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9.招かれざるお客様たち(1)
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私はさえない三つ編みスタイルに戻って、暗部のある王宮の転移陣から自宅近くの転移陣まで移動して、やれやれと一息ついていた。思ったよりも早くあがれたので、そのまま近くの市場に寄ってベーコンやら野菜やら買い込む。色々安く買えてほくほくしていた私の耳に、なつかしい声が響いた。
「おじょーーーーーーーさまーーーーーー!!!」
夕日を背に大声を上げながら100メートル先から走り寄ってきたのは、公爵家で私の専属メイドだったアビゲイルだ。
「エリー?どうしてあなたが!?」そのまま私にダイブしてくる小柄な彼女を抱きとめつつ尋ねる。長旅だったのだろう、ブルネットの髪は埃っぽく、ダークネイビーのお仕着せは少しよれているが、深緑の瞳はキラキラしている。
「どうして?はこっちのセリフです!何で黙って国を出てしまわれたのですか?みんな心配したんですからね!」と私の腕の中で目を吊り上げるエリー。私より2つ年上の20歳の彼女は、彼女のお母さんが私の乳母だった関係で小さいころから姉妹のように育ってきた。こんなかんじだけど、一応男爵令嬢でもある。
「いやだって国外追放になったし…あんな公の場でエリック王子に断罪されて婚約破棄になったから公爵家に戻るのは迷惑がかかると思ったの。」私は視線をそらしつつ答える。もちろん建前だから。
「あんなくそマヌケからっぽどうしようもない王子の言う事なんて誰も信じませんし、なんの法的拘束力もありませんよ!」繰り返すけれどこれでも男爵令(ry
それは確かにそうだ。だから婚約破棄だけは確定させたくて、書類はこちらで準備して貴族院にすばやく提出してから国を出たのだ。あのあっさい王子がトラブルを起こすことは事前に予想がついていたから。
「お嬢様が出ていったとわかってからは本当に大変だったんですからね!旦那様は3日3晩書斎に引きこもってさめざめと泣かれるし、奥様は王家に殴り込みに行こうとされるし…ここだってなかなかわからなくて、随分やきもきしたんです…」遠い目をするエリー。父、ギュスターブ公爵はあの国の宰相であり、随一の優秀な頭脳をもっているけど、実は家族思いな人でおっそろしく繊細。対して母は今でこそ淑女の鏡といわれているけど、父と結婚前は魔法騎士団のエースでどちらかというと脳筋派なのだ。
「ち、ちなみに婚約破棄は通った?」私は一番気になっていたことをエリーに聞いた。
「ええ。婚約破棄は通りましたし、王子以外のボンクラ令息達はみーんな廃嫡になってそれぞれ腐った根性叩き直されてますよ。ただ何だか王家の方はゴタゴタしているようで、エリック王子とピンク頭は王宮に幽閉状態らしいです。」と祖国だったら確実に不敬罪になっている発言を、息を吐くように彼女がした。
とにかくここは市場の近くで目立ってしょうがない。なおもくっついてくるエリーを引きはがし、私は自宅へ案内することにした。
「お嬢様……おいたわしい………」私の1DKの部屋を見るなりエリーは絶句したように言った。白い壁に木の机と木の椅子2脚、装飾はちっちゃな風景画にミニキッチンと確かに狭いし殺風景だけど、結構気に入ってるからその物言いはちょっと辛い。
「まあつもる話もあるし、とりあえずシャワーでも浴びてきて。夕飯まだでしょ?適当に作っとくから!着替えは私ので大丈夫よね。」なおもブツブツ嘆くエリーをお風呂へ追いやった私は、手早く晩御飯の準備を始めた。
市場で目についた赤いパプリカをさっと洗うと、食べやすい大きさにカットする。肉厚で美味しそう。フライパンでさっと焼き目をつけて、砂糖と塩こしょう、お酢、そしてちょっといいオリーブオイルで作ったマリネ液に着けて冷蔵庫に入れておく。
次に同じフライパンで一口大にカットしたベーコンを炒め、次に小さくカットしたブロッコリーとマッシュルームを放り込む。火が通ったら置いておいて、この家で一番大きなフライパンにお湯をわかし塩を入れてパスタをゆでる。ボールには念のため浄化魔法をかけた卵2個と、市場で塊で買ったパルミジャーノをたっぷりとけずり入れて混ぜておいた。パスタが茹で上がったら、湯切りはそこそこにボールに入れてひたすら混ぜる!混ぜる!ベーコンと野菜も入れて盛り付け、仕上げにあらびきの黒コショウをたっぷりとかければカレン特製カルボナーラの完成!
