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未知なるもの

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あっつい。うっかり寝室で寝てしまった。エアコンも点けずに。
隣で静かに寝てる璃端は、
「ちょ、ズボン脱げたまんま…」
くったりしてる気がして、肩を軽く揺さぶった。

「璃端、起きろ…あっつい。このまま寝るな。脱水するぞ。」
すぐにエアコンをリモコンで作動させて、
璃端の頬に触れる。何でだろう、少し冷えてる?

ゆっくり起き上がって、ベッドから滑り落ちる。
『かなめぇ…あつい』
「ちょっと待ってろ、飲み物持ってくる。」

人肌って、なんであんなに安心感あんのか。クラクラしながら
リビングに行って冷蔵庫を開ける。冷気が涼しい。
一応、保冷剤とタオル、麦茶を持って寝室に戻った。

『寝ちゃってた。要、頭痛くない?』
「俺は平気。ほら、麦茶に少し塩入れて来た。」
璃端が起き上がって、グラスを受け取って気持ちよく
飲み干す所を見届けた。

『要も飲んだ?』
「ん、ちょっとだけ」
『足らなくない?』
「平気だよ。ほら、熱いトコ冷やして。」
『ん、平気。エアコン効いて来てるし。』
油断した。ちょっとびっくりして、心臓がバクバクしてる。

璃端に何かあったらどうしよう、その一心で。
ルームライトを点けると。少しだけ眩しそうにするのを見て
照度を落とした。

「はぁ…。」
『僕より、要の方が大変そう。本当に大丈夫なの?』
「うん。」
『じゃ、こっち来て?要』
不安になると、人に頼りたくなる依存心を璃端は知らない筈なのに
ちゃんと安心させようとしてくれてる?
とにかく、璃端に抱き着く。

「好き、璃端…」
『ほんと?』
「うん。だって、落ち着く。でも、ちゃんとドキドキもする。」
感覚だけのフワフワな話だけど。

『要は意外と繊細だからさ…時々、苦しそうで見てられない。』
璃端の胸に埋もれて、このままずっとこうしていたくて。
ちゅ、と胸板にキスをしてみた。
「イヤじゃない?」
『くすぐったい…』
「前、はだけてるから気になる。お腹冷えないかなって。」
『でも、今は要がそこにいるから平気。』

綺麗な真っ白くて、肌理の整った素肌。
筋肉も適度についてるし、理想的な体に近いんじゃないかった思う。
「俺ね、璃端と…あの頃は一つになりたくてしょうがなかった。」
性的な意味では、もちろんない。

『…感じてたよ?僕に求めてる物は分からなくても、だって要みたいに純粋に真っすぐな
態度で僕は自分と向き合ってくれる人、見た事無かったし。』
「恥ずかしい…。」
『胸が、きゅってなる人だなぁって漠然と思った。でも、もしかしたら要は他の人にも
同じ熱量で接しているんだとしたら?と考えると…切なくて。』

璃端の感受性の高さは、もう知っているつもりでいた。
「璃端も、俺も同じに思えて来て。本当は全然違うのに。まぜこぜに思い出すと
相手がそうじゃなくなった瞬間を見るのが、耐えられなくて。」

『ごめんね、俺が…決心つかなくて。結局自分が可愛くてちゃんと要を見ていなかった。』
ぎゅ、と璃端の腰に腕をまわす。
「もう、忘れよ?今これからが大事なんだし。」
『要…、』
名前を呼ばれるだけで、心が波立つ。

首を少しだけ反らして、璃端とキスを交わして。
背中と腰に這った手の大きさと温もりを感じながら、口内の柔らかい部分に
舌先で触れられると、ゾクゾクする。
唾液を絡めながら、舌を嘗めあげられると体が戦慄くんじゃないかと思うくらい。

璃端の吐息が熱くて、ゆっくりと2人の間に架かる銀の糸が絶たれるのを
見つめていた。
『まだ、本気じゃないよ。』
「ぁ…うん。でも、キスあんまり得意じゃなくってさ」
『そうだね、変に上手くても要っぽくないけど。じゃ、ちょっとだけ…
口開けて。要』

改めて言われると、何だろう?と思いつつ薄っすら口を開けて
眼は一応閉じた。

『可愛い…ね、』
頬には璃端の手が、添えられて。逃げられないところに、
にゅ、と口内に璃端の舌が入って来て。
「んん…っ、」
硬口蓋の辺りを、舌先でゆっくりと撫でられて
くすぐったさで、一瞬もがきそうになった。

何これ!?ココって、こんなにも…くすぐったかったっけ?
かすめる様に舐められて、ちょっと頭がついていかない感じ。

璃端って、こんなにエロい事出来るんだと驚きに変わる。
『っ…ぷは…、どうだった?』
「キス…やばい。」
『ぇへへ~』
「俺、歯の内側こんなにきもちいの知らなかった。」
『内緒だよ?要。』

誰に、こんな事言えようか。
このイケメンは、どこまでハイスぺを極めていくんだろうかと
つくづく思う。
「ん…。誰にも言えないよ。こんな事。」
『でも、ほらもっと喉寄りになると柔らかくなっていくでしょ?そこもイイと
思うんだよね。』

「…璃端って普段からそんなエロい事考えてるの?」
思わず聞いてしまったけど。
『うん!要にはね。色々イチャイチャするつもりだったから。』
「なのに、俺…璃端のこと裏切ったんだよな。」
自己嫌悪しかない。

『でも、もうしないんでしょ?そういう他の人とは。』
「2度としない。」
『じゃ、それを僕は信じて…後は前みたいに要を想うだけでしょ?』
今度は、鼻先にキスをされて甘い笑みを向けられた。



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