ホワイトアフターデー

春山 一貴

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第一話

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 ある年の三月十四日、放課後。某市内にある凌西中学校、第二理科室の真裏にある校舎裏。そこは生徒の間では有名なイベントスポットだった。舞桜まおは先月片想いの男子にチョコを渡して今日まで返事を待っていた。


 二年B組の教室で自分の席に座り、落ち着きなく考えにふけっていた。


「一ヶ月も待たせるってどういう神経してんだろね」


 隣の席に座っていた愛奏あいかが呆れた顔つきで話しかけてきた。


「いや、普段から全然話してないし、接点少ないから…」

「ビビってるんじゃない?」

「言い過ぎだよー…」

「てか、舞桜が勇気だしてチョコ渡したのに、それに返事返すの気まずいから返事しないとか情けないよ」

「愛奏、言い過ぎだってば」

「ごめんごめん!つい喋りすぎちゃったね」


 彼からの返事が来ないために、数日前から舞桜は彼に気がないんじゃないかと思うようになっていた。フラれると分かっていても返事はほしいなとは思っていたので、複雑な気持ちになっていた。


「舞桜、私、聞いてこよっか?」

「え…? いやいや!いいよ、そんなことしなくても…!!」

「なんで?このままモヤモヤした気持ち引き摺ってても仕方ないでしょ。私が舞桜に答え出すように聞いてくるよ」

「さすがにやっちゃだめだよ、、」

「なんでよ」

「え、だって」

「だって?」

「迷惑かも知れないし…」

「なにバカなこと言ってんの?(笑)迷惑してるのは舞桜の方でしょー」

「迷惑だなんて思って…」

「舞桜が思ってなくても、私が迷惑なの!舞桜、ここ最近毎日暗い顔してるよ?そんな顔見てるとこっちまで心配になってくるの」

「ごめん…」

「謝る必要なんてないの、私が勝手に心配してるんだから!」

「愛ちゃん…」

「んじゃ、今聞いてくるね」

「え??今??」

「何いってんの、善は急げだよん」


 愛奏はおもむろに立ちあがり、廊下の方へ行こうとした。


「え?!ちょっと!どこ行くの?」

「トイレだよー!」

「そ、そうなの」

「そういえば、山下って何組だっけ?」

「A組」

「あー、じゃあ上の階だね。 (小声で)それじゃあ上のトイレにいこーっと」

「聞こえたよ…」

「んー?」

「もういいよ…!!わかったってば…!!」


 一目散にA組の教室へと向かっていった愛奏の口元は間違いなく緩んでいた。
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