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五章
一問一答
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ゆっくりと少女が階段を下りてくる。
「マリポーザ?」
「あれが、精霊使いの……」
その途端、炎が氷の階段を包む。氷は瞬時に溶け、マリポーザが落ちる、と人々が思ったとき。小さな竜巻がマリポーザを浮かび上がらせる。
観衆があっけにとられている中、広間の床の石が盛り上がり、今度は石の階段となった。その石段に足をかけ、再びゆっくりとマリポーザは下に降りてくる。
そして四つの魔法陣の中心に着くと、マリポーザは皇帝にひざますいた。皇帝の護衛軍が剣に手をかけ警戒の姿勢をとる。
「面白い」
皇帝の高い声が広間に響いた。皇帝が鷹揚に拍手をする。同時に広間の窓が開き、再び部屋に明かりが差し込む。
皆一様に、今起こったことに呆然としていた。顔を見合わせ、同じ夢を皆で見ていたのではないか、という表情をしている。
「マリポーザ、これは精霊術なのか? それとも何かのしかけがある奇術か?」
皇帝は楽しそうにマリポーザに問う。
「精霊術です。しかし、本来の使い方ではございません。私が帝都を離れていたときに学んだ精霊術を、わかりやすくお見せ致しました」
マリポーザの言葉に裁判長が我に返る。
「そ、そうだ。本来お前は牢の中で裁判を待つ身。脱獄をした罪は重いぞ」
「大変申し訳ございません。しかし、それには理由があります。私は精霊術により、精霊界に行ってしまっていたのです」
マリポーザは深々と頭を下げた。
「お前が宮殿の中庭に逃げ出したのを目撃しているものがいるぞ」
「はい、逃げ出しました」
脱獄したことをあっさり認めたマリポーザに部屋がざわつく。フェリペは額をおさえた。
「ですが、それは必要なことだったのです。私のマエストロであるアルトゥーロ・デ・ファルネシオ特別参謀が持っていた危険な魔法陣を処分するためでした」
「危険な? それは皇帝陛下にとってということか?」
「いいえ。皇帝陛下のみならず、全ての人間にとって、です」
「そのような魔法陣があるとは、報告を受けておらんが」
皇帝が不愉快そうに眉をひそめた。
「報告をしておりませんでした。皇帝陛下にも他言するな、というマエストロの指示のもと、隠しておりました」
部屋が騒がしくなる。謀反だ、危険分子だ、といった声が飛び交う。
「その魔法陣を使うと、どういう危険なことが起きるのだ?」
裁判長の問いにマリポーザは黙った。一呼吸おいて、嘘をつく。
「わかりません。ただ、特別参謀には『決して使うな』と固く禁じられていました。
私は山火事の事故の後すぐに捕われました。すでにマエストロは山火事で死去してましたので、誰もその魔法陣を処分することができません。
私は牢の中でその魔法陣のことを思い出し、誰かが知らぬ間に使用し災害が起きる前に処分しようと考えました。それで牢を抜け出したのです」
「脱獄をした際、誰か手引きをした者がいたのか?」
「いいえ、精霊の力を借りました」
「嘘をつくな、宮殿で誰かと一緒に逃げるお前を見たものがいるんだぞ」
水軍大佐が大声で怒鳴った。
「マリポーザ?」
「あれが、精霊使いの……」
その途端、炎が氷の階段を包む。氷は瞬時に溶け、マリポーザが落ちる、と人々が思ったとき。小さな竜巻がマリポーザを浮かび上がらせる。
観衆があっけにとられている中、広間の床の石が盛り上がり、今度は石の階段となった。その石段に足をかけ、再びゆっくりとマリポーザは下に降りてくる。
そして四つの魔法陣の中心に着くと、マリポーザは皇帝にひざますいた。皇帝の護衛軍が剣に手をかけ警戒の姿勢をとる。
「面白い」
皇帝の高い声が広間に響いた。皇帝が鷹揚に拍手をする。同時に広間の窓が開き、再び部屋に明かりが差し込む。
皆一様に、今起こったことに呆然としていた。顔を見合わせ、同じ夢を皆で見ていたのではないか、という表情をしている。
「マリポーザ、これは精霊術なのか? それとも何かのしかけがある奇術か?」
皇帝は楽しそうにマリポーザに問う。
「精霊術です。しかし、本来の使い方ではございません。私が帝都を離れていたときに学んだ精霊術を、わかりやすくお見せ致しました」
マリポーザの言葉に裁判長が我に返る。
「そ、そうだ。本来お前は牢の中で裁判を待つ身。脱獄をした罪は重いぞ」
「大変申し訳ございません。しかし、それには理由があります。私は精霊術により、精霊界に行ってしまっていたのです」
マリポーザは深々と頭を下げた。
「お前が宮殿の中庭に逃げ出したのを目撃しているものがいるぞ」
「はい、逃げ出しました」
脱獄したことをあっさり認めたマリポーザに部屋がざわつく。フェリペは額をおさえた。
「ですが、それは必要なことだったのです。私のマエストロであるアルトゥーロ・デ・ファルネシオ特別参謀が持っていた危険な魔法陣を処分するためでした」
「危険な? それは皇帝陛下にとってということか?」
「いいえ。皇帝陛下のみならず、全ての人間にとって、です」
「そのような魔法陣があるとは、報告を受けておらんが」
皇帝が不愉快そうに眉をひそめた。
「報告をしておりませんでした。皇帝陛下にも他言するな、というマエストロの指示のもと、隠しておりました」
部屋が騒がしくなる。謀反だ、危険分子だ、といった声が飛び交う。
「その魔法陣を使うと、どういう危険なことが起きるのだ?」
裁判長の問いにマリポーザは黙った。一呼吸おいて、嘘をつく。
「わかりません。ただ、特別参謀には『決して使うな』と固く禁じられていました。
私は山火事の事故の後すぐに捕われました。すでにマエストロは山火事で死去してましたので、誰もその魔法陣を処分することができません。
私は牢の中でその魔法陣のことを思い出し、誰かが知らぬ間に使用し災害が起きる前に処分しようと考えました。それで牢を抜け出したのです」
「脱獄をした際、誰か手引きをした者がいたのか?」
「いいえ、精霊の力を借りました」
「嘘をつくな、宮殿で誰かと一緒に逃げるお前を見たものがいるんだぞ」
水軍大佐が大声で怒鳴った。
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