やがて彼女の眼前に、ショードファ人を映しだしたホログラムが現れる。
「お初にお目にかかります。宰相閣下。自分はショードファ宇宙軍所属ザースコ少佐です」
「裏切り者が、何の用か?」
「我ら4名、逃避行に疲れ果てました。かくなるうえは捕囚となったワランファ准将共々、刑場の露となる覚悟であります」
「まだ、准将がどうなるかは決まっておらん。チャマンカ帝国はこれでも法治国家でな。ワランファの処遇は裁判によって決定される。貴様らが投降するのは勝手だが、やはり裁判でその行く末が決まるのだ」
「承知しました。それでは甘んじて裁判を受けましょう。もはや我らに行く場所はありません。現在我らの乗る船は、チャマンカ星に向かっております。座標もすでにそちらへ向かって送信しました」
「承知した。迎えの艦をよこすから、待っていろ」
「送信を確認しました」
横から側近が、声をかけた。
「送信された座標には、盗まれた宇宙船が確かにあります」
早速バサニッカの命令で、6隻からなる宇宙艦隊がザースコ少佐を迎えるために派遣された。
そしてザースコの乗る宇宙船と接触し、その船を囲むように6隻の艦が上下左右前後に各1隻ずつ配置され、チャマンカ星に向かって発進する。
全部で7隻の船は、チャマンカ星の近くまで来て停止した。
その後武装したチャマンカ兵がマイクロ・ワープでザースコ少佐の乗る宇宙船に乗りこんだ。
そしてそこにいる4人のショードファ人の身体検査をして非武装なのを確認すると、数名のチャマンカ兵を強奪した宇宙船内に残し、他の兵は4人と一緒にマイクロ・ワープでチャマンカ星の首都へ降り立った。
首都は準光速ミサイルの攻撃で、悲惨な光景と化している。所々に廃墟と化したビルがあり、
ザースコ達ショードファ人は、思わずそちらに目をやった。
「貴様らの蛮行の結果がこれだ」
チャマンカ兵の1人がそうつぶやいた。やがて4人はバサニッカの前に連行される。
「わざわざ、我らと会う時間を作っていただき、恐れ入る」
ザースコ少佐は、ピンクの毛並みに包まれた宰相に向かって話した。バサニッカは黒いトーガに身を包んでいる。
「なに、裏切り者がどんな面で現れるのか、好奇心が動いただけよ」
動物のクマに似たその顔には、冷笑が浮かんでいた。
「ワランファや、捕囚となった他の同胞に会いたいか?」
「どちらでも。いずれにしろ、准将閣下や同胞達は、我らの顔等見たくないかと」
「かもしれんな」
バサニッカが鼻で笑う。
チャマンカ人の宇宙船を強奪し、ワープで地球を離れたのだ。
同胞であるショードファ人を裏切り、チャマンカ人の元からも離れたかれらに、帰る場所はない。
銀河を流浪するかれらの元にも、ショードファ軍がチャマンカ軍に破れ、ワランファ准将が捕囚の身になったニュースは届いていた。
「ザースコ少佐。ここは思いきって、ワランファ准将の救出に向かってはいかがでしょう?」
部下の1人が提案した。
「裏切り者の我々がか!?」
ザースコは驚いた。そんなふうに考えた事もなかったのだ。
「このままでは我ら4人、ただ真空の大海を放浪するだけの身で、最期には朽ち果てるだけです。無謀な計画かもしれませんが、やってみる価値はあるかと。裏切ったとはいえ、我ら4人、ショードファ人の愛国者です」
その場にいた他の2人も、賛同した。
「宰相閣下」
側近から声をかけられ、バサニッカはそちらを振り向いた。
「ショードファ人のザースコ少佐から入電ですが、いかがしますか? 直接閣下とお話ししたいと」
「誰だ、そいつは?」
「同胞を裏切って我々についておきながら作戦に失敗し、地球のチャマンカ総督府から宇宙船を強奪して脱出した男です」
バサニッカはアゴで、通信をつなぐよう指示した。
やがて彼女の眼前に、ショードファ人を映しだしたホログラムが現れる。
「お初にお目にかかります。宰相閣下。自分はショードファ宇宙軍所属ザースコ少佐です」
「裏切り者が、何の用か?」
「我ら4名、逃避行に疲れ果てました。かくなるうえは捕囚となったワランファ准将共々、刑場の露となる覚悟であります」
「まだ、准将がどうなるかは決まっておらん。チャマンカ帝国はこれでも法治国家でな。ワランファの処遇は裁判によって決定される。貴様らが投降するのは勝手だが、やはり裁判でその行く末が決まるのだ」
「承知しました。それでは甘んじて裁判を受けましょう。もはや我らに行く場所はありません。現在我らの乗る船は、チャマンカ星に向かっております。座標もすでにそちらへ向かって送信しました」
「承知した。迎えの艦をよこすから、待っていろ」
「送信を確認しました」
横から側近が、声をかけた。
「送信された座標には、盗まれた宇宙船が確かにあります」
早速バサニッカの命令で、6隻からなる宇宙艦隊がザースコ少佐を迎えるために派遣された。
そしてザースコの乗る宇宙船と接触し、その船を囲むように6隻の艦が上下左右前後に各1隻ずつ配置され、チャマンカ星に向かって発進する。
全部で7隻の船は、チャマンカ星の近くまで来て停止した。
その後武装したチャマンカ兵がマイクロ・ワープでザースコ少佐の乗る宇宙船に乗りこんだ。
そしてそこにいる4人のショードファ人の身体検査をして非武装なのを確認すると、数名のチャマンカ兵を強奪した宇宙船内に残し、他の兵は4人と一緒にマイクロ・ワープでチャマンカ星の首都へ降り立った。
首都は準光速ミサイルの攻撃で、悲惨な光景と化している。所々に廃墟と化したビルがあり、
ザースコ達ショードファ人は、思わずそちらに目をやった。
「貴様らの蛮行の結果がこれだ」
チャマンカ兵の1人がそうつぶやいた。やがて4人はバサニッカの前に連行される。
「わざわざ、我らと会う時間を作っていただき、恐れ入る」
ザースコ少佐は、ピンクの毛並みに包まれた宰相に向かって話した。バサニッカは黒いトーガに身を包んでいる。
「なに、裏切り者がどんな面で現れるのか、好奇心が動いただけよ」
動物のクマに似たその顔には、冷笑が浮かんでいた。
「ワランファや、捕囚となった他の同胞に会いたいか?」
「どちらでも。いずれにしろ、准将閣下や同胞達は、我らの顔等見たくないかと」
「かもしれんな」
バサニッカが鼻で笑う。
0
あなたにおすすめの小説
【新作】1分で読める! SFショートショート
Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる