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本編
魔法の練習です。
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ラルフォンにさっそく教えてもらうことになった。
「じゃあまずは制御の仕方を覚えるか。」
「制御?」
「あぁ。シーアは今は大量の水を出してるだろ?それを少量の水を出せるようにするんだ。じゃないとすぐに魔力が枯渇するからな。」
「でも、僕、少量の水出せますよ?バケツ1杯分くらい。」
「もっと少なくだ。コップ1杯分を出せたら1滴ずつ出すようにする。それが出来れば細かいコントロールができるからな。」
「コップ1杯分……。」
意識を集中させ少量の水を出すようにする。手から水が溢れ、空中に浮かんだが、バケツ1杯分も出してしまった。
「あれ?難しい……。」
「はは、そうだろ?なかなか制御するのは難しいんだ。今日はこれを練習かな。」
「はい!」
その後ひたすら水を出す練習をした。1時間ほど経ち、やっとコップ1杯分の水を出せるようになった。だが、1滴ずつ出すには程遠い。
さらに時間が経ち、疲れが溜まったのかクラクラしてきた。貧血の症状に似ている。
「おい!シーア!大丈夫か?」
「へ?あ、ちょっと疲れたみたいです。」
「あー多分魔力が切れそうだな……。今日はもう終わりにしよう。このままやったら倒れるぞ。」
「分かりました。」
僕はフラフラとカルロスたちの方へ歩いていく。長い時間みんな僕のことを見ていたようだ。
僕がヘロヘロしながら近づいたのがわかったのかカルロスがサッと僕を抱き上げた。
「大丈夫か?シーア。」
「うん、ちょっと疲れちゃった。」
「おつかれ。今日はもう宿に行こうか。」
「うん。」
カルロスがちゅっとおでこにキスを落とす。エーヴェンもフォレストも労わるように頬にキスを落とした。カルロスの腕の中で揺られ、僕は睡魔に抗うことなく夢の中に旅立った。
「んん……。」
目が覚めて、辺りを見渡す。どうやら宿のようだ。僕は大人が3、4人寝れるようなふかふかの大きなベッドに寝かされていた。カルロスも、エーヴェンも、フォレストも誰もいない。
ベッドから降りてぺたぺたと部屋を裸足で歩く。ここは寝室らしく、リビングへの扉の方へ向かう。
ゆっくりとドアノブを回し中へ入った。中央にあるソファに3人は座っていた。
僕が行くと3人は僕の方へ駆け寄ってくる。
「大丈夫か?」
エーヴェンが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫。寝たら疲れが取れたみたい。ありがとう、エーヴェンお兄ちゃん。」
「よし、じゃあ夕食にするか。シーアも腹が空いているだろ?」
「うん、ぺこぺこなんだ。」
程なくして、部屋に大量の料理が運ばれてきた。今日は部屋で食べるらしい。僕はフォレストの足の間に座り夕食を食べる。
「はい、シーア。あーん。」
フォレストが上から優しそうな声でスプーンを僕の口に入れる。
「あーん。」
躊躇いなく食べてその美味しさに瞳を輝かせる。
「美味しい!」
フォレストは自分が食べるよりも僕に食べさせてこようとする。
「フォレストお兄ちゃんもちゃんと食べなきゃダメだよ?」
ちらりと上を見上げて首をかしげる。フォレストはほんのりと頬を染めた。
「じゃあシーアが食べさせてくれますか?」
「え、僕?……うーん、じゃあ何食べたい?」
「ふふ、ではそれを。」
たった今僕が食べようとフォークに刺した肉を指差す。僕はそのままフォークをフォレストの口の中に運んだ。美味しかったのか顔を綻ばせる。
「ふふ、間接キスですね?」
「へっ?あっ、そういえば!」
「ありがとうございます。美味しかったです。」
嬉しそうに微笑むフォレストを表情のないカルロスとエーヴェンが睨む。血が繋がっていないはずなのにそういう表情はそっくりだ。
こうして楽しい食事は過ぎていったのだがお互いに食べさせ合うという求愛の行為にカルロスとエーヴェンは機嫌を悪くしていたのだった。無論、シーアは気づいていない。
「じゃあまずは制御の仕方を覚えるか。」
「制御?」
「あぁ。シーアは今は大量の水を出してるだろ?それを少量の水を出せるようにするんだ。じゃないとすぐに魔力が枯渇するからな。」
「でも、僕、少量の水出せますよ?バケツ1杯分くらい。」
「もっと少なくだ。コップ1杯分を出せたら1滴ずつ出すようにする。それが出来れば細かいコントロールができるからな。」
「コップ1杯分……。」
意識を集中させ少量の水を出すようにする。手から水が溢れ、空中に浮かんだが、バケツ1杯分も出してしまった。
「あれ?難しい……。」
「はは、そうだろ?なかなか制御するのは難しいんだ。今日はこれを練習かな。」
「はい!」
その後ひたすら水を出す練習をした。1時間ほど経ち、やっとコップ1杯分の水を出せるようになった。だが、1滴ずつ出すには程遠い。
さらに時間が経ち、疲れが溜まったのかクラクラしてきた。貧血の症状に似ている。
「おい!シーア!大丈夫か?」
「へ?あ、ちょっと疲れたみたいです。」
「あー多分魔力が切れそうだな……。今日はもう終わりにしよう。このままやったら倒れるぞ。」
「分かりました。」
僕はフラフラとカルロスたちの方へ歩いていく。長い時間みんな僕のことを見ていたようだ。
僕がヘロヘロしながら近づいたのがわかったのかカルロスがサッと僕を抱き上げた。
「大丈夫か?シーア。」
「うん、ちょっと疲れちゃった。」
「おつかれ。今日はもう宿に行こうか。」
「うん。」
カルロスがちゅっとおでこにキスを落とす。エーヴェンもフォレストも労わるように頬にキスを落とした。カルロスの腕の中で揺られ、僕は睡魔に抗うことなく夢の中に旅立った。
「んん……。」
目が覚めて、辺りを見渡す。どうやら宿のようだ。僕は大人が3、4人寝れるようなふかふかの大きなベッドに寝かされていた。カルロスも、エーヴェンも、フォレストも誰もいない。
ベッドから降りてぺたぺたと部屋を裸足で歩く。ここは寝室らしく、リビングへの扉の方へ向かう。
ゆっくりとドアノブを回し中へ入った。中央にあるソファに3人は座っていた。
僕が行くと3人は僕の方へ駆け寄ってくる。
「大丈夫か?」
エーヴェンが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫。寝たら疲れが取れたみたい。ありがとう、エーヴェンお兄ちゃん。」
「よし、じゃあ夕食にするか。シーアも腹が空いているだろ?」
「うん、ぺこぺこなんだ。」
程なくして、部屋に大量の料理が運ばれてきた。今日は部屋で食べるらしい。僕はフォレストの足の間に座り夕食を食べる。
「はい、シーア。あーん。」
フォレストが上から優しそうな声でスプーンを僕の口に入れる。
「あーん。」
躊躇いなく食べてその美味しさに瞳を輝かせる。
「美味しい!」
フォレストは自分が食べるよりも僕に食べさせてこようとする。
「フォレストお兄ちゃんもちゃんと食べなきゃダメだよ?」
ちらりと上を見上げて首をかしげる。フォレストはほんのりと頬を染めた。
「じゃあシーアが食べさせてくれますか?」
「え、僕?……うーん、じゃあ何食べたい?」
「ふふ、ではそれを。」
たった今僕が食べようとフォークに刺した肉を指差す。僕はそのままフォークをフォレストの口の中に運んだ。美味しかったのか顔を綻ばせる。
「ふふ、間接キスですね?」
「へっ?あっ、そういえば!」
「ありがとうございます。美味しかったです。」
嬉しそうに微笑むフォレストを表情のないカルロスとエーヴェンが睨む。血が繋がっていないはずなのにそういう表情はそっくりだ。
こうして楽しい食事は過ぎていったのだがお互いに食べさせ合うという求愛の行為にカルロスとエーヴェンは機嫌を悪くしていたのだった。無論、シーアは気づいていない。
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