唾棄すべき日々(1993年のリアル)

緑旗工房

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第33話 三次会

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一次会が終わって二次会も終わり、女性たちは電車があるうちに帰っていった。
しかし終電が近付いた時刻になっても若手を中心にまだまだ盛り上がっていて終わる雰囲気はなかった。
こりゃ今夜はオールナイトになるな。

三次会はカラオケボックス、酔いも手伝って盛り上がりはますます高まっていた。
その盛り上がりの中、主役のU君がそっと俺に目配せをしながら部屋の外へ出た。
俺になにか話があるらしい。

U君は自分が想像していた以上に多くの人間が深夜までつき合ってくれたことを喜びながらも戸惑っていた。
彼は最後の日となる今日は、親しい後輩数人と行きつけのスナックで飲み明かすつもりだったそうだ。
しかし予想外の大人数がオールナイト体制になるという嬉しい誤算になり、しばし席を外して予約を入れてたスナックに顔を出して事情を話してきたいとのことだった。
その店が跳ねたら店の女の子を呼んで、四次会で我々と合流するつもりだそうだ。

「でも主役の私が席をはずしたらマズイですよね。
予約した店は小さいので、この人数だと入りきらないんですよ。
時間的にオールナイトになるでしょうし、次の店にその女の子を連れていけばみんなも喜んでくれると思うんです」

たまたま俺がその場での最年長だったので、相談したかったらしい。
俺はこういった。

「今日はU君が主役なんだから、自分のやりたいようにするのが一番だよ。
主役不在でも俺が盛り上げておくから気にすんなよ」

部屋に戻った俺は主役が一時席をはずすことをみんなに伝えて、Uくんはタクシーを飛ばしてスナックに向かった。

主役不在になってからもみんな勝手に盛り上がっていたが、さすがに主役不在となると少々テンションは下がる。
やがて、それぞれの派遣先での苦労話なんかが出始めてきた。
そりゃそうだ、みんなストレスまみれの日々なんだから愚痴も言いたくなる。
平時でも仕事の悩みは多いもの、ましてやこの状況で愚痴が出ない方がどうかしている。

マズいな、このままじゃシリアスモードになる。
勝手に責任感を感じた俺は、酔いも手伝ってある作戦を考え付いた。

威勢のいい歌を勝手に入れて、隣のやつにマイクを渡した。
そいつが歌っている間、手拍子と合いの手を入れながらそっとベルトをゆるめてズボンのボタンを外してタイミングを計った。

間奏になると同時に俺は立ち上がって躍り出した。
当然ズボンは下がって足下に落ち、Yシャツの端からトランクスが見える。
さらにYシャツをまくり上げて躍り出した俺を見て、みんながどよめいた。
俺の酒好きは有名だがひたすら飲んで語るタイプ、この手のノリは見せたことがない。
爆笑と大拍手が沸き起こり、一気にヒートアップした。

マイクを握ったヤツには遠慮なく脱げコールが浴びせられ、ズボンを下ろして踊りながら歌うのが暗黙のルールになった。

女性がいたらこんな下品でくだらないことはしなかったが男の後輩ばかりで最年長者は俺、酔いと妙な責任感で一か八かの盛り上げに出たら予想以上に盛り上がった。
歌いながらズボンを下ろすみんなを見て、俺もゲラゲラ笑いながら盛り上がっていた。
一通りマイクが回ったとき、横にいたF君がマイクで叫んだ。

「さあ次はペイズリーの御大です」

一瞬、みんなキョトンとした。
しかし次の瞬間みんなが俺に向かって大拍手を送ったのを見て意味がわかった。
その日の俺のトランクスはペイズリー柄、そうか、もう一度脱げってことか。
Fのヤツ、盛り上げてくれるじゃねーか。

俺はなんか嬉しくなった。
十八番の歌を入れ歌いながらズボンを下ろしパンツを見せた俺は、曲の最後になったときにトランクスの後ろをズリ下げてみんなにケツを出して叫んだ。

「大サービスっ!」

これでさらに場はヒートアップ、歌って躍って叫んで積もり積もった憂さを一気に晴した。
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