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女優の裏の顔
しおりを挟む「あの辺に座っとこうか」
と私はバーカウンターの前にある椅子を指さして言った。たった今、目に飛び込んできた光景に心が騒いでいるのを自分でも感じつつ、少し顔を伏せて歩いた。この部屋の中で比較的“その集団”から距離のあるその椅子を選んだ。場内に満ちた生々しい熱気は素肌にまとわりつくようだった。革張りの赤い椅子に座った時はお尻がヒヤッと冷たく感じた。
「どっかで見たことある人たちばかりだね」
友人はグラスの酒を口にしながらそう言った。持ち前のボーイッシュな性格らしい、低音がきいた固さのある声だった。
「そうだね。男の人は知らない人ばかりだけど、女性は有名人ばかり。女優……アイドル……モデル……それに、歌手までいる」
と、私は周囲を見回しながら、男たちの間に挟まれているようにして見える有名人たちを、一人ひとり数えるようにして言った。
その声は自分でも分かるほど動揺に満ちて聞こえた。どれだけ友人の前で平静を装おうとも、大人数の大人たちが集まって繰り広げている行為を受け止めきれず、声が自然と震えた。
それもそのはずで、これまで付き合ったことのある男性はこの二十年間でたった一人だけで、当然“そっち”の経験もその男の人とだけだった。だから、処女でないにしろ、目の前で行われているいわゆる「乱交」にすぐ紛れ込んでいけるほど経験の厚みと自信はなかった。
私が今夜の芸能人パーティ……いや乱交パーティに参加しようと思ったのは単に芸能人に一目会いたい、お近づきになりたいというミーハーな理由だけではなかった。最近、“ご無沙汰”であること。これがもう一つの理由だった。
その唯一の交際相手とは一年前に別れているので、一年もの間は男性との肉体的な絡みは皆無だった。そこで今夜の話が私のもとに届いたのだ。その時は、お腹の底が絞られるような痒いような心地がしたのが、自分でも分かった。
ふと我に返った時には、一組の男女がこちらへ向かって来ていた。もちろん二人とも裸だった。男性の方はテレビに出ていそうな感じではなく普通の会社員といった印象だが、女性の方は見るからにオーラをまとっていた。間近で見なくともそれが誰なのかが一瞬で分かった。とある愛称で広く知られており、四十歳手前だというのに一切衰えを知らぬ美貌で、ドラマ、バラエティなどに昔から多数出演しており、現在においても絶大な人気を誇っている女優さんだ。ついこの前もゴールデン枠のクイズ番組に番宣で出ていたのを、テレビで見たばかりだ。そんな人が今、私のほとんど数メートル先で男性と一緒にバーカウンターで飲み物を注文している。
しばらく彼女は私たちの存在に気づいていないようだったが、バーテンダーが飲み物を準備している間、一瞬だけ、ちらとこちらを見たような気がした。彼女と会うのは言うまでもなく初めてだ。それなのに、私にとっての初対面がお互い全裸とは……。
そんなことを考えながら身を縮こまらせていると、となりの友人が「ちょっとトイレに行ってくるね」と言って席を立った。
いざ一人になってみると、にわかに心細くなってきた。だからできるだけ“群れている側”の方は見ないようにバーカウンターの方を向いて座った。
まだ酒の味は自分には苦かった。この空気感と舌の奥に感じる苦みは意外なほど合っていた。グラスの中身が空になったので、私も何か注文しようと思った矢先、甲高い声が耳に飛び込んできた。先程の有名女優たちがいたところからだ。声の感じでなんとなく察したが、こわいもの見たさでゆっくりとそっちの方を向くと、やはり予想通りだった。
その高貴な雰囲気のある綺麗な四十近い女優が、椅子に座った状態で股を開きながら男に秘部を舐められていた。
私はそれをただただ見つめることしかできなかった。
すると、彼女の太腿あたりに置かれていた男性の手は滑らかに動いて、中指と薬指だけが吸い込まれるように彼女の秘部の中へ入って行った。無骨な、太い、男の手だった。その手の動きは、はじめはゆっくりだったが、次第に速さを増していき、それにつれて彼女の口から洩れる声も大きくなっていった。テレビで見てきた女優としての顔はとうに崩れており、眉間にしわを寄せ、何かに堪えるような顔をしていた。
気づけば彼女の秘部からは、何かしら液体が勢いよく迸(ほとばし)っていた。私はそれが何なのか知っていた。
指が差し入れられた彼女の“穴”に釘付けになっていた。溢れ出ている。液体はぴちゃぴちゃと音を立てて床に落ちた。
男の手がそれを外に搔き出しているのかのように、小刻みな動きを続ければ続けるほどその液体はますます彼女から飛ぶようにして出て行った。
とてもいやらしい光景だと思った。
でも、とても興奮していた。今すぐにでも自分の手がそこに伸びて、彼女がされたように“穴”に指を入れてしまいたくなるほどに。
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