「お嬢様がお料理をされるなんて…!」とお風呂上り、私の簡素なワンピースに着替えたエリーが目を丸くしている。へへっ前世の時からわりと自炊はしていたのですよ。
「口に合うかわからないけど、まあ食べてみて。」2脚しかない椅子のうちの1脚をすっと引いて彼女を座らせると、冷やしていたマリネとカルボナーラをだす。パルミジャーノと香ばしいベーコンの良い匂いがたまらない。
「いただきます!」と手を合わせて元気に言うと、マーサ王国の儀礼だと思ったのかエリーもそれにならう。ちょっとおかしい。
カルボナーラはチーズの香りとコク、そしてベーコンの脂の旨味でがっつりたまらない味わいに仕上がっている。口の中がこってりしすぎたら、マリネでちょっとお口直し。そうやって2人で気兼ねなく晩御飯を食べながら、楽しいおしゃべり。
曰く、私を追放したバカ息子たちの婚約者はその後それぞれ別の人と幸せになったとか
曰く、うちの弱虫執事見習いがとうとう年上のメイド頭に告白したとか
曰く、お父様が領地に引きこもろうとして他の大臣たちが全力で止めたとか
曰く、お母様が王宮の城壁の一部を水魔法と風魔法の合わせ技で吹っ飛ばした後、かけつけた近衛師団と魔法騎士団のメンバーを戦闘不能にしたとか
最後の話題だけなんだかおかしい気もするけど、みんなが元気で何よりだ。私の方も、マーサに来てからの話を暗部のことはふせて話した。
つもる話をした後は、私もお風呂に入って就寝タイム。
「昔みたいに、一緒に寝ましょうよ!」といつもの短パンとドルマンスリーブに着替えて提案したら、「お嬢様と…そんな恐れ多い…というか女性同士とは言え間違いが合ってはいけませんし…耐えられるか私の良心……」と顔を真っ赤にしてまたエリーが何かつぶやいていた。確かに、このカッコはこの世界の人には刺激は強いかも。まあエリーだからと気にせず、彼女をそのままベッドに引き込んで一緒に寝ることにした。
それがあんなことになるなんて
「おじょーーーーーーーさまーーーーーー!!!」
夕日を背に大声を上げながら100メートル先から走り寄ってきたのは、公爵家で私の専属メイドだったアビゲイルだ。
「エリー?どうしてあなたが!?」そのまま私にダイブしてくる小柄な彼女を抱きとめつつ尋ねる。長旅だったのだろう、ブルネットの髪は埃っぽく、ダークネイビーのお仕着せは少しよれているが、深緑の瞳はキラキラしている。
「どうして?はこっちのセリフです!何で黙って国を出てしまわれたのですか?みんな心配したんですからね!」と私の腕の中で目を吊り上げるエリー。私より2つ年上の20歳の彼女は、彼女のお母さんが私の乳母だった関係で小さいころから姉妹のように育ってきた。こんなかんじだけど、一応男爵令嬢でもある。
「いやだって国外追放になったし…あんな公の場でエリック王子に断罪されて婚約破棄になったから公爵家に戻るのは迷惑がかかると思ったの。」私は視線をそらしつつ答える。もちろん建前だから。
「あんなくそマヌケからっぽどうしようもない王子の言う事なんて誰も信じませんし、なんの法的拘束力もありませんよ!」繰り返すけれどこれでも男爵令(ry
それは確かにそうだ。だから婚約破棄だけは確定させたくて、書類はこちらで準備して貴族院にすばやく提出してから国を出たのだ。あのあっさい王子がトラブルを起こすことは事前に予想がついていたから。
「お嬢様が出ていったとわかってからは本当に大変だったんですからね!旦那様は3日3晩書斎に引きこもってさめざめと泣かれるし、奥様は王家に殴り込みに行こうとされるし…ここだってなかなかわからなくて、随分やきもきしたんです…」遠い目をするエリー。父、ギュスターブ公爵はあの国の宰相であり、随一の優秀な頭脳をもっているけど、実は家族思いな人でおっそろしく繊細。対して母は今でこそ淑女の鏡といわれているけど、父と結婚前は魔法騎士団のエースでどちらかというと脳筋派なのだ。
「ち、ちなみに婚約破棄は通った?」私は一番気になっていたことをエリーに聞いた。
「ええ。婚約破棄は通りましたし、王子以外のボンクラ令息達はみーんな廃嫡になってそれぞれ腐った根性叩き直されてますよ。ただ何だか王家の方はゴタゴタしているようで、エリック王子とピンク頭は王宮に幽閉状態らしいです。」と祖国だったら確実に不敬罪になっている発言を、息を吐くように彼女がした。
とにかくここは市場の近くで目立ってしょうがない。なおもくっついてくるエリーを引きはがし、私は自宅へ案内することにした。
「お嬢様……おいたわしい………」私の1DKの部屋を見るなりエリーは絶句したように言った。白い壁に木の机と木の椅子2脚、装飾はちっちゃな風景画にミニキッチンと確かに狭いし殺風景だけど、結構気に入ってるからその物言いはちょっと辛い。
「まあつもる話もあるし、とりあえずシャワーでも浴びてきて。夕飯まだでしょ?適当に作っとくから!着替えは私ので大丈夫よね。」なおもブツブツ嘆くエリーをお風呂へ追いやった私は、手早く晩御飯の準備を始めた。
市場で目についた赤いパプリカをさっと洗うと、食べやすい大きさにカットする。肉厚で美味しそう。フライパンでさっと焼き目をつけて、砂糖と塩こしょう、お酢、そしてちょっといいオリーブオイルで作ったマリネ液に着けて冷蔵庫に入れておく。
次に同じフライパンで一口大にカットしたベーコンを炒め、次に小さくカットしたブロッコリーとマッシュルームを放り込む。火が通ったら置いておいて、この家で一番大きなフライパンにお湯をわかし塩を入れてパスタをゆでる。ボールには念のため浄化魔法をかけた卵2個と、市場で塊で買ったパルミジャーノをたっぷりとけずり入れて混ぜておいた。パスタが茹で上がったら、湯切りはそこそこにボールに入れてひたすら混ぜる!混ぜる!ベーコンと野菜も入れて盛り付け、仕上げにあらびきの黒コショウをたっぷりとかければカレン特製カルボナーラの完成!
「お嬢様がお料理をされるなんて…!」とお風呂上り、私の簡素なワンピースに着替えたエリーが目を丸くしている。へへっ前世の時からわりと自炊はしていたのですよ。
「口に合うかわからないけど、まあ食べてみて。」2脚しかない椅子のうちの1脚をすっと引いて彼女を座らせると、冷やしていたマリネとカルボナーラをだす。パルミジャーノと香ばしいベーコンの良い匂いがたまらない。
「いただきます!」と手を合わせて元気に言うと、マーサ王国の儀礼だと思ったのかエリーもそれにならう。ちょっとおかしい。
カルボナーラはチーズの香りとコク、そしてベーコンの脂の旨味でがっつりたまらない味わいに仕上がっている。口の中がこってりしすぎたら、マリネでちょっとお口直し。そうやって2人で気兼ねなく晩御飯を食べながら、楽しいおしゃべり。
曰く、私を追放したバカ息子たちの婚約者はその後それぞれ別の人と幸せになったとか
曰く、うちの弱虫執事見習いがとうとう年上のメイド頭に告白したとか
曰く、お父様が領地に引きこもろうとして他の大臣たちが全力で止めたとか
曰く、お母様が王宮の城壁の一部を水魔法と風魔法の合わせ技で吹っ飛ばした後、かけつけた近衛師団と魔法騎士団のメンバーを戦闘不能にしたとか
最後の話題だけなんだかおかしい気もするけど、みんなが元気で何よりだ。私の方も、マーサに来てからの話を暗部のことはふせて話した。
つもる話をした後は、私もお風呂に入って就寝タイム。
「昔みたいに、一緒に寝ましょうよ!」といつもの短パンとドルマンスリーブに着替えて提案したら、「お嬢様と…そんな恐れ多い…というか女性同士とは言え間違いが合ってはいけませんし…耐えられるか私の良心……」と顔を真っ赤にしてまたエリーが何かつぶやいていた。確かに、このカッコはこの世界の人には刺激は強いかも。まあエリーだからと気にせず、彼女をそのままベッドに引き込んで一緒に寝ることにした。
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